データ活用やDXがどんどん解る用語集 
SaaS

「SaaS」

データ活用やDX成功に必要な考え方を、各種するキーワードの解説で理解できる用語解説集です。
今回は、クラウド時代が始まった時にできた言葉「SaaS」について解説し、それを通じてクラウド時代のIT活用の本質について考えます。

SaaSとは

SaaS(Software as a Service:サース)とは、サービスとして提供されているソフトウェアのことで、利用者はソフトウェアやITシステムを保有することなく利用ができる提供形態のことをいいます。
より一般的には、クラウドサービス上で提供されているソフトウェアサービスのこと、あるいは自社でソフトウェアやITシステムを所有することなく、インターネット回線経由でソフトウェアを利用できるサービスのことをそう呼びます。

SaaS登場以前とそれ以降における変化

SaaSは、クラウドの登場と共に使われるようになった言葉です。クラウドはごく当たり前のものになっている現在とは状況が大きく違っていた、クラウドそのものが斬新であったその時期に、その「新しさ」を説明する言葉として使われました。

クラウド登場以前の状況

クラウドが登場するよりも前にITを活用したい場合には、その前に大掛かりな準備が必要で、予算も時間もかかることが普通で当然でした。

ある程度きちんとしたITシステムを利用したいと思ったなら、自社でサーバを購入し、サーバルームやデータセンタを用意し、物理的にハードウェアを組み立て、マシンにOSなどをセットアップし、アプリケーションを開発するか買ってきてインストールする必要がありました。稼働後もサーバの運用作業はインフラエンジニアが行う必要があり、お手軽とは言えませんでした。そのためITには、数千万円の予算や、何か月もの期間はごく普通にかかることでした。

あるいは、そこまで大がかりではない場合、例えば事務用のPCに会計ソフトウェアを入れて利用するような状況でも、何十万くらいはするパッケージソフトウェアを買ってきてインストールして利用する必要がありました。

つまり基本的に、ハードウェアを自社で保有し、ソフトウェアも自社で調達し、システムを構築し、運用も自分たちで行う必要がありました。初期費用が大きくかかり、固定費もかかり、人件費もかかり、利用開始まで期間もかかりました。それが当然だと思われていました。

クラウド登場以降

クラウド登場はこの状況を大きく変えました。インターネット回線とWebブラウザがあるだけで、ソフトウェアの利用が可能になる画期的な変化でした。

ハードウェアを保有しなくてよい、ソフトウェアを開発することもパッケージを買ってくる必要もない、運用もおまかせでよい。初期費用がかからず、変動費だけで済む。カード決済で数分後には利用可能なことすらある恐るべき迅速さも備えていました。

またインターネット上のサーバで処理を行い、データを保管することから、ネット上での共同作業やデータ共有も容易になるなど、従来のIT利活用では多くなかった利便性も備えていました。

このかつてない状況の本質を説明する言葉として生まれた言葉が、SaaS(Software as a Service)になります。ソフトウェアが「サービスとして」提供されるようになり、所有せずに利用だけを享受できるようになったことがその変化の本質でした。

⇒クラウド時代がもたらした大きな変化「サービス化」の本質については「XaaS」の記事をぜひご覧ください。

SaaSの優れているところ

旧来のソフトウェア利用と比べて優れているところを簡単にまとめました。

  • 初期コストがかからない
    -自社でハードウェアを所有しなくてよい
    -ソフトウェアの用意が必要ない
    -システム開発やセットアップ作業が必要ない
  • 利用したい時にすぐ利用できる
  • 利用を止めたい時にもスムーズに利用停止しやすい
  • 運用の手間がかからず、インフラエンジニアが必須ではなくなる
  • 多くの場合初期費用がかからず、変動費だけで利用できる
    -税金のかかる資産保有ではなく費用になる
  • 利用規模を需要に応じて変更できることが多い
    -余裕を見ての大きめの事前投資を避けられる
    (スモールスタートに適する)
    -想定を超えた需要を処理できないことによるチャンスロスを減らせる
    -想定を大きく超えた短期的な利用集中が発生した際にも対処可能性が高まる
  • インターネット上での共同作業やデータ共有の機能を備えていることがある

SaaSの利用で留意すべき点

現在ではクラウドはごく普通に利用されるようになり、SaaSの利活用も広く行われるようになりました。その一方で、SaaSには良い面や悪い面、SaaS化により新たに生じる課題も明らかになってきました。

既に説明したSaaS利用のメリットと合わせて、SaaS活用における留意すべき点について考えてみましょう。

サーバ側に処理が集中する提供形態

インターネット経由でアプリケーション的なものを提供する考え方そのものは言葉ができるよりもかなり以前からありました。さかのぼるとメインフレームもサーバ側で集中処理する方式ですし、例えば一種のWebアプリでもあった、巨大電子掲示板を提供する「にちゃんねる」も1999年5月に提供開始しています。

しかしインターネット登場と同時にはSaaSの時代は来ませんでした。それは、サーバ側に処理の負荷が集中する問題が、当時のハードウェアの水準では非常に厳しかった事情があります。

例えば、Webブラウザ上で使える電子メールサービスは1990年代からあったものの、メールボックスの容量は数メガバイトなどの小容量で簡易なサービスであることが普通でした。その後に「クラウド」や「SaaS」の言葉ができる原因にもなったGmailはその状況で1ギガバイトもの大容量と高機能で登場したことが衝撃的で話題になりました。

普通に考えれば、それくらいの容量が無いとメインのメールアドレスにできないことは解ることでした。アイディアが新しかったというよりも、サービス提供に用いたリソース量が画期的で、その点こそ他社には真似できなかったのも事実でした。

その後のハードウェアの能力向上などにより、サーバ側のリソース制約は現在では以前ほど大きな問題ではありませんが、処理の負荷の問題が構造的にあることは変わりません。SaaSでは、負荷がかかる処理が得意ではなく、高負荷の処理で実用的に処理できなくなる可能性や、時間帯などで処理が遅くなったり重くなったりする可能性を考慮する必要があります。

インターネット回線・ウェブブラウザを通じての利用による利用感の低下

遠く離れたインターネット回線の向こう側での処理結果を、Webブラウザ経由で利用するために、ローカルのPCでアプリケーションを実行する場合よりも利用感やレスポンスなどが悪い傾向があります。

ネットワークの通信は光の速度を超えられず、光は一秒で地球を7周半しかできません。欧州や北米との間は通信遅延だけで数百ミリ秒もかかってしまいます。また、多くのSaaSはWebブラウザ上で利用しますが、本来、HTMLドキュメントの表示と閲覧のためのものであるため、ネイティブなアプリケーションと同等のUIやUXが十分に実現できるとは限りません。

良好な利用感や、高いレスポンス(リアルタイム性の高い処理など)が必要なアプリケーションではSaaSの利用が適切か考慮する必要があります。

セキュリティや回線障害の懸念

自社保有のハードウェアでアプリケーションを利用する場合には、物理的にアクセスを遮断するなどの本質的な安全の確保ができます。しかし、インターネット回線を経由して利用するとなると、本質的には世界の誰からもアクセスされる可能性が生じてしまいます。

セキュリティの確保、およびセキュリティが確保できていることを監査などで証明することが難しくなります。

また、SaaSを業務で利用していると年に一回くらいはインターネットの回線障害やクラウドのサービス障害で「今日は業務にならない」日があったりします。そういう日が時々あってもしょうがない業務ではないなら、SasSを利用して良いか考える必要があります。

サービス終了のリスク/ロックインのリスク

SaaSは、ある日サービスが終了してしまって利用できなくなってしまう恐れがあります。自分のPCに入れてある会計ソフトウェアではそのようなことは起こりえませんが、サービスが突然終了して利用できなくなってしまうことは起こりえます。

SaaSが業務に必要不可欠になった状況で、容認できないサービスの値上げが行われる可能性や、SaaSが提供する機能や能力(処理の能力や記憶容量の限界など)では業務が担えなくなった際に、そのサービスからの移行が困難になる懸念があります。

利用できなくなって業務が止まる可能性のみならず、その際に、クラウド側に置いてあるデータの移行や救出ができないことも起こりえます。そうなった時に、他のサービスへの移行などができるのか考えておく必要があります。

カスタマイズが(十分に)できないことが多い

ほとんどの場合、SaaSは提供されているアプリケーションをASISで使うことになります。例えば自分専用にGmailをカスタマイズして提供してもらうようなことは、ほとんど期待できません。

自社でソフトウェアを開発している場合はもちろん、パッケージソフトウェアを利用する場合でも従来は、自社の利用にあわせてカスタマイズやアドオンなどを利用し、業務にあわせて使いやすくすることが多かったのですが、SaaSではカスタマイズは出来ないか、限定的にしか利用できないことが多くなっています。

ITを自社の都合にあわせることが難しくなり、自社の業務をSaaSにあわせて利用することが必要になってきます。

SaaSをうまく活用するための「つなぐ」手段

2010年代、特にその前半においては上記のような懸念が強くありました。そのため、業務でのクラウド活用がなかなか進みませんでした。それでもなお、クラウド活用には多くのメリットがあり、今ではそのような懸念やリスクを踏まえても採用が進められるようになりました。

しかしそれでも懸念事項が消えてなくなったわけではありません。SaaSを利用するメリットとデメリットを吟味する必要は今でもあります。また、クラウドの採用が前提になってきた今だからこそ、上記のようなSaaSの問題点を適切に理解して、適宜うまく活用できることが、SaaS導入を判断するスキルとして重要になってきていると言えます。

どのSaaSを利用するかの見極めやSaaSを利用するのかしないのかの判断だけではなく、上記のようなSaaSの問題に対処するため、SaaSとその外部をデータ連携などで「つなぐ」ことで組み合わせて利用することが必要になってきています。クラウドにせず残す部分と連携させる、複数のSaaSを連携させて利用する(マルチクラウド)、利用するSaaSを移行することも考慮が求められるようになりました。

サーバ側に処理が集中する提供形態

再度になりますが、SaaSを使っていると忘れてしまいがちながら、インターネットの向こうにはその処理を引き受ける物理的サーバがあり、何かするたびに処理の負荷がかかっています。重過ぎる処理をすると遅くなってしまうだけでなく、容量を使いすぎる、頻繁に処理を呼び出すなどすると、迷惑な利用者であるとして利用制限をかけられてしまうこともあります。

高い負荷や大きな記憶容量が必要になるである処理はクラウドにせずに手元に残すか、負荷のかかる処理を得意とするクラウドサービスとの併用が必要になることもあるでしょう。自社で気を付けていても、年度末で各社の利用が集中して耐え難いほど重くなるような原因で問題が起こる可能性もあります。

事前の見極めや利用方法の管理により予期しない事態を避けるとともに、複数のSaaSや、クラウド化せずに残すデータやシステムとの連携処理で、リスクを緩和できることがあります。

インターネット回線・ウェブブラウザを通じての利用による利用感の低下

大量のデータの入力や分析作業など、快適なオペレーションができないと業務に支障が出てしまうことがあります。また高いリアルタイム性が求められる処理でクラウド側との処理や通信の遅延が問題になることがあります。

そのような処理はローカル側に残して適宜クラウド側とデータ連携する、あるいは物理的に近隣にあるデータセンタなど応答性の高いクラウドを併用してデータ連携して組み合わせることができます。

セキュリティや回線障害の懸念

インターネット上のサービスを利用するため、セキュリティの懸念は大きくなります。信頼できるクラウドサービスを利用するように努める、あるいは非常に重要なデータはクラウド上に(暗号化せずに)置かないなどの対応ができるでしょう。

なお、世界で認められたクラウドにデータ管理を任せるのと、自社の人員で管理するのと本当はどちらが安全なのかは、併せて考えてみるべき論点です。

回線障害やサービスの障害については、アクセス手段を冗長化する、バックアップのサービスを用意してデータ連携しておくなどで緩和できるはずです。

サービス終了のリスク/ロックインのリスク

重要なデータはサービス外部にデータ連携してバックアップしておくなどで、サービス終了やロックインのリスクを緩和することができます。

利用するサービスを移行するにあたっても、移行作業そのものをスムーズに実現するためにも、移行期間においてうまくサービス併用するためにも、「つなぐ」手段などでのデータ連携が有用になります。

カスタマイズが(十分に)できないことが多い

サービス自体に手を入れることが難しい以上、クラウド時代においては、外部との連携処理や、提供されている機能を使った処理自動化により必要な機能を補うことになります。

外部のサービスと連携させて利用すること、あるいはSaaSの外部からSaaS上のデータやSaaSの機能を使った自動化した処理を作りこんで、足りない機能を補うことができます。そのための手段としても「つなぐ」手段によるSaaSに外部から連携することが有用になってきます。

関係するキーワード(さらに理解するために)

  • iPaaS
    • -様々なクラウドを外部のシステムやデータと、GUI上での操作だけで「つなぐ」クラウドサービスがiPaaSです。
  • EAI
    • -システム間をデータ連携して「つなぐ」考え方で、様々なデータやシステムを自在につなぐ手段です。IT利活用をうまく進める考え方として、クラウド時代になるずっと前から、活躍してきた考え方です。
  • XaaS(SaaS、PaaS、IaaSなど)   
    • -クラウド時代がもたらした大きな変化「サービス化」の本質については解説をしています。ITにとどまらず、今後の世の中を変えてゆく流れです。
  • API
    • -クラウドサービスの機能を外部から利用するために用意されているのがAPI(Web API)です。

「つなぐ」取り組みに興味を持たれましたら

興味を持たれましたら、ITシステムやクラウドなど様々なデータやシステムを自在に連携し、SaaSの導入と活用をうまく成功させる製品を実際に試してみてください。

「つなぐ」ツールの決定版、データ連携ソフトウェア「DataSpider」および、データ連携プラットフォーム「HULFT Square」

当社で開発販売しているデータ連携ツール「DataSpider」は長年の実績がある「つなぐ」ツールです。データ連携プラットフォーム「HULFT Square」はDataSpiderの技術を用いて開発された「つなぐ」クラウドサービスです。

通常のプログラミングのようにコードを書くこと無くGUIだけ(ノーコード)で開発できるので、自社のビジネスをよく理解している業務の現場が自ら活用に取り組めることも特徴です。

DataSpider / HULFT Squareの「つなぐ」技術を試してみてください:

簡易な連携ツールならば世の中に多くありますが、GUIだけで利用でき、プログラマではなくても十分に使える使いやすさをもちつつも、「高い開発生産性」「業務の基盤(プロフェッショナルユース)を担えるだけの本格的な性能」を備えています。

IT利活用の成功を妨げている「バラバラになったシステムやデータをつなぐ」問題をスムーズに解決することができます。無料体験版や、無償で実際使ってみることができるオンラインセミナーも開催しておりますので、ぜひ一度お試しいただけますと幸いです。

 

「HULFT Square」で貴社のビジネスが変えられるか「PoC」をしてみませんか:

貴社のビジネスで「つなぐ」がどう活用できるのか、データ連携を用いた課題解決の実現可能性や得られる効果検証を行ってみませんか?

  • SaaSとのデータ連携を自動化したいが、その実現可能性を確認したい
  • データ利活用に向けて進めたいがシステム連携に課題がある
  • DXの実現に向けてデータ連携基盤の検討をしたい

用語集 コラム一覧

英数字・記号

あ行

か行

さ行

た行

な行

は行

ま行

や行

ら行

わ行

技術コラム一覧

おすすめコンテンツ

まずは無料で「つなぐ」をご体験ください

評価版ダウンロード

DataSpider Servistaのデータ連携を、まずはお確かめください。30日間無料でお試しいただけます。

無料体験セミナーに参加する

DataSpider Servistaの「つなぐ」を体験できる製品紹介・オンラインセミナーを開催しています。

Change Location

Are you visiting HULFT.com (Japanese language) outside Japan ?
When connecting "HULFT" to Japan from overseas, please select "HULFT8".

日本国外からHULFT.com(日本語)にアクセスされようとしています。
海外から日本の「HULFT」と接続する製品をお探しの場合、「HULFT8」をお選びください。