「HULFT Technology Days 2024」 3日目
オンライン開催レポート!
セゾンテクノロジーが主催するイベント「HULFT Technology Days 2024」。
「DXのバラバラを、スルスルに。AI活用はデータ連携から。」をテーマに、生成AIやデータ活用に必要不可欠な考え方や、お客様の先進的な事例、およびそれらを支える最新のテクノロジーを総合的に学ぶためのITイベントです。
2024年10月10日の会場開催を皮切りに、10月16日、17日をオンライン開催でお届けしました。ここではイベント3日目となる10月17日の様子をレポートいたします。
ベルサール東京日本橋で開催された1日目の様子はこちら
オンラインで開催された2日目のレポートはこちら
AIと共に進化する、ビジネスの新たな姿
落合 陽一 氏
メディアアーティスト/筑波大学デジタルネイチャー開発研究センター長/准教授
モデレーター 星原 康一 氏
株式会社マイナビ コンテンツメディア事業本部 TECH+推進統括部 ゼネラルマネージャー
3日目最初のセッションでは、メディアアーティストの落合陽一氏が登壇し、「AIと共に進化するビジネスの新たな姿」について語りました。落合氏は、AIとデータを活用することで、未来のビジネスにおける価値創造の重要性を強調し、「デジタルネイチャー」という新しい時代についても言及しました。自然を計算機として捉える視点が重要であるとし、AI技術がもたらす変化や可能性を探求していることを伝えました。
具体的には、AIの活用方法や、人間とAIの協働による創造性の拡大について説明しました。彼の研究室では、AIを使ったゲームデザインに、ユーザーからのフィードバックを活かす研究が進行中であり、AIの進化がどのようにビジネスや社会に影響を与えるかを示しています。また、今後の技術進化に伴い、将来のビジネスパーソンがAIをどのように使いこなしていくべきか、AI進化の予測も含めて示されました。
このセッションを通じて、AI技術の発展が私たちの働き方や社会の在り方にどれほどの影響を及ぼすかを再認識しました。落合氏の示すビジョンは、未来への期待を膨らませるものであり、今後の技術と人間の関係性を見つめ直すきっかけとなりました。
組織変革とデータ活用:DX推進部門のための実践ガイド
佐土原 光 氏
ウイングアーク1st株式会社 Data Empowerment事業部 ビジネスディベロップメント部
佐土原氏の講演では、組織内のデータ活用を促進するためのポイントが解説されました。日本のデータ活用は効率化に偏りがちで、組織やIT、人材の課題が指摘されました。特に部門間の協力やKPI設定が重要とされ、スモールスタートでアジャイルな運用が求められています。紹介された「MotionBoard」は、データの集約や分析を簡素化し、現場での活用を促進する強力なツールです。データ活用の幅広い可能性を感じる内容でした。
意思決定の民主化をデータとともに実現する
高坂 亮多
株式会社セゾンテクノロジー DI本部 データインテグレーションビジネス推進部 担当部長
高坂の講演では、データ活用による意思決定の民主化について語られました。データ分析の成熟度を4段階に分け、技術的分析から診断的分析への移行が重要であると強調されました。データの品質、特に付加的品質特性の重要性を説明し、データオブザーバビリティの観点から品質を保つ方法を提案しました。具体的には、出典元の明記やデータチェックのパイプライン構築が推奨されました。このアプローチを通じて、データが組織の意思決定に貢献することが期待されます。
データドリブンな未来を作る、データ連携とデータカタログのすすめ
吉崎 智明
株式会社セゾンテクノロジー 営業本部事業企画統括部プロダクト企画部 課長
データドリブン経営の重要性は、ビジネス成功に欠かせない要素です。吉崎の講演では、データを基にした意思決定の利点を、経験則(KKD)との対比で強調しました。効率的なデータ連携手法やデータカタログの必要性を述べ、実際の企業の経験を交えて解決策を提示。データ基盤の構築が業務のスピード向上に寄与することが実例を通じて示されました。今後の進化にも期待が寄せられ、データ活用の重要性を再認識させられる内容でした。
変化に対応するテクニカルサポート ~生成AI活用の取り組みをご紹介~
長澤 芽衣子
株式会社セゾンテクノロジー カスタマーサクセス本部 カスタマーサクセス統括部 カスタマーサービス部
当社で製品サポート業務を担当する長澤の講演では、テクニカルサポートにおける生成AIの活用が紹介されました。サポート業務の効率化や品質向上を目的に、AIによる回答レビューやFAQナレッジの要約が導入された結果、作業時間が大幅に短縮され、回答の質も向上したとのこと。特に、手間の削減や回答の明瞭さが顧客満足につながるという点が印象的でした。変化の激しい時代において、技術を駆使して顧客ニーズに応える姿勢に感銘を受けました。
AIの価値も最大化!Salesforceに企業データを統合するメリットとは?
荘 茗 氏
株式会社セールスフォース・ジャパン 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 プロダクトマネジメントマネージャー
セールスフォースの荘氏による講演では、データ活用の重要性と課題が強調されました。特に、多くの企業が抱えるデータのサイロ化や連携不足、専門人材の不足といった問題に対し、Einstein 1 Platformを通じた包括的なデータ統合と活用のアプローチが紹介されました。データクラウドは、リアルタイムでのデータアクセスを可能にし、業務の効率化を促進。具体的なユースケースを交えた説明から、データ活用の可能性が広がる印象を受けました。企業が持つ情報を最大限に生かすための革新的なソリューションに期待が高まります。
HULFT Squareを利用したデータ連携活用について
林田 浩明 氏
株式会社佐賀銀行 IT統括部 副部長
この講演では、佐賀銀行の林田氏がHULFT Squareを利用したデータ連携の取り組みについて説明しました。自己紹介から始まり、銀行の歴史や規模を紹介。その後、HULFT Square導入の背景として、業務の効率化とデジタル化への対応を挙げました。特に、アプリの機能追加に伴い、データ連携を自動化する必要性が強調されました。導入後は業務フローがシームレスになり、開発が迅速に進む利点が確認されました。今後はクラウドとの連携を進め、さらなる効率化を目指す姿勢が印象的でした。
データ連携とコンテンツ一元管理ではじめるAI活用
武田 新之助 氏
株式会社Box Japan プロダクトマーケティング部 シニアプロダクトマーケティングマネージャー
Box Japanの武田氏からは、コンテンツ一元管理と生成AIの活用について語られました。企業が持つ非構造化データの90%が未活用である現状を指摘し、Boxを用いることで情報の集約と業務効率化が可能になると説明。特に、HULFT Squareとの連携によって定型業務が自動化され、非定型業務の効率化にも生成AIが寄与する点が印象的でした。データ活用の重要性を再認識し、業務改善のヒントを得られる有意義なセッションでした。
データに基づく仮説検証サイクルを実現するためのデータサイエンス機能の設計と運営のポイント
北西 由武 氏
塩野義製薬株式会社 データサイエンス部長
塩野義製薬 北西氏の講演では、データサイエンスの重要性とその実践方法が紹介されました。データに基づく仮説検証サイクルの重要性が強調され、観察から意思決定までのプロセスが科学的に実行されるべきとされました。また、データリテラシーの強化やデータベースの統合管理が成功の鍵であることが示され、部門間のコミュニケーションが重要であると語られました。データサイエンス部の設立は、デジタルトランスフォーメーションを推進する上で不可欠なステップであり、企業文化の変革に寄与することが期待されています。全体として、データを活用した意思決定の必要性が鮮明にされ、今後の展望に希望を抱かせる内容でした。
HULFT Square と AWS で実現するデータ民主化 〜生成 AI とローコードでデータ活用を加速〜
吉田 成利 氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 パートナー技術統括本部 テクノロジーソリューション本部 シニア Data & Analytics パートナーソリューションアーキテクト
AWS 吉田氏のセッションでは、生成AIとローコードを活用し、データ民主化を実現する方法が語られました。データの利活用を進める上で、データ基盤の整備や業務部門のユーザーの積極的な関与が重要とされ、具体的な解決策としてHULFTとAWSのサービスが紹介されました。特に、ユーザーがノーコードでデータ連携を行い、生成AIを活用することで、データの品質向上やアクセスのスピードが改善される点が印象的でした。これにより、より迅速な意思決定が可能になると感じました。
日清食品のデータ駆動型イノベーション
山縣 一慶 氏
日清食品ホールディングス株式会社 情報企画部データサイエンス室/プロフェッショナル
日清食品の山縣氏が、データ駆動型イノベーションと生成AIの活用について講演しました。日清食品は約70年の歴史を持ち、即席麺事業を中心に多様な商品を展開。デジタル化を進め、2030年に向けたデータ統合基盤の整備に取り組んでいます。データの集約と可視化を進めることで、業務の効率化や組織間のコミュニケーション向上を図っています。また、生成AIを活用し、販売データの自動分析や意思決定支援を目指しています。今後もビジネスITの連携を強化し、AIによる革新を推進していく意欲が印象的でした。
データを活用した健康経営~社員の健康を第一に考える~
葉山 誠
株式会社セゾンテクノロジー 代表取締役 社長執行役員
1日目の基調講演に続いて登壇する当社代表 葉山の講演では、データを基にした健康経営の重要性を強調するものでした。特に、自身の睡眠時無呼吸症候群の発見を通じて、健康状態の可視化が社員の健康管理にどれほど寄与するかを語りました。講演では、執行役員の睡眠検査結果を基に健康施策の導入を提案し、社員全体への拡大を計画中であることを示しました。また、データ分析により改善策を提案する意義を強調し、今後の取り組みを多様なメディアで発信する方針を述べました。健康経営が企業の生産性向上に寄与することが期待されます。
HULFT SquareとAIの活用で加速させる炭素会計GX
武藤 伸之 氏
Persefoni Japan合同会社 プロダクト / プロダクトディレクター
武藤氏の講演では、Persefoni Japanの炭素会計の重要性とAI活用の未来について詳述されました。気候変動の影響が企業活動に深刻なリスクをもたらす中、炭素排出量の算定と情報開示が求められています。特に2025年からの国際基準導入に向けて、企業はデータ収集や分析の効率化を図る必要があります。AI技術とHULFT Squareの統合により、手作業の負担を軽減し、迅速なデータ処理を実現することが期待されます。これにより、企業は競争力を維持しつつ、持続可能な経営を進めることが可能になるでしょう。
生成AI時代のデータ活用基盤のあり方とは?
佐々木 勝
株式会社セゾンテクノロジー 経営戦略本部 IT推進部
当社でデータ活用・生成AI活用の研究開発に携わる佐々木の講演は、セゾンテクノロジーの全社データ活用基盤「データドリブンプラットフォーム(DDP)」の構築と運用、および生成AIを統合した今後のビジョンに関するものでした。2020年にDDPの構想を始め、2021年にSnowflakeを導入、数年間にわたる運用を経て、生成AIを活用した新たな展開を紹介しました。
DDPの特徴は、全社員が使えるように設計されている点で、利用者が目的に応じて多様なツールを活用できる環境が整えられています。特に、データの安全な提供と利便性の向上が工夫されており、ロールベースのアクセスコントロールにより、各社員のアクセスを厳密に管理しています。
また、講演ではデータ活用の促進に向けた取り組みも紹介され、ユーザーが自発的に学び、活用できるような環境作りが強調されました。特に、生成AIの活用により、ITスキルのハードルを下げる新たなアプリケーションの開発が進行中であることが印象的でした。これは、ユーザーが自然言語でデータを問い合わせることを可能にし、データ活用の敷居を低くする試みです。
全体を通じて、データの価値を最大限に引き出すための努力が伺え、今後のDDPの進展に期待が高まります。データ活用の未来を共に築くというメッセージが強く響きました。
AI化社会の生存戦略〜人工超知能社会を人間はどう生きるか〜
小川 和也 氏
グランドデザイン株式会社 代表取締役社長 北海道大学 客員教授
HULFT Technology Days 2024 最後のプログラムは、AI化社会における生存戦略について、グランドデザイン株式会社の小川和也氏が講演を行いました。小川氏は実業と研究のシナジーの重要性を強調し、AIの進化がどれほど急速であるかを歴史的な観点から解説しました。産業革命以降の技術の進展がいかに人類の生活を変えてきたかを述べ、今後は知識集約型の社会に移行すると予測しています。
小川氏は、特化型から汎用型のAIへの進化や、2030年代には人間の仕事の半分がAIに取って代わる可能性について触れました。また、仮想現実と現実の境界が曖昧になり、AIがリアルな体験を提供する時代が来ると予測しています。AIが人間の脳に近づくことで、我々の思考や意思決定に影響を及ぼすという視点は興味深かったです。
最後に、AIの進化がもたらす倫理的な問題についても言及され、今後の社会がどのようにAIと共生していくべきか考える重要性を訴えました。全体として、AI化社会の可能性と課題を真摯に受け止める必要性を強く感じる内容でした。
開催3日目の総括
HULFT Technology Days 2024 最終日となるこの日は、イベント副題である「AI活用はデータ連携から。」にふさわしい、AIづくしの全15講演をお届けしました。
どの講演もAIの進化やデータ連携の重要性が強調され、さまざまな企業の実践事例も紹介されました。特に、落合陽一氏による「AIと共に進化するビジネスの新たな姿」では、AIと人間の協働による創造性の拡大が示され、未来のビジネスモデルに対する期待が高まりました。また、データ活用による意思決定の民主化や、データ基盤の整備が企業の競争力を高める点も浮き彫りになりました。生成AIの導入事例や効率化の成果も紹介され、テクノロジーの未来に向けた学びが深まるイベントであったと思います!
HULFT Technology Days 2025 開催決定!
HULFT Technology Days 2024の様子を全4回に分けてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか。
データとAIを融合させることの重要性や、企業のデータ連携の課題に対する解決策などを、新しい発見や気づきの多い内容だったのではと思います!
来年のHULFT Technology Days は2025年10月22日、東京国際フォーラムで開催します。
来年もみなさまにお会いできることを楽しみにしております。
今後ともセゾンテクノロジーをどうぞよろしくお願いいたします!
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