データ活用コラム

自治体DXにおけるデータ連携の重要性と推進方法

自治体業務の効率化や市民サービス向上を実現するためにデジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されています。その中でも、データ連携はDX成功の鍵となる重要な要素です。現在、多くの自治体がDX推進を課題として掲げる一方で、データの統合や情報共有の遅れが、業務効率化や市民サービス向上の妨げとなっています。
本記事では自治体DXにおけるデータ連携の重要性を明らかにし、その具体的な推進方法を解説します。

データ連携

T.K - 読み終わるまで 4分

自治体DXとは何か

自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)は、地方自治体が直面する社会課題をIT等のデジタル技術の活用により解決を図る新たな取り組みです。

自治体DXは単なるデジタル化ではなく、業務プロセスやサービス体系を見直し、AIやIoT、ビッグデータ解析などの先端技術を駆使して市民と行政の関係を深化させます。これにより、自治体は行政サービスの質と効率を向上させ、市民生活の利便性を増加させるとともに、社会的・経済的課題への対応能力を強化し、持続可能な地域社会の発展に寄与します。

自治体DXの例

例えば、自治体のDXの取り組みとして、オンライン手続きの導入が挙げられます。従来は市民が窓口を訪れなければできなかった行政手続きが、デジタル化によって自宅や移動中でも手軽に行えるようになります。このような施策により、窓口業務が大幅に効率化され、市民の利便性が向上するとともに、自治体側でも負担の軽減が実現されます。また、自治体全体の業務効率やサービスの質を向上させるためのインフラ整備にも寄与します。

DXは、社会全体における最適化を目標とする、現代の課題解決と価値創造を支える柱の一つです。その意義を理解し、適切に推進することは、組織や地域が未来社会で持続可能な発展を遂げるために欠かせない要素となるでしょう。自治体をはじめ、あらゆる組織が積極的にデジタル技術を取り入れ、時代に適応した変革を目指すことが重要です。

デジタル化による利点

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デジタル化は、業務プロセスや市民サービスのあらゆる側面を効率化し、向上させるポイントです。従来の紙ベースの作業や手動でのデータ入力に対して、デジタル化の導入は多大な効果をもたらします。具体的には、作業時間の短縮やヒューマンエラーの軽減が期待できます。例えば、申請書類をオンラインフォームとして提供することにより、入力内容の自動検知機能やデータ収集の迅速化が可能になります。これにより、職員の手間が大幅に軽減され、正確な情報管理が実現できます。

さらに、デジタル化は業務効率化と市民サービス向上を同時に達成する手段とも言えます。地方自治体や公共団体においては、業務プロセスのデジタル最適化が進むことで、職員の負担は大幅に軽減され、人材や時間のリソースを別の重要な課題解決に向けることができます。このように、デジタル技術を活用することで、行政サービスが包括的に改善され、自治体の運営効率と市民満足度の向上が期待できるのです。

データ連携の重要性

データ連携とは、多様なデータを一元的に管理し、関連する機関やシステム間で情報を共有・活用するための仕組みです。自治体におけるデータ連携の基本を理解することは、DX推進において効率的な行政サービスを実現するために重要です。

自治体が効果的で質の高いサービスを提供するためには、データの標準化やシステム間の円滑なデータ連携が欠かせません。

自治体におけるデータ連携の現状と課題

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デジタル化が進む中、自治体におけるデータ連携は、業務効率化や市民サービスの向上を目指す上で重要なテーマとなっています。しかし、現在の取り組みにはいくつかの課題があり、解決策が求められています。

データ連携には技術的障壁や運用上の問題、さらにはプライバシーやセキュリティに関する懸念など多岐にわたる課題が存在します。特に、異なるデータフォーマット間での互換性の確保や個人情報保護における責任の所在は、自治体間の連携を妨げる主要な要因です。こうした課題に対応することが、業務効率化や市民サービス向上といった自治体DXの目指す成果を達成するためには不可欠です。

自治体における人材と技術力の不足

人材と技術力の不足は、自治体DXを推進する上で大きな障壁となっています。DXを推進するためにはデジタルスキルが必要になりますが、自治体職員は十分なスキルを持ち合わせていない場合が多いのが実情です。その結果、必要な人材を育成することができず、また市場においてもそのような専門家を安定して確保するのが非常に困難な状況です。例えば、クラウド技術の導入やAPI接続、データ分析といった専門スキルを有する人材が不足しているため、独自のデータ基盤を構築する力がなく、結果として外部のリソースやベンダーへの依存を強いられるベンダーロックイン状態の自治体が後を絶ちません。

データ連携を実現するための技術的アプローチ

自治体DXの中核となるデータ連携は、多様なシステムや形式をスムーズに統合するための技術的アプローチが不可欠です。

中でもクラウド技術の活用は、自治体DX推進における鍵となる要素であり、自治体内外のデータを効率的に収集・管理し、市民サービスを向上させます。また、クラウドサーバーは分散データの一元管理を可能にし、安全性と迅速性を兼ね備えたアクセス環境を提供します。

ハイブリッドクラウド

Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloudといったパブリッククラウドは、自治体DXを効率よく、安全に進める上で注目されています。

そして、オンプレミスとパブリッククラウドの双方を活用するハイブリッドクラウドも主流になっています。特定のセンシティブなデータをオンプレミスで安全に管理しつつ、拡張性が必要な業務はパブリッククラウドを利用することで、柔軟なデータ管理が実現します。このアプローチなら、高度なセキュリティと効率的なコスト管理を両立することが可能です。

実例として、ある自治体ではハイブリッドクラウドを活用し、市税データや個人情報などの重要データをオンプレミスで管理。一方で、なんらかの市民サービスにおける一般データ分析はクラウドで行う仕組みを採用しました。この取り組みは市民サービスの向上に寄与するだけでなく、運用コストの大幅な削減にもつながっています。

ハイブリッドクラウドを導入することで、自治体は安全性、スケーラビリティ、効率性を兼ね備えた最適なデータ管理が可能となります。この手法は、自治体DXを効果的かつ持続可能な形で進めるための鍵となるでしょう。

しかしながら、オンプレミスとクラウド間のデータ連携はより高度な知識とスキルが必要になります。そこで注目されるのが、ノーコード開発によるデータ連携です。

ノーコード開発

自治体のデジタル化が求められる中、「ノーコード開発」が大きな注目を浴びています。これはプログラミング知識が不要で、相対的に低コストかつ迅速にシステムを構築できる点で自治体にとって魅力的な選択肢となります。従来は専門知識や外部委託コストが障壁となり、デジタル化の進展が遅れていましたが、ノーコードの導入によりこれらの課題が解決しつつあります。システム開発が内製化しやすく、市民サービスと業務効率の両方が改善されることで、自治体全体の取り組みが一層加速するでしょう。

ノーコードを活用した自治体DX推進の成功事例

ノーコード開発によりベンダー依存を最小にした自治体DX推進が可能になり、多くの自治体で成功事例が報告されています。これらの取り組みにより行政運営がスムーズになり、他自治体への導入も目指されています。

長野県では、行政事務やインフラなどのDXを推進する「スマートハイランド推進プログラム」の一環として、データ連携基盤を活用した住民生活向上のための洪水予測などを推進しています。このデータ連携基盤は、ノーコード開発で構築したことにより、自治体内職員による運用や新規構築などの内製化を実現しています。また、洪水予測のために必要な雨量・水位等のデータを各市町村から収集する必要があったため、データ連携基盤を活用したWebサイト自動巡回(クローリング)による自動データ収集も実現しています。

活用事例 長野県 DX推進課

長野県では、先端技術を最大限に活用することを具体化する長野県DX戦略を策定し、「スマートハイランド推進プログラム」でDXを推進している。その中で市町村の負担を軽減しながらデータ収集を実現する、77市町村が活用できるデータ連携基盤の構築事例をご紹介します。

執筆者プロフィール

T.K

  • ・所 属:マーケティング部
  • セゾンテクノロジー入社後、EDIサービスの開発・運用エンジニアを経て、新規サービスのビジネス開発を経験。現在はマーケティング担当として、当社プロダクトでお客様の課題をどう解決できるかを模索し情報を発信している。
  • (所属は掲載時のものです)

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