Boxとのシステム連携を成功させるためのベストプラクティス
~APIとiPaaSの併用で効率化と柔軟性を両立~
近年、クラウドサービスの活用により日々の業務効率が大きく変化しています。その中で、Boxはファイル管理やコラボレーションプラットフォームとして多くの企業に導入され、さまざまなシステムとの連携による効率化が進んでいます。本記事では、Boxシステム連携の概要と最適な連携方法を解説します。
Seiji Hosomi
- 読み終わるまで 7分

Boxシステム連携の概要と基本知識
まずはBoxの特徴を理解し、どのように他のシステムと結びつくのか、その仕組みを押さえていきましょう。
Boxはクラウドベースで安全かつ柔軟なファイル共有を可能とするプラットフォームです。ファイルをオンライン上で一元管理できるため、チーム内外でのコラボレーションに適しており、時間や場所を選ばずに作業を進められます。
クラウドストレージとしての基本機能
Boxが提供するクラウドストレージとしての基本機能は、常に最新バージョンのファイルを共有できるバージョン管理や、フォルダ単位でのアクセス権限のきめ細かい設定です。これにより、担当者やプロジェクト単位で必要なデータを素早く展開でき、情報の取り違えを最小限に抑えることができます。また、ブラウザやモバイルアプリから簡単にアクセスできるため、社内外問わず柔軟な働き方を支援します。
Boxシステム連携の仕組み
Boxシステム連携は、外部ツールとBoxを橋渡しすることでファイル操作や情報共有をシームレスにする仕組みです。APIを直接活用する方法や、iPaaS(Integration Platform as a Service)を利用する方法など、多彩な選択肢が用意されています。これらの連携手法を活用することで、複数のシステムを統合したワークフローの自動化が可能になります。
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▼APIについてもっと詳しく知りたい
⇒ API|用語集
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▼iPaaSについてもっと詳しく知りたい
⇒ iPaaS|用語集
APIを活用した連携方法
開発者向けに公開されているREST APIを活用することで、Box上のファイル操作をプログラムで制御できるようになります。たとえば、ファイルのアップロードやフォルダ作成などを自動化し、既存システムとのデータ同期をリアルタイムで行うことも可能です。
iPaaSを利用したノーコード連携
iPaaSを活用すれば、コードを記述せずに複数のアプリケーションをつなぐことが可能です。Boxとの接続に対応したコネクターを利用することで、作業フローを直感的な画面操作のみで作成でき、導入速度を大幅に向上できます。小規模なプロジェクトや迅速なPoC(概念実証)に適した手法といえます。
Boxシステム連携のメリット
Boxとの連携により、業務効率化やセキュリティ向上など、さまざまなメリットを享受できます。
Boxシステム連携を行うことで、ファイルのスムーズな共有やワークフローの自動化など、チーム全体の生産性を高める仕組みを構築できます。大量のドキュメントを扱う部門では、承認業務のスピードアップや書類の紛失リスク低減など、多くのシーンでメリットが感じられます。
データ共有と業務効率化
Boxを利用すれば、ファイルをオンライン上で一括管理でき、リンク共有によってチーム内外への配布をスピーディに行えます。これにより、メールへのファイル添付やローカルドライブに保存されたデータの再送などの手間が激減します。常に最新の情報にアクセスできることは、プロジェクト全体の精度を高める大きなポイントです。
多様なアプリケーションやツールとの互換性
Boxは世界中の主要クラウドサービスやSaaSと高い互換性を持ち、SlackやMicrosoft Teamsといったコミュニケーションツールと簡単に連動できます。営業部門やマーケティング部門など、複数の部署が利用する各種業務アプリケーションとの連携も円滑に行えます。これにより、部門間で扱う情報の差異を埋め、より一体感のある業務体制を築けます。
セキュリティ面での安心感
Boxはクラウド環境にデータを預ける際のセキュリティを重視しており、企業情報を守るための多彩な機能を提供します。暗号化技術や監査ログの活用により、不正アクセスや情報漏えいを未然に防ぐことを可能にしています。こうしたセキュリティ対策を標準で備えているため、システム連携した際にも高い安全性を維持できます。
業務効率化に向けた連携活用事例
具体的な連携事例を知ることで、自社の業務フローにどうBoxを組み合わせればいいのかのヒントが得られます。特に、電子書類管理やマルチシステムでのデータ一元化などは、多くの企業が関心を寄せる分野です。Boxが持つAPIやコネクターを活用すれば、多種多様なシステムとの協調動作がスムーズに行えます。
請求書・契約書の電子管理
紙の書類を扱うと、紛失や取り扱いミスなどのリスクが付きまとうため、Boxを活用した電子管理が注目されています。請求書や契約書をBoxに取り込むことで、必要に応じた検索やアクセス制限を簡単に設定でき、監査対応などにも迅速に対応できます。書類をデジタル化することで場所を選ばず管理・確認できるため、業務のスピード感が格段に増します。
業務フロー自動化とデータ一元化
複数のシステムをまたいで作業する場合、データの重複登録や手動連携でミスが起きやすくなります。Boxシステム連携を中心に据えて、RPAやiPaaSと組み合わせることで、こうした工程を一元管理でき、手作業を最小限に抑えられます。ファイルの変更内容がリアルタイムで反映される仕組みを作れば、組織全体が常に最新の情報を共有できるようになります。
プロジェクト管理ツールでの応用
プロジェクト管理ツールにBoxを連携すると、タスクやスケジュール管理とファイル管理を一元化できます。たとえば、タスク画面から直接関連ドキュメントを閲覧・更新し、その内容を即座にメンバーと共有できるようになります。進捗管理とドキュメント管理が統合されることで、情報伝達のスピードアップと品質向上を同時に実現できます。
Boxシステム連携の方法
Boxとのシステム連携を円滑に進めるには、導入フローや設定ポイントをしっかりと把握しておくことが重要です。
導入段階では、まずBoxのプランや既存システムとの互換性を確認し、どのような手段で連携を実現するのかを選定します。APIをフル活用して高いカスタマイズ性を求めるのか、iPaaSを使って短期間で連携を構築するのかなど、事前の方針決定が重要です。適切な計画を立てることで、運用開始後のトラブルを大幅に低減できます。
コネクターを利用した簡易な接続方法
iPaaSなどが提供するBox用コネクターを利用すると、コードを記述することなく直感的なUIで連携フローを構築できます。たとえば特定のフォルダにファイルがアップロードされたら、別のシステムへ転送するようなプロセスを数ステップで作成可能です。これにより、導入初期の段階から運用試験を実施しやすくなります。
Box APIを用いたカスタマイズ
より高度な連携や独自の業務要件に対応するには、Box APIの利用が効果的です。たとえばワークフローの分岐や細かなメタデータの設定など、場面で自社独自の機能を実装できます。iPaaSが提供するAPI用コネクターを利用することも可能です。
Boxシステム連携に最適な連携ツール
コネクターは、コードを記述することなく直感的な操作でシステムを連携できるため、導入時の手軽さやスピードを重視する場合に非常に有効です。一方、Box APIは、より高度なカスタマイズや業務特有の要件に対応するために欠かせません。そこで、Boxとのシステム連携においては、コネクターの利便性とAPIの自由度を兼ね備えたツールを選定するのが良いでしょう。これにより、企業のニーズに応じた最適な連携方法を選択し、トラブルを未然に防ぎながら円滑な運用が可能になります。
クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」
HULFT Squareは、DX実現に必要な「データ活用するためのデータ準備」や「業務システムをつなぐデータ連携」を支援する日本発のiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)です。HULFT Squareでは、Box専用コネクターにより、コードを書かずに直感的なUIで連携フローを構築できます。さらにBox APIにも対応しており、より複雑な連携やカスタマイズにも柔軟に対応できます。コネクターとAPI、両方の機能を備えたHULFT Squareは、Boxとのシステム連携において最適な選択肢となります。
オンプレも、クラウドも。データのバラバラを、スルスルに。
iPaaS型データ連携基盤 HULFT Square(ハルフトスクエア)
HULFT Squareは、「データ活用するためのデータ準備」や「業務システムをつなぐデータ連携」を支援する日本発のiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)です。各種クラウドサービス、オンプレミスなど、多種多様なシステム間のスムーズなデータ連携を実現します。
HULFT Squareが備える豊富なBox連携機能
HULFT Squareは、システム連携に特化したツールであるため、HULFT SquareのBox専用コネクターには、Boxとのシステム連携で一般的に必要とされる機能を網羅しています。
以下はBoxコネクターの機能の一覧です。
コンテンツの操作 | フォルダ作成 | Boxのフォルダを作成します。 | ||
ファイルリクエストコピー | 指定したファイルリクエストをコピーし、Box上の別のフォルダに適用します。 | |||
コンテンツ移動 | Boxのコンテンツを移動します。 | |||
コンテンツコピー | Boxのコンテンツをコピーします。 | |||
コンテンツ削除 | Boxのコンテンツを削除します。 | |||
コンテンツアップロード | コンテンツをBoxにアップロードします | |||
コンテンツダウンロード | コンテンツをBoxからダウンロードします。 | |||
コンテンツ一覧取得 | 指定したBoxフォルダにあるコンテンツの一覧を取得します。 | |||
コンテンツ属性情報取得 | 指定したBoxのコンテンツIDからコンテンツの属性情報を取得します。 | |||
共有リンクの操作 | 共有リンク取得 | コンテンツの共有リンクをBoxから取得します。 | ||
共有リンク作成 | コンテンツに共有リンクを作成します。 | |||
共有リンク削除 | コンテンツから共有リンクを削除します。 | |||
ユーザの操作 | ユーザ作成 | Boxのユーザを作成します。 | ||
ユーザ更新 | Boxのユーザ情報を更新します。 | |||
ユーザ削除 | Boxのユーザを削除します。 | |||
グループの操作 | グループ作成 | Boxのグループを作成します。 | ||
グループ更新 | Boxのグループを更新します。 | |||
グループ削除 | Boxのグループを削除します。 | |||
メンバーシップ追加 | ユーザをグループのメンバーとしてBoxに追加します。 | |||
メンバーシップ削除 | Boxのユーザをグループのメンバーから削除します。 | |||
コラボレーションの操作 | コラボレーション追加 | Boxのコンテンツにユーザまたはグループのコラボレーションを追加します。 | ||
コラボレーション削除 | Boxのコンテンツからコラボレーションを削除します。 | |||
メタデータ | メタデータ読み取り | コンテンツのメタデータを読み取ります。 | ||
メタデータ書き込み | コンテンツにメタデータを書き込みます。 | |||
メタデータ削除 | コンテンツから指定したメタデータテンプレートのメタデータインスタンスを削除します。 | |||
コンテンツ検索 (メタデータクエリ) |
メタデータクエリを用いて条件に一致するBoxのコンテンツの一覧を取得します。 |
上記以外の操作については、HULFT SquareのRESTコネクターを用いたBox APIのコールによって実現可能です。
APIコール数制限とエコソリューション認定ツールの利点
Boxでは、月あたりのAPIコール数に制限が設けられています。具体的な制限はBoxのプランによって異なり、プランごとに定められた一定の範囲を超えてAPIをコールすると追加料金が発生します。APIコール数を大量に消費するアプリケーションやシステムの場合、APIコール数がプラン上限を超えてしまうことがあるため注意が必要です。
Boxのエコソリューションとして認定されたツールには、APIコール数による課金が発生しないという利点があります。Boxシステム連携を行ううえで、APIコール数を気にせず実行できるツールを選択することは、コスト面において非常に重要な要素となります。HULFT SquareはBoxエコソリューションとして認定された製品であり、APIコール数超過による課金が発生しません(※特定の設定が必要です)。
まとめ
Boxとのシステム連携において、HULFT Squareは非常に優れた選択肢です。Box専用コネクターにより、コードを記述することなく直感的なUIで連携フローを構築でき、導入のスピードと簡便さが大きなメリットとなります。またBox APIにも対応しており、より高度なカスタマイズや独自要件にも柔軟に対応できます。さらに、HULFT SquareはBoxエコソリューションとして認定されているため、APIコール数に関する追加料金が発生する心配がありません。業務のデジタルトランスフォーメーションを進める上で、HULFT Squareは非常に効果的であり、企業の生産性向上や競争力強化を実現するための強力なツールと言えるでしょう。企業にとって、システム連携をスムーズに実行できることは、効率化だけでなく、リスク管理にもつながります。HULFT Squareを導入することで、これらの課題を解決し、運用コストの削減と業務の効率化を同時に達成することができます。
執筆者プロフィール

細見 せいじ
- ・所 属:マーケティング部
- 都内のSierで約10年システム開発に従事したのち、2016年 アプレッソ(現:セゾンテクノロジー)にjoin。 データ連携ソフトウェアDataSpiderの開発エンジニア→プロジェクトマネージャーを経て、現在はマーケティング部でデータ利活用領域を担当。 システムエンジニア時代に培った IT システム活用経験をベースに、お客様の『データ利活用』『デジタル・トランスフォーメーション』を支援している。
- (所属は掲載時のものです)
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