データ活用コラム

データ連携を成功させるには標準化が鍵

前回のコラムでは、組織をとりまくデータ管理・活用を行っていくうえでデータ連携・データ連携ツール・データ連携基盤それぞれの必要性の観点から、データインテグレーションの価値についてお話をしました。

今回は「データ連携の標準化」についてお話したいと思います。

データ連携

標準化

Shinnosuke Yamamoto -読み終わるまで3分

データ連携の標準化とは

データ連携の標準化を一言で説明すると、「異なるシステム間のデータ連携を効率的に開発・運用するための規則やフォーマットを統一すること」です。

当社では、お客様のDXの構想と当社がこれまで培ってきたデータ連携のノウハウを掛け合わせ、データ連携の標準化をご支援しています。

ではなぜデータ連携の標準化が重要になってくるのでしょうか?
データ連携を推進するにあたって発生する課題を見てみましょう。

データ連携推進における課題

基幹業務システム刷新を例に挙げてみましょう。基幹業務システムの刷新にあたってインターフェースを構築する際、基幹業務システム側の仕様に強く依存した連携方式を採用した場合、拡張性がなく改修時の影響が大きいデータ連携となってしまう恐れがあります。

また、SaaSを次々に部門ごとに採用してデータ連携ツールも都度選択していった結果、社内に様々なデータ連携ツールが飛び交ってしまい保守性に欠けコスト負荷が増大してしまいます。

上記のようなケースを防ぐために単一のデータ連携ツールを採用する方法もありますが、プロジェクトごとに開発や運用保守の方針を決めてしまうと、結果プロジェクト毎の個別最適の形をとってしまうことが起こり得ます。

どちらにしてもデータ連携における保守性の低下や開発効率の低下を招き、開発ないし運用保守のコストや工数の増大を引き起こしてしまいます。せっかくデータ連携による自動化で業務が効率化できたとしても、この仕組みを作って維持するための業務が増大してはデータ連携の効果が薄れてしまうのです。

データ連携標準化の考え方

データ連携推進における課題を例に挙げ、データ連携標準化の重要性をイメージしていだきましたが、何をどのように標準化するのか、当社の考え方をご紹介します。

当社が考える標準化とは、データ連携における開発・運用を誰が行っても同じ結果が得られるように、データ連携に関わる物事を秩序化したり統一したりすることを意味し、具体的には下記の3つの工程があります。

  • ①データ連携に関わる開発・運用ルールの策定
  • ②インターフェース構成のパターン化
  • ③複数のインターフェースに必要な機能の共通化

これらについて1つずつ見ていきましょう。

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①データ連携に関わる開発・運用ルールの策定

データ連携において統制された設計開発や運用保守を行うには様々なルールの策定が必要です。設計開発で言うなら、どの単位で機能を分けるか、どのようなデータ連携処理を行うか、どういう観点でテストをするか、などが挙げられます。運用保守で言うなら、どうバックアップやリストアをするか、権限やインシデントをどう管理をするか、などが挙げられます。データ連携標準化支援では、こうしたルールを決めていくためのノウハウを提供します。

②インターフェース構成のパターン化

同じ連携方式のインターフェースをグルーピングし、インターフェース構成をパターン化し開発効率向上を図ります。グルーピングの主な基準は、連携方式(接続プロトコル)、起動方式(バッチorオンデマンド)、変換の有無などです。パターンごとに、どうやってデータ連携処理を構成していくかを整理します。

③複数のインターフェースに必要な機能の共通化

複数のインターフェースで共通して使うものは、個々に開発するより同じものを共同利用する方が効率的です。例えば、データ連携処理実行時のログの出力や、異常を保守チームに知らせるメールの送信などが挙げられます。複数のインターフェースに必要な機能は1つの部品として共通化し、「共通部品」としてまとめます。 

データ連携標準化の期待効果

データ連携の標準化によってお客様にはどんな良いことがあるのでしょうか?例えば取り組むことで以下のような効果が期待できると考えています。

  • パターン化や共通化により効率化とコスト削減
  • 共通ルールに基づいた開発と運用でガバナンスを向上
  • ガイドラインの整備で属人化を解消し内製化を促進
  • 整流化した基盤で効率的にデータ連携・データ活用を拡大

データ連携基盤の開発・運用工数の削減は当然ながら、近年注目されている内製化の推進、およびデータ活用のためのデータ連携の拡大など、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に貢献できるものであると言えます。

さいごに

今回はデータ連携を成功させるための重要な考え方である「データ連携標準化」についてご紹介しました。

当社では、お客様のDXの構想と当社がこれまで培ってきたデータ連携のノウハウを掛け合わせ、データ連携の標準化をご支援サービスも行っております。サービス概要は当社ホームページでもご覧いただけます。

執筆者プロフィール

山本 進之介

  • ・所 属:データインテグレーション営業統括部 AIエバンジェリスト
  • 入社後、データエンジニアとして大手製造業のお客様を中心にデータ基盤の設計・開発に従事。その後、データ連携の標準化や生成AI環境の導入に関する事業企画に携わる。2023年4月からはプリセールスとして、データ基盤に関わる提案およびサービス企画を行いながら、セミナーでの講演など、「データ×生成AI」領域のエバンジェリストとして活動。趣味は離島旅行と露天風呂巡り。
  • (所属は掲載時のものです)

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