HULFTイベントレポート:第17回
「HULFT Technology Days 2023」
今年も開催しました!(Business Day:その2)

2023年の11月に、3日間にわたって開催しました「HULFT Technology Days 2023」から、開催二日目の内容を引き続いてレポートいたします。

特別講演 データ経営 組織改革
データをビジネスインパクトにつなげる
ゼロから始める「DXチェンジマネジメント」
produced by NewsPicks Brand Design

柳瀬 隆志 氏
嘉穂無線ホールディングス株式会社 株式会社グッデイ株式会社カホエンタープライズ 代表取締役社長

西嵜 靖子 氏
株式会社セブン銀行 コーポレート・トランスフォーメーション部 AI・データ推進グループ データマネジメントオフィス 調査役

中道 薫 氏
NewsPicks Brand Design Creative Editor

データ活用に取り組む機運が高まっていますが、なかなかうまく取り組めている企業は多くありません。そういう状況も踏まえた上で、実際にデータ活用に取り組まれている二社に登壇いただきました。

社の事業の紹介、どのようなデータ基盤を活用しているか

最初に、両社の事業の紹介と、どのようなデータ活用に取り組んでいるか、どのようなデータ基盤を利用しているか紹介をいただきました。まずはグッデイ社から。

柳瀬氏は株式会社グッデイの代表取締役社長をされています。他にもグループ企業がありますが本日の発表はグッデイでの取り組みの紹介です。九州北部で64店舗のホームセンターを展開する事業を行っており、家業を引き継ぐ形で社長になられたそうですが、最初に取り組まなければいけなかったのは1990年代からITシステム開発に取り組んでいたために古くなっていたITを新しく作りなおすことだったそうです。

社内のデータ基盤は、自社システムから収集したデータをクラウド上のDWHに溜めており、そこから機械学習などで活用する、あるいはクラウド上で利用できるセルフサービスBIサービスであるTableauにデータを転送しており、ITスキルの高くない現場の人でもデータ分析ができる体制にしているとのことです。

次にセブン銀行での取り組みの紹介です。皆さんご存知の、コンビニエンスストアのセブンイレブンにあるATMサービスを提供しています。

社を変革してDXを実現する取り組みをされており、データに関する技術的なことだけではなく、企業文化の変革や従業員の意識改革、新しい取り組みが行われる組織とするように意欲向上やカルチャーの改革から取り組んでおられるそうです。

データ活用では全員に基礎スキルがあってデータ活用が行えるようにし、その上で高度なスキルを持った専門家が本格的なデータ活用に取り組んでいる状況を目指しています。そのために全社員にBIツールを導入してデータ活用に取り組んでもらい、様々なデータをタイムリーに収集してAIも使えるデータプラットフォームを整備して高度な取り組みも行えるようにしているとのこと。

社にあるデータ基盤をどのように活用させ成果につなげているか

引き続いて、各社が整備したデータ基盤をどのように活用させ成果につなげているかを紹介いただきました。

データ活用の意欲や社内カルチャーが最も大事だと考えており、それを改善する取り組みを重視しているとのこと。また、データを使いたいと思ったときにデータやツールで活用しやすい状態に整備する、解らないことがあった時には支援する体制も整備しているとのこと。カルチャー作りのために社内コミュニティを立ち上げてから1年半、メンバー0名のスタートから248名まで増やすことができ、データ活用の意欲が高まり、スキルも向上。データ活用環境も次第に整ってきたとのことでした。

こういうのが必要だから作りませんかという声掛けや、まずはやってみようという文化、教えあう文化が大事だと考えています。何かやろうと思ってもすぐ詰まってしまったり、バグが出てしまったり、操作方法が解らないようなことになりやすい。そこでお手上げになるのではなくて、みんなで学ぼう教えあおうというカルチャーにしようとしている。

グッデイ社においても、毎週水曜日の5時から6時は皆で集まって、全社導入しているBIツールであるTableauの道場を開催し、教えあっていたそうです。その活用での中心人物は、Tableau社のフォーラムでも社外のユーザに対して毎週何件も回答するくらいになっていて、グローバルアンバサダーとして表彰されることもあったそうです。このような「教えあう文化」は、お店の本業でそういうことが実はできていなかったそうですが、データ活用の取り組みを経てそちらでも出来るようになったとのこと。

次にグッデイ社での取り組みです。こちらでもデータ活用に複数のスキルレベルを設定して全社で広く行う取り組みと、ハイレベルな人材を育てる取り組みをともに行っておられました。

基礎理解は全員に義務付け、初級のデータ活用として先ほども話にあったTableauを用いたデータ活用ができるスキル、統計が解りSQLが書けて簡単なPythonも使いこなせるなどの中級のスキル、そして社内の第一人者として高度な取り組みができる上級レベルのスキルが設定されているとのことでした。

研修では例えば、SQLなら実務的に必要になりそうな分析作業を例にして学習し、半年間業務時間内で毎週数時間実施します。研修が終わると発表会を行っているそうですが、最初の発表会ではデータを可視化しているだけの今一つのものが多いものの、それにコメントをしてブラッシュアップすると役に立つものを作るようになるとのことでした。試してみないと自分が何をやりたいのか気がつかないし、そのために誰に何を聞いたらいいのかもわからないので、実際にやることが大事とのこと。

データ活用で成果が上がった例

最後に各社におけるデータ活用で成果が上がった例の紹介です。

昨今、電気料金が急に高くなり各社でも困っていると思います。グッデイ社でも電気の支払いが4割は上がるだろうと言われていました。そこで、店舗ごとに30分毎にデータを可視化し、電力使用量2割削減を目標にし、結果としては2割以上の削減に成功されたそうです。

冷蔵ショーケースの冷蔵は切れないけど照明を切ることができる、無駄な電気を消す、エアコンを省エネモードで動かすなど、各店舗の気付きによって削減がなされました。データを可視化したら行動が変わった事例であり、さらには改善しようと思った取り組みが実際にどうだったのか、3日後に実際にデータで確認できることから、モチベーションにつながったとのことで、これだけで数千万円レベルのインパクトがあったとのこと。

次に、売り上げ予測や利益額の予測での活用にとりくんでいるとのこと。値段をどう設定すると売り上げがどうなるのかを回帰分析で明らかにし、そこから粗利を最大にする価格を見つけることをしています。回帰分析は難しいことではないし、知っている人も多いが、このように役に立つことで活用するところまで持って行くことが難しい。

経営者ですが、自分自身でITを使ってみて理解するなど情報収集に努めているとのこと。知っていることで導入の判断もできて会社に生かすことができる。また、回帰分析は簡単にできるので外部から案件として提案されないが、しかし概念とやり方を理解すれば誰にでも実施でき自社の役に立つ。そういうものは役に立つのに外部から提案されず、自分たちでやるしかない。そういうことも実際にやってみて体感する。下から専門家に提案してもらうよりも、上の人が理解して下に落としてゆく方が効果は出るのではないかと思っているとのこと。

また今後は、ChatGPTを使ってデータを可視化してもらうことなどに取り組みたいと考えているとのこと。

そして最後にセブン銀行での取り組みです。DXで成果を出すため、成果を出す種に気がついてもらうために、ニュースなど世の中の変化や新技術に触れてもらうようにしているとのこと。および意識改革や、手厚い内製研修制度による体系的にまとめた研修でデータスキルの向上に取り組んでいるとのことでした。BIレポートへのリンクや、データがある場所へのリンクと説明、解らないことを調べる方法など、データ活用に取り組みやすい情報を集めた社内ポータルも整備しているとのこと。

成果としては、フィリピンでのATM機の現金補充を最適化する取り組み、インドネシアでのATMの設置判断、コールセンタでの問い合わせ内容の自動整理の実現などが紹介されました。また今後も引き続き、各現場へのデータ活用の定着を目指して取り組みを進めてゆくとのことでした。

最後に、データ活用がうまく取り組めていない方々へのメッセージをお願いしました。

興味を持ってデータを触ってみることが大事であり、まず試してみることが大事であること、まずやってみることが大事で、やってみたことで見えてくることがあること、失敗してもいいのでやってみて、前に少しずつ進めてゆくことを、最後に皆様へのアドバイスとして頂きました。

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サプライチェーン全体のCO2算定・削減のポイントと『アスエネ』を用いた脱炭素経営

岩田 圭弘 氏
アスエネ株式会社 Co-Founder 取締役 COO

次はアスエネ社のセッションの紹介です。これまで他のセッションのレポートでも紹介した温暖化ガス排出に関連した話で、基本的な事情はこちらでも同じです。

環境問題への対応と聞くと心がけの問題のようなものだと思われがちながら、今では実務上取り組むことが避けられない話になりつつあります。こちらのセッションでも東証プライム市場に上場している企業に対して、気候変動リスクの実質開示義務化がなされたことが大きいことが紹介されていました。今後、プライム市場以外にも義務化が広がる可能性もあります。

排出量計算では、その範囲について「スコープ1」「スコープ2」「スコープ3」に分かれますが、それぞれどういうものか紹介を頂きました。自社の生産活動に伴う排出や、原材料の生産などはまだわかりやすいのですが、スコープ3となると出張に伴う移動での排出量や、商品の流通や廃棄での排出量など広い範囲が対象となり難しくなります。そしてその難しいスコープ3の算定をしているかどうかが、今後の企業間での取引で重要になってくるだろう、とのことでした。

自社では排出量の算定と公開が必須ではなくても、取引先の大企業がデータとして必要とすることがあり、あるいは排出量が少ないサプライヤーと取引することで自社の排出量をよくする動きも出てくると思われます。そうなると、自社で取引先が必要とする排出量を計算できるようにしておかないと、他社に取引先を奪われるようなことが今後は起こるかもしれません。実際、現時点でもすでにサプライヤーに排出量の算定と削減を義務付ける動きがみられるようになっています。

排出量の計算は、消費量に消費量当たりの係数をかける形で行われます。例えば電力消費量に日本の電力での標準係数をかけて計算をします。しかしそれでは環境対策が進んでいるサプライヤーから購入した場合とそうでない場合の結果の差が出ません。

それではサプライヤーを選ぶことで排出量削減したい企業にとっても、省エネで他社に対して競争優位になりたい企業にとっても良くありません。個別の係数を使って算定する必要があります。そしてそのためには、自社の排出量をしっかりと計算して外部に提供できるようになっている必要があります。

特に、他社との関係が大きくなるスコープ3での間接排出量の計算では活動が15のカテゴリに分類され、それぞれ該当する算出方法を用いて算定をする必要があることが紹介されました。サプライチェーン全体での計算をする場合にも、調達・生産・流通・販売・廃棄までの広い範囲が対象として、必要な情報を取得して計算する必要が生じます。

アスエネ社ではそのような手のかかる排出量計算をサポートする製品を提供しており、関連するコンサルティングの提供も行っており、さらにはESGの他の要素である人権に関する同じような確認(サプライチェーンに人権を無視した生産活動がないかなど)を行う製品も提供しています。

最後に、弊社の「つなぐ」製品であるHULFT Squareと組み合わせた活用についても紹介を頂きました。アスエネ社の製品では排出量計算を洗練されたUIで解りやすく行うことができますが、計算をするためには計算の元になるデータが必要で、これまで説明した通り、排出量計算のためには企業活動に関連した非常に多くのデータを集めてくる必要があります。

必要となるデータは社内システムや各種クラウドサービス上に散在し、データフォーマットなどもそれぞれ異なります。それらを、HULFT Squareで自動的に収集してデータ形式を変換してアスエネ社のシステムに連携すれば、集計にかかる工数は大きく減りますし、計算ミスも減り正確な数値を出しやすくなります。

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電子印鑑GMOサインで実現 サービス連携でかわる契約業務とDX推進

佐藤 浩文 氏
GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社 電子契約事業部営業セクション パートナーグループ チーフ

次はペーパレスの実現に必須の技術である電子署名サービスについてのセッションになります。最初に社の歴史の紹介を頂きましたが、実は電子署名サービス提供までに、クラウドホスティング(つまりレンタルサーバ)事業をまず行っており、そこからサーバ証明書を提供するサービスを提供していました。その取り組みをベースにして電子署名サービスを提供しているとのことでした。

現在国は、行政手続きの9割である500以上を電子化する方針で取り組みを進めています。自治体も電子契約を採用しつつあり、民間においてもペーパレス化の取り組みや海外とのボーダレスな取引が広まりつつあります。電子的な取引が必要になる状況があります。

電子化は一見簡単に実現できるようにも思えます。Wordを添付ファイルで送付するようなもので大丈夫に思えることや、従来の契約書をスキャナでイメージ化する程度で実現できるように思われていることもあります。しかし、電子データはデータのコピーや改変が簡単にできてしまう問題があります。そのために電子化すると、この書面は誰が作成したものか、改ざんされていないのかどうか、あるいはこの書面の内容に同意したことを証明することなどが難しくなってしまう問題があります。それでは業務に必要な他社との契約などができず支障があります。

紙の書類では全く同じようには複製が難しいことと、署名と捺印を行うことでそれらに対処してきました。紙の書類に署名捺印してあっても、それをスキャンして電子化してしまうと、画像加工により内容の改変や、存在しない書類が存在したかのようなことができる可能性があります。あるいはこれが、IT化が進んだのに紙での処理が残りがちだった原因でもありました。

そこで電子署名サービスは、暗号技術(公開鍵暗号)を使うことにより、「この書類は私が作成したものです」とか、「この書類の内容に私は同意しました」などを確認可能にしています。内容が少しでも変更されると検出できるので改ざん検知もできます。暗号技術を用いて技術的に解決しているため、ある意味、従来の印鑑や署名よりも強固になったとも言えます。

さらには、いつ作成されたものか確認できるようにタイムスタンプサービス(その時点でそのデータが存在した証拠を残すサービス)も活用されるようになっています。法律的にも署名捺印による意思表明と同様に扱われるようになり、社会的にも電子署名でビジネスが行える環境の整備が進みました。

紙をなくせば環境対策にもなりますし、業務は効率化し、リモートワークもスムーズに実現できるようになり、海外とのボーダレスな取引もスムーズに行いやすくなります。また、従来の書面での契約では法務部はもちろん、営業部や開発部でもかなりの手間がかかっており、さらには、紙で現場から社長まで承認を上げていては手間がかかるのでスピーディーな取引の障害にもなっていました。

電子署名サービスの活用は、DX推進においてもっとも効果が高いものの一つでお勧めであるとのことでした。

最初に説明があった通り、ゼロから電子署名サービスを始めたのではない経緯があります。「https」のサーバ証明書を提供する電子認証局を長年運営してきた実績があり、その技術と経験を生かして安全安心なサービスを提供しています。例えば、認証局の署名の秘密鍵が盗まれる事態への対策の実施や、事件が起こった場合の対応を常に訓練しており、そのような安全安心を確保する高度な取り組みを電子署名サービスでも取り入れています。

他社にはないスピードで新機能を追加しており、契約印タイプ(立会人型)と、実印タイプ(当事者型)の両方があるサービスは珍しく、さらにはアカウントを持っていない人にも無償でサポート提供をしており不安を取り除いて安心に利用できるようにしているなど、サービスとして機能充実に努めています。

さらには、他社の電子署名サービスからきた電子署名付き文書であってもGMOサイン上で契約の締結ができ、文書を一元管理できる利便性の高いサービスも提供しています。

マイナンバーカードで本人確認して、それで署名する機能もあります。マイナンバーカード自体は署名に使わないことがポイントで、それにより長い間安心して利用できるようにしています。もしマイナンバーカード由来の情報を署名に使ったら署名した文書を個人のPCで保存できなくなり、そのサービスが提供終了したら契約書が台無しになる可能性があります。そのような事態にならない工夫です。

また、署名までは必要ない場合でもタイムスタンプだけでの利用をできるようにしています。

電子署名サービスはそれ単体で利用するものではなく、他の様々なIT利活用で生じたドキュメント等に対して、電子署名やタイムスタンプをつける形で利用する必要があります。よって、企業内の様々なシステムやクラウドサービスと組み合わせて利用することが必要になります。GMOサイン自体が多くのサービスと提携し、他サービスの連携にも対応するとともに、iPaaSであるHULFT Squareとの連携にも対応しており、HULFT Squareにより社内外の様々なデータを自由自在に連携して使いこなし、さらには電子署名とも組み合わせて利用することができるようになっています。

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業務効率化のカギは連携にあり!コア業務に取り組む価値ある時間の創り方

黒田 純平 氏
株式会社エイトレッド 事業推進部 課長

次のセッションでは、ワークフローシステムの活用について紹介を頂きました。

ワークフローシステムとは、申請フローなど担当者をまたがって行われる業務の流れをITシステム上で実現するシステムのことです。部署や役職に関わらず全社員が利用することや、企業の意思決定に関係する重要な業務を担っていることが特徴です。そのため、ワークフローシステムの活用により多くの効果が見込めます。

ITを導入して業務効率化と言いますが、具体的にはどういうことなのでしょうか。調べてみると業務の「ムリ」「ムダ」「ムラ」を排除して効率的に業務を遂行できるようにする仕組みだと書いてあったそうです。

昨今ではIT導入による業務効率化が取り組まれていることが多く、その中でもペーパレス化に取り組んでいる企業が多いことは各種調査からも確認できます。しかし、ペーパレスにしたら業務効率は上がったのでしょうか。気になる調査結果があります。

中小企業のバックオフィス担当者に聞いたところ、多くの企業ではシステム化は進んでいると回答があるものの、業務負担は軽減されておらず、業務効率化は出来ていないと回答しているのです。

企業活動においては紙であろうと、WordやExcelの形であろうと、書類での事務処理があふれかえっています。紙を単に電子化しただけでは、書類に関連する多くの業務はそのまま残ってしまいます。その結果、そのような業務を担っているバックオフィスの人たちの業務効率改善はなされないことになります。

そのまま電子化しただけでは、書類が届いた後に行う処理は同じで、担当者ごとにあちこちのシステムを参照して作業することになります。その作業は紙の時とあまり変わりがありません。DXとは単なるデジタル化のことではなく、デジタル化を経て変革を実現することです。そこを改善しなければ、業務をデジタルで変革できたとは言えないのではないでしょうか。

また調査によると、一社平均で導入されているSaaSの数は今では8.7に及んでおり、今後も増えるはずです。その結果、各クラウドが提供する似たような機能をどのように使うかの問題が生じがちです。特に、ワークフロー機能に類する機能は、今や多くのクラウドサービスが備えています。そのため、部署によって、あるいは業務によって、様々なクラウドのワークフロー機能が利用されていて、利用者にとってわかりにくく、管理者にとっても管理コストが高くなっていることがあります。

調査においても、システム化を行ったのに業務が効率化されていない理由として、様々なシステムに二重入力をする必要が生じていることが挙げられています。そこで、エイトレッド社では、今や多くのクラウドサービスに承認フローの機能などワークフローの機能はあるけれども、しっかりした機能のある専用のワークフロー製品を導入し、そこでワークフロー利用を統一することで、二重入力の問題を減らすべきだと考えています。

引き続いてワークフローシステムによる業務効率化の例です。新規取引における与信調査において、入力された情報から与信管理システムや反社チェックシステムを参照して、その調査を自動的にドキュメントに書き戻すことで効率化する例、同じようにインボイス制度対応で国税庁のデータベースを自動参照する例です。従来は人が書面に対して手作業で行っていた作業が自動化されています。

このようなデータの自動連携にも専用の製品があります。EAIやETL、iPaaSと呼ばれる製品カテゴリの、弊社のDataSpiderやHULFT Squareです。エイトレッド社のワークフロー製品との連携も可能となっているので、データ連携やデータの自動処理は、より本格的な処理機能と多数の連携先との連携機能を持つ弊社製品で担い、ワークフローの機能はエイトレッド社の製品で担うような組み合わせ利用をすることもできます。

クラウドにオマケでついているようなワークフロー機能とは違って専用製品なので、複雑な承認フローの実現など、多くの製品では機能がなく諦められることもあるようなものでも実装できるだけのしっかりした機能があります。また日本のビジネス習慣にあわせたワークフローのサンプルも1000以上のものが事前に用意されています。

ノーコードで見た目を作ることができ、旧来のExcelでの書類と似せたものを見た目そのままで作ることもできます。

複雑な承認フローの作りこみにも対応しています。

先ほど紹介したように、一部入力の自動化など業務の自動化にも対応しています。また、申請フローなどでは、入力者ごとに入力できる項目を制限し、間違ってデータ更新してしまうことを防いでミスや手戻りを防ぎ、どこが入力すべき部分なのかわかるようにして作業漏れを防止し、業務効率化を実現しているとのことでした。

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貿易DXプラットフォーム「TradeWaltz」と他社・PF連携の加速 ~HULFT Squareによるレバレッジ~

染谷 悟 氏
株式会社トレードワルツ グローバル&アライアンス事業本部 マーケティング&セールス本部執行役員COO、CMO

次に、貿易に関する多くの事務作業をデジタル化する取り組みを進めておられるトレードワルツ社のセッションです。トレードワルツ社は3年前にできたベンチャー企業ですが、その実は誰もが知っていて日本を代表するような大企業多数が出資しているジョイントベンチャーです。

現在、日本の貿易額は年々増えており、それに伴って貿易に関連する手続きの事務作業量も増えつつあります。しかしながら、貿易プロセスが大変非効率であること、また貿易の実務担当者が不足していることから、貿易の持続的成長を支えることが難しくなりつつあります。

どうしてそんなことになってしまったのでしょうか。まずは、日本の貿易実務が非効率で他国に対して効率化できていないことがあります。ただし日本だけが非効率の問題を抱えているわけではなく、他国でも効率性の低さが問題にされていることがあります。

またそもそも、貿易実務はそもそも本質的に複雑すぎるところがあり本質的に非効率的なところがあります。下の左側(あるいは二つ目の)図では丸で囲まれているものが貿易に関連する組織であり、それら組織の間をPDFや紙で大量の書面が行き交っていることが解ります。何かを輸出入するたびに、こんなに大変なことが行われているわけです。

貿易の大変さと聞くと、海外との間で荷物を運ぶ大変さを想像するかもしれません。しかしながら、例えば港にコンテナは既に荷揚げされているが、その後の大量の手続きや確認作業、権利の変更などが大変なのがどうやら実情のようでもあります。

その結果、無駄に時間かかり、無駄にコストがかかり、荷物が事務処理的に今どうなっているのかが確認できなくなり(事故が起こっていてもすぐにわからない)、さらにはそんな無理な業界では人材の育成も確保も難しくなります。確かに良くありません。

この状況をITの力で何とかしようとしているのがトレードワルツ社になります。貿易に関わる多くの分野の産業を横断した貿易実務のプラットフォームを構築し、従来、紙やPDFなどでバラバラな書式で取り扱われていた手続きを共通データフォーマットとし、貿易実務をその上で完結できるようなプラットフォームの構築に取り組もうとしています。

貿易実務の問題を解決しようとする取り組みは過去に無かったわけではありませんが、なかなかうまく行っていません。そこでこの取り組みではブロックチェーン技術を用いるなどして、過去にはない形で問題を解決しようとしています。

ブロックチェーンが用いられているのは、所有者(管理者)が存在しないデータベースであるためです。どこかの会社が統一データベースを作ることは出来ますが、その会社が必然的に胴元になってしまいその界隈を支配する形になりかねません。ブロックチェーンは特権管理者不在で内容の整合性を保てる技術であり、どういうデータがどういう経緯で登録されたのかも完全に透明で確認できます。多くの企業に公平に参加をお願いする前提としては適しており、そのため採用されています。

そのような経緯もあり、貿易に関連する18社のコンソーシアム活動としてスタートしています。取り組みを進めるにあたって貿易業務に国しか担えない業務も出てきたため、経団連の働きかけで民間でも担えるように法改正してもらうなどの取り組みもあったようです。

今では64社がサービスを有償利用するなど、試験段階から実務的にも利用される段階に移りつつあります。

実際の活用例も挙げられていました。従来は荷主が物流会社へ航空荷物を手配する際に、社内システムから手作業で書類を作って送付、受け取った側はそれを再度社内システムに入力し、届け終わった後でその情報をシステムから取り出し、書類を作って荷主に結果を送付、荷主は結果を再度システムに入力、と数多くの手間がありました。

明らかに無駄ですが、どうやら貿易実務の界隈では一般的に、このような手間が蔓延しているという説明でした。TradeWaltz導入後は、荷主のシステムからTradeWaltzを経由して物流会社にデータが自動連携されるだけで無駄な書類作業は無くなり、スマートな形に変わりました。

最後に、弊社から尾崎が登壇させていただき、弊社とトレードワルツ社の協業について紹介させていただきました。

このように、かつてない形で貿易に関する事務作業を「つなぐ」ことに取り組みつつあるTradeWaltzですが、まだ大きな問題が残っていました。それは、TradeWaltzのデータ形式と各社システムのデータ形式との相互変換や、そもそも関係する社のシステムにあるデータにアクセスして、TradeWaltzとの間でデータの出し入れをする必要について、どうするかでした。各社のシステムは当然バラバラですから、データ形式もそれぞれ全く違います。

様々な場所にある様々な形式のデータにアクセスする必要があるだけではなく、業務の必要に応じて一度作った連携を改修する必要も出てきます。そこで注目頂いたのが、HULFT SquareやDataSpiderの多種多様なシステムやデータとGUIだけで「つなぐ」能力です。外部システムと連携する部分を弊社システムが担うわけです。

実際に連携の実証実験も行いまして、両社の製品を組み合わせた取り組みがうまく機能することも確認できました。

HULFT SquareならAPI連携はもちろんファイル連携、データベース連携、Box経由やクラウドストレージ経由などインターネット経由の連携もできます。様々な形式でデータを受け取り、データ変換はもちろん業務上の処理も作りこむことができ、その結果をTradeWaltzに反映することができます。

TradeWaltzは企業や業界の枠を超えた非常に広い範囲での企業間連携を実現し(あるいはその取り組みに注力し)、その可能性を各企業のシステムに「つなぐ」部分を引き受ける組み合わせでの協業です。

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