HULFTで実現するレガシーシステムとSaaS連携
「HULFT」は21年連続国内シェア第1位* の実績があるファイル転送ツールです。単にファイルを転送するだけでなく、業務効率化いった観点からも有用性が高いHULFTの特徴やファイル連携の仕組み、事例などを解説します。また、他のソリューションと連携し、レガシーシステムからSaaSまで、企業のシステム間連携をより効率的に行う方法をご紹介します。
※出典:株式会社富士キメラ総研「2004-2010パッケージソリューション・マーケティング便覧」
「ソフトウェアビジネス新市場2011-2024年版」<ファイル転送ツール パッケージ・金額ベース・ベンダーシェア>2003年度実績~2023年度実績(2022年度までセゾン情報システムズ実績)
M.Takahashi
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HULFTとは
HULFTは、企業におけるシステム間で、ファイルを安全・効率的に連携するミドルウェアとして幅広い業種で採用されています。多様なプラットフォームをサポートし、レガシーシステムから、クラウドやコンテナなどモダンな環境まで、同じ手順で利用できることから、エンジニアのスキルを問わず低い学習コストで導入・運用が可能です。
まずは、HULFTがどのようなツールなのか、特徴とファイル連携の仕組みを解説します。
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▼レガシーシステムについてもっと詳しく知りたい
⇒ レガシーシステム / レガシー連携|用語集
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▼コンテナについてもっと詳しく知りたい
⇒ コンテナ|用語集
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▼ファイル連携についてもっと詳しく知りたい
⇒ ファイル連携|用語集
HULFTの特徴
豊富な機能
ファイル転送のプロトコルといえば、FTP(File Transfer Protocol)や、SFTP(SSH File Transfer Protocol)などがあります。それらは基本的なファイル転送機能を有しているものの、企業の業務システム連携においては転送に関連する様々な処理が発生するため、ファイルを転送するだけでは不十分であることが多いです。一方でHULFTは、専用の管理画面から設定するだけで必要な機能をすぐに使うことがき、開発工数を削減できます。
転送の追跡と転送エラー対処
HULFTは、ファイル転送の結果を追跡することができ、転送履歴の参照・出力が可能です。
転送が失敗に終わった場合は、エラーコードを参照することで原因を特定し、対処ができます。異なる組織間のファイル転送においては原因の特定に時間を要する傾向にありますが、HULFTは送信側・受信側のどちらに原因があるかを特定することで責任分界点を明確にできます。
他にも、ネットワーク障害時のリカバリ機能を備えるなど、重要なデータを確実に届けられる高い信頼性を持っているため、異なる組織同士やミッションクリティカル業務のファイル連携において、要求仕様としてHULFTの利用を挙げる企業が多く存在します。
連携先の拡張が容易
レガシーシステムから、クラウドやコンテナなどモダンな環境まで、多様なプラットフォームをサポートしています。具体的には、zOS、IBMi、UNIX、Linux、WindowsをはじめとしたOSや、パブリッククラウドが提供するコンテナオーケストレーションサービスなどに対応しており、どのプラットフォームでも同じ手順で利用できるため、エンジニアのスキルを問わず連携先の拡張が可能です。また、LANはもちろん、公衆回線で接続されているプラットフォームでも利用ができます。
HULFTの利用
HULFTを利用するうえで、基本的な仕組みと利用環境について解説します。
ファイル連携の仕組み
HULFTでは、ファイルを送ることを「配信」、ファイルを受け取ることを「集信」といいます。ピアツーピアで転送を行うため、配信側と集信側の双方にHULFTを導入することで、ファイル転送を行うことができます。
ファイル転送を行う前に、配信側・集信側それぞれで、転送するファイル名や転送方法、相手先の情報を定義します。HULFTでは複数の情報から1つの定義情報が作られ、IDによって紐付けられています。HULFTでファイル連携を行う際に連携先と取り決める必要があるのは、共通の「ファイルID」のみです。連携先が増える場合にも、相手先の情報を詳細に把握する必要がないため、調整の手間をかけずにスムーズに連携が可能です。
利用環境とラインナップ
配信側と集信側でそれぞれのシステム環境に応じた製品ラインナップ(「HULFT10 for zOS」、「HULFT10 for Windows」、「HULFT10 for Container Services」など)を選択・導入します。
なお、HULFTはユーザー自身が運用・管理を行うセルフマネージド型のパッケージ製品として提供されています。
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▼HULFTのラインナップについてもっと詳しく知りたい
⇒ HULFT10のラインナップ|製品紹介ページ
HULFTの導入事例
HULFTは多種多様な業種・業務で導入されていますが、業種別の具体的な事例をご紹介します。
銀行業:メインフレームとオープン系システムの連携
多くの銀行業では、口座残高管理や利息計算を行う「勘定系システム」がメインフレーム上で運用されています。一方、営業戦略に関わる情報系システムはオープン化が進んでおり、これらのシステム間でデータ連携を行うためにHULFTが活用されています。HULFTはファイル転送の結果を追跡できるほか、ファイル転送と同時にメインフレームとオープン系システム間の文字コード変換も行うため、確実で効率的なファイル連携が実現します。
小売業:POSレジと基幹システムの連携
小売業では、店舗のPOSレジから日別・商品別・顧客属性別の売上データを収集し、基幹システムへ送信しています。また、基幹システムからPOSレジへのメンテナンスデータの送信も行われています。このデータ連携にHULFTが活用されており、転送エラー時のリトライ機能が標準搭載されているため、失敗したファイルの再送も容易です。これにより、個別の開発作業が不要となり、開発期間の短縮が実現されています。
製造業:グループ企業間データ連携の共通化
生産拠点や研究所など数多くの子会社・関連会社を有する製造業では、グループ企業が共有するERPシステムと、各支社や研究所が持つ異なる会計システムの安全かつ確実な連携のため、データ連携インターフェースをHULFTで共通化しています。HULFTはマルチプラットフォーム対応のため、異なるシステムでも同じ手順でデータを連携でき、データの整合性を保証します。これら機能により、各種システム間で確実なファイル連携が実現され、業務の効率化につながっています。
HULFTでオンプレミスとSaaS間連携を効率化
近年はDX推進の一環として、オンプレミス環境からクラウドへのシステム移行や、SaaSを利用する企業が増えています。一方で、オンプレミス環境にはレガシーシステムも存在し、SaaSとレガシーシステム間の柔軟な相互の柔軟な連携が求められています。HULFTを利用するお客様においても、レガシーシステムを維持しながら、周辺システムはクラウド移行やSaaSの利用が進んでおり、HULFTでのファイル連携に加えてAPI連携のニーズが高まっていると感じます。本章では、HULFTと他のソリューションを組み合わせることで、オンプレミスのシステムとSaaSを効率的に連携する方法をご紹介します。
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▼オンプレミスについてもっと詳しく知りたい
⇒ オンプレミス|用語集
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▼SaaSについてもっと詳しく知りたい
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▼APIについてもっと詳しく知りたい
⇒ API|用語集
HULFT10 API Gatewayとの連携
HULFT10 API Gatewayは、複数のシステムに導入されているHULFTを集中管理するための仕組みです。HULFT10 API Gatewayでは、HULFT管理・操作のためのAPIが提供されていて、HULFT10 API Gatewayを介し、SaaSや外部サービスからHULFTの管理や操作が可能になります。
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▼HULFT10 API Gatewayについてもっと詳しく知りたい
⇒HULFT10 API Gateway|製品紹介ページ
HULFT Squareとの連携
「APIを利用してデータを連携したい」「データ連携はマネージドサービスで実現したい」という要件の場合、HULFT Squareの利用が効果的です。HULFT Squareは、HULFTと同じくセゾンテクノロジーが提供するiPaaS(Integration Platform as a Service)です。iPaaSの一般的な特徴である豊富なプリセットコネクターや直感的なインターフェースを備えていることに加え、HULFTに相応するファイル連携機能(HULFT Transfer)を備えていることが特徴です。オンプレミス環境に導入されているHULFTから、HULFT Squareを経由してデータをSaaSシステムに連携するといった運用が可能になります。
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▼マネージドサービスについてもっと詳しく知りたい
⇒ マネージドサービス|用語集
HULFTとHULFT Squareの連携によって実現するユースケースをご紹介します。
対外接続システムの管理工数削減
対外接続システムは、企業の内部システムと外部システム(他社やクラウドサービスなど)を連携させる仕組みです。HULFTを用いてファイル連携を行う場合においても、自社で中継システムを構築するケースはよくあります。しかし、対外接続システムを自社で構築すると設定や監視、管理(ソフトウェアアップデートやエラーハンドリングなど)により運用負担が増加します。これらの課題を解決するためにHULFT Squareを対外接続システムとして利用することで、マネージドサービスによるメンテナンス工数の削減が期待できます。また、HULFTの機能によりエラーの処理も簡易化され、効率的な運用が実現します。
社内データを活用したデータ分析
HULFTとHULFT Squareを組み合わせることで、社内のメインフレームやSaaSなどさまざまなシステムに存在するデータを、データレイクやデータウェアハウスに集約できます。これにより、分散したデータを一元管理し、自社のデータを活用した分析が可能になります。さらに、ビジネスインテリジェンス(BI)や生成AIを組み合わせることで、自社のビジネスに即したインサイトを得ることができ、迅速な意思決定を支援します。
まとめ
HULFTは、企業の情報システム内に混在するメインフレームやUNIX、Linux、Windowsのほか、クラウド上のシステムで生成されるログデータやCSVファイルなどあらゆるファイルを、組織やシステムを超えて安全、確実に連携します。企業が求めるセキュリティやエラーハンドリングが容易な機能を、設定のみで利用でき開発期間の短縮を実現します。
HULFTと連携可能なソリューションを組み合わせることで、既存の資産を活かしながらビジネスの状況変化に合わせて柔軟に拡張が可能なため、長期的な視点でも高い投資対効果が期待できるでしょう。
ぜひ本記事を参考にHULFTを活用し自社のDXを加速させてください。
執筆者プロフィール

M.Takahashi
- ・所 属:マーケティング部
- セゾンテクノロジーに入社後、HULFTをはじめとしたデータ連携製品事業に従事。パートナーセールス、カスタマーサポートなどを経て、現在はマーケティングを担当。データ連携の重要性や最新情報を発信しています。
- (所属は掲載時のものです)
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