データ活用コラム

VMwareライセンス問題とは?
課題解決へのアプローチ方法も紹介

VMwareのライセンス体系は、近年Broadcomの買収やサブスクリプションモデルへの移行によって大きく変化しています。ライセンスコスト増大やサポート変更が想定される一方で、他プラットフォームへの移行や新モデルへの適応など、さまざまな選択肢が存在します。 特にCPU数からコア数ベースへ課金体系が変わったことで、そのインパクトは多くの企業に及び始めています。
本記事では、ライセンス改定の背景や今後の影響を整理し、企業が対応策を検討するために必要な情報をまとめました。

データ基盤

T.K - 読み終わるまで 8分

VMwareライセンス問題の概要

基本的な仕組みと変更点

まずは、VMwareライセンスの基本的な仕組みや最近の変更点を紹介します。

従来のVMwareライセンスは永続に使用が可能な買い切り型が主流でしたが、サブスクリプション型に移行することになりました。費用形態としてはイニシャルコストを抑えられる一方、長期間利用する場合にはランニングコストが膨らむリスクがあります。特にサポート契約などを合わせると、今後の運用形態によっては費用が予想以上になることがあるため注意が必要です。企業規模や導入目的によっては、買い切り型が好ましい場合もあったため、既存ユーザーからは戸惑いの声が多くあがっています。

現時点で提供されるエディションやライセンスモデルは、SDDCやハイパーバイザー周辺の製品と統合され、目的別に選択しやすくなっている一方、細分化された機能範囲を把握するのが難しくなりつつあります。ライセンスの更新時には、自社のニーズに応じて必要な機能が含まれるプランを的確に選ばなければ、不要なコストや運用上の制約が発生するリスクがあります。

サブスクリプション型への移行の背景

従来の永続ライセンスでは、買い切りの導入コストを支払えば長期間にわたって製品を利用できるというメリットがありました。しかし、サブスクリプションモデルが主流になるにつれ、サポート更新や機能追加に対する負担がどのように変わるのか考慮する必要が生じています。VMware社が永続ライセンスを終息に向かわせた背景には、製品開発サイクルの高速化やクラウド対応の増加があると言われており、今後は柔軟なサブスクリプションプランが提供されることが予想されます。

2024年以降のライセンス変更と新モデル

2024年以降はBroadcomの戦略が色濃く反映される形で、VMwareのライセンスモデルに追加の見直しが行われる可能性が高いとされています。現在のコア数ベースの課金モデルがどう拡張されるのか、また新たな統合版がリリースされるのかなど、情報収集が欠かせません。企業としては、急激な費用増大のリスクを見越して、中長期的な予算計画を立てておくことが求められます。

ユーザー企業における課題

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ライセンス変更に伴い発生しやすい課題点や、運用現場で直面しがちな課題を見ていきます。

一般的な問題とトラブル発生要因

ライセンス管理の不備は、最も多く聞かれる問題のひとつです。ライセンスキーの入力ミスや更新タイミングの失念、契約プランの認識不足といった人為的なミスが原因になることが多いと言われています。結果としてソフトウェアが突然使えなくなり、サービス停止リスクが顕在化する例もあるため、定期的なライセンス管理プロセスの策定が不可欠です。

ライセンス認証の課題

サブスクリプション型に移行すると、認証関連の作業や定期的なアクティベーションが求められます。例えばネットワーク接続が不安定な拠点で導入している場合、認証サーバーにアクセスできずに期限切れとなるリスクがあります。こうした環境では代替ネットワークの確保や、トラブルシューティング手順を明確にしておくことが重要です。

コア数・クラスタ制限の影響

VMwareの新ライセンス体系では、CPUソケット単位ではなくコア数ベースの課金に変更になりました。これによりコア数の多いCPUを利用しているサーバーでは、従来よりもライセンス費用が高騰する可能性があります。クラスタ構成が大きいほどコストインパクトが大きくなるため、サーバースペック選定時にライセンスコストを織り込むことが重要になります。

中小規模ユーザー特有の課題

大企業と比べて専任の運用担当者や予算が限られる中小規模ユーザーにとって、VMwareライセンス問題は大きな痛手になりがちです。特にサブスクリプションの更新時期が迫った際に、コスト増とリソース不足の二重苦に直面する場合があります。こうした負担を軽減するには、システム規模を厳密に把握し、運用管理を簡素化できるシステム構成を検討することが必要です。

既存環境と新ライセンスの整合性

VMware製品はアップグレードによってライセンスモデルが変化することがあり、既存バージョンとの互換性に問題が生じるケースがあります。特に旧バージョンのライセンスを保持している場合、新モデルへの移行プロセスで追加費用や作業工数が発生することがあります。移行のタイミングやサポート契約内容を考慮せずにアップグレードを進めると、予想外のダウンタイムやコスト増を招く可能性もあるため、慎重な計画が求められます。

サポートの変更とその影響

Broadcom買収以降、VMwareのサポート体制は統合や再編が進んでおり、問い合わせ先やサービス内容が変わることが予想されます。海外拠点に統合されるケースもあり、サポート対応の時間帯や言語の面でハードルが上がる可能性があります。これらに対応するには、パートナー企業との連携やサポートプランの見直しが不可欠になってきます。

旧ライセンス費用との比較

ライセンス費用はあくまで導入コストの一部でしかありませんが、仮想化プラットフォームにおいては無視できない割合を占めます。ハードウェア導入やネットワーク設備など他の投資も含めると、トータルコストが大幅に増えるケースがあります。特に動的にリソースを拡張するクラウド時代には、CPUコア単位やクラスタ規模での費用比較が重要になってきます。

しかし、サポート契約や将来的なアップグレード費用まで含めると、サブスクリプション型が結果的に割安になるケースもあります。自社の運用期間やシステム更新サイクルの長さに合わせて、最適な選択を行うことが大切です。

ライセンス変更がもたらす具体的な経済的事例

例えば、CPUコア数の多いサーバーを多数導入している環境では、従来よりもライセンス費用が数倍に跳ね上がったという報告もあります。これに対し、低コアモデルのCPUに切り替えてサーバー台数を増やすことで、総費用を抑える工夫をした事例もあります。利用する機能や処理負荷を正確に見極めることで、エディション選定やハードウェア構成を最適化し、ライセンスの経済的負担を軽減可能です。

課題解決へのアプローチ方法

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具体的にどのような方法でライセンス問題を解決・軽減できるかを紹介します。
短期的な費用削減だけで決めずに中長期的な影響を踏まえ、総合的に判断することが重要になります。

ライセンス管理とトラブルシューティング

ライセンス管理では、一元管理できるツールや自動通知機能を有効活用し、更新漏れを防ぐことがポイントです。組織内のルールとして、ライセンスキーの確認やアップデートの手続きを定期的に実施するスケジュールを管理者側が作成すると効果的です。万一トラブルが起きた時にも、手順書や過去の対応履歴を参照できる仕組みを用意しておくと、復旧に要する時間を大幅に短縮できます。

ライセンスキーの確認と再入力方法

ライセンスキーの入力ミスは意外と多いトラブル原因です。キーを再入力する際には、確実に対応バージョンやエディションを照合し、不要なトライアル版との混同を避けるよう注意します。短期的な代替策として、古いキーやデモキーを使い回すのは後々のトラブルを招く可能性があるため、正式キーの管理を個人としてではなく組織単位で徹底すると良いでしょう。

VMwareサポートの活用準備

問い合わせ内容を明確に整理し、ログや画面キャプチャなど証拠となるデータを揃えておくと、サポート窓口でのやりとりがスムーズになります。Broadcom買収後は拠点統合でサポート対応に変化があるため、連絡する時間帯や窓口を事前に把握しておくのが望ましいです。エスカレーションルートやパートナー企業への連絡手順を決めておくことも、トラブル時の迅速な解決に貢献します。

ライセンスコスト削減のための選択肢

仮想サーバー数やCPUコアの割り当てを見直し、不要リソースを削減することでライセンスコストを抑えられる可能性があります。サイジングを最適化することでハードウェアのスケールアップを回避できる場合もあり、導入全体の費用削減に繋がります。定期的に環境を調査し、過剰スペックや休眠リソースの洗い出しを行うことがポイントです。

他プラットフォームへの移行検討

Red Hat OpenShift やHyper-V、KVM、Nutanix AHVなど、VMware以外のハイパーバイザーを選択することでライセンス費用を低減できるケースがあります。しかし、移行には既存環境の再構築や運用スキルの習得といった課題も伴うため、総合的なコスト比較とリスク評価が必要です。加えて、移行後のサポート体制やエコシステムの広さも、実運用時には大きな検討材料になります。

仮想環境リソースの最適化

CPUやメモリ、ストレージの割り当てを適切に調整することで、仮想化環境をより効率的に利用できます。過剰なリソース割り当てはライセンス費用を増やすだけでなく、他のワークロードとの競合を招いてパフォーマンス低下を引き起こす可能性もあります。定期的にモニタリングし、必要に応じてリソース配分を微調整することで、運用コストとパフォーマンスのバランスを保てます。

新モデル適応に向けた具体策

今後VMwareに限らず、本格的にサブスクリプション型が主流となると想定されるため、早い段階から新モデルへの移行準備を進めることが大切です。契約更新サイクルやアセスメントを通じて、どのような構成にアップグレードすれば最適化できるかを検討しておくと、将来的な手戻りを減らせます。企業のIT戦略に合わせたタイミングで、サブスクリプション型ライセンスのメリットを十分に活かすのが得策です。

適切なエディションの選定

VMwareのエディションは機能単位で細かく分かれており、仮想マシンの数や管理機能の有無でライセンス費用が大きく変わります。自社にとって本当に必要な機能がどれなのかを精査し、微妙に余裕を持たせる程度に抑えたエディションを選ぶと無駄が少なくなります。運用開始後に追加ライセンスが必要になる場合もあるため、スケーラビリティの面でも総合的な判断が大切です。

サポートプランとパートナーの活用

自社だけでライセンス管理やトラブルシュートを完結することが難しい場合、適切なパートナー企業と契約するのも有効な選択肢です。パートナーを選ぶ際には、問い合わせの取り次ぎや技術支援を行ってくれるだけでなく、最適なエディションや運用プランの提案に強みを持つ企業を選択しましょう。複雑化するVMwareライセンス問題を軽減するには、専門知識と経験を持つ外部リソースの活用を積極的に検討するとよいでしょう。

将来を見据えたVMwareライセンス問題の向き合い方

2024年以降の市場動向を踏まえ、ライセンス戦略やハイパーバイザー選定を検討します。

Broadcom買収後のVMwareを取り巻く環境は急速に変化しており、ライセンスモデルも是非を問われています。クラウド先行企業や大規模ユーザーは、新しい契約形態への移行を進めながら、コストと機能性の両面でのメリットを模索しています。小規模ユーザーほど変化への対応ハードルが高いため、早期に自社の将来像を見据えて対策を検討することが求められます。

VMware以外の選択肢の成熟度も上がっており、運用コストやサポート体制を含めた包括的な比較が可能です。クラウドネイティブ技術の台頭やコンテナ基盤の普及により、必ずしもハイパーバイザーの機能に依存しない設計も検討されつつあります。これらの新技術を取り入れる場合、VMwareライセンスだけでなくIT全体の構造改革を視野に入れる必要があります。

将来的な拡張やスケーラビリティを確保しつつ、コストを適切に管理するには、定期的な評価と見直しが不可欠です。クラウドやコンテナ化など新技術へのシフトが進むなかで、VMwareライセンス戦略内部だけでなく、企業のIT戦略全体における優先順位づけが重要になります。

選択肢としての「脱VMware」と「VMware継続」

Red Hat OpenShift やHyper-V、KVM、Nutanix AHVなどへの移行はライセンス費用を抑えられる可能性がある一方、既存のVMware環境を捨てるには慎重な計画が必要です。運用管理ツールや管理者のスキルセット、業務アプリケーションの動作検証など、多方面での影響を考慮しなければなりません。現行のVMware環境を維持しながら最適化を図るか、思い切って「脱VMware」を決断するかは、企業の長期的なIT戦略に大きく左右されるテーマです。

市場変化を踏まえた戦略的対応策

クラウドサービスやコンテナ技術の普及により、仮想化の在り方自体が変わりつつあります。ハイブリッドクラウドやマルチクラウドを前提とした設計を選択する企業も増えており、そうした潮流に合わせる形でVMwareもサービス統合や新規ライセンスプランを拡張中です。市場変化を定期チェックしながら、自社が柔軟にIT基盤を運用できるよう、ライセンス戦略や製品選定を再検討することが重要です。

まとめ

企業規模やIT戦略によっては、VMwareから他のプラットフォームへの移行を見据える選択も十分考えられます。一方で、VMwareの大きな強みである豊富な機能セットやサポート資産を活かし続けるために、適切なエディション選定やライセンス管理手法を整備する道も魅力的です。社会的にも仮想化技術の重要性は増し続けるため、自社の要件に合致するベストプラクティスを見極めることが求められます。

今後の市場や技術トレンドを見ながら、最適なライセンス形態を選び、運用管理体制を整備することが企業の競争力につながります。ライセンスコストだけでなく、サポート体制やセキュリティ面も含めた総合的な視点で環境を評価し、持続的なIT基盤を築いていくことが必要です。

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執筆者プロフィール

T.K

  • ・所 属:マーケティング部
  • セゾンテクノロジー入社後、EDIサービスの開発・運用エンジニアを経て、新規サービスのビジネス開発を経験。現在はマーケティング担当として、当社プロダクトでお客様の課題をどう解決できるかを模索し情報を発信している。
  • (所属は掲載時のものです)

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