データ活用コラム

データ連携にiPaaSをオススメする理由
iPaaSを徹底解説

データ活用は、現代のビジネスにとって欠かせない要素となっており、その重要性はますます増しています。それに伴い、社内に散在するデータを活用するためデータ連携基盤もまた、現代のビジネスにおいて重要な役割を果たしています。そこで注目されているのがiPaaS(読み方:あいぱーす、Integration Platform as a Serviceの略)です。
本記事では、iPaaSがなぜデータ連携に適しているのか、従来の方法とどのように異なるのか、そして実際にどのように活用されているのかを徹底解説します。

iPaaS

データ連携

Yumi Ogawa - 読み終わるまで 8分

iPaaSとは何か

iPaaS(Integration Platform as a Service)は、クラウドベースのデータ統合サービスであり、ビジネスのデータ連携を効率的に行うためのプラットフォームです。iPaaSは、異なるシステムやアプリケーション間のデータ連携をシームレスに行うためのツールセットを提供します。これらにより、複数のシステム間での自動的かつ柔軟なデータの流れを可能にし、ビジネスの生産性を大幅に向上させます。

iPaaSによって得られる4つのメリット 

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以下にiPaaSの特長により、ビジネスにもたらされるメリットを見ていきましょう。 

業務効率および生産性の向上

iPaaSに限らず、データ連携ツール全般に共通して言えることですが、データ連携は業務プロセスを効率化でき、エラーを低減し、業務全体の生産性を向上させます。
例えば、販売管理システムと在庫管理システムを連携させることで、在庫情報がリアルタイムで更新されます。その結果、欠品や過剰在庫のリスクを減少させることが可能になります。さらに、このような自動化により担当者が他の重要な業務に集中できるため、生産性向上にも繋がります。
データのありかやデータのフォーマットを問わないiPaaSを使えば、企業全体のパフォーマンスがますます向上し、競争力を高めることができます。

コスト削減

iPaaSを導入することで、企業はコスト削減効果を実感できます。iPaaSは異なるシステム間を効率的につなぐことで、従来手作業で行っていたプロセスの自動化を実現します。その結果、人件費や運用コストを大幅に削減することができます。例えば、ある企業ではデータの手動入力作業をiPaaSの導入で自動化し、年間で数百万円のコスト削減を達成しました。また、システム間のエラーが減少し、品質の向上にもつながりました。
iPaaSの導入により、システム間のデータ変換やネットワークの管理を自動化することで、エンジニアの作業負担を減らし、主要業務に集中させることができるようになります。

スケーラビリティ

iPaaSはスケーラビリティに優れており、企業の成長に柔軟に対応できます。ビジネスが拡大するにつれて、データ連携のニーズも増加します。iPaaSはこのような状況に対して迅速かつ効率的にスケールアップが可能で、追加リソースを必要とする際も問題なく対応できます。
例えば、季節的に売上が急増する小売業では、iPaaSを活用してトラフィックの増加にスムーズに対応することができます。これにより、システムのダウンタイムを防ぎ、売上機会を確実に捉えることが可能となります。スケーラビリティがあるiPaaSを導入することで、ビジネスの成長や市場の変化に柔軟に対応可能な強固なインフラを確立することができます。

リアルタイムデータ処理

ビジネス環境が急速に変化する中、リアルタイムにデータを収集して分析や意思決定に活用できることは、競争優位性を保つために不可欠です。また、リアルタイムの情報を基に迅速な対応ができれば、顧客満足度の向上にも繋がります。
例えば、小売業では在庫管理システムがリアルタイムで更新されることで、在庫切れを未然に防ぎ、顧客に対して即時に商品を提供できるようになります。また、金融業界ではリアルタイムの取引データを分析することで、市場の変動に迅速に対応できるようになります。
リアルタイムデータ処理の導入により、すばやい意思決定が可能となり、ビジネスの効率性と顧客満足度を向上させることができます。

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iPaaSを活用したデータ連携の事例

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ここからは、iPaaSがどのようにデータ連携に役立つかについて、具体的な業種別の利用例や企業の成功事例を通じて解説します。
ここでは、特に製造業と小売業に焦点を当て、各業種でのiPaaSの具体的な活用方法とその利点について解説します。それぞれの事例で得られた成果を詳しく見ていきましょう。

製造業での活用

製造業では多くのデータが異なるシステム間で管理されており、生産管理システム、在庫管理システム、ERP(Enterprise Resource Planning)などがその代表です。これらのシステム間のデータの統合がしばしば複雑で、手動でのデータ転送や変換作業は時間と手間がかかり、ミスが発生しやすいという課題があります。この問題を解決するために、iPaaSの利用が非常に有効です。
例えば、iPaaSを使用して生産管理システムと在庫管理システム間のデータ連携を行うことで、リアルタイムの在庫状況を把握し、生産計画の最適化を実現することができます。これにより、材料不足や生産過剰を防ぎ、リソースの効率的な使用が可能になります。

小売業での活用

小売業では、複数のシステム間でデータ連携を行うことが重要です。小売業は、在庫管理、顧客データ、販売データなど多岐にわたる情報を扱う必要がありますが、それらが分散していると効率が低下します。iPaaSを活用することで、各システム間のデータをリアルタイムに連携でき、業務効率を大幅に向上させることができます。
例えば、POSシステム、CRMシステム、在庫管理システムなど、異なるシステム間でデータを連携することで、在庫状況をリアルタイムに把握し、品切れや過剰在庫を防ぐことができます。また、顧客データを分析し、より効果的なマーケティング戦略を立てることも可能です。

iPaaSとその他のデータ連携ツールの比較

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次に、データ連携を検討される際によく比較されるツールを取り上げて、その違いについて解説します。
iPaaSとよく比較されるものとして、EAI、ETLが挙げられます。これらはすべてデータの統合や連携に関連する技術ですが、目的や仕組みが異なります。それぞれの役割を比較してみましょう。

1. iPaaS(Integration Platform as a Service)

目的: 異なるクラウドサービスやオンプレミスのアプリケーション同士を連携させ、データをリアルタイムで統合・同期すること。

特徴:

  • クラウドベースの統合プラットフォームで、主にAPIを利用してデータをシームレスに交換・同期する。
  • ローコードやノーコードの機能を提供していることが多く、非エンジニアでも使いやすい。
  • 複雑なワークフローやリアルタイム処理が得意で、幅広いアプリケーション連携が可能。

主な使用例: SaaS同士のデータ連携、例えばCRMとERP、マーケティングオートメーションツールの統合など。

2. EAI(Enterprise Application Integration)

目的: 異なる企業内システム(ERP、CRM、SCMなど)を統合し、データや業務プロセスを効率化すること。

特徴:

  • 企業内システムの統合に特化し、データを自動的に連携させることで業務効率を向上させる。
  • EAIツールはメッセージブローカーやバス(Enterprise Service Bus, ESB)を使ってデータをやりとりし、リアルタイムまたはバッチで処理が行われる。
  • iPaaSに比べてオンプレミスの連携が中心だが、クラウドにも対応するハイブリッド型のEAIツールも増加。

主な使用例: ERPシステムと製造システムの連携、在庫管理システムと会計システムの同期など。

3. ETL(Extract, Transform, Load)

目的:データを抽出(Extract)、変換(Transform)、ロード(Load)することで、異なるデータソースをデータウェアハウスに統合すること。

特徴:

  • ETLは主にバッチ処理で行われ、データウェアハウスに集約して分析を行うための基盤作りが目的。
  • データの前処理や変換、集計に強みがあり、構造化されたデータの大量処理に適している。
  • IPaaSやEAIと異なり、リアルタイムのデータ連携は苦手だが、大量データの処理に強みを持つ。

主な使用例:顧客データを複数のソースから集約し、データウェアハウスにロードする作業。

データ連携ツール比較表  
特徴 iPaaS EAI ETL
目的 クラウド/オンプレミスのアプリ連携 企業内アプリの統合 データウェアハウスへの集約
処理 リアルタイム、API連携中心 リアルタイム/バッチ処理 バッチ処理、データ変換
用途 SaaS統合、クラウドサービスの連携 ERPやCRMなど、基幹システムの連携 分析基盤構築のためのデータ統合


データ連携とiPaaS導入のステップ

最後に、iPaaS導入に向けた具体的なステップを詳細に解説します。
まず、現状分析とニーズの特定から始めることが重要です。その後、適切なiPaaSの選定と実装を進めていくことで、データ連携がスムーズに行えるようになります。企業ごとの業務プロセスやデータソースを評価し、最適なiPaaSサービスを選びましょう。

現状分析とニーズの特定

現状分析とニーズの特定は、データ連携プロジェクトの最初のステップであり、成功を左右する重要なフェーズです。現状を正確に把握し、企業が直面する具体的な課題を特定することで、最適な解決策を見つけることができます。それにより、データ連携プロジェクトがスムーズに進行し、期待される効果を最大限に引き出すことが可能になります。例えば、部門間でデータのやり取りが手動で行われている場合、処理の遅れやミスが発生しやすくなります。このような問題点を洗い出し、自動化によって解決する方法を見出すことができます。ニーズを正確に把握することにより、最適なiPaaSソリューションを選定し、効率的なデータ連携を実現できます。

業務プロセスの評価

業務プロセスを評価することは、iPaaS導入の成功の鍵です。業務プロセスの全体像を把握することで、データ連携の必要性やその効果を明確に理解できるからです。また、ボトルネックを特定し、効率化のポイントを見つけることが可能になります。例えば、製造業において生産ラインの各ステージ間のデータ連携を強化することで、素材の供給タイミングや品質管理が向上するケースが多く見られます。このように、業務プロセス評価を通じて、iPaaS導入の有効性を最大限に引き出しましょう。

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データソースの特定

データ連携を行う際に重要になるのが、データソースの特定です。これは、データの整合性と品質を高めるために欠かせない要素です。適切なデータを選定することで、データの品質が向上し、組織全体の業務プロセスがスムーズに進行します。
例えば、顧客情報を連携させる場合を考えてみましょう。CRMシステムと会計ソフトウェアからデータを取得するとしましょう。データソースを確実に特定しておくことで、どの情報が最新で正確なのかを簡単に判別できます。また、他の部門のシステムからのデータも含めて管理すると、全体のデータが一貫性を持つようになり、業務効率が向上します。
データソースを特定することは、効果的なデータ連携が可能となるだけでなく、ビジネスの成長と発展に貢献します。

サービスプロバイダーの比較

iPaaS(統合プラットフォームサービス)のサービスプロバイダーを比較することは、その導入成功において不可欠なステップです。各プロバイダーが提供する機能、サポート体制、価格などが異なるため、自社のビジネスニーズに最適なプロバイダーを選ぶ必要があります。適切なプロバイダーを選定することで、データ連携の効果を最大化し、コスト効率も向上します。

選定する際には、以下のような具体的なポイントを重視することが重要です。

  • 1. どの程度の技術サポートが必要なのか
  • 2. 提供される統合機能が自社のシステムや業務フローに適しているかどうか
  • 3. 料金プラン

適切なサービスプロバイダーを選ぶことができれば、iPaaS導入後の実装が容易になり、利便性と効率性が大幅に向上します。配置するエンジニアの負担も軽減され、システムの運用とメンテナンスがより効率的になるでしょう。このように、各社の強みをしっかりと理解し、ビジネスニーズに最適なプロバイダーを選ぶことで、データ連携プロジェクトの成功率を高めることができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
本記事では、iPaaSの特長からデータ連携の具体的なユースケース、導入方法などについて詳しく解説しました。
iPaaSは、ビジネスのニーズに合わせてつなぐ先やつなぎ方を柔軟に対応できるため、さまざまな業務への活用を視野にデータ連携したいという場合には、iPaaSを検討するのが良さそうです。
以上がデータ連携にiPaaSをオススメする理由です。ぜひご参考にしてみてください。

執筆者プロフィール

小川 優美

  • ・所 属:マーケティング部
  • 広告代理店での2年間のコピーライター経験を経て、その後はIT業界一筋。B2CからB2B、日系ベンチャーから大手外資系まで、さまざまな企業での経験が強み。広報、ブランディング、プロダクトマーケティング、キャンペーンマネージャーなど、一貫してマーケティングにまつわるさまざまな業務に従事し、2024年5月より現職。プライベートでは、自然と触れ合うこと、温泉&銭湯が大好き。
  • (所属は掲載時のものです)

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