顧客データがつながると、ビジネスは変わる。HubSpot連携で始める統合データ活用
HubSpotを導入してマーケティングや営業活動を効率化していても、「他のツールとどう連携すればよいのか」「正しくデータが同期されているのか」と悩む企業は少なくありません。近年、多様なシステムを活用する企業が増える中で、部門間のデータをいかに統合・活用できるかが大きな課題となっています。
HubSpotは、その豊富な連携機能と柔軟なAPIで、さまざまなアプリケーションとのデータ連携を可能にする強力なプラットフォームです。本記事では、HubSpot連携の基本から具体的な活用メリット、さらに実際の連携方法や設定のポイントまでを詳しく解説し、データドリブンな組織運営を実現するヒントを紹介します。
yoko tsushima
- 読み終わるまで 6分

なぜHubSpotとデータを連携する必要があるのか
HubSpotと多様なツールがシームレスに連携できれば、社内外のデータの抜け漏れを防ぐだけでなく、業務効率や顧客満足度も高められます。
ビジネスが成長するにつれて、マーケティングオートメーションや会計システム、ECプラットフォームなど利用するツールは増えていきます。各ツールでデータを管理していると、重複や更新の遅れ、入力ミスなどが発生しやすく、正確な顧客像を把握しにくくなるのが現状です。そこで、HubSpotを中心にデータ連携を行うことで、顧客情報や取引履歴を一元化し、タイムリーな分析ができる環境を整備できます。
さらに、連携された情報をもとに、マーケティング施策の効果測定や営業活動の効率化を図ることが可能になります。全社で統一されたデータを基盤とすることで、不必要な属人化を防ぎ、部門をまたいだ的確なコミュニケーションや意思決定が実現しやすくなるのです。
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1. 顧客データを一元管理できる
HubSpotは顧客リストや取引の状況をリアルタイムで集約し、企業が参照しやすい形で保持するのに適しています。営業担当やマーケ担当が別々に管理していたデータもまとめやすくなり、各ツール間のデータの重複や不備を最小限に抑えられます。このような一元管理が可能になると、カスタマージャーニー全体を俯瞰できるようになるため、顧客満足度向上につながる施策を打ち出しやすくなります。
2. マーケ・営業・サポートの連携強化
部門ごとに異なるツールを活用していると、顧客へのアプローチが断片的になりがちです。しかし、HubSpotの連携機能を活用すれば、部門横断で同じ顧客データを確認し、施策の結果を共有できます。これにより、マーケティング施策によるリード獲得から営業フォロー、サポートまで一貫した顧客体験を提供できるようになり、商品・サービスへの満足度も向上します。
3. データドリブンな施策立案が可能になる
リアルタイムで更新される正確なデータが蓄積されていれば、より客観的な施策立案が実現します。例えば、メールキャンペーンの開封率や商談の成功率などを一括で管理し、即座に分析に活かすことができます。また、KPIを定期的にモニタリングすることで素早いPDCAサイクルを回しやすくなり、ビジネス全体の成果最大化に貢献します。
おすすめの連携先ツール・アプリ
HubSpotユーザーの多くが導入しているツールやアプリを具体的に見ていくと、連携イメージがより明確になります。
連携先には多彩な選択肢があり、マーケティング関連から営業支援、カスタマーサポート、さらに大規模データ分析のためのプラットフォームまで用意されています。目的や社内リソースに合わせて適切なツールを取り入れることで、業務全体の効率化や顧客満足度の向上を狙うことができます。
これらのツールを併用して総合的にデータを活用すると、顧客インサイトの深掘りや顕在ニーズの素早いキャッチアップにもつながります。単なる情報の受け渡しだけでなく、各機能を組み合わせて最大限の相乗効果を得ることが重要です。
マーケティングにおすすめ:WordPress、Zoom、LINEなど
集客やブランド認知に力を入れている企業にとって、WordPressをはじめとしたCMSとHubSpotの連携は定番です。ブログ投稿のデータやWebフォームの問い合わせ情報をスムーズに取り込むことで、リードナーチャリングの強化につながります。さらに、ZoomやLINEとの連携も活用すれば、ウェビナーやオンラインセミナーの申し込みデータやチャットボットのやり取りから顧客情報を集約し、統合的に分析することが可能です。
営業におすすめ:Salesforce、Slack、CTIツールなど
営業チームでSalesforceを使っている場合でもHubSpotとの連携はスムーズに行えます。双方向の同期により、重複データや更新漏れを自動で防ぎ、常に最新の顧客情報を参照可能です。また、社内コミュニケーションにSlackを使用していれば、HubSpot上の取引進捗や顧客からの問い合わせをSlackに自動通知するなど、リード対応のスピードを上げる仕組みを簡単に構築できます。CTIツールとの連携では、通話履歴や録音データ、発信結果をHubSpotで管理し、チーム全体で共有することも可能です。
カスタマーサポート:Zendesk、Intercom、SurveyMonkeyなど
サポート担当がお客様からの問い合わせを受け付ける際に、HubSpotと連携したZendeskやIntercomなら対応履歴をスムーズに参照できます。サポートチケット内の情報をHubSpotのカスタマープロファイルとひも付けることで、サポート品質の向上や改善点の洗い出しに役立ちます。また、SurveyMonkeyで取得したアンケート結果を連携すれば、顧客満足度に関するデータもHubSpot上に集積され、施策改善に素早く反映できるでしょう。
データウェアハウス連携:BigQuery、Snowflakeなど
大量の顧客データやWebログを蓄積し、高度な分析を行う場合はBigQueryやSnowflakeとの連携を検討するのがおすすめです。これらのデータウェアハウスにHubSpotの情報を連携することで、機械学習やBIツールに通じた深いインサイトを得ることができます。大規模なデータを扱う組織にとっては、マーケ施策や顧客セグメントの細分化など、高度な意思決定に大いに役立つ連携方法と言えるでしょう。
HubSpotデータ連携の主な方法
実際にHubSpotでデータを連携するには、ネイティブ連携やアプリ、APIなど複数の手段が用意されています。
それぞれの連携方法には、導入の容易さや機能範囲などの違いがあります。最適な連携手法を選択するためには、自社がどのようなツールを利用し、どれだけ高度なデータ同期を必要とするかを把握することが大切です。
たとえば、HubSpotのアプリマーケットプレイスから簡単に導入できるツールもあれば、Operations Hubを活用して複雑なフィールドマッピングを行うケースもあります。要件に合った方法を選び、導入後のメンテナンス性まで考慮することが成功への近道です。
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1. ネイティブ連携(アプリマーケットプレイス)
HubSpot公式のアプリマーケットプレイスには、メールマガジンや会計ソフト、広告管理など数多くのツールがラインナップされています。これらはワンクリックで導入可能になっているため、プログラミングの知識がなくてもデータ連携を始めやすい点が魅力です。使用するアプリによっては初回同期と増分同期が自動で行われ、最新のデータをHubSpotに集約しやすくなります。
2. Operations Hubを活用したデータ同期
HubSpotのOperations Hub(有料版)を利用すれば、より高度なデータ連携を実現できます。たとえば、双方向の同期やカスタムフィールドの細かいマッピング、さらに自動化されたエラー検知など、多彩な機能を活用可能です。これにより、既存のビジネスプロセスに合わせた柔軟なデータ管理ができるので、大規模な組織にとってもメリットが大きいでしょう。
3. Shopify・Salesforceなど専用設定済みアプリとの連携
ECプラットフォームのShopifyや、広く使われるSalesforceなど、主要サービス向けに最適化されたアプリが用意されています。導入時に細かい開発や設定をする必要が少なく、直感的な操作で一方向・双方向のデータ同期を設定可能です。専用アプリならではの豊富なサポートもあるため、迅速かつ確実に連携を進めやすい点が特徴です。
4. HubSpot APIを利用するカスタム連携
自社独自のバックエンドシステムや特殊な要件がある場合には、HubSpotが提供するAPIを直接活用することで、柔軟にデータをやり取りすることが可能です。API連携では、初回同期のタイミングやフィールドのマッピングを細かく制御できるため、企業独自の運用フローに最適化しやすいのが利点です。ただし、開発コストが発生するのと同時に保守・アップデートも必要になるため、事前の計画や要件定義はしっかりと行いましょう。
5. iPaaS(ZapierやMake)によるデータ同期
ツール間をノーコード/ローコードで連携するiPaaSは、複数のアプリをまたいだ自動化が実現できる便利な選択肢です。ZapierやMakeでは、トリガーとアクションを組み合わせてデータ同期のフローを構築でき、HubSpotが含まれるワークフローを簡単に作成できます。既存のテンプレートも豊富で、非エンジニアでも柔軟なデータ統合が行いやすいのがメリットです。
また、当社が提供しているHULFT SquareでもHubSpotとの接続を含んだデータ連携処理を構築することが可能です。
iPaaS型データ連携基盤 HULFT Square(ハルフトスクエア)
HULFT Squareは、「データ活用するためのデータ準備」や「業務システムをつなぐデータ連携」を支援する日本発のiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)です。各種クラウドサービス、オンプレミスなど、多種多様なシステム間のスムーズなデータ連携を実現します。
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顧客情報などのデータをセキュアに他サービス・オンプレミス環境と連携、条件分岐やエラー処理といった細かなフローや日本語の処理などのデータクレンジングも実装でき、データ連携を自動化します。HULFT SquareではSaaSとのデータ連携のアプリケーションを多く提供しています。HubSpotとの連携もテンプレートを元に接続できるため、開発工数を大幅に削減しスムーズに操作できます。
パーツを組み立てるように、サクサク開発
HULFT Square アプリケーション
アプリケーションを使えば、コードをイチから作成することなく、まるでパーツを組み立てるようにユニークな機能の作成に集中できます。
データ同期の設定手順とポイント
実際にツール同士を連携する際、同期の方向や重複判定などの設定を正しく行うことが不可欠です。
データ同期は初回のフル同期と、その後の増分同期の2段階で構成されることが多いです。初回同期では既存レコードをまとめてインデックス化し、以後は更新があった場合のみ特定のレコードを随時同期するのが一般的です。こうした仕組みを理解しておくと、冗長なデータ転送を避けながら正確な情報を保持できます。
また、大量のデータを扱う際には、同期エラーが起こるケースも考慮しなければなりません。エラーが発生した場合にどのように復旧させるか、どのデータを優先して同期するかなどのルールを設定しておくことで、運用トラブルを未然に防ぐことができます。
同期方向と重複判定の設定
連携では、一方向か双方向かを事前に決めることが重要です。HubSpotから他ツールへ一方向にデータを送るだけで足りる場合もあれば、両方のツールで編集が行われるなら双方向同期にする必要があります。重複レコードの扱いも慎重に設定しないとデータ品質が損なわれるので、明確なルール化が欠かせません。
フィールドマッピングとプロパティ管理
HubSpotと他システムで同様の情報を保持している場合でも、フィールド名やデータ型が異なることがあります。連携によって空白や誤ったデータが生じないよう、事前にフィールドマッピングを丁寧に行うのが基本です。さらに、HubSpot独自のプロパティ管理を活用し、統合しきれなかった細かな顧客情報も整合性を保って管理することが大切です。
削除・更新ルールとエラー対策
レコードを削除した場合や、大幅に更新した場合に連携先でどのように反映させるかを決めておきましょう。削除されたレコードを完全に消去するのか、あえてアーカイブするのかで運用フローは変わります。さらに、同期中のエラー対策として、システムログのチェックや再同期の手順を明確にしておくことで、万が一のトラブルにも迅速に対応できます。
まとめ
最後に、HubSpotのデータ連携を最大限に活用するために押さえておきたいポイントを整理します。
まず自社のニーズに合った連携方法を選択し、実運用に即したデータ同期ルールを固めることが最重要です。続いて、フィールドマッピングや重複判定といった基本設定を詰め、エラーが発生した際の対処法を明確にしておくことでスムーズな運用が期待できます。さらに、導入後も定期的に同期状況をチェックし、組織の成長やツールの変更に合わせて設定を見直していくことで、長期的に高いROIが見込めるでしょう。
執筆者プロフィール

對馬 陽子
- ・所 属:マーケティング部
- アプレッソ(現:セゾンテクノロジー)入社後、テクニカルセールスとして技術営業や研修、技術イベントなどを担当。Uターンのため退職したのち、2023年4月に遠隔地勤務制度で再入社。プロダクト企画部での経験を経て、現在はマーケティング部でデジタルコンテンツ作成を担当している。
- (所属は掲載時のものです)
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