データ活用やDXがどんどん解る用語集
EDINET
「EDINET」
データ活用やDX成功に必要な考え方を、各種キーワードの解説で理解できる用語解説集です。
昨今ではデータ活用の重要性が強調されるようになっていますが、今回は、社会に対してデータを公開することや活用してもらうことについて考えてみましょう。
EDINETとは
EDINET(Electronic Disclosure for Investors' NETwork)とは、金融庁が運営するコンピュータネットワークであり、金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示文書を電子的に開示する手段として活用されているITシステムです。
我々の社会の発展を支えている「株式会社の仕組み」を健全に機能させるため、法的に開示が義務付けられている各種文書(財務状況や事業の内容など)があります。EDINETはこれら文書の開示作業を電子的に行えるようにして効率化するとともに、インターネット経由で誰でもいつでも閲覧可能とすることで投資家の投資判断として活用を図る手段として利用されています。
目次
偉大なイノベーション「株式会社」を機能させるために
EDINETはいわば「株式会社の仕組み」をよりよく機能させるべく整備されたITシステムです。
株式会社というのはものすごい発明
今では「株式会社」というものが世の中にあるのは当たり前になっていますが、人類初の株式会社は1602年に設立されたオランダ東インド会社だとされ、本格的な株式会社が作られるようになってからまだ数百年しか経っていません。
一万円札にもなっている渋沢栄一がはじめてヨーロッパに向かっていた時、巨大なスエズ運河が株式会社によって作られていることを知って驚いた話があります。それまでの歴史においては、巨大な工事をする時には王や皇帝のような巨大な財力と権力が当然に必要だったため、「スエズ運河を作る計画」に対して多くの人が出資をすることで巨大事業が成し遂げられていたことは驚きだったのです。
不正も横行した株式会社の仕組み
しかしながら株式会社の仕組みができると、適当なことを言ってお金を集める不正も横行するようになります。でたらめな計画でお金を集め、お金を持って逃げてしまうとか、業績が悪いのに好業績だと偽って資金を集めるようなことが可能になってしまいました。
このような状況を自由と自己責任だとして放置するなら、不正が蔓延して悪い人が大金持ちになるおかしな世の中になってしまいます。そこで、不正が行われないように様々な規制がされるようになりました。
例えば、第三者である公認会計士に会社の財務状況を確認させて世間に公表させる仕組みもそのような経緯で生まれました。財務状況などの事実に基づいたレポートを株式市場に報告させて「自社に関する正しい情報を提供すること」を義務付けることや、内部の人が株を売り買いするインサイダー取引など不正な取引を禁止し処罰する仕組みの整備が進められます。
「自社に関する情報」を提出させるだけでは不十分
このような規制は不正を防止するのみならず、投資家に情報が提供されれば投資の判断を行いやすくなり、優れた事業に資金があつまるようになります。投資家を保護するだけでなく、社会の発展にもつながります。
そこで金融庁は、日本の株式会社に「自社の財務的な状況がどうなっているのか」「どういう事業を行っていて見通しはどうなのか」などを定期公開することを義務付けています。また、その会社の株式について「誰が大量保有しているのか」とか「誰かが大量の株を新規取得するなど大量保有者の変動はないか」についての報告も義務付けています。
具体的には、「有価証券報告書」「有価証券届出書」「大量保有報告書」などの提出が義務付けられており、法律で情報開示が義務化されてきました。しかし、開示させただけでは実は不十分でした。なぜなら、紙ベースの報告書を提出させているだけでは、わざわざ役所まで行って閲覧請求しないと情報を確認できず非効率だったためです。
投資判断に利用すべき情報が世の中にしっかり広まるのは、公開された情報が出版されて本屋で出版されてからでした。出版されるよりも以前に、株式市場に関係するプロの人は情報をいち早く知ることが出来るのに、一般の投資家はそうではない情報格差も不公平でもありました。
EDINET(エディネット)
そのような問題を解消するために、金融庁によって以下のようなITシステムである「EDINET(エディネット)」が整備されています。
- 株式会社に関する上記のような開示書類の提出を、紙ベースでの事務処理からインターネット経由の電子的な提出として効率化する
- 紙で提出された資料についても電子化して公開している
- 提出された開示書類はインターネット経由で公開され、24時間365日、誰にでもアクセス可能な形で公開される
- 過去のデータにさかのぼって検索でき、どこに投資すればよいのかを判断する材料として活用できる。
このような仕組みがあれば、会社側も情報公開の手間を減らすことができてコスト削減になりますし、一般投資家もいち早く情報を参照できるようになります。良い事業をしようとしている企業があれば、その情報が正しく迅速に広まって資金が集まりやすくなり、日経済の健全な発展に寄与することも期待期待できます。
投資しようかなと思った企業について調べることができますし、同業他社と比べてどちらが有望なのかなども比較しやすくなります。
提出する書類は単に電子データであるだけではなく、細かくフォーマットが決められたHTML文書になっているなど、データ形式もある程度整えられています。そのため、作法に則ったフォーマットでの開示書類の作成には手間がかかったりもしますが、企業を横断して形式が揃っていることで、開示書類から必要な数値を抜き出すなどデータ活用がある程度行いやすくなっています。
特に財務情報についてはXBRLという世界的に利用されている形式のXMLデータでの提出が義務付けられており、XBRLを処理できるアプリケーションに読みとらせて処理できるようになっています。
また、2019年よりEDINETからの情報取得ができるAPIも提供されるようになり、日付ごとの一覧で提出文書と添付文書を取得できるようにもなるなど、よりスムーズにデータが利用できる環境の整備も進められています。
データは「そこにある」だけでは活用できない
EDINETのこのような経緯は、現在日本中で進められている「企業でのデータ活用」について参考になる示唆があるのではないかと思います。
データは「ある」だけで活用されるわけではない
もし貴社が「データすらない」のならば、まずそれを解消すべきなのは確かです。データが無いのにデータ活用は出来ません。わが社もDXだ、とか言ってみて、そもそもデータ自体がないことに気がついたりすることはありがちなことです。そこでちゃんとデータを取ろうとか、例えばセンサーをつけてデータをあつめてみようとか、そういう取り組みは進められていることは結構あると思います。
さて問題なのは、「データを用意しただけでは不十分なことが多い」ということです。データはあるはずだけれども、どうもデータ活用がうまく行っていない、何がいけないんだろう。こちらで悩んでいる企業の方がむしろ多いのではないでしょうか。
EDINETができる前からデータ(開示情報)は既にありました。しかし紙ベースで存在しているだけで、データをスムーズに利用できる環境が無かったことを解消した取り組みでした。いわば「データの利用環境を整備しただけ」なのですが、EDINETは今や株式投資の判断に役立つ情報の宝庫だとすら呼ばれるようになりました。
気がついていないだけで貴社でも
気がついていないことも多いのですが、多くの企業ではデータ利活用に関する非効率があります。
例えば、月次の経営会議で投影されているパワーポイント資料の数字、どうやって作られているでしょうか。社内に散在しているExcelファイルとか、あちこちのクラウドサービス上のデータとか、あちこちにある多種多様なデータを参照してコピペしたりして集めたりして作られていることが多いのではないでしょうか。
データを活用しようとしたら、まずデータがどこにあるか探し出さないといけません(そもそも探しても無いかもしれない)。見つかったものがExcelファイルだとしたら、どのシートのどこを読み取るべきか、データの形式や数値の単位や集計期間なども確認しないといけません。集計作業などデータ利用をする前に、データを「解読」して適宜変換処理をするみたいな手間は、良くあることではないかと思います。
このような状況はデータ利活用の手間を増やしているだけではなく、スピードを低下させることも問題です。経営会議の資料を一週間かけて作っているのなら、「これを追加で調べて欲しい」とか「この数字が気になるけれどどうなっているんだ」みたいなことを思ったとしてもまた一週間待ってください、ということになります。
デジタルデータにはなっているかもしれません。しかし、役所に行って閲覧申請しないと投資先企業の開示情報を確認することすらできない状況と、似た状況があるように思えませんか?
必要なものは「データ連携基盤」
ではどうしたら良いのでしょうか。非効率を無くすんだ、として、社内でデータ形式を揃えようとしたり(標準化みたいなことはどうも行われがちです)、とにかくデータを一か所に集めれば解決するんだ、みたいな話になることもありますが、そういう取り組みもなかなか機能しなかったり、データの利活用を委縮させてしまいがちです。
なぜなら、データとは本質的にそもそも社内のあちこちから発生するもので、それぞれのデータについてデータ発生についてもデータ利用についてもそれぞれ抱える事情は異なるからです。
現実的には、各データやデータ活用の事情を理解した人が、必要に応じて社内の多種多様なデータソースに連携し、必要に応じてデータ変換処理を用意し、データを利用する場所に取得変換したデータを持ってくることができるような基盤整備が、データを活躍させるために必要になってきます。
データ活用環境の整備で役に立つ「つなぐ」技術
つまり、データの可能性を活用するためには、社内に散在するデータをうまく利用できる「データ利用環境」を整備し、さらにはクラウドサービスなどをスムーズかつ効率的に連携させて利用できる環境を整備することが必要になります。
「つなぐ」技術を活用ください
そのような要求は無理難題に思えるかもしれません。しかし実は解決手段がすでに世の中に存在しています。多種多様なシステムやクラウド上にあるデータに連携し、必要に応じでデータを読み取り、加工し、転送処理を行い、データ環境を整備する取り組みを、「GUIだけ」(ノーコード)で効率的に開発できる手段が存在します。「EAI」や「ETL」、「iPaaS」と呼ばれる、「DataSpider」や「HULFT Square」などの「つなぐ」技術です。
GUIだけで利用できる
通常のプログラミングのようにコードを書く必要がありません。GUI上でアイコンを配置し設定をすることで、多種多様なシステムやデータ、クラウドサービスへの連携処理を実現できます。
「GUIで開発できる」ことは長所でもある
GUIだけでのノーコード開発は、本格的なプログラミングに対して簡易で妥協的な印象を受けるかもしれません。しかしながら、GUIだけで開発できることは「業務の現場の担当者が自分たち自身で主体的にクラウド連携に取り組む」ことを可能にします。ビジネスのことを一番良くわかっているのは現場の担当者です。
本格的処理を実装できる
「GUIだけで開発できる」ことを謳っている製品は沢山ありますが、そういう製品に簡易で悪い印象を持っている人もおられるかもしれません。
確かに、「簡単に作れるが簡易なことしかできない」「本格的処理を実行しようとしたら処理できずに落ちてしまった」「業務を支えられるだけの高い信頼性や安定稼働能力がなくて大変なことになってしまった」ようなことは起こりがちです。
「DataSpider」や「HULFT Square」は、簡単に使うこともできますが本格的プログラミングと同等のレベルの処理の作りこみもできます。内部的にJavaに変換されて実行されるなど本格的プログラミングと同様の高い処理能力があり、長年にわたって企業ITを支えてきた実績もあります。「GUIだけ」の良さと、本格的能力の両方を兼ね備えています。
iPaaSなので自社運用不要
DataSpiderなら自社管理下のシステムでしっかりと運用できます。クラウドサービス(iPaaS)のHULFT Squareなら、このような「つなぐ」技術そのもの自体もクラウドサービスとして自社運用不要で利用でき、自社での導入やシステム運用の手間がなく利用できます。
関係するキーワード(さらに理解するために)
- EAI
- -システム間をデータ連携して「つなぐ」考え方で、様々なデータやシステムを自在につなぐ手段です。IT利活用をうまく進める考え方として、クラウド時代になるずっと前から、活躍してきた考え方です。
- ETL
- -昨今盛んに取り組まれているデータ活用の取り組みでは、データの分析作業そのものではなく、オンプレミスからクラウドまで、あちこちに散在するデータを集めてくる作業や前処理が実作業の大半を占めます。そのような処理を効率的に実現する手段です。
- iPaaS
- -様々なクラウドを外部のシステムやデータと、GUI上での操作だけで「つなぐ」クラウドサービスのことをiPaaSと呼びます。
「iPaaS」や「つなぐ」技術に興味がありますか?
オンプレミスにあるITシステムからクラウドサービスまで、様々なデータやシステムを自在に連携し、IT利活用をうまく成功させる製品を実際に試してみてください。
「つなぐ」ツールの決定版、データ連携ソフトウェア「DataSpider」および、データ連携プラットフォーム「HULFT Square」
当社で開発販売しているデータ連携ツール「DataSpider」は長年の実績がある「つなぐ」ツールです。データ連携プラットフォーム「HULFT Square」はDataSpiderの技術を用いて開発された「つなぐ」クラウドサービスです。
通常のプログラミングのようにコードを書くこと無くGUIだけ(ノーコード)で開発できるので、自社のビジネスをよく理解している業務の現場が自ら活用に取り組めることも特徴です。
DataSpider / HULFT Squareの「つなぐ」技術を試してみてください:
簡易な連携ツールならば世の中に多くありますが、GUIだけで利用でき、プログラマではなくても十分に使える使いやすさをもちつつ、「高い開発生産性」「業務の基盤(プロフェッショナルユース)を担えるだけの本格的な性能」を備えています。
IT利活用の成功を妨げている「バラバラになったシステムやデータをつなぐ」問題をスムーズに解決することができます。無料体験版や、無償で実際使ってみることができるハンズオンも定期開催しておりますので、ぜひ一度お試しいただけますと幸いです。
「HULFT Square」で貴社のビジネスが変えられるか「PoC」をしてみませんか:
貴社のビジネスで「つなぐ」がどう活用できるのか、データ連携を用いた課題解決の実現可能性や得られる効果検証を行ってみませんか?
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