HULFTイベントレポート:第16回
「HULFT Technology Days 2023」
今年も開催しました!(その2)

2023年の11月の3日間にわたり、今年も開催します「HULFT DAYS 2023」から開催一日目のオフライン会場の様子をレポートいたします。

特別講演
生成AIを活用した業務プロセスの破壊と創造

小瀧 健太 氏
株式会社レッジ 代表取締役社長

小畑 正好 氏
株式会社FMB 制作開発部門 取締役CTO

小瀧さんは、AI関係のニュースメディアである「Ledge.ai(レッジ)」の運営をされています。小畑さんはコンピュータグラフィックスそのものが珍しかった黎明期から35年もの長きにわたりNHKなどでCG制作業務に携わってきた方であり、セッションでは画像生成AIの実務での活用例について紹介いただきました。

現在世間で大変な話題になっているChatGPTは、利用者とチャット形式で対話をするAIで、技術的には大規模言語モデルをベースに開発された生成AIになります。こちらのセッションで話題になっていたものは、ChatGPTが話題になる前に話題になっていた、StableDiffusionやDALL-Eなどの画像生成AIの業務での活用事例になります。

つまり、会話をする生成AIではなく、テキストを打ち込んだら画像が生成される、あるいは画像を入力として与えて指示をすると加工された画像が生成されるようなタイプの生成AIの活用事例の紹介になります。

具体的にはアパレル業界での活用事例の紹介をいただきました。業界の業務で必要になる様々な画像について、人が描いたりCGを作ったり写真を撮ったりする代わりに、生成AIによって自動生成する取り組みです。

そのために意識しないといけないハードルの例として最初に示されたものが以下の画像でした。知らない人からするとなんでもない画像かもしれませんが、画像生成AIを用いているのに画像が四枚とも「同じキャラクター」になっているところが注目すべきところです。

画像生成AIでは、例えば「馬に乗った男の人」というフレーズを入力すると、テキストの内容から画像を生成できます。しかし、画像に出てくる男の人は生成するたびに基本的に毎回違う人になり、同じキャラクターを違う構図で再度登場させることは難しいのです。しかし上記の例では四枚とも同じキャラクターです。

アパレル業界で利用するためには、モデルとして登場する人物が固定できないと使いづらいところがあります、そのため同じキャラクターで画像が生成されるように工夫した例というわけです。

画像生成AIでは、ベースとなる画像を作るエンジン(学習済みモデル)に加えて、生成AIが画像を生成する際に「追加の学習データ」を利用させることができます。難しいことはともかく、プレゼンで「LoRA」とか「VAE」と書かれているものがそういうもので、生成される画像を制御するために使う追加データだと思ってください。

世間で生成AIの活用テクニックという話題になると、多くはプロンプトの工夫なのですが、プロンプトを工夫して同じ人物が出るようにする話ではないことに注意してください。

ではその「追加データ」(LoRA)はどうやって用意するのでしょうか、というのが左側の画像です。例えば、学習させたい人をあちこちから映した画像をある程度たくさん、たとえば何十枚の画像を用意して学習用データとして用意し学習させて追加データを作ります。

学習させたデータをどうやって使うのでしょうか、というのが右側の画像です。画像生成AIの入力にはテキストだけではなく画像も使えます。ここでは顔を学習させた「追加データ」を用意しておき、顔以外(ポーズや衣装など)は欲しい画像になっている画像データを、CGとして生成、あるいは写真など何らかの方法で「顔を置き換える元の画像」として用意します。

そして顔の部分の画像をくりぬいて(画像上で黒い丸になっています)、画像生成AIに欠損した部分を補わせる処理をすると、先ほど学習させた顔のデータが利用されて「画像復元」され、無事顔が置き変わったという例です。このようにすれば顔以外を作り、その後で顔を同じ人に置き換えて揃えることができます。

画像全体を作る例です。背景画像を普通にプロンプト(ほしい画像の内容をテキストで書いたもの)を入力して生成します。ベースになる人物の画像について、欲しいポーズを同じようにCGのツールなどで簡易に生成し、そして顔などを消して置き換えて欲しいポーズ欲しい顔のキャラの画像を作り、背景と合成します。

ただし単に切り抜いて画像を生成させただけでも思った通りにならならないことや、不自然な画像になってしまうこともあるので、泥臭いテクニックが必要なことがあります。生成AI側での工夫が難しい場合にはフォトショップで画像加工することもあります。

衣装でも同じように調整を行って生地の質感やシワの加減など、望んだ画像を引き出すことができます。

このような取り組みの業務上の効果ですが、衣装を生地から作ってモデルを呼んで写真撮影すると、お金もかかりますし一か月はかかってしまいます。一方でデータの準備がすでにある場合には生成AIで画像生成をすればわずか一日で、データの準備がなくても一週間で画像生成ができるそうです。業務として効率的に画像を用意したい場合には、大きな可能性を持つことがわかります。

また注目している他社の事例として「バーチャルヒューマン」を実現する取り組みが挙げられていました。仮想空間上に仮想的な人物をデータとしてモデリングしたもので、俳優に様々な演技をさせることができるように、バーチャルヒューマンに様々なことを行わせることができるものです。ChatGPTなどと組み合わせて、人間のように会話する人間のような見た目で振る舞いのものを実現することもできます。

こちらについては5Gなどの、低遅延でサーバ側(クラウド側)を呼び出せる通信技術が普及すると状況が大きく変わるだろうという予想でした。通信遅延が小さいとデータを送って瞬時に結果が返ってくるためにリモートからのリアルタイム処理が可能になります。

そうなるとリモートから人間のポーズのデータなどを送信するとリアルタイムでバーチャルヒューマンにレンダリング処理されて戻ってくるようなことが可能になり、実在の人の見た目をバーチャルヒューマンで置き換えるようなことが可能になります。

お客様事例 DX
データ連携も二刀流!HULFT Squareで実現するファストシステム開発

日髙 大輔 氏
日本航空株式会社 IT企画本部 IT推進企画部 生産系システム推進グループ グループ長

松尾 健史 氏
株式会社JALインフォテック サービス事業本部 IT基盤事業部 共通サービス基盤部 データ連携基盤グループ グループ長

次は日本航空様における、「つなぐ」技術を活用した内製化の取り組み、およびHULFT Squareの導入事例についてご紹介をいただきました。

日髙様は社内でいわゆる情シスのような立場で、新しいITの活用推進に取り組まれています。松尾様は、情報子会社としてIT基盤を支え共通のデータ連携基盤の実現に取り組まれてきた方です。皆さんが業務で取り組まれている立ち位置と似ているところをイメージして読んでいただけると幸いです。

良くある悩みだと思いますが、IT活用を進めなければいけないと思っているものの、自分たちのやりたいことを実現しようとしたら、開発工数も開発期間も予想外にかかってしまうと解って困ることはあると思います。要望を満たすために多くの予算をかけて半年も開発されるのを待たないといけないのでは、と断念してIT化されずに手作業のままになっている、そういう悩みは良くあることだと思います。

ITとはそういうものなのかなと思っていたのですが、社外のクラウドベンダーのイベントで「クラウドサービスを自分たちで活用して、要望を受けたら数日で開発してしまいますよ」という話を聞いて、このままではいけないと思うようになります。

クラウドサービスを用いた内製化に取り組むこととし、サイボウズ社が提唱する「ファストシステム」の実現に取り組むことにします。ファストに開発できる手段を活用することで、変化に素早く対応する、スモールニーズにも細かく対応する、生産性を向上させることで限られたIT人員での多くのシステム開発を可能にします。

そのため、自社で時間をかけて全部作る旧来型のITシステムや開発スタイルから、クラウドサービスを活用した素早いシステム開発を基本にした、新しい開発文化への変革に取り掛かります。

わかりやすく「どのように判断すべきか」をスライドでご説明いただきました。「SaaSで解決できるならSaaSで済ませる」「ノーコードやローコードで済むならPaaSを用いて済ませる」それで無理でも昔通りにスクラッチ開発をせず「サーバレスなどのAWSのマネージドサービスが利用可能か検討する」、それでもなお無理でも「IaaSを利用して開発する」というITを選ぶルールです。

その結果、kintoneとSalesforceを中心にしたファストなIT活用体制が出来上がります。しかし、まだ残っている問題がありました。個別のアプリはkintoneやSalesforceを中心にして作っていくとして、「データ連携」や「データ基盤」をどうするかです。この辺は従来RPAなどで開発されていて、動作はしているけれども全体としてはあまり良くない状態のまま運用されていることもあるかと思います。

社内ではすでに多数のシステムが導入されており、それらシステム間で多数のデータ連携処理がバラバラに実現されていました。そこでまず、バラバラだったシステム間連携を、全社的な連携基盤として整理することに成功します、500近いシステムとの連携、3000を超えるデータ連携による基盤として整理されます。

しかし、連携基盤はしっかりできたものの、連携基盤への変更や追加開発にまたもや工数と時間がかかるようになり、連携基盤にもファストさが必要になりました。

業務をまさしく支えているデータ基盤、特に日本航空様ではシステムトラブルが一切あってならないような、一般的なITシステムとは要求水準が隔絶しているシステムもあります。そのようなシステムはこれまで通り安定稼働第一でしっかり開発しなければいけません。一方で、厳密な安定稼働を死守するよりも、ビジネスニーズに柔軟かつ素早く対応できることが望まれる場合もあります。

そこでシステムを分類して、従来通りのシステム連携を維持するものと、iPaaS(HULFT Square)の導入によりアジャイル性を高めるものに分類して、「二刀流」のデータ連携基盤を実現しました。

続いて、kintoneなどクラウドサービスだけでの開発では実現が難しく、iPaaS(HULFT Square)との組み合わせ活用が活躍している例です。kintone単体では難しい「複雑な処理」を外部で処理して解決した例。Google SpreedSheetにデータを書き出すことで、システム開発側はデータを書き出すだけ、利用者側は自分自身でデータを活用できる環境が実現した例です。

最後にHULFT Squareを導入して活用した感想をいただきました。開発者は基盤チームに依頼せずとも自分たちで開発可能になり、基盤チームからも都度対応する必要がなくなって手離れが良くなり、これまで対応できていなかったデータ連携の様々なニーズに対応できるようになりました。ITの裏方としての業務で手一杯だったのが、価値を生む取り組みやビジネス的な取り組みに貢献できるようになりました。

IT企画部門からもシステムが実現するまでの期間が大幅に短縮するだけでなく、利用規模に応じた課金になるメリットもありました。

各社でノーコードやローコード製品の導入や内製化の取り組みは進められていますが、アプリケーションだけをファストで開発できても不十分であり、データ連携やデータ基盤も同時に刷新しなければいけません。そのために活用いただけるものが、私たちが提案している「つなぐ」技術であり、DataSpiderやHULFT Squareになります。

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