データ活用コラム

iPaaSが必要な理由とは?
クラウド時代に求められる統合プラットフォーム

クラウドサービスの普及や業務のデジタル化が進む現在、多様なシステムやアプリケーションを同時に利用する場面が急増しています。その結果、システム同士でのデータ交換が煩雑になり、情報が適切に共有されないままサイロ化するリスクも高まっています。そこで注目されているのが、複数サービス間のデータ連携や業務自動化を可能にするiPaaS(Integration Platform as a Service)です。
本記事では、iPaaSがなぜ必要なのか、クラウド時代に求められる統合基盤としての価値を総合的に解説します。

iPaaS

データ活用

Yumi Ogawa -読み終わるまで 11分

iPaaSの基本概要

iPaaS(Integration Platform as a Service)の概念と、クラウドやSaaS環境における役割を整理します。

企業がクラウドサービスを複数導入する背景には、必要な機能を迅速に利用できる手軽さや、拡張性の高さがあります。しかし、サービスごとにデータ管理方法や仕様が異なるため、そのままではスムーズに情報をやり取りできず、業務全体の統合管理が難しくなる場合があります。そこで、クラウド上でさまざまなシステムを接続し、データを自動で連携・変換する仕組みを提供するのがiPaaSの基本的な役割です。iPaaSを導入すると、オンプレミスとの連携も容易になり、既存システムを活かしながら新たなクラウドサービスの利点を最大限に活用できます。

iPaaS(Integration Platform as a Service 読み方:アイパース)とは

iPaaSとは、クラウドベースで複数システム間の連携を容易にするプラットフォームの総称です。ノーコードやローコードの連携ツールを備えていることが多く、専門的なプログラミングスキルを持たない担当者でも比較的簡単にデータ連携フローや業務プロセスの自動化を構築できます。従来のカスタム開発に比べると開発期間やコストを大幅に削減できるため、特にシステム開発のスピードを重視する企業から高い注目を集めています。

クラウド化・SaaS普及背景におけるiPaaSの位置づけ

クラウドやSaaSへの移行が進む背景には、柔軟な拡張性や最新機能をオンデマンドで利用できる利便性があります。その一方で、各サービスが独立して動作していることも多く、データの自動連携や一元管理を実現するには新たな仕組みが必要です。iPaaSはこうしたニーズに応えるために、クラウド間のAPI接続や整合性の保たれたデータ連携を実現し、企業全体の情報活用を促進する重要な基盤として位置づけられています。

なぜiPaaSが注目されているのか?

近年急速に注目を集めるiPaaSの背景には、複数要素による課題とそれを解決するテクノロジーの存在があります。

企業が多様なクラウドサービスやアプリケーションを導入するほど、データやプロセスの管理は複雑になりがちです。部門ごとに異なるシステムを利用している場合、同じ情報を複数回入力したり、最新のデータがどこにあるか分からなくなったりする問題が発生しやすくなります。このような状況を解消し、組織全体の整合性を高めるプラットフォームとしてiPaaSが注目されているのです。

ITシステムの分散化とデータのサイロ化

クラウドとオンプレミス、さらには部門やチームごとに導入されるSaaSが増えると、組織内のデータがバラバラに蓄積されやすくなります。必要な情報が別々の場所に保管され、互いに連携していない状態をサイロ化と呼びます。サイロ化は意思決定を遅延させるだけでなく、データの不整合による業務エラーのリスクも高めるため、iPaaSによってこれらのデータを統合管理する必要が高まっています。

ノーコード/ローコードによる開発効率化の潮流

近年、システム開発のスピードが企業競争力に直結する傾向が強まっており、人材不足やスキル格差を抱える企業にとっては、大幅な開発効率化が急務です。ノーコードやローコードツールを活用すると、専門知識がなくてもGUI操作でシステム連携やフローの設定が可能になります。iPaaSはこうした流れを後押しすると同時に、中核となるAPI連携やデータ統合の部分を標準化し、短期間での導入を実現します。

API活用と業務自動化への期待

多くのクラウドサービスやソフトウェア製品がAPIを公開しており、これを上手に取り扱うことで業務プロセスの自動化が飛躍的に進みます。しかし、全てのサービスを個別に接続するのはコストやメンテナンス面で非効率な場合が多く、統合プラットフォームの必要性が高まっています。iPaaSはAPI管理やワークフロー設計機能を包括的に提供し、企業が持つ多様なツールを一箇所から制御できる環境を整えます。

iPaaSが必要な理由

企業がiPaaSを導入する背景には、リアルタイム連携や業務効率化など、さまざまな期待があります。

クラウドサービスやオンプレミス環境が混在する現代において、効率的な情報交換と自動化はビジネス成長のカギとなります。iPaaSを導入することで、部門やシステムの壁を超えたデータの一貫性が保たれ、運用担当者の負担を大幅に軽減できます。また、リアルタイムでのデータ連携が実現すれば、顧客対応や在庫管理など、事業に即した迅速な意思決定が可能となります。

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複数システム・データのリアルタイム連携

従来はバッチ処理などで定期的にデータを同期していたため、情報の更新が大幅に遅れるケースが少なくありませんでした。iPaaSを利用すれば各システムが即座に更新情報を取得できるため、顧客へのレスポンスや在庫確認などのタイムリーな業務遂行が可能となります。リアルタイム連携は、製造や物流などの現場でも大きな効果を発揮し、業務のスピードアップとミス削減に寄与します。

業務プロセス全体の自動化と効率化

システム間の連携を自動化することで、担当者が行っていた繰り返し作業を削減し、より付加価値の高い業務にリソースを割り当てられます。さらに、ヒューマンエラーを防ぎながらプロセスの精度を高められる点もiPaaSのメリットです。特にワークフロー全体を可視化しやすくなるため、ボトルネックの発見や運用改善が継続的に行いやすくなります。

ITコスト削減と運用負担の軽減

個別システム間の連携は、通常コーディングや個別のメンテナンスが必要となり、人件費や開発費用が大きくかかります。iPaaSでは統合管理が可能なため、メンテナンスやバージョン管理などの運用負担もまとめて実施できます。また、ノーコード連携機能により外部の技術者を大規模に雇用する必要性が低下するなど、全体的なITコスト削減が期待できます。

iPaaSによるメリット・効果

iPaaSを導入することで得られる具体的なメリットについて見ていきます。

従来、さまざまなサービスとの連携やレガシーシステムとの橋渡しには大きな労力が必要でした。iPaaSを導入することにより、短期間で必要なデータ連携フローが構築でき、リアルタイムの情報が企業内外で活用できるようになります。また、ノーコード環境により導入スピードが向上するため、戦略的な施策にリソースを集中できます。

リアルタイム連携によるデータ活用

最新の状態に常にアップデートされたデータを即座に取得・分析できる点は企業競争力の向上に直結します。機械学習やBIツールなどのデータ分析基盤と連携すれば、データをリアルタイムで集約・可視化し、迅速な意思決定をサポートできます。効果的に活用されたデータは、サービスの質を高めるだけでなく、マーケティングや顧客対応の幅を広げる役割も果たします。

ノーコード環境による素早い導入

従来のシステム統合には専門的なプログラミング知識や長期的な開発プロジェクトが必要でした。しかし、iPaaSのノーコード・ローコードアプローチにより、GUIで直感的に接続先のサービスやデータフローを設定できます。開発負荷が軽減されることで導入リードタイムが短縮し、新しいアイデアやプロジェクトをすぐに試せる柔軟性が生まれます。

新旧システムのスムーズな統合

企業には長年使われてきたレガシーシステムが残っていることも多く、それらを完全に置き換えるには時間もコストもかかります。iPaaSを活用すれば既存のオンプレミス環境と最新のクラウドサービスを橋渡しする形で段階的に統合ができ、業務を止めることなく移行を進めることが可能です。レガシーとクラウドのハイブリッド運用を実現することで、最新技術の導入リスクを最小化しながら効果を最大化できます。

iPaaSの主な機能

iPaaSが実現する主な機能と、どのように業務をサポートするかを解説します。

iPaaSの中核を成すのは、複数のアプリケーションやデータソースを一元管理し、必要に応じて柔軟なフローを組み立てられる仕組みです。データ連携からAPI管理までを一括して行えるため、メンテナンスや拡張が容易になります。また、ノーコード・ローコード環境と組み合わせることで、幅広いユーザーが自ら業務プロセスを作り上げられる点も大きな特長です。

データ連携

さまざまなフォーマットやプロトコルで分散しているデータを、iPaaSが橋渡し役となって取りまとめます。これによりシステムごとにフォーマット変換を行う手間が省け、アクセス権限の管理やデータ品質の維持が容易になります。結果として、必要なデータを一貫した形で受け渡しできるため、業務全体の効率と正確性が向上します。

業務フロー自動化

あらかじめ設定したワークフローどおりにデータ連携や処理を自動的に進めることで、人的作業の負担を大幅に減らすことができます。例えば、受注データが更新された際に在庫管理システムへ通知し、在庫状況に変化があれば出荷指示を自動で行うといったプロセスを実装できます。これによりミスや遅延が減り、シームレスな業務運用を実現できます。

API管理

クラウドサービスや社内システムが提供するAPIを一括で管理し、セキュリティや認証、バージョン管理などを包括的に取り扱います。APIのエンドポイントや仕様の変更があっても、一箇所で設定を変更すれば連携先全体に対応できるのが強みです。これにより開発効率が向上し、接続先拡大や機能拡張をスムーズかつ安全に行えます。

セゾンテクノロジーが提供するiPaaS「HULFT Square(ハルフト スクエア)」

iPaaS型データ連携基盤 HULFT Square(ハルフトスクエア)

HULFT Squareは、「データ活用するためのデータ準備」や「業務システムをつなぐデータ連携」を支援する日本発のiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)です。各種クラウドサービス、オンプレミスなど、多種多様なシステム間のスムーズなデータ連携を実現します。

iPaaSの種類

代表的なiPaaSの形態を把握し、自社に合ったプラットフォームを選定する際の参考とします。

iPaaSと一口に言っても、連携方式や目的に応じて複数のタイプに分類されます。利用する場面やシステム要件によっては、特定の形態が最適な場合もあるため、自社の業務フローや技術スタックと照らし合わせて検討することが大切です。特にレシピ型やETL/ELT型など、それぞれの特徴を把握することでより効率的な導入を目指せます。

レシピ型

あらかじめ用意されたテンプレートやレシピを利用して、定型的なデータ連携やプロセスを素早く構築できるタイプです。簡単な設定だけでクラウドサービス同士を連携させることができ、開発スキルの高くないチームでも導入しやすい利点があります。拡張性は限定的な場合が多いものの、まずはシンプルな連携から始めたい企業に適しています。

ETL/ELT型

大量のデータを抽出(Extract)・変換(Transform)し、データウェアハウスやデータレイクにロード(Load)する機能に特化した形態です。ビッグデータ解析やBIツールとの組み合わせで活用されることが多く、データ分析を重視する企業に向いています。ただし、単純なメッセージ連携よりも大容量データの管理やパフォーマンスが重要となるため、要件定義がより綿密に行われる傾向があります。

EAI型

EAI(Enterprise Application Integration)は、企業内部で稼働する複数のアプリケーションを統合し、データの交換を円滑にすることを目的としたタイプです。レガシーシステムやオンプレミス環境がメインとなる大企業でよく採用され、ポイントツーポイントの連携を減らし、ハブ型の接続を構築できます。内部統合が主体となるため、外部サービスとの連携よりも企業内のシステム制御に強みがあります。

ESB型

ESB(Enterprise Service Bus)は、企業内や分散した各システムをバス状の仕組みでつなぐ中核となる通信基盤です。メッセージのルーティングやプロトコル変換、セキュリティなどを集中管理し、統一的なインフラを提供します。高い信頼性と拡張性が求められる大規模環境に適しており、疎結合なアーキテクチャを実現しやすい点が特徴です。

Embedded iPaaS

Embedded iPaaSは、提供する製品やアプリケーション自体にiPaaS機能を組み込む形態を指します。ユーザー企業に対しては、その製品を通じてシームレスにデータ連携やワークフロー自動化の機能を利用できるメリットがあります。顧客向けサービスとして差別化したいベンダーにとっては、自社ソリューションの付加価値を高める手段として活用されるケースが多いです。

iPaaSの市場規模と成長性

世界的に加速するクラウドシフトの流れを受け、iPaaS市場も急速な拡大が期待されています。

近年のリモートワーク普及や多様な業務アプリケーションの登場により、システム間連携の必要性はますます高まっています。iPaaSはクラウドの強みを活かし、迅速な導入と拡張が可能なため、企業規模を問わず導入検討が進められているのが現状です。市場調査では、今後数年でiPaaSの需要が大幅に伸びると見込まれており、デジタルトランスフォーメーションを推進する上で欠かせない基盤になると考えられています。

RPAやSaaS、PaaS、IaaSとの違い

混同されがちなプロセス自動化ツールやクラウドサービスとの違いや使い分けを整理します。

システム連携や業務自動化を語る上で、RPAやSaaS、PaaS、IaaSといった各種クラウドサービスとの違いを正しく理解することは重要です。RPAはユーザーインターフェイスの操作自動化が得意ですが、iPaaSはシステム内部の連携とデータ統合に强みを持ちます。また、SaaS・PaaS・IaaSはクラウドのサービス階層を示し、iPaaSはそれらの複数サービス間をシームレスに結びつける役割を果たす中間層という位置づけです。

RPAとの使い分け

RPA(Robotic Process Automation)は主に画面操作の自動化に特化しており、従来は手作業で行っていた定型処理をうまく代替します。一方、iPaaSはシステム間でのデータ授受を自動化し、APIレベルでの連携を担う点が最大の特徴です。業務上、ユーザーインターフェイスを介する操作が多い場合はRPAが有効ですが、各種サービスがAPIを提供しているならiPaaSを活用する方がより堅牢で拡張性のある連携を期待できます。

SaaS・PaaS・IaaSとの位置づけ

SaaS(Software as a Service)はソフトウェアをクラウド経由で提供する形態、PaaS(Platform as a Service)はアプリ開発基地を提供する形態、IaaS(Infrastructure as a Service)はインフラ基盤を提供する形態を指します。これらは階層ごとに異なる責任範囲をカバーしますが、iPaaSはそれらのサービス間でデータと機能を橋渡しし、統合を容易にします。つまり、iPaaSはSaaSやPaaS、IaaSを最大限に活用するための要となる存在として位置づけられます。

FaaSやDaaSなどとの関係性

FaaS(Function as a Service)はサーバーレスでコードを実行する仕組み、DaaS(Data as a Service)はデータをサービスとして提供・活用する形態を指します。これらのサービスとiPaaSを連動させれば、一連のデータ処理から機能実行、分析までを包括的に構築可能です。例えば特定のイベントをトリガーにしてFaaSでコードを実行し、DaaSで得られたデータをiPaaSで連携処理するなど、多様なコンビネーションが期待できます。

iPaaSの導入ステップと選定ポイント

導入を成功させるために、事前の準備から選定時のチェックポイントまでを解説します。

iPaaS導入の成功には、要件定義の明確化や既存システムの整理、そしてプロダクト選定時のしっかりとした比較が欠かせません。導入後に想定外の制限やコストが発生しないよう、API公開状況や料金プランの仕組みを把握しておくことも重要です。最終的には運用フェーズでのサポート体制が安定しているかどうかが継続利用のカギとなります。

導入前の準備:要件定義と既存システムの整理

初めに、企業としてどの業務プロセスを自動化したいのか、どのシステムとシステムを連携させるのかを明確にする必要があります。既存システムそれぞれの役割やデータ形式を洗い出し、連携の優先度を決定しなければなりません。この段階で要件をしっかり固めておくと、iPaaS導入後のプロセス設計や運用設計がスムーズに進みます。

プロダクト選定時の基準:対応サービス、セキュリティ、サポート体制

iPaaSベンダーごとに対応可能なクラウドサービスやAPIの範囲、セキュリティ基準、サポート体制には差があります。自社の要件と合致しているかを慎重に見極め、そのサービスが将来的な拡張にも対応できるかを確認することが大切です。また、問い合わせから回答までの速度やドキュメントの充実度など、実運用を想定した細部のチェックも忘れてはなりません。

導入時の注意点:API公開状況や追加費用など

実際の導入では、連携対象となるクラウドサービスや社内システムがAPIを公開しているかが大きなポイントになります。非公開APIや制限の多いAPIでは、連携が実現しない場合や追加開発コストが上乗せされる可能性があります。また、基本料金以外にデータ量超過や連携数増加による費用が発生するケースもあるため、導入前に料金体系を把握しておくことが重要です。

セゾンテクノロジーが提供するiPaaS 導入に向けたプロフェッショナルサービス

HULFT Square 活用の、その先へ。

セゾンテクノロジーのプロフェッショナルサービスは、HULFT Squareの導入検討から初期構築、内製開発、日々の運用、さらには全社的な標準化まで、データ連携におけるあらゆるフェーズを包括的に支援します。

iPaaS活用事例・ユースケース

具体的な活用場面から、iPaaS導入による効果をイメージします。

iPaaSはどのような業種・業態でも有効なソリューションとして活用されますが、特に複数のクラウドサービスを組み合わせて使う企業や、オンプレミスとの併用が多い企業でが大きな効果を発揮します。部門間で散らばったシステムをつなぐことで、手動入力や転記作業のミスを減らし、組織全体の生産性を底上げできる点が大きなメリットです。

企業内システム同士の自動連携

ERPやCRMなど、企業内で利用されるコアシステム同士を垂直に連携する例は多数存在します。例えば、営業部門で入力された顧客データが自動的に会計システムへ連携され、見積や請求書の作成が大幅に効率化するといったケースです。データの重複や更新漏れが減ることで、部門間の情報共有がスムーズになり、ビジネスにおける意思決定の質が向上します。

導入事例 | フルサト・マルカホールディングス株式会社

iPaaSによるノーコード開発で開発工数を最大80%削減
EDIを含めた拡張性の高いデータ連携基盤を整備

データ分析基盤との連携

ビッグデータ時代において、データ収集と分析をリアルタイムで行うことは競争優位を築くうえで重要です。iPaaSによる自動連携でCRMやERP、さらには外部データソースから取得した情報を分析基盤に集約すれば、意思決定までのラグを最小限に抑えられます。更新頻度の高いデータを統合的に取り扱うことは、マーケティング施策や製品開発にも好影響をもたらします。

導入事例 | 日清食品ホールディングス株式会社

生成AIを活用し“データドリブン”経営に寄与するデータ連携・分析基盤を整備
豊富なコネクターでデータ連携の拡張性を確保するHULFT Square

レガシーシステムとクラウドサービスのハイブリッド連携

既存のオンプレミス環境と最新のSaaSやPaaSを併用する企業にとって、iPaaSによるハイブリッド連携は極めて有効です。レガシーシステムを完全に置き換えるのではなく、徐々にクラウド化を進めながら、双方のデータがリアルタイムで同期される仕組みを作れます。これにより、業務を止めずに段階的な移行を実現しつつ、最新技術の恩恵を受けやすくなります。

導入事例 | 株式会社セブン銀行

AI・データ活用の全社浸透を目指すセブン銀行
データ連携基盤・生成AI活用環境の実装にHULFT Squareが貢献

クラウド時代におけるiPaaSの将来展望

今後ますます高度化するクラウド環境において、iPaaSはどのように進化していくのでしょうか。

クラウド同士の連携だけでなく、AIやマイクロサービス、さらにはIoTとの組み合わせなど、企業のIT環境はより複雑化していくと考えられます。そんな中、iPaaSは高度な自動化機能や拡張性を備えたプラットフォームへと進化し、多様な連携シナリオを実現する中心的存在となるでしょう。

AIやマイクロサービスとの連携拡大

AIやマイクロサービスはシステムを小さな単位に分割することでメンテナンス性や拡張性を高め、ビジネス変化への迅速な対応を可能にします。iPaaSはこれらとの連携を強化することで、意思決定に即したデータ分析や機能追加をノンストップで行えるようサポートしていくと考えられます。次世代のクラウド環境では、これらの連携が企業の競争力を左右する重要な要素となるでしょう。

自動化プラットフォームとしての進化

iPaaSは単なる連携の仕組みにとどまらず、業務プロセスの全体最適を実現する自動化プラットフォームへと拡張していく可能性があります。RPAやワークフロー管理ツールと連携することで、部門別・システム別に散在する業務を一気通貫で自動化できる環境が整備されるでしょう。企業はこの環境を活用し、アジャイルに新しいプロセスを生み出すことで、絶えず変化する市場ニーズに対応しやすくなります。

まとめ

テクノロジーが急速に進化し続ける中、iPaaSはビジネスの形を変革し、新たな価値を創出するデータ統合基盤としての地位を確立しつつあります。アプリケーションやデータソースのシームレスな統合により、企業が直面するデータサイロ(情報が孤立し連携されていない様子)の課題を解消し、業務の効率化・自動化を実現します。データ活用の最大化を実現することで、ビジネス価値はより一層高まっていくはずです。

導入時には要件定義や選定ポイントをしっかり押さえることで、余分なコストや手戻りを抑えることが可能です。さらに、AIやマイクロサービスとの連携が進む将来において、iPaaSの活用幅はますます広がり、企業の競争優位を支える基盤となるのは間違いありません。iPaaSの進化とともに、ビジネスの可能性も無限に広がっていきます。複雑化するクラウド・オンプレミス環境において、企業戦略に沿った最適な活用が鍵となるでしょう。

執筆者プロフィール

小川 優美

  • ・所 属:マーケティング部
  • 広告代理店での2年間のコピーライター経験を経て、その後はIT業界一筋。B2CからB2B、日系ベンチャーから大手外資系まで、さまざまな企業での経験が強み。広報、ブランディング、プロダクトマーケティング、キャンペーンマネージャーなど、一貫してマーケティングにまつわるさまざまな業務に従事し、2024年5月より現職。プライベートでは、自然と触れ合うこと、温泉&銭湯が大好き。
  • (所属は掲載時のものです)

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