データ活用コラム

今すぐ取り組むべき経理業務の効率化とは?
~売上データ分析による迅速な経営判断を実現するデータ連携とは~

近年、多くの企業でバックオフィス改革が進められるなか、経理部門においても効率化の必要性が高まっています。その実現手段として注目を集めているのが、各システムをスムーズに繋ぐデータ連携です。書類や数値データを手動で管理する負担から解放されるだけでなく、正確な財務状況の把握と迅速な経営判断を支える基盤づくりにもつながります。また、経理担当者が本来取り組むべき戦略的な役割へ注力できるようになる点も重要なポイントです。
本記事では、経理業務の効率化を促進するデータ連携の重要性やメリット、ツール導入時の選定ポイントなどを紹介します。

データ連携

データ活用

T.K - 読み終わるまで 8分

データ連携がもたらす経理業務効率化の重要性

まずは、データ連携がどのように経理業務の効率化につながるのか、その重要性を見ていきましょう。把握できるため、業務フローや社内コミュニケーションがスムーズになります。

紙やExcel管理に潜むムダと属人化のリスク

企業の成長に伴い取引や経理処理は複雑化しやすく、従来の紙やExcelでの管理では、入力ミスや不要な確認作業が発生しやすく、履歴追跡も難しいケースが多く見られます。さらに、一部の担当者に業務が集中しノウハウが属人化すると、担当者が異動・退職した際に業務が滞る可能性が高まります。こうしたムダやリスクを回避するためにも、システム同士を連携させてデータを自動的に連携する仕組みが必要です。データ連携を確立することで、煩雑な転記や二重入力を削減し、作業時間を大幅に短縮できます。

システムが散在する“サイロ化”問題とその影響

企業が成長するにつれ、部門ごとにさまざまなシステムが導入されることがありますが、これらが連携しない状態だと“サイロ化”が生じます。サイロ化によって情報が分散すると、データの不整合や二重入力が起こるだけでなく、部署間の情報共有も滞りやすくなります。連携されていないデータは、経理担当者にとっては相互に照合する手間と時間を増やし、迅速な経営判断を阻害する要因にもなります。

業務効率化で終わらない企業成長のためのデータ連携

データ連携が進むと、複数の業務システムを統合して一元管理がしやすくなります。データを自動で連携できれば、人為的なヒューマンエラーが減り、監査や法令対応も透明性が高まることがメリットです。経理担当者の負担が軽くなり、より戦略的な分析やマネジメントサポートに注力できる体制づくりにもつながります。また、正確な数値を即時に反映できるため、経営陣や他部署が必要とするデータをタイムリーに提供することが可能です。これにより経営判断のスピードと精度が高まり、企業の競争力強化に直結します。

経理業務を圧迫する主な課題

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経理業務が複雑化している背景と、組織内で起こりがちな問題点を整理します。

経理業務フローが複雑化する背景

取引量の増加や事業形態の多様化によって、仕訳や請求処理、決算対応まで一連のフローが複雑化するのは自然な流れです。とりわけ、税制改正や新制度の導入が重なると、単純な日々の経理処理にとどまらず、対応準備や社内フローの見直しにも時間やコストが必要となってきます。さらに、外部との取引が増えるほど書類のチェックや管理範囲が拡大し、手順が増えてしまいます。こうした複雑化を放置すると、担当者間で情報伝達がうまくいかず、作業の抜け漏れや遅延を引き起こす可能性も高まります。

変化への抵抗とITリテラシー不足

新しいシステム導入や運用ルールの変更に対して、慣れ親しんだやり方を変えたくないという心理が働くのは珍しくありません。特に、従来の紙ベースのやり方で長年経験を積んだ担当者の場合、IT化による効率化のメリットがしっかり伝わらないと抵抗感が強まります。さらに、システム操作の習熟度に個人差があると思わぬトラブルが続き、生産性向上の妨げとなるリスクが存在します。こうした問題を解決するためには、業務フローの根底から洗い出すとともに、導入時の研修やサポートをしっかりと計画・実施することが重要です。

データ連携によって自動化できる経理業務の具体例

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具体的に、どのような経理業務をデータ連携によって自動化できるのかを把握しましょう。

会計ソフト・経費精算システムのAPI連携

データ連携の導入によって代表的に自動化が進むのは、伝票処理や経費計上といった反復度の高い作業です。会計ソフトと経費精算システムをAPIで連携すると、経費明細の入力データを自動で会計ソフトに取り込むことが可能になります。手入力による転記ミスを防げるうえ、リアルタイムで経費情報が更新されるため、決算処理や月次レポートの作成も効率的に進められます。連携作業そのものも設定後は自動化されるため、一度仕組みを確立すれば日常的なオペレーションが大幅に軽減される点が魅力です。加えて、こうした連携基盤が整うと、新制度として重要性が増しているインボイス制度への対応もスムーズです。

請求書発行ツールやPOSレジとのデータ統合

売上データを管理する請求書発行ツールやPOSレジから自動的に会計ソフトへ連携すれば、売掛金の計上や在庫管理がスムーズになります。これにより、店舗やオンラインショップなど複数チャネル分の売上集計を即時に一元管理でき、経営者等が欲しいタイミングで最新の数字を把握、分析することが可能です。また、転記や集計の手間を減らすだけでなく、ヒューマンエラーの防止にも役立ちます。これらの仕組みを連携して使いこなすことで、経理担当者のルーティン作業から解放し、より戦略的な分析やレポーティングに集中できる環境が実現できます。
システム化を検討するときには、会計ソフトや経費精算ツールだけでなく、POSレジや在庫管理システム、さらにはiPaaS、EAI、RPA、AI-OCRなどのツールとの組み合わせを検討すると効率が高まります。

インボイス制度への対応を見据えた連携施策

請求書処理の電子化や電子帳簿保存法への対応が進むなか、インボイス制度の導入に伴うチェック項目も増加しています。早期にシステム連携を図っておけば、登録番号や取引明細など必要情報を自動的に記録・管理できる環境が整うため、将来的な監査や税務申告の手間を削減できます。データのフォーマット統一が進むほど、企業全体の作業効率も加速度的に向上するでしょう。

データ連携がもたらす経理部門への6つのメリット

次に、データ連携を導入することで得られる代表的なメリットを整理します。

1. 作業時間・人件費の削減

システム間の連携を通じてデータを自動でやり取りできるようになるため、手入力による作業時間を大幅に短縮できます。これにより残業の削減やアウトソーシングコストの最適化も期待でき、経理担当者がより高度な業務に時間を割り当てられます。結果として、全社的な人件費の見直しや生産性の向上にもつながります。

2. ヒューマンエラーを大幅に削減

請求書や経費精算データの転記作業を自動化することで、入力や集計のミスを最小限に抑えられます。大容量のデータを扱う場合でもシステムが自動的に処理するため、チェックにかかる時間や混乱が減り、業務の正確性が高まります。誤りが少なくなるほど、監査や税務対応の際もスムーズに進むというメリットが大きいでしょう。

3. 業務が属人化しにくくなる

データ連携基盤を整備すると、経理業務のプロセスが可視化されるため、特定の担当者に依存するリスクが低減します。誰でも必要な情報にアクセスでき、ルールベースで作業が進むようになるため、業務引き継ぎや休暇時の対応が円滑に行われます。属人化を防ぐことは組織力を高め、安定した業務運営につながります。

4. 経営判断のスピード化

リアルタイムに仕訳や売上情報が更新されるので、経営層が意思決定に必要なデータを素早く取得できます。これにより、日々の資金繰りや投資判断などをリアルタイムに行うことが可能です。データが正確でタイムリーほど、競合他社に先んじた戦略立案やサービス改善につなげやすくなります。

5. インボイス対応や内部統制の強化

インボイス制度が本格化するなかで、取引内容を詳細に記録・管理する必要が高まっています。データ連携を導入して顔認証やタイムスタンプ付きの電子取引データがしっかり管理されれば、証憑書類の紛失リスクが大幅に減少し、後から監査対応もしやすくなります。これにより、不正やミスの早期発見にも役立つ、強固な内部統制体制を築けるでしょう。

6. コア業務や戦略的業務への注力が可能

定型的作業をシステムに任せて削減することで、経理部門がこれまで時間をかけていた分を新規施策や事業分析といった付加価値の高い業務に振り向けられます。実際に、売上分析や各種KPIモニタリングを行う際も、連携されたデータがあると迅速で正確なレポート作成が容易になります。こうした前向きな取り組みが増えるほど、企業の持続的成長を後押しするエンジンとして経理部門が機能するようになるのです。

経理業務を効率化するデータ連携の進め方

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実際にデータ連携を導入するためのステップを確認しましょう。

自社の経理業務フローを洗い出す

まずは現状の経理業務のなかで、どの作業が時間と手間を最も費やしているかを調べることから始めます。紙ベースとシステム管理のどちらが中心なのか、どのフローに二重入力や抽出作業が存在するのかなど、現場担当者とヒアリングを行いながら全体像を把握することが大切です。こうした分析を行うことで、どこを優先的に改善すればよいかが明確になります。

システム要件・社内体制の確認と導入準備

現行システムとの互換性やAPI連携の有無、クラウドかオンプレミスかといった基本要件に加えて、社内の運用体制も検討しておく必要があります。導入にあたって決定権をもつ役職者だけでなく、実際に使用するスタッフの意見を反映することで、抵抗感や運用ミスマッチをあらかじめ防ぎましょう。トライアル導入やベンダーによるデモを活用しながら、段階的に導入準備を進めることが最善策です。

iPaaS・EAI・RPA・AI-OCR・クラウドサービスなどの選定

API連携といったシステム間のデータ加工・連携を得意とするiPaaSやEAIツール、紙の書類をスキャン後に文字データ化してくれるAI-OCR、定型作業を自動処理するRPAなど、経理業務に利用できるツールは多岐にわたります。クラウドサービスの利用であれば、最新バージョンへの更新やメンテナンス負荷を減らせるため、社内のITリソース不足の課題を補う難易度も下がります。ただし、ツールごとに得意分野や機能差があるので、自社の業務内容と照らし合わせて最適な組み合わせを選ぶことが重要です。

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導入後の運用ルール策定と継続的な改善

新しい仕組みを導入しただけで満足せず、運用ルールを文書化する、定期的に実運用状況を点検するなどの取り組みが欠かせません。担当者を固定化しすぎると属人化が再発する恐れがあるため、ナレッジ共有や担当ローテーションなどで体制を強化していくことも検討しましょう。小さな改善を積み重ねながらツールの活用度を高めることで、効果が持続し、企業全体のDXを推進する土台となります。

データ連携ツール・クラウドサービス導入時の注意点

ツールやサービス導入時における、運用面やコスト面など検討すべきポイントを紹介します。

運用コストやサポート体制の見極め

データ連携のメリットを最大化するためには、単にシステムを導入するだけではなく、導入後の運用やサポート体制を継続的にフォローすることが不可欠です。システム間のアップデート頻度や互換性も、運用コストやメンテナンスの手間に大きく影響してきます。互換性の問題でシステムが急に動かなくなるリスクもあるため、常にベンダーやIT部門と密に連携しながら進めることが望ましいです。
また、初期導入費用だけでなく、月額料金や追加サポート費用、アップデートに伴う費用負担を総合的に評価する必要があります。サポート体制が充実しているかどうかはトラブル発生時の対応スピードや質にも直結するため、ベンダー選定の際には問い合わせ対応やヘルプデスク機能の充実度も確認することが大切です。

社内教育とスキルアップ支援の重要性

新しいツールを導入する際は、自社のITリテラシーやスタッフの学習コストも考慮し、不慣れな機能や操作が多すぎないかを確認する必要があります。また、社員自身の基本的なITリテラシーの向上も必要となります。そこで、全担当者に向けた研修や習熟度を高めるトレーニングの場を設けることで、導入効果が出やすい環境を整えることが望ましいです。上層部からも積極的な支援があると、現場の学習意欲も高まり、システム定着がスピーディになります。

同じベンダーでサービスを揃えるメリット・デメリット

同じベンダーが提供している会計ソフトや経費精算システム、在庫管理ツールなどを使えば、連携性が高く統一感ある環境を構築しやすいのは事実です。ただ、一方でサービススコープが限定され、機能不足やコスト面の柔軟性が低下するリスクも考えられます。ベンダーの提供範囲と自社の要件がどれほどマッチするかを慎重に見極めることが重要です。

ベンダーによる差異を吸収するデータ連携ツール

ITシステムに求める機能や業務要件の複雑化を考えると、同じベンダーが提供する会計ソフトや経費精算システムで統一するのは極めて難しいでしょう。そんな状況下でのデータ連携を得意とするのがiPaaSやEAIです。複雑化したシステム間でのデータ連携を柔軟に実現することが可能です。

iPaaSとは

iPaaS(Integration Platform as a Service)は、クラウドベースのデータ統合サービスであり、ビジネスのデータ連携を効率的に行うためのプラットフォームです。会計ソフトや経費精算システムを始めとした様々なシステムやアプリケーション間のデータ連携をシームレスに行うためのツールセットを提供し、複数のシステム間での自動的かつ柔軟なデータの流れを可能にします。

\ITR社アナリストが iPaaSの特徴やメリットについて解説/
iPaaSの機能考察資料をダウンロード

EAIとは

EAI(Enterprise Application Integration)は、企業内に存在する多数の異なるアプリケーションをシームレスに統合し、データの連携を容易にすることを目的とした技術です。現代の多くの企業では、営業、在庫管理、会計、顧客管理などの業務を効率化するために多様なアプリケーションを導入しています。それらのアプリケーションを連携するための豊富なプリセットコネクターや直感的なインターフェースを備えており、技術的な専門知識がなくても簡単に設定ができます。

まとめ:データ連携で経理業務を革新し、企業成長を加速させよう

データ連携による経理業務の効率化は、企業全体の生産性向上に直結する取り組みです。導入を検討する際は、現状の課題を明確にし、最適なツールや運用体制を踏まえた段階的な導入が重要です。
データ連携の自動化によって得られた時間的・人的リソースを新事業や高度な分析に回せば、企業の競争力はさらに強化されるでしょう。バックオフィスの枠を超えて、経理改革がビジネス全体の成長を加速させる一助となることでしょう。

執筆者プロフィール

T.K

  • ・所 属:マーケティング部
  • セゾンテクノロジー入社後、EDIサービスの開発・運用エンジニアを経て、新規サービスのビジネス開発を経験。現在はマーケティング担当として、当社プロダクトでお客様の課題をどう解決できるかを模索し情報を発信している。
  • (所属は掲載時のものです)

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