データ活用コラム

データ分析の結果をわかりやすく可視化!〜 ダッシュボードの基本と活用徹底ガイド 〜

近年、あらゆる業種・業態で自社のデータ分析の重要性が高まっています。
ただデータを収集するだけでなく、分析結果を迅速かつ正確に共有し、経営や施策の改善にどのように結びつけるかが大切です。そこで役立つのが、直感的でリアルタイムな情報提供を可能にするダッシュボードです。
本記事では、ダッシュボードの基本機能や導入メリットから、具体的ツールと活用事例までを分かりやすく解説します。データドリブンな組織を目指す皆さまに向けて、重要なポイントをぎゅっとまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

データ活用

Yumi Ogawa -読み終わるまで 11分

そもそもダッシュボードとは?

まず、ダッシュボードがどのようなツールであり、どのような役割を担うのか把握しておきましょう。

ダッシュボードとは、膨大なデータを視覚的に整理してリアルタイムで表示するための仕組みです。ビジネスの現場では、売上や在庫、人事情報まで多種多様なデータが存在しますが、それらを一元的にまとめて見やすくすることで、状況把握と意思決定のスピードを高める効果があります。

よく混同されるレポートとの違いは、ダッシュボードが動的であり、データが更新されるたびに表示内容が自動的に切り替わる点です。レポートは概ね静的で、月次レポートや週次レポートなど更新タイミングが決まっていますが、ダッシュボードは常に最新データを反映し、リアルタイムな情報提供を実現します。

そのため、経営者や管理職だけでなく、マーケティング担当者や現場スタッフなど幅広い人が状況を即座に把握できるようになります。データ分析の成果を実務に落とし込みやすくなるのが、ダッシュボードの最大の特徴です。

ダッシュボードとBIツールの関係

ダッシュボードを活用する際に重要となるBIツールとのつながりについて解説します。

BI(Business Intelligence)ツールとは、企業が保有するさまざまなデータを統合・分析し、意思決定を支援する仕組みやソフトウェアのことです。ダッシュボードは、そのBIツールにおける可視化部分を担う重要な機能の一つと言えます。

従来は分析担当者が手動でデータを抽出・加工してレポートを作るケースが多かったのですが、BIツールを導入することで分析と可視化のプロセスを大幅に効率化できます。特定のデータソースと連携して自動的に数字を取り込み、グラフやチャートに変換するのがBIツールとダッシュボードの連携の肝となります。

さらに、BIツールには機械学習や人工知能と組み合わせた予測分析機能も備わっている場合があります。ダッシュボード上でこれらの高度な分析結果を確認できるようにすることで、経営や施策立案に役立つ広範な情報を即座に得られるようになります。

ダッシュボードの主な機能

ダッシュボードには多様な機能がありますが、それらを理解することは、どのようにデータを扱い、どのように意思決定に活かすかを考える上で非常に重要です。ここでは、その中でも特に重要な機能を4つに分けて説明します。

1. 多彩な可視化機能(グラフ・チャート)

折れ線グラフ、棒グラフ、円グラフなど、多彩な形式でデータを可視化することができます。形状の異なるグラフを使い分けることで、数値の推移や構成比などの特徴をより一目で把握しやすくなります。

たとえば、売上推移を折れ線グラフで表し、同時に製品別の構成比を円グラフで可視化すれば、全体の変動と要因が簡単に分かります。ビジネス分析においてはデータの正確性だけでなく、直感的に理解できる表現が重要になります。

視覚的に分かりやすいダッシュボードを構築することで、関係者のデータリテラシーのばらつきを吸収し、誰もが同じ情報を共有できる環境を作りやすくなります。

2. アラート通知・リアルタイムデータ連携

所定の指標が閾値を超えた場合に自動でアラートを発信する機能は、問題を早期に発見し、素早く対応するために欠かせません。これにより、担当者が常にダッシュボードをチェックし続ける手間を省くことができます。

リアルタイムなデータ連携は、在庫や売上、SNSの反応など、刻一刻と変化する情報の即時反映に役立ちます。数時間も情報更新が遅れていると、せっかくの施策をタイミングを逃して判断してしまうリスクが生じます。

ダッシュボードを導入することで、データが変わり次第アラートを発火させる仕組みを構築できるため、経営判断や施策の見直しをスピード感を持って行えるようになります。

3. ドリルダウン/ドリルスルー機能

ダッシュボード上のグラフやチャートをクリックすることで、より詳細なデータへと掘り下げることができるのがドリルダウン機能です。上位指標の数値がなぜ増減したのか、具体的な項目ごとの変化を見て判断できます。

ドリルスルー機能では、さらに他のデータソースや関連レポートに直接アクセスし、踏み込んだ分析を行うことが可能です。たとえば、全体の売上から、地域別・商品別の詳細データまで一貫して紐づけて確認できます。

これらの機能により、単なる数値の増減に対する“なぜ”を探求しやすくなります。仮説の検証や戦略立案の観点からも、非常に有効な手段です。

4. シミュレーション機能

将来の売上予測や在庫需要などをダッシュボード上で試算できるシミュレーション機能は、経営計画や施策の精度を高めるうえで非常に役立ちます。BIツールと連携している場合、過去データを活用した予測モデルの結果をそのまま表示できることもあります。

たとえば、価格改定の影響を予測したり、新規キャンペーンを打った際の売上変化を試算することで、意思決定を慎重かつスピーディに行うことができます。あらかじめ複数のシナリオを設定しておき、ダッシュボード上で簡単に切り替えて比較することも可能です。

このように、シミュレーション機能を活用することで、ただ現状を分析するだけでなく、より先を見通した戦略的なアプローチができるようになります。

各機能を上手に活用することで、現場の情報共有や経営の方向性を素早く固めることができます。

そしてこれらを総合的に活用することで、多角的な視点からデータを捉えられるようになります。

特に可視化の表現力やリアルタイム性は、チーム全体の意思疎通をスムーズにする絶好の手段となり得ます。ダッシュボードを日常の業務に取り入れることで、データ分析の結果を誰もが速やかに理解し、的確なアクションにつなげることが可能になります。

ダッシュボードを導入するメリットと注意点

ダッシュボードの導入には多くの利点がある一方で、注意すべき点も存在します。

どのような企業や組織でも、使用するデータは多岐にわたります。ダッシュボードのメリットとして、こうした多様なデータを集約し、即座に状況を把握できる点が大きいですが、導入にはツール選定や運用体制の整備が不可欠です。

特に複数部署でデータを共有し合う場合、分析に使うデータの粒度や定義を統一する必要があります。そうしないと、部署ごとに解釈が異なるデータが混在してしまい、むしろ誤解を生むリスクが高まるおそれもあります。

また、リアルタイムでの情報が得られる一方で、ツールの導入コストやライセンス費用、運用メンテナンスにかかる工数も考慮しなくてはなりません。こうした要素を総合的に判断し、導入メリットが十分に得られるかを検討することが大切です。

メリット:意思決定の迅速化と属人化の防止

リアルタイムで最新データを共有できるため、経営層や担当者が同じ情報基盤に立ってディスカッションを行えるようになります。情報共有の時間を短縮し、精度の高い意思決定が可能となるでしょう。

さらに、組織内で誰がどのタスクに専念しているか、目的達成の進捗はどうか、といった情報の属人化を避ける意味でもダッシュボードは有効です。特定の担当者のみが知っている情報を可視化することで、要員の異動や休暇などの際にもスムーズな引き継ぎが期待できます。

これらのメリットが組み合わさることで、組織全体のアジリティが高まり、より柔軟かつ迅速に市場変化へ対応しやすくなります。

メリット:データ集計工数の削減

ダッシュボードを導入すれば、各部署がそれぞれのシステムからデータを取り出して手動で集計する手間を大幅に削減できます。BIツールと連携し、集計ルールさえ設定しておけば自動的に数値が反映されるため、分析に専念しやすくなります。

データを手作業で集計していると、ヒューマンエラーが生じるリスクや集計ミスも避けられません。しかしダッシュボードならば、そのリスクを抑制し、日々の業務の正確性も向上させることができます。

結果として、人材をより創造的な業務に振り向けることができ、組織としてのパフォーマンスを底上げする好循環につながります。

注意点:ツール選定の難しさとコスト

ダッシュボードやBIツールには数多くの選択肢があり、機能も料金体系もさまざまです。自社のビジネス規模や必要な分析レベルによって選ぶべきツールが異なるため、まずは要件定義をしっかり行う必要があります。

また、ツール導入時にはライセンス費用だけでなく、カスタマイズ費やトレーニングコストも発生するのが一般的です。いくら高性能なツールを導入しても使いこなせなければ投資対効果は得られません。

そのため、運用の体制を含めた総合的なコストを見極めながら、最適なツール選定を進めることが欠かせません。必要に応じて専門コンサルタントに相談するのも有効です。

注意点:データの整合性と可視化精度

複数のデータソースをつなげる場合、データ形式や更新タイミングがそろっていないケースは少なくありません。整合性の取れないデータを無理やり可視化してしまうと、誤った認識を社内に広めるリスクがあります。

正確な意思決定をするためには、まずはデータをクリーニングして同じ基準で計測・登録されるよう調整することが重要です。データソース間で重複や欠損があれば、可視化以前に整備プロセスが必要になります。

こうした作業を怠ると、ダッシュボードの数値に対する信頼度が下がり、せっかくのBI導入が形骸化してしまいかねません。導入前のデータ整備と導入後の定期的な検証をセットで考えておきましょう。

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ダッシュボード作成のステップ

初めてダッシュボードを作成するときに押さえておきたいプロセスを4つの段階に分けてまとめます。

ダッシュボードは使う人が増えれば増えるほど、その活用価値も高まります。しかし同時に、自由に作りすぎてしまうと複雑になりすぎるリスクもあるため、最初の設計段階でどこまで機能を盛り込むかを慎重に考える必要があります。

シンプルかつ要件を満たすダッシュボードを作るには、明確な目的設定や、必要なデータに関する理解が欠かせません。また、定期的な見直しと改善を繰り返す運用体制も重要なポイントとなります。

以下では、ダッシュボード作成における4つの主要ステップを説明します。初心者の方でも具体的な流れをイメージしやすいよう簡潔にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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1. 目的とKPIを明確化する

まずはダッシュボードを作る目的をはっきりさせましょう。経営指標の可視化なのか、マーケティング施策の効果測定なのか、または在庫管理の最適化なのかによって、設定すべきKPIも変わってきます。

KPIを設定する際には、数値が単純に増減した理由や、それがビジネスにもたらす影響までを考慮しておくことが大切です。こうした視点を明確にすることで、ダッシュボード上の情報が実務にダイレクトに活きるようになります。

組織全体でKPIを共有する体制を作ると、誰が見ても同じゴールに向かっていることを再認識し、データドリブンな文化を醸成するきっかけにもなるでしょう。

2. 必要データの収集とクリーニング

目的と指標が明確になったら、それに紐づくデータを集めます。複数のシステムやCSVファイルなどに点在している場合は、一度に取り込める仕組みを整えることが先決です。

このとき、不要な値や欠損データをクリーニングする工程は非常に重要です。正しい分析や可視化をするためには高品質なデータが欠かせず、ここでの手間を惜しむと後々の分析精度に大きく悪影響を及ぼします。

たとえば重複データや日付形式のずれなど、見逃しがちな部分を丁寧に処理することで、ダッシュボードの信頼性を確保できます。

3. デザインとレイアウトの検討

実際にダッシュボードを作る段階では、色使いやチャートの種類、配置などを考える必要があります。利用者がどのようにデータを読み取りたいかを想定しながら設計することが大切です。

色は多用しすぎると見づらくなる場合があるため、強調すべき指標や注意喚起が必要な数値に絞って用いるとよいでしょう。特に、赤や黄色など注意を引きやすい色は目的に合わせて厳選することがポイントです。

また、項目ごとにチャート形式を工夫することで、利用者が直感的に情報を得られます。複数のグラフを並べる場合は、レイアウトに一貫性や分かりやすさを持たせると効果的です。

4. 運用・改善サイクルの確立

ダッシュボードは一度作ったら終わりではありません。定期的に指標やデータの変化をモニタリングし、必要に応じて改善していくサイクルが重要です。

運用する中で、使いにくい部分や不要な指標が見つかることもあります。こうしたフィードバックを迅速に反映することで、組織に最適化されたダッシュボードへと進化させていくことができます。

KPI自体もビジネス環境の変化に合わせて見直しが必要です。定期的なレビューを重ねることで、常にタイムリーで有用な意思決定支援ツールとしてダッシュボードを活用できます。

おすすめダッシュボードツール一覧

さまざまなメーカーから提供されるダッシュボードツールの中でも代表的なものを紹介します。

ダッシュボードツールには、無料で手軽に始められるものから、本格的な分析や大規模組織でも対応可能なエンタープライズ向けのものまで、多種多様な選択肢があります。選ぶ際には、自社が必要とする機能や運用体制、そしてコストとのバランスを考慮することが大切です。

今回紹介するツールは市場での評価も高く、幅広い活用事例があるため、初めて導入する際の検討候補としては非常に有力です。それぞれ独自の強みや特徴がありますので、自社の要件に合うかどうか比較検討してみてください。

いずれのツールも、データ接続性やレポート作成機能、カスタマイズ性、コラボレーション機能などを備えています。ただし、操作性や価格帯に違いがあるため、トライアル版や無料版があれば実際に触れて検証してみることをおすすめします。

Microsoft Power BI

Microsoft製品との連携性が高く、ExcelやAzureなど既存のプラットフォームとのスムーズなデータ連携が特長です。豊富なビジュアルテンプレートが用意されているため、グラフやチャートの作成が直感的に行いやすい点も魅力と言えます。

クラウド版のPower BI Serviceを使えば、組織内外でセキュアにダッシュボードを共有することができます。データ容量やユーザー数によっては無料で使える範囲もあるので、まずは小規模に試したい企業にとって導入のハードルが低いツールです。

また、Power Queryを通じてETL処理(Extract, Transform, Load)を自動化できるのも大きなメリットです。データ前処理の手間を軽減しながら、最新情報を管理できます。

Google Looker Studio(旧 Google Data Studio)

Googleアカウントさえあれば無料で利用できる点が最大の魅力の一つです。GoogleアナリティクスやGoogle広告のデータとの連携が容易なので、マーケティングプロセスを可視化したい方にとっては非常に有効なツールとなります。

共有や共同編集が簡単に行えるため、チームでダッシュボードを作成・閲覧する場合のハードルが低いのも強みです。クラウド上で完結するため、インストールやサーバー維持費用が不要なのも大きなメリットになります。

ただし、高度な分析機能や複雑なデータソースへの対応は限定的な面もあり、本格的なBIによる大規模分析には不向きな場合もあります。まずは手軽に始めたいときに最適です。

Tableau

ビジュアライズに定評があり、多種多様なグラフ・チャート形式を取り揃えています。大規模データを高速に扱える点や、ユーザーコミュニティが非常に活発で情報を得やすいのも特長です。

中規模から大規模企業まで幅広く導入されており、Tableau ServerやOnlineを使用すれば組織全体で管理・共有が可能になります。分析の専門家だけでなく、ビジネス部門のユーザーでも比較的使いやすいUIを提供しています。

導入コストは他のツールに比べて高めの場合がありますが、柔軟なデータ連携と高度な分析機能を重視する企業からは根強い支持を得ています。

Qlik Sense

アソシアティブ・エンジンという独自のデータエンジンを採用しており、大規模なデータでも高速に連携・分析できるのが魅力です。データ間の関連性を自動で認識する仕組みが強力で、思わぬ気づきを得やすいと言われています。

BIツールとしての歴史も長く、ユーザーインターフェースが洗練されているため、非エンジニアでも比較的扱いやすい設計となっています。導入時にはクラウド型とオンプレミス型の両方が選べる点も特徴的です。

すべてを一つのプラットフォーム上で完結させやすいというメリットがあり、組織内でデータ活用を推進したいケースに向いています。

Domo

クラウド連携の強みを持ち、多数のコネクタを介してさまざまなデータソースから情報を取り込むことが可能です。SaaSやクラウドサービスとの相性が良いので、ITインフラをあまり持たない中小企業でも導入しやすい面があります。

組織全体でのコラボレーション機能も充実しており、ダッシュボードのコメント機能やカスタムアプリの作成など、業務に合わせた拡張性が高いと言われています。

一方で、大規模運用の場合はコスト面が高くなることもあるため、事前に使用規模と導入費用のバランスをしっかり検討することが大切です。

データ分析のためのデータ活用基盤

ダッシュボードはデータを「見える化」する便利なツールですが、実はそれだけでは十分に役立ちません。どれほどデザインを工夫しても、元になるデータが古かったり不正確だったりすれば、意思決定を誤らせる危険があります。そこで欠かせないのが、ダッシュボードを支える「データ活用基盤」です。

データ活用基盤には、大きく三つの役割があります。

  • 1.データを集める:基幹システムや営業管理、マーケティングツールなど、社内のあちこちに散らばった情報を自動的に収集します。
  • 2.データを整える:部門ごとに異なる定義や形式を揃え、品質を担保することで「信頼できるデータ」へと変換します。
  • 3.データを届ける:必要なタイミングで、必要な人に、必要な粒度で提供できる仕組みが重要です。

こうした基盤があってこそ、ダッシュボードは本来の力を発揮します。基盤をエンジン、ダッシュボードを運転席の計器類にたとえると分かりやすいでしょう。エンジンがしっかり動いていなければ、いくら計器を読みやすくしても意味がありません。逆に、基盤が整っていれば、ダッシュボードは経営や現場の判断を支える強力なツールになります。

つまり、ダッシュボードを活かす鍵は「見せ方」だけでなく「支える仕組み」にあります。データ活用基盤を整えることが、データ分析を本当に役立てるための第一歩なのです。

iPaaS型データ連携基盤 HULFT Square(ハルフトスクエア)

HULFT Squareは、「データ活用するためのデータ準備」や「業務システムをつなぐデータ連携」を支援する日本発のiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)です。各種クラウドサービス、オンプレミスなど、多種多様なシステム間のスムーズなデータ連携を実現します。

ダッシュボードの活用事例

実際にダッシュボードをどのように業務に活用しているのか、主要な事例を確認します。

ダッシュボードはさまざまな部門や業種で効果を発揮しますが、特にデータをもとに迅速にPDCAを回したいケースでは大きな威力を発揮します。部署間や組織全体で同じ情報を参照しながら次のアクションを検討できるため、データドリブン経営の基盤とも言えるでしょう。

ここではマーケティングと在庫・製造管理の2つの事例を挙げて解説します。このほか、人事領域や経理・財務領域、プロジェクト管理などさまざまなところでダッシュボードが活用されています。

各社ともに、まずは小規模な範囲から導入を試し、課題や改善点を洗い出しながら運用を拡大していくパターンが多いようです。現場の声を反映して柔軟にアップデートできるのも、ダッシュボード活用の醍醐味といえます。

マーケティング・広告運用での施策検証

広告キャンペーンの成果をダッシュボードでリアルタイムに追うことで、どの媒体やクリエイティブが効果的なのか、素早く把握できます。Google広告やSNS広告など複数のチャネルを一元管理することで、PDCAサイクルを短期間で回すことが可能になります。

施策の効果が思わしくない場合は、別の広告スタイルに切り替えたり、ランディングページを変更するなど即時に次のアクションを実行できます。こうしたアジャイルな対応がマーケティングROIを高める要因の一つとなります。

また、A/Bテストの結果を同一画面で比較したり、予算配分シミュレーションと連携させることで、より戦略的に広告運用を最適化しやすくなります。

在庫・製造管理におけるリアルタイムモニタリング

リアルタイムで在庫数量や出荷状況が分かるダッシュボードを作成すれば、急な需要変動にも柔軟に対応できます。製造ラインが複数ある企業では、ラインごとの稼働率や品質指標を一元的に確認できるのもメリットです。

過剰在庫を抱えないよう生産数を最適化したり、納期に遅れが出そうなラインを早期に発見して対策を打つなど、ダッシュボードが現場と管理部門のコミュニケーションをスムーズにします。

さらに、季節要因や販促イベントの情報などを組み合わせて表示すれば、需要予測を立てやすくなり、在庫ロスや納品遅延のリスクを下げることにつながります。

まとめ

ダッシュボードは、データをわかりやすく可視化してビジネスの意思決定を支援する強力なツールです。リアルタイムな更新や多彩な可視化オプション、アラート機能などを使いこなせば、組織全体が同じ方向を向きやすくなり、コミュニケーションや意思決定スピードが格段に向上します。

ただし、導入にはツール選びやデータ整備など事前の準備が必要であり、費用面や運用面の調整も欠かせません。一度導入して終わりではなく、継続的に改善を重ねてこそ真価が発揮される点も念頭に置くべきです。

今後さらにAIや機械学習技術が進化すれば、より高度な分析をリアルタイムで反映できるダッシュボードの登場が期待されます。

しかし、そのためにはデータ活用のための基盤づくりが必要不可欠です。信頼できるデータがあってこそ、ダッシュボードは未来を導く羅針盤となります。基盤とダッシュボードを両輪として、素早くより確かな意思決定を実現できるデータドリブンな組織を目指しましょう!

執筆者プロフィール

小川 優美

  • ・所 属:マーケティング部
  • 広告代理店での2年間のコピーライター経験を経て、その後はIT業界一筋。B2CからB2B、日系ベンチャーから大手外資系まで、さまざまな企業での経験が強み。広報、ブランディング、プロダクトマーケティング、キャンペーンマネージャーなど、一貫してマーケティングにまつわるさまざまな業務に従事し、2024年5月より現職。プライベートでは、自然と触れ合うこと、温泉&銭湯が大好き。
  • (所属は掲載時のものです)

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