貴社は大丈夫?データ活用がうまくいかない理由TOP 5
データ活用あなたの会社は大丈夫ですか?
データに基づいた経営や業務を行うことを目指す会社が非常に増えています。その一方、データ活用がうまくいかないと嘆かれているケースがあります。今回はうまく行かない理由TOP 5をランキング形式でご紹介いたします。
Kei Konno
- 読み終わるまで 4分

データ活用の第一歩は「失敗事例」から学ぶこと
もう何十年も前から、「経営はKKD(勘・経験・度胸)ではなく、データに基づいて進めるべきである」ということが言われていますが、近年は特に不確実性の時代と言われ、今までにも増してデータの重要性が語られる機会が増えています。本コラムの読者の中にもITベンダーに薦められてDWH(Data Ware House)やBI(Business Intelligence)ツールを導入してきた方が多数いらっしゃることでしょう。しかし現在、きちんとデータを分析し、データに基づいた経営や業務を行っている会社はどれほどあるでしょうか?実のところ、多くの会社は何かしらの問題点を抱え、ITが進化した今でも分析に活かしきれていないというのが現状です。
そこで今回は、弊社にご相談いただく案件の中から、データ活用に何かしらの問題を抱え、「データドリブン」になっていない会社に共通して見られる問題点を「よくある失敗事例」として、皆さんお伝えしたいと思います。この話を「そんなことないよー」と笑ってスルーできる会社は大丈夫。もし、「当社にあてはまるかも・・・」という会社がありましたら至急改善を検討してください!
さて、それでは早速第5位からまいりましょう。
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第5位『BIツールを操作できる人や情シス部門に任せっきり』
最近のBIツールは1~数アカウントだけとりあえず買ってみて、試しに分析してみるということが可能です。そのため、まずはミニマムでライセンスを買ってみて、試しにやってみようという会社が増えています。これは悪いことではないのですが、その1つを「とりあえず色々とやってみてよ」と言ってBIツールを使いこなせそうな社員に渡してみたり、または情報システム部門が導入して試しにやってみるという会社は、実はあまりうまく行きません。なぜならば、BIツールを渡された社員はツールを使うことはできても、何を分析するのがよいか分からないケースがあるからです。
どんな課題があって、それをどう改善するべきかという観点があって初めてどんな分析をするべきかが見えてきます。ツールを使う人と課題を考える人は必ずしも同一人物とは限りませんので、1人に任せっきり、あるいは情報システム部門に任せっきりではうまく行かないのです。
データ活用を進めるためには、それを使うユーザー部門とプロジェクトを推進する情報システム部門等が連携していくのが理想的です。また、複数部門が関わることだからこそ、部門長レベルで事前に協力体制を構築しておくことが大切です。できることならば、執行役員クラスの方に旗振り役として体制に入っていただけるとなおよいと思います。
第4位『プロジェクト期間が長い』
DWHやBIツールの導入となると、それなりの投資になりますので慎重に進めようとして長い期間をかけてプロジェクトを進めるという会社があります。例えば半年~1年という期間です。確かに、会社によってはやるべきこと、解決すべき問題がものすごくいっぱいあったり、現業のスキマ時間でしか進められないから時間がかかったりという理由は分かります。しかし、データ活用できるのが1年後では、その間にビジネスはどんどん進んでしまいます。最初は1~3ヶ月程度の短期間でできる範囲のことをやる、そこで実施したことを振り返り、次のステージにつなげるというサイクルを回す方が、圧倒的に成功確率を高められます。「スモールスタート」、「Quick Win」「アジャイル」といったキーワードをぜひ社内の共通語としてください。
第3位『ロードマップが定まっていない』
データ活用を全社で実践するためには、ツールを導入しただけでは終わりません。前項でお伝えしたとおり、Quick Winを重ねて1年~2年くらいかけて段階的にステップアップしていく必要があります。また、かかるコストもイニシャル1回だけではなく、ステップアップの間かかるものと考えた上で予算を確保した方がよいです。
ステップアップの内容としては、以下のようなものがあります。
- 最初の2ヶ月で作成したダッシュボードを更にブラッシュアップしていく
- 最初は経営層向けに作ったが、管理者層、現場層向けに展開していく(またはその逆)
- 最初は◯◯部門向けにプロジェクトを実施したが次は△△部門に展開していく
- 作ったダッシュボードをグループ各社に展開し、同じ尺度でデータを見る
上記のような、いわゆる「ロードマップ」が定まっていない場合、以下のような問題に直面するケースが多いです。
- 1. ツールは導入したが、なかなか広まらない・使ってもらえない
- 2. 特定部門では使われているが、他の部門には展開できていない
- 3. 大きな投資をしてツールを導入したが、以降の追加投資ができない
第2位『ダッシュボード(分析画面)を作ることが目的になっている』
このコラムを読んでいらっしゃる皆さんは充分理解されていると思いますが、プロジェクトの目的を忘れてしまう方が、実は非常に多いです。
データ活用は何のためにするのでしょうか?データを分析した結果、業務を見直ししたり、売上や利益等の業績を向上させたりすることが目的だと思います。しかし、DWHやBIのようなツールの導入そのもの、またはダッシュボード(BIツールで作る分析画面)を作ることそれ自体が目的となってしまっているケースが多々あります。
このような状態になると、どんな画面を作るべきか正しい判断ができなかったり、導入した後に成果が出たかどうかを見極めたりすることができなくなります。目的を明確にすること、そしてそれは定量的な成果目標(業績目標)であることが望ましいです。
第1位『必要なデータが整備されていない』
データ活用がうまく行かない理由第1位は、データが整備されていないことです。せっかくBIやAIのようなツールを導入してデータ活用しようと思っても、そもそも必要なデータ揃っていないのです。「え?!そんなことないですよ!」と思われるかもしれませんが、よくあるケースとしては、色々なシステムにデータが散在していて集めることができない、項目や粒度がバラバラなのでそのままでは使えない、なぜかデータの不整合があって数値が合わない・・・等、非常に多いです。
弊社もBIツール導入のプロジェクトで参画したのに、実はデータが揃っていないからプロジェクトをやり直したという事例が過去にいくつかありました。
本当に重要なのは、どのようにデータ活用するかということだけでなく、どのようなにデータを準備できるかなのです。ここをきちんとしないと必ずうまく行きません。ぜひ皆さんもチェックしてみてください。
さて、ここまで『データ活用がうまく行かない理由TOP 5』をご紹介しましたが、皆さんの会社は大丈夫でしたか?
もし何かデータ活用でお悩みの点がございましたらぜひ弊社にご相談ください。
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執筆者プロフィール

今野 圭
- ・所 属:データインテグレーションコンサルティング部 DXコンサルタント
- 2017年4月からデータ連携/データ活用をテーマにお客様DXを支援するビジネスをリード。2025年4月からDXコンサルタントとしてお客様課題解決のための提案活動や、新サービスメニューの企画に従事。他方、各種セミナーでの登壇やコラムの執筆、そして実際のプロジェクトにオブザーバーとして参画する等多岐にわたり活動中。
- (所属は掲載時のものです)
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