データ活用やDXがどんどん解る用語集
iPaaS
「iPaaS」
データ活用やDX成功に必要な考え方を、各種するキーワードの解説で理解できる用語解説集です。
今回はこれからのクラウド活用やデータ活用でその鍵となる「iPaaS」について解説をします。
iPaaSとは
iPaaS(アイパース)とは、Integration Platform as a Serviceを略した言葉です。インテグレーション(Integration)、つまりシステムやデータの統合や連携を実現する基盤を提供するクラウドサービスのことを言います。
現実的なIT利活用の推進において、あちこちに散在しがちな多種多様なデータや、様々なシステムやクラウドサービスを組み合わせて活用することは避けられない課題になります。そのような「つなぐ」ニーズを解決するために提供されるクラウドサービスのことを言います。
【くもラジ】クラウド活用って、何をどうすること?「iPaaS」って何?(3分41秒)
Vtuberのくも子とハルカが、今話題のIT情報をわかりやすくお届けします。この動画では、クラウド活用!ってよく聞くようになったけどクラウドを使うことと活用することって何か違うの?「iPaaS」って一体何?をお伝えします。
クラウドの歴史(ないしは、どうしてiPaaSが必要になったか)
iPaaSは、様々なクラウドやシステムを「つなぐ」クラウドサービスです。データの連携や処理の連携を実現します。クラウド活用において非常に重要なサービスなのですが、どうして必要なのか、今一つ解りにくいところがあります。
日本でiPaaSという言葉が聞かれるようになってきたのは比較的最近、例えば2020年を過ぎてからの印象もあるかもしれません。しかし言葉自体はかなり前からあります。例えば、2011年に世界的な調査会社であるGartnerのレポートに登場しています。
2011年はクラウド自体がまだ広く世間に受け入れられる前で、そもそもクラウドを業務システムに使って大丈夫なのか議論していたような黎明期でした。そのころに既に、iPaaSはクラウド活用のために重要な要素であり「将来そういうものが普及する」として、その考え方が言葉としてすでにありました。
iPaaSはクラウド活用に必要な「残り半分」
iPaaSはその初期には「aPaaS」という言葉とセットで紹介されることがありました。日本語では、「インテグレーションPaaS(iPaaS)」と「アプリケーションPaaS(aPaaS)」と書かれることもありました。
「aPaaS」の語彙は結局定着しませんでしたが、我々が現在、普通に「クラウド(ないしはPaaS)」と聞くときにイメージするものは概ねは「aPaaS」的なサービスです。かなりざっくりした説明なのですが、
- 「普通のクラウド」(アプリケーションPaaS)
- iPaaS(インテグレーションPaaS);「つなぐ」ためのクラウド
つまり「iPaaSが必要だ」という話は、クラウドをしっかり活用するためには、私たちが通常クラウドサービスと呼ぶようなもの以外に「もう一つ」要素が必要であり、それをiPaaSと呼ぶことにした、くらいのことなのです。
iPaaSは特殊な用途とか隅っこを担うものではなく、クラウド活用の二大要素のうちの半分くらいの重要なものです。
クラウド活用では「つなぐ」必要がある
ではどうして「つなぐ」ことがそんなに重要なのでしょうか。
クラウドを活用するときには、事前に提供されているサービスを使います。例えばGoogleがGmailを提供している、クラウド経由で機械学習を使えるサービスがある、提供されているものを利用します。(基本的には)「私はこういう要望であって、それに合わせてシステムを作ってほしい」ではありません。
営業がSalesforceを導入してクラウドで営業管理システムを実現した、ユーザーサポート部が別のサービスを導入して顧客サポートをIT化した。そこまでなら問題ありません。
しかし本当にやらないといけないことは「自社の事業全体をITで支えること」です。単体のクラウドサービスで自社の諸事情にぴったりなものなどありませんから、必然的にさまざまなクラウドサービスを組み合わせて利用することになります。
- 個別のサービス:Salesforce、kintone、Gmailなど
- それをつないで組み合わせて、自分たちに必要なIT基盤にする
この「後者を実現する」クラウドサービスこそがiPaaSになります。
iPaaSが無い場合
iPaaSが無いままクラウド活用をするとどうなるでしょうか。
人間が手動で「iPaaSの代わり」をしていることが良くあります。例えば、営業部のデータをSalesforceから抜いてきて他のシステムに入れなおすような作業をずっとやっていたりしがちです。クラウドの手作業で困っていませんか?
あるいは独自にプログラムを開発してクラウドを連携させていることもあるかもしれません。しかし、クラウドの使い方をちょっと変えようとするたびに、そのプログラムの改修が必要になって困ったり、我慢して不便なままクラウドを使っていたりしませんか?
クラウドを導入したので、現場で便利に使っていたExcelを廃止してクラウドに統一しろと言われて逆に業務効率が下がった、そういうことはないでしょうか。なぜExcelもクラウドも両方使う発想がないのでしょうか。
これらは「そういうものだ」と思って諦められていて、問題が起こっていることすら気がつかないことも多々あるでしょう。
iPaaSで「つなぐ」ことで解決
上記のようなクラウド利用に関する悩みは、「つなぐ」ことが不足しているから起こっている問題になります。
- 個別のクラウドアプリケーションの利用
- iPaaSなどでつないで組み合わせる(こちらが足りていない)
「つなぐ」ことは忘れられがちですが、クラウド活用ではとても重要な要素です。例えば、以下のようなクラウドサービスがあったら上記のような悩みはどうなるでしょうか。
- GUIだけで様々なシステムやクラウドを「つなぐ」ことができる
(コードを書いてのプログラミングのような難しくて時間のかかることが必要ない) - GUI上でアイコンを配置するだけで、さまざまなクラウドやデータへの接続ができる
- 処理やデータの流れを線で「つなぐ」ことで、連携処理ができる
こういうものがあれば、Salesforceに接続するアイコンを配置し、kintoneに接続するアイコンを配置し、データの流れを線でつないで、必要に応じてデータの変換設定をするだけで、たちまちクラウド間を「つなぐ」連携処理が出来上がってしまいます。
クラウドサービスを導入したが、ある部署がExcelを使いたいというのなら、Excelを読み取ってクラウドにデータ連携してくれる処理を作れば、同じように解決できます。
クラウドの連携処理だけでなく、業務の自動化なども、必要に応じて迅速かつ柔軟に作りこめるようになります。新しいクラウドを導入したい、業務の現場の気づきからITを改修したい、素早く対応できるようになります。
業務で利用するiPaaSに必要なこと
iPaaSには様々なサービスがあります。個人が安価に使えるものもあれば、本格的なものもあります。業務を任せられるだけのしっかりしたiPaaSにはどういう性質が求められるでしょうか。
業務の基盤を担えるだけの性能と信頼性
業務を担うITシステムの一部として機能し、業務そのものを支えることになります。連携処理が止まると業務も影響を受けるため、それだけの信頼性や安全安心を担えるプロユースの製品である必要があります。
安定稼働はもちろん、クラウドサービスやインターネットの通信障害による異常終了など不測の事態があってもきちんと復旧できる必要があります。例えば多くのRPAのように、動作が不安定な連携手段ではリスクがあります。
多種多様なシステムやデータと連携できること
多種多様なシステムやクラウドと連携できることが求められます。特に、日本企業のITシステムで利用する場合には、主要クラウドへの対応のみならず、旧来から利用されているIT製品(国産のパッケージ製品や、メインフレームなど)にも対応している必要があります。
高い開発生産性と高い処理能力
通常のプログラミングよりも生産性が高いことが当然求められます。また、業務での利用では、大量のデータ処理が必要になる場合や、高い処理レスポンスが求められることがあります。本格利用が進んでデータ量が増えたころになって処理不能に陥っては大変なことになります。
クラウドサービスの開発基盤や開発言語によっては、そもそも高い処理性能が出しにくい場合もあります。しっかりした性能が出せる基盤と開発手段で作られている必要があります。
業務の現場が自分で使える使いやすさ+きちんと作りこめる
「つなぐ」製品は、業務の現場(あるいは業務の現場に近い「情シス」)が自分で使いこなせると、高い効果を発揮できます。ITで何をすべきかについては、現場の人が一番良く解っているからです。
業務の現場が自分で開発できるのであれば、クラウド活用は一気に進むでしょう。かといって、使いやすさを最重視すると問題があります。簡単な処理しか作りこめない「簡易な連携ツール」は使いやすいことが多いですが、業務に必要な処理を作れなくなって詰んでしまう問題が起こりがちです。現場でも利用できるが、本格的な作りこみ能力を持っているちょうどいいバランスが必要になります。
関係するキーワード(さらに理解するために)
- EAI
- -システム間をデータ連携して「つなぐ」考え方で、様々なデータやシステムを自在につなぐ手段です。IT利活用をうまく進める考え方として、クラウド時代になるずっと前から、活躍してきた考え方です。
- ETL
- -昨今盛んに取り組まれているデータ活用の取り組みでは、データの分析作業そのものではなく、オンプレミスからクラウドまで、あちこちに散在するデータを集めてくる作業や前処理が実作業の大半を占めます。そのような処理を効率的に実現する手段です。
- クラウド連携
- -クラウドを外部のシステムや他のクラウドサービスと連携させて利用すること。クラウドサービスの導入や活用をうまく進めるために、クラウドそのものの導入や活用と並んで重要なことが多いのがクラウド連携の実現です。
- Excel連携
- -現実のIT活用でどうしても無視できない存在がExcel。Excelを外部のITとうまく連携させることで、Excelの良さを生かしたままスムーズにIT活用を進められることがあります。
- ノーコード/ローコード
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当社が提供している「DataSpider Cloud」「HULFT Square」は、自社で開発しているiPaaSのクラウドサービスになります。
通常のプログラミングのようにコードを書くこと無くGUIだけ(ノーコード)で開発できるので、自社のビジネスをよく理解している業務の現場が自ら活用に取り組めることも特徴です。
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簡易な連携ツールならば世の中に多くありますが、GUIだけで利用でき、プログラマではなくても十分に使える使いやすさをもちつつも、「高い開発生産性」「業務の基盤(プロフェッショナルユース)を担えるだけの本格的な性能」を備えています。
IT利活用の成功を妨げている「バラバラになったシステムやデータをつなぐ」問題をスムーズに解決することができます。無料体験版や、無償で実際使ってみることができるオンラインセミナーも開催しておりますので、ぜひ一度お試しいただけますと幸いです。
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