HULFTイベントレポート:第14回
「HULFT DAYS 2022」 今年も開催しました!(その3)

2022年11月8日から11月10日の三日間にわたり、今年も開催しました「HULFT DAYS 2022」から、開催一日目のオフライン会場の様子をレポートいたします。

全三回でお届けするレポート記事、今回で最終回です。

お客様事例

世界的エンタテインメント企業がDX活用を語る

Vasi Vasikaran(SQUARE ENIX GROUP Director of Business Applications SE West (EMEA and Americas))

次の登壇は、皆さんご存知のスクウェア・エニックス社の海外法人でDataSpiderを活用いただいている事例になります。 一般の方がゲームに関連して利用するシステム部分ではないのですが、会計システムなどの業務システムの側で採用いただいており、今回、業務を支えるITシステムを統括されている担当の方に登壇いただきました。

多くの組織でありがちなことですが、組織の成長や事業の拡大に伴い、様々な業務システムが社内に導入され活用されていたものの、それらシステム間はバラバラなままで十分には連携できていない状況がまずありました。

その結果、個別システムでのIT利活用はなされていても全体最適が実現できていませんでした。業務システムでよく起こる問題です。

そのような問題を解消するために個別開発(通常のシステム開発)でシステム間連携を作りこむと、ITで何かを新しいことをするために連携処理の変更も併せて必要になってしまい、その度にコストも時間もかかってしまいがちです。

そこで、個別開発ではなく連携ツールを利用してシステム間連携を実現し、必要に応じ迅速にシステム間の連携処理を作成し変更できるように、その基盤として「HULFT Integrator」(DataSpiderを欧米で販売する際の製品名)を導入いただいています。

日本法人でDataSpiderを既に利用いただいている実績があり、その良い評判をすでに聞いていたこと、さらには海外製の有名なiPaaSとも比較検討したうえで、DataSpider(HULFT Integrator)を採用いただきました。

2022年の早いころから導入検討いただいており、製品をレビューし、セキュリティ面で問題がないかの検討、さらには「EDIで必要になるデータ転送を想定して850種類のXMLのフォーマットでのPoC(Proof of Concept)の実施」などを経て、実現したい連携処理を実現できる性能や機能があるかなどを検討いただき、その結果採用を頂きました。

DataSpiderでの連携処理の開発は、アジャイル的に反復型で取り組んでいます。開発と評価を順次行っており、うまく進んでいます。財務やセールスに関係する連携処理を作っており、次は財務関連に手掛けたいと考えており、2年くらいで全体最適化を完了したいとのこと。

全世界で活動しているグローバル企業の財務システムのDXで活躍されている立場ですが、最後に日本語で「七転び八起き」の言葉で、ポジティブなアウトカムを日々出すようにしましょうという話で発表を締めくくっていただきました。

パネルディスカッション

DX推進の壁とそれを乗り越えるためには

福田 智宏(アズワン株式会社 執行役員 DX推進本部 本部長)
虻川 勝彦(カシオ計算機株式会社 デジタル統轄部 統合プラットフォーム部長)
小野 和俊(株式会社クレディセゾン 取締役 兼 専務執行役員 CTO 兼 CIO)
石田 誠司(株式会社セゾン情報システムズ 取締役・事業推進管掌 兼 上席執行役員 DIビジネス統括 兼 データプラットフォームビジネスユニット長)

一日目の最後、久しぶりのリアル開催だからこそのプログラム、パネルディスカッションで締めくくらせていただきました。

今回のテーマは「DX」ですが、取り組みがうまく進められず苦労されている組織は多いと思います。そこで「DX推進の壁とそれを乗り越えるためには」をテーマとして、事業会社でのDX推進に取り組んでおられる方々に登壇をいただきました。

ITそのものを事業としない事業会社では、ITエンジニアが十分に確保できないなど、デジタル活用には様々な苦労がどうしてもあります。そのような状況で、昨今「DX」と呼ばれるような取り組みをなされてきた方々です。以下は当日の紹介順です。

福田 智宏 様(アズワン株式会社)

アズワン社はビーカーやマスクなどを取り扱っている、研究用機器や計測機器などの「科学機器の販売を行う商社」です。社員数は600名以上と大規模企業ではないが零細でもない、世間的には中堅企業と呼ばれるくらいの規模で、750万点にも及ぶ大量の商品を取り扱っていることも特徴です。

虻川 勝彦 様(カシオ計算機株式会社)

皆さんご存知のカシオ計算機にて、デジタル変革の実現に取り組んでおられます。京王電鉄でのデジタル活用推進の活躍などを経て、現職に就かれています。 「kintoneエンタープライズユーザ会」の最初の会長もされており、「業務の現場からITの利活用に取り組む活動」に以前から取り組まれてきました。

小野 和俊 様(株式会社クレディセゾン)

本日二回目の登壇を頂きました。クレディセゾン社のCTOの小野様に登壇いただきました。 元々はスタートアップ企業であるアプレッソ社でDataSpiderの開発者を率いておられました。現在では、クレディセゾン社でデジタル活用の推進に取り組んでいます。

  • 一回目の登壇内容(クレディセゾン社での取り組みについて)、は前回の記事でレポートさせていただきましたのでそちらも併せてご覧ください。

石田 誠司(株式会社セゾン情報システムズ)

司会として弊社石田が進行をさせていただきました。

以下パネルディスカッションでのやり取りから、印象的だった内容を抜粋して紹介します。

失敗を避けるために:小さい確実にアウトプットが出るものから取り組む
福田 様(アズワン)

DXと聞くと、取り組みが大変でなかなか成功が難しい印象があります。実際、うまく行かずに苦労されている社も多いと思います。成功すること自体が難しいのですが、しかし成功しないと活動自体が理解されず、取り組みに必要な支援が得られないこともあります。

そこで「ペーパレス化など、単年度・小さい費用でアウトプットが出やすいものから取り組んだ」とのことでした。そうやって成功の実績を作ってから、難しいことに取り組むとスムーズに取り組めます。

失敗を避けるために:最初から全部説明しない
虻川 様(カシオ計算機)

デジタル活用の推進では、すぐに実現ができず成果もすぐに出ないことに、時間と手順をかけて取り組む必要がある場合があります。しかしながら、そういう取り組みには十分な賛成や理解、支援が得られないこともあります。

そこで、これから取り組もうとしていることについて、既に1から10まで考えてあるけれども、まずは1について説明をして、それで取り掛かるやり方があるとのことでした。1から10まで全部説明をすると異論や反対が出てしまうような場合でも、そうすると着手しやすいとのこと。

失敗を避けるには: 信用を積み上げてから取り組みをする
小野 様(クレディセゾン)

こちらも、「取り組みを始めること自体が大変」の前提での話題。
取り組むべきことの前に、その人の役に立つような実績や評判をまず先に積み上げ、信用を積み上げてから、DXの取り組みに取り掛かるとスムーズだという意見。

世の中には、大変革を容赦なく一気にドーンとやらないといけないとする意見もあるようですが、今回登壇いただいた方々はいずれも「まずは無難なところから小さく始める」「その成功を元手にして、腰を据えて取り組む必要のある課題に着手する」考え方のようです。

「CXかEXか」
小野 和俊 様(クレディセゾン)

DXに取り組むとして、あれもこれも欲張りすぎて実施できないロードマップを作ってしまう、あるいは新技術の導入がいつの間にか自己目的化してしまって成果が出ないような失敗はありがちです。しかしながら、何に取り組み、何に取り組まないかの線引きは、なかなか難しい課題です。

このような失敗を避けるため「CX(顧客体験の改善)かEX(従業員体験の改善)」のどちらかに該当するか?を判断基準にされているとのことでした。

クレジットカード業界では発行枚数を競うような雰囲気があるそうですが、本当に大事なのは「契約を頂いた後」のはずで、そのクレジットカードで何をしてもらうかのはず。それにデジタル技術で貢献するなら、顧客体験(CX)の改善には取り組む必要があります。 そして、働いている人が良い体験をしていないのに、顧客に良い体験を提供できないと考えて、従業員体験(EX)の改善にも取り組む必要があると考えているとのこと。

情シス的な部門でのモチベーション:社内から「ありがとう」と言ってもらおう

事業会社でデジタル活用に取り組む場合、自分たちがやりたいことに必要なエンジニアを大規模に採用して新規に部署を作るようなことは、現実的には難しいことです。十分な人材採用はたいていできないので、そうなると従来から社内にいる「いわゆる情シス的な人々」がDXにも取り組むことになります。
従来からの業務だけでも大変なのに、「DXをやれ」と言われても大変で、なかなか取り組みが進まないことはあると思います。しかしながらDX的なことに取り組むと、これまで他部署から「叱られること」が多かった情シスに、「ありがとうと言われる」これまでにない体験があったとのこと。

このような「新しい取り組みによって褒められる体験」は、取り組みのモチベーションも改善する力があります。この話は、「CXやDX」のために、「その前提としてEXが大事である」例ともいえます。

どの社も苦労している「デジタル人材の採用」

「デジタル人材の採用」では世間の多くの社が苦労しているのではないかと思います。採用が難しいだけでなく、定着せず退職してしまう悩みもあります。

クレディセゾン 小野様

最初の二年は、自分のブログの呼びかけだけで採用していたそうです。そしてその後は、採用されたエンジニアが知り合いを呼び込む(リファラル)の形で採用がされてきたそうです。

ブログでの採用は「世の中に知られたエンジニアだったからできたこと」で、どこにでも真似できることではありません。ただし「エンジニアを大事にすると、そこから良い評判が広まり、その知り合いも採用できる」ことは参考にできる話です。

アズワン 福田様

採用ではなかなか苦労もあったようで、「通常は商社にはそういう人材ははいってこない」とのことでした。そこで「この会社では面白いことをしている(他とは違う組織である)」ことを外に発信し続けているそうです。また、非情報系の従業員でも、素養のある人をITエンジニアとして育てて内部育成しているとのことでした。

カシオ計算機 虻川様

社内では様々な部署に様々なスキルを持ったエンジニアが居るものの、ナレッジの共有が出来ていないので、うまく活用できていなかったとのこと。そこで、今のスキル状況や、個 人のスキルに見える化に取り組んでいるとのこと。

こちらは反省を促す話だとも思いました。人材が足りないと言う前に、社内に埋もれている人材や素養は本当にありませんか?

「何となく企業間で連携」ではうまく行かない

「企業間でデータを連携する」取り組みに様々な可能性はあり、そのことは良く話題になります。しかしその一方で、企業間連携で実際に成果を上げ話はあまり聞きません。

これについて、大手企業が組んで「きっと連携/協業すれば何かしら成果が出るはずだ」としてスタートするような、ありがちな取り組みは「典型的な失敗例」ではないかという指摘がありました。技術的な課題というよりも、誰の何のために実施するのか、ユースケースがないためです。そういう取り組み方をすると「何か起こるかもしれないと思ったが、しかし何も起こらなかった」になりがちですよ、とのことでした。

展示ブース

久しぶりのオフライン開催ということで、講演会場のすぐ外に展示ブースも設けました。今回は弊社自身での展示ブースだけになりましたが、来年は様々なパートナー様にも出展いただき、こちらも盛り上げたいと考えております。

HULFT Squareをデモ展示

今回、間もなく登場予定の弊社開発運用提供の国産iPaaS「HULFT Square」の展示を、実際の動作デモをお見せすることも含めて行いました。

HULFTは今はもう「クラウド時代」

この記事を読んでいただいている方々にも知ってほしいのですが、HULFTは今やずいぶん進化していて、クラウド時代に必要な機能を備えています。それを紹介するブースでした。

HULFTはAmazon S3など三大クラウド(AWS、Azure、Googleクラウド)のオブジェク トストレージとの双方向のファイル連携に対応しています。つまりメインフレームと AWSをシンプルかつ確実に直接連携することもできます。

HTTPS通信だけ、インターネット回線経由でHULFTのファイル転送ができるクラウドサービス(利用者の側ではクラウド側の運用が不要で、オンプレだけで済みます)も我々自身で提供しています。拠点間のファイル連携をHULFTの安全安心を確保したまま、専用線やVPNより安価な普通のインターネット回線で実現できます。

とりあえず、今や「昔のままでは全然ありません」ので、そのことだけでも覚えておいてください。

ITを活用した働き方改革

弊社の「ITも活用した働き方改革の取り組み」について紹介をさせていただきました。

我々自身で本当に活用している社内データ基盤の紹介

「全社データ基盤を作ってデータ活用」をしたいという話、世の中ではよく聞きます。弊社では話だけではなく、実際に本格的な全社データ基盤を構築し、既に活用をしています。もちろんDataSpiderなども活躍しています。それを紹介させていただきました。

こちらをそのままお客様に導入させていただくことも、お客様独自の全社データ基盤の構築支援もさせていただいています。私の会社にも欲しい、そう思われましたら、お問い合わせをお願いいたします。

来年もどうぞよろしくお願い致します

三年ぶりにオンラインとオフラインでの開催になりました「HULFT DAYS 2022」の一日目の様子をレポートさせていただきました。

来年の世間の状況がどうなるのか今はまだわかりませんが、来年も今年と同じようにオフラインとのハイブリッド開催をさせていたければと思っております。ぜひ来年は、実際の会場でお会い出来ればと思っております。来年もどうぞ「HULFT DAYS」をよろしくお願い致します。

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