データ活用やDXがどんどん解る用語集   
ガバメントクラウド

「ガバメントクラウド」

データ活用やDX成功に必要な考え方を、各種キーワードの解説で理解できる用語解説集です。
今回は、社会におけるIT活用における話題である「ガバメントクラウド」について解説をします。

ガバメントクラウドとは

ガバメントクラウドとは、デジタル庁によって整備や普及が進められている、日本政府や各自治体が利用する、共通のクラウドサービスの利用環境のことです。
政府や各自治体がそれぞれでIT調達することは非効率であり、公共機関のITシステムにはセキュリティやコンプライアンスへの高度な配慮も必要になります。そこで個別にIT調達を行う代わりに、クラウドサービスとして共通のITシステムを利用できるようにすることで、IT利活用の効率化や高度化を実現すべく進められている取り組みです。

公共機関におけるIT活用がうまく進んでいない問題

ガバメントクラウドの取り組みがなされている背景として、日本の公共機関において、IT活用がうまく進められていない現状があります。

ITシステムへの厳しい要求がある

政府や自治体の業務を担い、個人情報なども取り扱う行政に関わるITシステムであるため、一般のシステム開発よりも求められる要件が厳しいことがあり、要求を満たすことが難しいことがあります。

例えば、セキュリティ面での十分な配慮が必要になります。プライバシーや人権への配慮もなされる必要があります。災害が起こっても、止まってはいけない行政手続きを維持しなければいけないことがあるなど、システム障害でデータが消えてしまうような事態も避けねばなりません。

公共機関固有のニーズや要件がある

自治体や省庁には公共機関固有の業務や要件が存在することがあります。一般のパッケージソフトウェアやクラウドサービスは民間企業向けに作られていることが多く、それではカバーしきれない業務やニーズが存在することがあります。

クラウドを活用すること自体が難しい

ITでは一般的にクラウド活用が進んでおり、公共機関でもクラウド活用に取り組みたいところであり、日本国民にとってもインターネット経由で便利に行政サービスを利用できる状況は望まれるところです。しかし公共機関のITシステムを、外部から攻撃がなされる可能性があるインターネット上に配置することは容易ではありません。

既存のITシステムの状況が良くない

政府や自治体で以前から稼動しているITシステムが、現状として良くない状況であることが多い問題もあります。一昔前に古い技術を使って作ったシステムがそのまま使われているケースが多くあり、改修を繰り返した結果。現システムの仕様がどうなっているのか把握できなくなり、ブラックボックス状態で稼働しているITシステムも少なくないとされます。

古い技術で開発されており、システムの現行仕様がどうなっているのかわからない状況では、改修して新しいニーズにこたえることが難しく、新システムへ移行することも困難になってしまいます。

予算や人員も十分ではない

自治体に十分なIT予算がなく、高度なIT利活用に主体的に取り組める人員も足りていないことが珍しいことではない、困った状況もあります。

ガバメントクラウドで解決しようとしていること

DXなどと言われるようになった現在、どんな分野においても、高度なIT利活用に取り組むことが求められる時代になりました。しかしながら各自治体のITシステムは多くの問題を抱えており、新しい取り組みをするどころではない状況です。

そこで「あるべきITシステム」をデジタル庁で整備し、自治体や省庁が利用できる共通のIT基盤をクラウドサービスとして提供しようとしているのが「ガバメントクラウド」の構想です。

我々がクラウドサービスを便利に活用しているように、自治体もクラウドを活用できるようにする

我々は日々さまざまなクラウドサービスを活用しています。利用しているサービスは私たち自身が開発したものではなく、ITシステムの導入作業も運用作業を行うことなく、クラウドサービスの様々な便利な機能を利用することができます。

同じように、政府や自治体にとって必要な機能が整えられたクラウドサービスを整備することで、各自治体は個別にシステムの開発や運用を行うことなく、自治体業務に必要なクラウドサービスを必要に応じて利用できるようにする取り組みです。

セキュリティやコンプライアンス、可用性などを高度な要件を満たす

ガバメントクラウドとして提供するサービスは、クラウドサービス側で公共機関のITシステムに求められる高度な要求が満たされた形で提供されることが構想されています。

高度なセキュリティを確保し、プライバシーや人権への配慮がなされ、災害などがあっても必要な機能を維持しデータもきちんと保たれているシステムを実現できるようなIT基盤として提供されることが構想されています。各自治体は、個別にこのような要求を満たす必要がなくなります。

省庁や自治体固有の機能

世界には様々な業務パッケージソフトウェアやクラウドサービスがあります。しかしそれらの大半は民間企業向けのものであり、日本の公共機関での利用に深く配慮されたものではありません。そのために、コストをかけて追加の作りこみをしなければ自治体の要求を満たさないことがあります。

あらかじめ必要な機能がしっかり作りこまれており、法改正などにも対応したアップデートが適宜なされ、日本の各自治体の住民にとっても利用しやすい機能が最初から整備されたクラウドサービスが提供されれば、各自治体にとって待ち望んだIT基盤になるはずです。

自治体システムの仕様標準化

さらには、自治体が個別にITシステムの要件を決めるのではなく、自治体共通の「ITシステムの標準仕様」を決めれば、自治体ごとに個別の検討をすることなく高度に考えられた仕様のシステムを利用できる状況が期待できます。

さらにはシステム仕様が標準化されれば、自治体が違ってもシステムの使い方が共通になるため、人材確保も容易になります。

クラウドネイティブであるなど、最新の技術が採用されている

クラウドネイティブなシステムアーキテクチャなど、最新の技術や、最新のベストプラクティスが実現されたシステムが提供され、利用できるようになることが構想されています。例えば、利用負荷に応じて自動的にシステムがスケールする、災害などに備えて地理的に分散したシステム構成であるなどです。

このような進んだ設計思想のシステム開発は、最新技術に通じたハイスキルなエンジニアが必要になるなど実現のハードルが高いことがあります。共通クラウドとして提供することで、進んだ技術を採用したITシステムの恩恵を受けられるようになります。

IT調達の効率化

各自治体がそれぞれバラバラにシステム開発を発注するやり方と比べて、全ての自治体が利用するIT基盤をまとめて発注して共同で利用する形になります。これまで個別に行われてきたIT調達と比べての調達コストを下げることが期待できます。

ITシステムの標準化、データ連携の実現など

これまでは各自治体がそれぞれITシステムを開発して運用してきましたが、それでは自治体ごとにITシステムの仕様がバラバラになり、自治体をまたいでシステムを連携させる取り組みも難しくなっていました。

例えば水害対策に取り組む場合を考えてみると、多くの場合には河川は自治体にまたがって流れています、自治体にまたがっての天候や川の水量などのデータ連携が出来なければ、総合的な水害対策はできません。

そこで、自治体のシステム同士をデータ連携できるよう配慮がなされることが構想されています。さらには、必要に応じて自治体間での連携を実現できる「データ連携基盤」もガバメントクラウドで提供することが構想されています。

実現すれば、従来は難しかった自治体を超えた取り組みがスムーズに実現できるようになります。

しかしながら、現実のガバメントクラウドは(執筆時点)

なかなか素晴らしい話ですが、その割には、このような構想が現実になっている話をニュースで聞いたことがないと思います。あるいは、こんな共通基盤が現実的に開発できるのだろうか、と思われた方もいたかもしれません。実際その通りでして、残念ながら現時点では「構想」であって実現できている話ではないところがあります。

ガバメントクラウドとして認定されました、の(執筆時点での)意味

「AWS(Amazon Web Services)」や「Googleクラウド」が「ガバメントクラウドとして認定を受けた」ニュースを聞くことや、日本勢として「さくらインターネット」が認定を受けたニュースを目にしたことがあるかもしれません。でも残念ながら、これらのクラウドサービス事業者が「ここまで書いてきたような構想のクラウドサービス」を提供開始した話ではないのです。

さくらインターネットが上記のようなサービスを提供開始したのではなく、さくらインターネットを基盤として活用して、ガバメントクラウド構想を満たすようなサービスを「作ってください」という認定がなされた状態です。

しかし何も進んでいないわけでもない

少し残念な状況ですが、何も進んでいないわけではありません。

例えば自治体のシステム仕様を標準化する取り組み、こちらもなかなかうまくは進んではいないようですが、それでも取り組みは進められています。

地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化|デジタル庁

おそらく標準化は容易ではなく、難航するのではないかと著者は予想しています(「本質的に大変難しいこと」に取り組んでいると考えられるためです)。仕様の標準化は実現出来ずに、ある程度の共通化にとどまるかもしれません。しかし従来、各自治体システムは「単にバラバラ」であったことから考えると、良くなる方向への取り組みは確かに行われつつあります。

ITの「泥臭い現実」に向き合うには

ガバメントクラウドが目指す立派な理想があり、しかしなかなかに現実は厳しいのが現状です。このような状況は、公共機関に限らず「ITで何かに取り組む」と多くの場合に直面する泥臭い状況そのものです。みなさんの所属する組織や業界で起こっていることと実はほとんど同じはずです。

昨今では「DXに取り組むべき」などと言われて、各分野で新技術や新システムの導入を進めようとするとか、ビジネスをデジタル前提に変革する取り組みなどが行われていると思います。大変に立派な構想や目標が掲げられることもあります。しかし、取り組んでみるとなかなか思った通りにはならないことがほとんどです。

泥臭い現実に向き合う手段

分野を問わずに「このような状況」が良くあることなら、「ITに取り組むこと」とは、このような泥臭い状況にどのように対処できるかにかかっているとも言えます。

一気に新しい取り組みが出来上がらないなら、「今使っているITシステム」も活用しつつ「新しいIT」を段階的に組み合わせて利用せざるを得ないはずです。新システムを部分的に入れてみて、業務の現場のフィードバックを得て試行錯誤をしつつシステム開発を進めるような取り組み方が現実的ではないかと思います。

そうなると、状況に応じて「今使えるIT資産」と「新しいIT」を、柔軟に連携させて利用できる能力が、ITを変革するための前提として現実に必要になってくるはずです。

新旧の多種多様なシステムやデータを連携できる「つなぐ」技術

システムを必要に応じて連携し、試行錯誤して作りこんでゆく、システム開発力が要求される難しい要求に思えるかもしれませんし、自分たちには難しいことに思えるかもしれません。

そのような状況で活躍できるのがノーコードで様々なクラウドやシステム、データを連携できる手段です。例えばEAI」や「ETL」、「iPaaS」と呼ばれる、「DataSpider」や「HULFT Square」などの「つなぐ」技術の活用です。

GUIだけで利用できる

通常のプログラミングのようにコードを書く必要がありません。GUI上でアイコンを配置し設定をすることで、多種多様なシステムやデータとの連携処理を実現できます。

「GUIで開発できる」ことは長所でもある

GUIだけでのノーコード開発は、本格的なプログラミングに対して簡易で妥協的な印象を受けるかもしれません。しかしながら、GUIだけで開発できれば「業務の現場の担当者が自分たち自身で主体的に取り組む」ことが可能になります。何と何を連携すべきかについても同様です。ビジネスのことを一番良くわかっているのは現場の担当者です。

本格的処理を実装できる

「GUIだけで開発できる」ことを謳っている製品は沢山ありますが、「簡単に作れるが簡易なことしかできない」「本格的処理を実行しようとしたら処理できずに落ちてしまった」「業務を支えられるだけの高い信頼性や安定稼働能力がなくて大変なことになってしまった」ようなことは起こりがちです。

一見使いやすくて今風のサービスに見えても、少し大きなデータすら十分に処理できないようでは、ビッグデータどころではありません。

「DataSpider」や「HULFT Square」は、簡単に使うこともできますが本格的プログラミングと同等のレベルの処理の作りこみもできます。内部的にJavaに変換されて実行されるなど本格的プログラミングと同様の高い処理能力があり、長年にわたって企業ITを支えてきた実績もあります。

データ活用を成功させる「データ基盤」として必要なこと

実業務をしっかり支えるためには大量のデータを処理できる高い処理能力も必要になります。その一方で、現場主導での柔軟かつ迅速な試行錯誤がどうしても重要になることもあります。

一般的には、高い性能や高度な処理の実現を求めると本格的なプログラミングや利用が難しいツールとなりがちで、現場での使いやすさを求めると利用しやすいが処理能力が低く簡易な処理しかできないツールになりがちです。しかしこれらを兼ね備えています。

iPaaSなので自社運用不要

DataSpiderなら自社管理下のシステムでしっかりと運用できます。クラウドサービス(iPaaS)のHULFT Squareなら、このような「つなぐ」技術そのもの自体もクラウドサービスとして自社運用不要で利用でき、自社での導入やシステム運用の手間がなく利用できます。

「iPaaS」や「つなぐ」技術に興味がありますか?

「クラウド活用」「社内でのデータ活用」「業務の自動化」、これらをうまく進めるポイントは、自社で内製できる「データ連携基盤」を整備することです。

オンプレミスにあるITシステムからクラウドサービスまで、様々なデータやシステムを自在に連携し、IT利活用をうまく成功させる製品を実際に試してみてください。

「つなぐ」ツールの決定版、データ連携ソフトウェア「DataSpider<」および、データ連携プラットフォーム「HULFT Square」

当社で開発販売しているデータ連携ツール「DataSpider」は、各社の業務システムを支える基盤として長年の実績がある「つなぐ」ツールです。データ連携プラットフォーム「HULFT Square」はDataSpiderの技術を用いて開発された「つなぐ」クラウドサービスです。

無料体験版や、無償で実際使ってみることができるオンラインセミナーも開催しておりますので、ぜひ一度お試しいただけますと幸いです。

 

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