データ活用やDXがどんどん解る用語集
MFT(Managed File Transfer)
「MFT(Managed File Transfer)」
データ活用やDX成功に必要な考え方を、各種するキーワードの解説で理解できる用語解説集です。
今回は「MFT」について考えてみましょう。
MFT(Managed File Transfer)とは
MFT(エムエフティー)は、Managed File Transferの略です。安全安心にファイルを転送すること、あるいはそのような機能を実現するミドルウェアやファイル連携基盤のことをそう呼びます。
単にファイルの転送処理ができるだけではなく、転送処理が間違いなく確実に行われることや、セキュアで安全な転送、転送ログをきちんと残して確認や管理ができる機能などが揃えられているファイル転送やそれを実現する基盤のことをそう呼びます。
FTPではいろいろ問題が起こります
ファイルを転送するだけならFTPで十分では?と思われた方も居られるかもしれません。
確かに「何となくファイルが届く程度で良い」「時々届かなくてもよい」「多少事故があっても問題ない」のような緩いニーズを満たす手段であればFTPでも支障ないかもしれません、しかし、業務で用いるITシステムでファイル転送を利用する際には、それでは様々な難しいことが起こってしまいます
転送中にファイル(データ)が壊れるかもしれない
転送中にデータが化けることや欠損してしまうことがあります、通信障害で転送自体が失敗してしまうこともあります。インターネット回線では一定確率でそのようなことが起こることがあります。TCP/IPのエラー訂正機能もまれにエラーをすり抜けさせてしまうことがあるため、転送を繰り返しているとそういうことが発生してきます。
セキュリティの懸念
転送中にデータが覗かれるリスクや、改ざんされるリスクがあります。あるいはそのようなリスクがある状況で、セキュリティ的に大丈夫な作りになっていることを、外部に説明できなければいけません。
様々な送信先への対応
ファイルの転送元と転送先には様々な環境がありえます。システム内部での送受信の場合も、地球の反対側への送信の場合もあるでしょう。メインフレームとの通信の場合も、Windowsとの場合もあるかもしれません。
また将来、現在想定していない通信相手との送受信が必要になることがあるかもしれません。様々な状況にしっかり対応できるでしょうか。
「きちんと届いた」のかどうか、あるいは「送った送ってない」にならないのか?
とても重要なデータを転送したとします。届いていないとビジネス上とても困ります。確かに相手に届いたとみなして支障がないと判断できる方法はあるでしょうか。あるいは、後で「ファイルを送った送ってない」ともめ事になったりしないでしょうか。
以上は懸念事項の一部で、これでもまだまだ全部ではありません。「たかがファイル転送」と思った人もいるかもしれませんが、実はなかなか大変なことも多いのです。
自分で開発実装して解決できないのか?
「ならば、そのような機能を自分たちで作ればよいのでは?」と思った人もいるかもしれません。確かに、開発できなくはないのですが、作り始めるとその先に予想外の苦労が待っています。
作ったシステムが、確かに安全安心であるとどうやって確認しますか?
本当にしっかりと作られているかどうか、どうやって確認しますか?厳重なソフトウェアテストを実施するなどして確認しなければなりません。大変な工数になるはずです。
多種多様な環境への対応と、今後の継続対応
様々な環境同士でファイル転送をする場合は、それら様々な環境できちんと動作することを確認する必要があります、メインフレーム・Windows・Linuxなど、さらには日本語環境や英語環境、システム内での利用・クラウド上での利用・インターネットを経由する場合と専用線による通信の場合など、様々な環境があります。検証作業だけで多くの工数とコストがかかります。
それらで動作確認を一度完了したとしても、新バージョンのOSが出るたびに追加確認を続けなければいけません。
ログ機能などの管理系の機能
ログ機能や権限の管理など、管理系の機能の実装が必要なことも考慮から欠落しがちです。誰がいつどんなファイルを送信したのか、確認できる機能が必要ならば当然そのような機能は必要になります。転送中に回線障害などが発生してしまうこともありますが、そのような場合でも処理がどこまで進んでどうなったのか確認できるようしっかりと作る必要があります。自前での作りこみは大変です。
そのシステム、将来も面倒を見られますか?
システムを作って10年後、ビジネスは続いていてシステムは使われているけれど、作った人はもういないかもしれませんし、作った本人すら忘れてしまっているかもしれません。その状態で機能拡張してくださいと言われて(もちろん高度な安全安心は維持しなければいけません)、対応できるでしょうか。
作ったファイル転送システムの「安全安心」をどうやって証明しますか?
そのようなシステムを作ったとして、「十分な安全安心さが備わっている」ことを、どうやって第三者に証明しますか?あるいは、あなたがシステムを作ってもらう側なら、そのシステムを使って問題がないことを、どうやって確認したら良いでしょうか。容易ではないはずです。
これらを一気に解決するのが「MFT」
以上はファイル転送にまつわる問題点の全てではありません、なかなか難しいことが多いことは解っていただけたでしょうか。しかし、MFT製品を基盤として用いたなら、これら難題を「買ってきて導入するだけで解決できる」のです。
- 転送中にファイル(データ)が壊れるかもしれない
MFT製品に「ファイルを送信してほしい」と頼むだけで、ファイルが壊れたり内容が化けたりせず、しっかりと転送先に届きます。 - セキュリティの懸念
適切な暗号化がなされ、無用な一時データが残らず適切に消去されるなど、セキュリティの認証制度をクリアできる水準での対応がMFT製品にお任せで実現できます。 - 様々な送信先への対応
メインフレーム、Linux、各種UNIX、Windows、クラウドなど様々な環境にMFT製品側で対応します。 - 「きちんと届いた」のかどうか、あるいは「送った送ってない」にならないのか?
転送ログなどがしっかり残ります。回線障害などで転送がうまく行かなかった場合にも、処理がどこまで進んでどこで失敗し、どのような結果になったかを確認できます。 - 作ったシステムが、確かに安全安心であるとどうやって確認しますか?
MFT製品側で製品が安全安心にファイル転送できることがテスト済みです。 - 現在の多種多様な環境への対応だけでなく、今後の継続対応
OSなどのバージョンアップ対応や新しいOS、クラウドサービスへの対応もMFT製品側に任せることができます。そのたびに自前で全部作る必要はなくなります。 - ログ機能などの管理系の機能
自前で転送機能を作るとログ機能やユーザ権限やその管理機能なども作らなければいけませんが、完成した機能が最初から用意されます。 - そのシステム、将来も面倒を見られますか?
ファイル転送機能はMFT製品側で維持され、ITシステムもシンプルになって理解しやすく改修しやすくなります。将来システムを改修する際にも、エンジニアの募集は「MFT製品の○○が解る人来てください」、エンジニアの教育も「○○製品の公式トレーニングコースを受けてください」で完了します。 - 作ったファイル転送システムの「安全安心」を第三者にどうやって証明しますか?
お客さんに「そのシステムは大丈夫なのですか?」と言われても「広く利用されているMFT製品の〇〇をファイル連携基盤として採用しています」「それなら安心ですね」で説明が済みます。
システムを作ってもらう側なら「MFT製品の〇〇をファイル連携基盤として採用してください」で済むようになります。
これらの長所は、「高度な配慮が必要なデータ」を転送する場合や高度な安全安心さが求められるシステムとの連携処理の場合、例えば「クレジットカード情報を取り扱う場合」や「金融機関とのデータ連携」などで、公的な基準をクリアしていることを証明する際に、大きく違いが出てきます。
またファイル転送に伴い、データを送信する側でも受け取る側でも、システムとの連携処理やバックアップ処理など、その前後で様々な処理が必要になることがあります。単に転送できるだけでは、結局そのような部分の作りこみが必要になってしまいます。MFT製品では、ファイル転送に関連する様々な処理も効率的に実現でき、総合的にファイル連携をスムーズに活用できる環境が整備されていることが多くなっています。
様々な利用形態でのMFT
ここまではMFTの主な特徴である「確実に転送されること」の観点で説明をしてきましたが、ファイル転送はユースケースも多種多様に広がっています。
- システム間(アプリケーション間)ファイル転送(A to A):
例えば「受注管理システム」から「経理システム」へのデータ連携など、異なるシステム間でのファイル連携で用いられる利用形態があります。 - ユーザ間ファイル転送:
例えば、あなたが作った資料を、上司に確認してもらいたい場合、人と人との間でファイル転送のニーズが生じる利用形態です。 - 離れた拠点間や、企業間のファイル転送(B to B):
例えば東京本社と海外支社の間での遠距離の転送、あるいは取引先とのファイルの転送での利用形態です。遠距離の通信になることが多く、閉じた通信網ではなくインターネット回線を経由せざるを得ない難しさや、送り側と受け側が、それぞれ違う組織で別々の責任で転送する難しさがあります。 - 計画的なファイル転送と、その都度なファイル転送(Ad-hoc MFT):
システム間で毎日決まった時刻に注文データを転送するような決まったルールで間違いなく転送するような利用形態がある一方で、人と人の作業でのファイルの受け渡しようにその都度発生するような柔軟な利用が求められる利用形態もあります。 - 大容量ファイル転送の高速転送や高頻度のファイル転送など:
動画データの受け渡しのような非常にサイズの大きいファイルを転送するような利用形態もあり、ファイルサイズは巨大ではないが転送頻度が高い利用形態もあります。 - 様々な技術の違いを超える転送ニーズ:
例えばクラウドとメインフレームの間のファイル転送など、転送元と転送先の技術が大きく違う利用形態です。そのような状況では、MFTを利用せず自前で作る場合、人材として確保困難な、大きく違う両方の技術を深く理解したエンジニアが必要になることがあります。
このような様々な利用形態に、製品群で総合的に対応していることが多いのもMFT製品の特徴です。
関係するキーワード(さらに理解するために)
- ファイル連携
- -MFTの理解はできたけれど、どうして「ファイル転送」を連携手段として用いるのだろう?と思われたらこちらもご覧ください。
- EAI
- -様々なシステムをデータ連携できることが、いかに重要であり、深い意義があるかについて説明しています。
- iPaaS
- -様々なクラウドを外部のシステムやデータと、GUI上での操作だけで「つなぐ」クラウドサービスのことをiPaaSと呼びます。
- クラウド連携
- -クラウドを外部のシステムや他のクラウドサービスと連携させて利用すること。クラウドサービスの導入や活用をうまく進めるために、クラウドそのものの導入や活用と並んで重要なことが多いのがクラウド連携の実現です。
- Excel連携
- -現実のIT活用でどうしても無視できない存在がExcel。Excelを外部のITとうまく連携させることで、Excelの良さを生かしたままスムーズにIT活用を進められることがあります。
MFTに興味を持たれましたら
国産MFT製品の最高峰にしてデファクトスタンダード「HULFT(ハルフト)」を是非お試しください。ITシステムに対する厳しい要求のある金融機関で基盤製品として「安全安心」のニーズにこたえてきたなど圧倒的な実績があります。
MFTのデファクトスタンダード「HULFT(ハルフト)」
メインフレームからLinuxやWindowsまで、新旧の利用環境への対応はもちろん、クラウドサービス(Amazon S3など主要クラウドとの転送に対応)とのファイル連携や、コンテナ技術への対応など、クラウドネイティブの時代でも活躍できる機能強化にも取り組んでいます。
ファイル転送の前後で必然的に生じる、様々な処理を効率的に実現できる機能も備えています。メインフレームとクラウドを、双方に詳しいエンジニアを要さずに縦横無尽に連携できるなど、新旧のIT技術を組み合わせて活用する手段としても活用いただいています。
インターネット回線経由での安全安心な転送ができる「HULFT WebConnect」
HULFTによるファイル連携をインターネット回線経由で安全安心に行えます。コストのかかる専用線やVPNも不要、クラウドサービスなので自社でのシステム構築は不要。国内の拠点間はもちろん、海外拠点とのファイル連携も、安全安心確実のHULFT品質で利用できます。
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