データ活用コラム

データ分析とは?
初心者向けに基本から活用法までわかりやすく解説

データが溢れる現代では、膨大なデータを整理・分析することで、意思決定を合理化したり新たなビジネスチャンスを生み出すことが可能になります。しかし、「データ分析を始めたいけれど、何から手を付ければいいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか?正しくデータを扱うためには専門的な知識や手法の理解が必要となるため、初心者の方こそ要点をしっかり押さえていくことが大切です。

本記事では、初心者にもわかりやすい形でデータ分析の基本から実践方法、必要なツール、活用事例まで詳しく解説していきます。

データ活用

Yumi Ogawa -読み終わるまで7分

データ分析の定義と重要性

データを活用した意思決定は、あらゆる分野で不可欠なプロセスとなっています。

データ分析とは、収集した情報を整理し、そこから有用な知見やパターンを導き出す一連の手法を指します。ビジネスシーンでは、売上や顧客データなどを基に製品戦略やマーケティング施策を最適化するために用いられることが多いです。現在はオンラインで生成される莫大なデータが活用できるようになり、より複雑な問題に対してもデータドリブン型のアプローチが取られるようになりました。

企業にとっては、データを活用することでリスクを最小化しつつ精度の高い施策を打ち立てられる点が魅力です。学術や医療などの分野では、研究データを客観的に評価し新しい発見につなげるためにも欠かせません。こうした状況から、データ分析はビジネス成果や研究成果を高めるためにきわめて重要な役割を果たしています。

データ分析の目的

データ分析の目的は、問題を客観的に捉え、合理的な解決策を導き出すことです。社内に蓄積されたデータを活用すれば、売上向上やコスト削減など明確なターゲットに合わせて策を講じることが可能になります。さらに、プロセスの進捗状況を可視化し、組織全体の意思決定を迅速化させる効果も期待できます。

データ分析が注目される背景

近年の急速な情報化社会では、あらゆるデータがデジタルで蓄積されるようになりました。ビッグデータやクラウドの普及に伴い、大量の情報を効率的に処理し、有用な示唆を得られる技術や手法の重要性が高まっています。こうした背景から、企業や研究機関が競争力を高める手段としてデータ分析に注目し、多方面で活用が進んでいるのです。

データ分析の主な種類

分析手法にはさまざまなアプローチが存在します。目的やデータの質に応じて手法を適切に選択することが、分析を成功に導く鍵となるでしょう。以下は代表的な分析の例です。

 記述的分析(Descriptive Analytics) 
  • 過去のデータを要約し、現状を把握する
  • 例:売上の推移分析、顧客層の分類

 

 診断的分析(Diagnostic Analytics) 
  • データから「なぜ?」を分析する
  • 例:売上低下の原因分析、離職率の要因特定

 

 予測的分析(Predictive Analytics) 
  • 過去データをもとに未来を予測する
  • 例:売上予測、需要予測

 

 処方的分析(Prescriptive Analytics) 
  • 最適なアクションを提案する
  • 例:在庫管理の最適化、パーソナライズ広告

 

データ分析を行うメリット

データを客観的に使いこなすことで、さまざまなメリットを享受できるようになります。

企業活動の中でデータ分析を導入すると、まず無駄な施策が減り意思決定のプロセスが格段にスムーズになります。市場動向や顧客行動を定量的に把握することで、根拠のある戦略を打ち出せるようになるからです。これにより施策の成功確率が上がり、組織の全体的な効率化や生産性向上へとつながります。

また、数字やグラフなどの視覚的情報を共有することで、社内での合意形成にも大きく役立ちます。経営判断や新規事業の検討でも、定量的なデータを示すことで意思決定がスピーディに行われるからです。さらに、データの裏付けがある提案は説得力が増し、チームで意見を一致させやすくなるでしょう。

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意思決定が迅速化する

定量的な根拠に基づいた議論を行えるため、社内外のステークホルダーと意思を共有しやすくなります。データは説得力のある裏付けとなり、異なる立場の意見をまとめやすくなるのです。結果として、施策に着手するまでのスピードが格段に向上し、競合他社より早く行動を起こせる可能性が高まります。

客観的な根拠に基づくアクションが可能

勘や経験的な判断だけでなく、具体的な数値や分析結果に基づいて意思決定できる点が大きな強みです。ビジネスでは常に不確実性が伴いますが、客観的なデータがあることでリスクを減らせます。これにより、組織やプロジェクトチーム全体に納得感のあるアクションが取れるようになります。

新たなビジネスチャンスの発見

データを深堀りすることで、意外な売れ筋商品や顧客の隠れたニーズなどを掘り起こせる可能性があります。特に、複数のデータを掛け合わせて相関関係を調べると、従来気づかなかったビジネスの接点が見えてきます。こうした新しいインサイトは、競争市場での差別化要因となり、事業拡大や新規アプローチの糸口を提供してくれます。

データ分析のやり方(基本の流れ)

データ分析の基本ステップ

データ分析には、以下のようなステップを踏むと良いでしょう。

  • 1. 目的の設定:何を分析し、どんな課題を解決したいのかを明確にする
  • 2. データの収集:必要なデータを集める(売上データ、アンケート結果、センサーデータなど)
  • 3. データの整理・加工:不要なデータを除外し、使いやすい形に整える
  • 4. データの可視化:グラフやダッシュボードを使って傾向を把握する
  • 5. データの分析:統計的手法や機械学習を使ってインサイトを抽出
  • 6. 意思決定・実行:分析結果をもとに施策を実施する

データの種類

データは大きく以下の2種類に分かれます。

  • 定量データ(数値データ):売上金額、アクセス数、年齢など
  • 定性データ(非数値データ):アンケートの自由回答、レビュー内容、SNSの投稿内容

分析の目的に応じて、適切なデータを選ぶことが重要です。

初心者がつまずきやすいポイントと対策

どんなデータを使えばよいかわからない

解決策:

  • まずは手に入るデータを整理する(社内の売上データ、Googleアナリティクスなど)
  • 競合他社の公開データや政府統計など、外部データも活用する

データの前処理が面倒

解決策:

  • ExcelやGoogleスプレッドシートの関数を活用する

どの分析手法を使えばいいのかわからない

解決策:

  • 目的別に基本的な手法を学ぶ(例:売上のトレンド分析→時系列分析)
  • AIや機械学習の前に、まずは基本の統計手法を学ぶ(平均、中央値、相関係数など)

初心者向けの分析ツール

データ分析用のツールはさまざまありますが、まずは多くの人が日々のビジネスで活用しているであろうExcel(エクセル)を使ってみることをお勧めします。

実はExcelには「データ分析ツール(Analysis ToolPak)」「標準関数」「シナリオ分析機能」などがあり、さまざまな分析が可能です。

まずは、Excelを使ってできることを確認してみましょう。

  説明
ピボットテーブル 大量のデータを要約・集計して分析します。例:月ごとの売上推移を簡単に集計
ゴールシーク 目標値を達成するために必要な入力値を逆算します。例:利益100万円を達成するための最低売上数量を計算
シナリオマネージャー 異なる条件下での計算結果を比較します。例:価格を変えたときの利益の変化をシミュレーション。
データテーブル 1つまたは2つの変数を変化させた場合の結果を自動計算します。例:金利や期間の異なるローン返済額の比較
ソルバー 最適化計算を行い、制約条件を満たす最適な値を求めます。例:広告費の配分を最適化し、最大利益を達成
分位範囲 データの分布を四分位で区切り、中央値や範囲を分析します。例:顧客の購買額を上位25%と下位25%に分類
分散分析(ANOVA) 3つ以上のグループの平均値に統計的な差があるかを検定します。例:3つの店舗の売上平均に有意な差があるかを調べる
共分散 2つの変数の関係性を示す指標です。例:広告費と売上の関係を分析
相関分析 2つの変数の相関係数を算出し、関係の強さを測ります。例:気温とアイスクリーム売上の関係を分析
基本統計量 平均・中央値・標準偏差などの基本統計量を算出します。例:製品レビューの平均評価点を計算
F検定 2つのグループのデータの分散が異なるかを検定します。例:男性と女性の購買金額の分散を比較
t検定 2つのグループの平均値に統計的な差があるかを検定します。例:A/Bテストで新しいWebデザインの影響を測定
ヒストグラム データを区間ごとに分け、頻度分布を視覚化します。例:従業員の給与分布を確認
移動平均 一定期間の平均を算出し、データのトレンドを滑らかにします。例:3カ月間の売上移動平均を計算
回帰分析 1つまたは複数の変数が目的変数に与える影響を測定します。例:広告費と売上の関係を数式で表す
指数平滑法 時系列データの予測に用いる平滑化手法です。例:来月の売上を予測
乱数発生 擬似乱数を生成し、統計シミュレーションに活用します。例:テストの点数の模擬データを作る
順位と百分位数 データの順位や相対的位置を算出します。例:社員のパフォーマンス評価の順位を決定
Z検定 母集団の平均が既知の場合に、標本の平均が異なるかを検定します。例:新製品の売上が過去の平均より高いか確認
フーリエ解析 音声信号や画像データなどの信号の中から各周波数ごとの大きさと位相を求めます。例:信号の周波数成分を求める
サンプリング

データをランダムに抽出します。例:サンプルデータを作成

SUMIF/SUMIFS関数 設定した条件に合致するデータを集計します。特定の曜日の売り上げを集計したり、部署ごとの経費を集計したりする際に利用すると便利です
COUNTIF/COUNTIFS関数 設定した条件に合致するデータの数を集計します

データ分析のデメリットと課題

利点ばかりが注目されがちなデータ分析ですが、運用面やコスト面でのデメリットも見逃せません。

最先端の分析手法や高度なセキュリティ対策を導入する際には、ツールや人材にかかるコストが大きくなる傾向にあります。離職などにより知見が流出すれば、分析の品質が低下するリスクも抱えることになるでしょう。こうした課題を事前に把握し、運用体制を整えることが成功への近道です。

さらに、研究開発の段階で得られた結果が必ずしも経営方針や現場の状況に合致しない場合があります。データを念入りに分析しても、組織内コミュニケーションが不十分なままではその成果を活かせません。分析結果を的確に共有し、経営や現場の意思決定に反映させる工夫が必要です。

業務負荷やコストが増大する

データ分析には専門的な知識が求められるため、人材を育成するか外部に委託するかの検討が必要です。加えて、高機能のツールを導入するとライセンス費用やメンテナンスコストも増すでしょう。分析の効果を最大化するには、投資に見合う成果をどう確保するかを検討することが大切です。

分析の属人化と知見の集約不足

特定の担当者だけが分析スキルを持っている場合、その人が退職や異動した際にノウハウが失われやすくなります。データ分析は組織的な活動として継続的に行われることで、初めて成果が積み上がるものです。知見を分散させ、全社的に共有する仕組みを作ることが属人化を防ぐ鍵となります。

分析結果と経営判断のギャップ

導き出された分析結果が経営判断や実施する施策と乖離してしまうと、データ分析の効果は半減してしまいます。現場の意見や経営方針を反映させないまま分析を進めると、せっかくの知見が活かされない可能性が高いです。分析担当者と意思決定者の連携を密にし、相互の意図を共有することが重要です。

データ分析を成功させるポイント

高い効果を得るためには、運用方法や組織体制にも注目する必要があります。

データ分析を成功させるうえで大切なのは、分析の目的を明確にし、結果を組織内で共有するプロセスを整備することです。分析結果をただ報告するだけでなく、その背景や手法、得られた示唆を平易に説明できるようにしておくと理解が深まります。さらに、定期的な検証や修正を行うことで、継続的に成果を高められるでしょう。

最新のBIツールや機械学習の手法を導入すると、データに基づく経営のスピードが大幅に向上します。とはいえ、運用段階でセキュリティやプライバシーへの配慮を怠ると、大きなリスクを伴うことにもなりかねません。組織全体でデータガバナンスを意識した仕組み作りを徹底することが重要です。

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分析結果の共有とコミュニケーション

分析で得られた成果やグラフの可視化結果は、定期的に各部署と共有して共通認識を育むことが大切です。メールだけでなく、定例ミーティングや報告会など対面の場を設けることで理解が深まりやすくなります。情報をオープンにすることで、他部門からのフィードバックも得られ、より精度の高い分析へとつなげられます。

BIツール導入による可視化と意思決定の効率化

BIツールを使えば、複雑なデータをリアルタイムにダッシュボード化できるため、さまざまな指標をひと目で確認できます。トップマネジメントは素早く状況を把握し、必要に応じた指示を即座に出すことが可能になります。操作性や表示形式を工夫すれば、専門知識のない社員でも使いこなせるため、全社的な情報活用を促進しやすいでしょう。

セキュリティやプライバシーの考慮

データ分析においては、個人情報の取り扱いや機密情報の漏えい対策が不可欠です。法的なルールや企業ポリシーをしっかり守ることで、分析プロジェクトに対する社内外からの信頼を確保できます。万が一の漏えいリスクを最小化するために、アクセス権限や暗号化などのセキュリティ対策を徹底しましょう。

まとめ

データ分析は競争力を高める手段である一方、導入と運用には計画性が求められます。

まずは分析の目的と範囲を明確に設定し、得られた結果を組織全体で共有する仕組みを整備することが重要です。目的や手法が明確ならば、投資コストや人的リソースの問題も解決しやすくなり、分析の成果を最大限に活かせるでしょう。最終的には、データ分析を日々の業務サイクルに組み込み、継続的に改善を図ることが成功への近道となります。

今後さらにデータ量や分析手法が多様化していく中で、ビジネスや研究における競争力を確保するにはデータ分析が欠かせません。基礎を正しく理解し、実践的な運用ノウハウを身につけることで、組織や個人の可能性を大きく広げることができます。これを機に、ぜひデータ分析の導入・活用を検討してみてはいかがでしょうか。

執筆者プロフィール

小川 優美

  • ・所 属:マーケティング部
  • 広告代理店での2年間のコピーライター経験を経て、その後はIT業界一筋。B2CからB2B、日系ベンチャーから大手外資系まで、さまざまな企業での経験が強み。広報、ブランディング、プロダクトマーケティング、キャンペーンマネージャーなど、一貫してマーケティングにまつわるさまざまな業務に従事し、2024年5月より現職。プライベートでは、自然と触れ合うこと、温泉&銭湯が大好き。
  • (所属は掲載時のものです)

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