データ活用やDXがどんどん解る用語集　　　
プロンプトテンプレート

プロンプトテンプレートとは、ChatGPTなどの対話型のAIを活用する際に用いられる、定型のフォーマットのことです。典型的には、いくつかの入力項目があるテキストファイルに、指定された内容を記入し、それをChatGPTなどに入力する形で利用します。
テンプレートの形で所定の項目を整えて入力させることにより、回答の品質や内容を制御する手段として利用することができます。

まずは、このテクニックを使わずにChatGPTに回答をさせてみましょう。生成AIの活用方法として、アイディアを出してもらう使い方をする例です。

とりあえず案を作ってくれています。しかし、こうやって出てきた案が、使いたい用途からみて適切なものになっているとは限りません。

そこで望んだ出力を得るべく、ChatGPTに与える入力を工夫する様々なテクニックがあり、それらはプロンプトエンジニアリングと呼ばれます。プロンプトテンプレート（ないしはテンプレート）もそのようなテクニックの一つになります。

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プロンプトテンプレートには様々なものが考案されていますが、例として、東京都が作った生成AIの利用ガイドラインである「文章生成AI利活用ガイドライン」に掲載されている内容をベースにしたものを作ってみましょう。

東京都が公開しているものですから、権利的にも安心して利用できますし、他の人に利用してもらうときにも東京都のものであれば説明も納得もしてもらいやすいものです。

• 立場
  • - 立場をはっきり
    （行政分野や立場、文章生成AIに与える役割 等）
• 目的・背景
  • - 目的・背景を具体的に指定
    （前提条件、課題を整理）
• 出力形式
  • - 出力形式を指定
    （文字数、英語、箇条書き 等）

東京都「文章生成AI利活用ガイドライン」から抜粋して整理

上記から例えば、以下のようなテンプレートが作れます。

これを先ほどの例で埋めてみましょう。あるいは、テンプレートを埋めるにあたり、自分が何を目的にして何をしているのかを、改めて考えて明示化しなければいけないことも解ると思います。

模範的な入力というより、これくらいなら誰でも記入できそうなものを例として作りました。では上記を入力として与えてみましょう。

これで十分なのかどうかはともかく、最初とはずいぶん出力が変わりました。では、出力形式など少し条件を変えてみましょう。

以上を入力すると例えば以下のようになります。これが良くできた歌詞かどうかはともかくとして、指示した内容がかなりしっかり反映されていることは解ります。

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プロンプトテンプレートは多くのものが提案されています。

深津式プロンプト・システム

Note社のCXOである深津貴之さん（2024年1月の執筆時点）が考案した「深津式」と通称されている有名なテンプレートがあります。

#命令書
あなたはプロの編集者です。
以下の制約条件と入力文をもとに最高の要約を出力してください。

#制約条件

• 文字数は300文字ていど。
• 小学生にもわかりやすく。
• 重要なキーワードを取り残さない。
• 文章を簡潔に。

#入力文
＜ここに入力文書＞

#出力文:

あなたの仕事が劇的に変わる!? ChatGPT使いこなし最前線 – YouTube　より

こちらでは、入力データを与えて、それを制約条件のとおりに加工してデータを出力するタスクを、日本語でプログラミングするようなイメージで利用するテンプレートです。

せっかくですから、先ほど作った「リンゴのヒップホップ」を入力として「＜ここに入力文書＞」の部分にそのまま与えて要約させてみた結果です。

少し文体が固いので「小学生にもわかりやすく」というところが今一つな感じもしますが、おおむね指示した通りに内容をまとめてくれました。

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広く使われているテンプレートはChatGPTなどが書かれている内容を理解しやすいよう、記述面での配慮がなされていますが、生成AIも日々進歩するはずです。おそらく決まった形式で書かなくても入力された依頼内容を理解して出力するようになってゆくはずです。しかしながら今後も、人の側が「何を書いたらいいのかわからない」問題は残ります。

ChatGPTは入力で与えられていない情報に配慮して出力を作ることは出来ません。例えばリンゴのキャッチフレーズを考えているとして、どういう経緯で何のために作っているのかなどの経緯や状況は、ChatGPT側からはアクセス不能で解りようのない情報です。

ですから利用者である人の側が、必要な情報をきちんと書く必要があります、しかし何を書くべきなのか自分で思いつかない人もいるでしょう。テンプレートは、そのような時に「どういうことを書くべきなのか」をガイドする効果があります。

生成AIを社内で活用してもらいたいが、自分だけでうまく使える人もいれば、そうでない人もいるはずです。そのような状況で広く使ってもらうためにもテンプレートは役に立つでしょう。

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また、自社の業務でのタスクをうまくこなしてくれるテンプレートを作れば、社内でテンプレートを共有することで、全員の業務効率を改善することができます。つまり、テンプレートが自社ビジネスにとって資産になりえます。

例えば、先ほどのリンゴのキャッチフレーズを、特定の状況に即したものに作り直してみましょう。

このようにして、下線部を適宜埋めてもらうようにすれば、社内の誰でも自社の業務にあわせて生成AIを活用することができます。では、上記を実際にChatGPTに与えてみましょう。

どうでしょうか。下線部を埋めるだけで、こうやって良いことも悪いことも含めた上で、説明してPRするテキストを作ってくれる環境が出来上がってしまいました。キャッチフレーズは、そのままお客さんに見て欲しいくらいのものもありますね。

また、このテンプレートは私が例として作ったもので、出力が特別に素晴らしくなるように練ったものではありませんから、これを業務で使って改良を続ければ、もっと素晴らしい出力が自動的に得られるテンプレートができあがるはずです。

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