データ活用やDXがどんどん解る用語集
セルフサービスBI(ITのセルフサービス化)
「セルフサービスBI(ITのセルフサービス化)」
データ活用やDX成功に必要な考え方を、各種キーワードの解説で理解できる用語解説集です。
今回は、これからのIT利活用でポイントとなる「ITのセルフサービス化」の流れについて解説し、それを通じてこれからのIT活用の本質について考えます。
セルフサービスBI(ITのセルフサービス化)とは
セルフサービスBI(Self-service business intelligence)とは、エンドユーザが自分自身でデータ分析作業やレポーティング作業を行えるようにする取り組みのことを言います。
データ分析に限らずITの利活用では専門家に依頼や問い合わせをすることが多い傾向がありますが、これに代わってユーザが自分自身でITを使いこなせるようにする「ITのセルフサービス化」が進みつつあります。
分析は誰かに頼むもの、その「当たり前」が問題だった
昔ながらの「データ活用」
ビジネスでのデータの利活用が重要であることは、昨今とても認識されるようになりましたが、データを分析した資料を用いて経営会議で議論をするようなことは以前からあったことでした。データ分析の結果を用いて議論をする際に、データを別の角度から分析したレポートが必要になるなど追加の分析結果が必要になることがあります。
例えば製品売上についての分析資料があったとして、製品ごとにはどうなのか?とか、西日本と東日本で売れ行きは違うのだろうか?などの追加の分析結果が必要になることは良くあるはずです。創造的なデータ活用がなされるほど、このようなニーズは大きくなりますが、事前にあらゆる分析を行うことはできないので、事前に用意した資料にない分析結果が必要になってしまうことがどうしても出てきます。
従来ならこういう状況になったときには、「次回ミーティングに分析資料をお持ちします」と次回まで持ち越しになることが多かったのではないでしょうか。そして、その次回の資料でさらに気になることが見つかると、その分析のためにもう一度が繰り返されます。そうなると、月次の会議なら数か月、週次でも一か月くらいはすぐに経ってしまいます。
注意してほしいことは、予定調和的に分析レポートを発表して特に意見もないような状況より、気になることや解らないことが出てきて議論なども起こり追加分析が必要になることは、データ活用が適切に行われている状況であり、むしろデータ活用が成功するとそうなってしまうことです。
もし、データ活用がスムーズに行えたなら
もし「その場」で追加分析ができたらどうでしょうか。西日本の担当者がグラフの形が直観と違うというので調べてみると、確かに西日本と東日本で売れ行きが違いました。さらに調べると、A製品だけが特定地域でとても売れていました。すぐにA製品の担当者にSlackで何か心当たりがないか聞くと返事があり、試験的にネット注文を受け付けていたことが解りました。それならば、今すぐネット注文を全国展開してみるべきだ、ということになりました。
ここまで数か月かかる組織と、そのミーティングが終わるまでにその場で結論が出る組織、どちらが強い組織かは明らかです。そこで従来の「分析作業に時間がかかる状況」を改め、データ分析を迅速に行えるデータ活用基盤の整備が各社で進みつつあります。
以上は、データ活用にかかわる「時間(速さ)」の問題ですが、データ活用をスムーズにするためには、「他の人に依頼する手間」も解消される方が成果は出やすくなります。なぜなら、分析担当者に、何をしてほしいかをまとめて分析を依頼し、結果をもらうこと自体が難しいことであり、時間のかかることで躊躇のあることでもあるからです。
たとえば、西日本の担当者が「もしかして」と思ったとして、ミーティングの途中で追加分析をしたいと言い出せるでしょうか?データ分析基盤を導入したけれど、忙しい担当者に小さなことで何度も何度もお願いしづらいので、データ分析が進めにくい状況も話も聞く話です。当事者が自分で分析できる方が、高い迅速性が実現でき、「気がついたことは何でもすぐに分析できる」を実現できます。
また、自分自身でデータを分析しないと気がつかないことや、言語化することが難しいような「気になること」が重要なこともあります。例えば、担当者が自分で定期レポートを作っていると「はっきりと解らないがデータが普段と違うのでは?」と気がついて、「怪しそうに”思える”こと」を調べみると、そこから思ってもいなかった何かが見つかるようなことがあります。
また、分析する人が別の場合、暗黙の知識や当然の知識が共有されずにデータ分析がうまく行かないことがあります。例えば、頑張って分析した結果だったのに「それは言われなくたって現場の誰でも知ってるよ」とか「その結論は実行不可能だから、どうにもならないんです」のような、当事者が自分でデータ分析をしていれば避けられる失敗も良くあります。
よって、データ活用を成功させるためには、高度な技術の活用や、ハイスキルなデータ分析者の存在だけでなく、基本的なデータ分析でもよいので、それぞれの担当者が自分自身でデータ分析ができる環境、すなわち「セルフサービスBI」ができる環境を整備することも大事であるとされます。
進みつつある「ITのセルフサービス化」
このような「自分でITを活用できるようにする」取り組みはデータ分析に限らずに注目され、取り組みが進められつつあります。
内製化やノーコードツールが注目されつつあるのも、業務の現場に本当に必要なITシステムが何かを一番知っているのは利用者自身なので、自分たちで開発した方が良いという考えによるものです。こちらでもデータ分析と同じ課題と考え方があります。
また製品のユーザサポートをセルフサービスにするような取り組みなど、従来は人的対応で顧客対応していたこと(例えば導入した機器のパラメータ設定など)を顧客自身で行えるようにする取り組みも進みつつあります。
顧客が解らないことがあるときにコールセンターに電話する代わりに、顧客自身がWebサイトでFAQを検索するとかチャットボットに質問して自己解決できるようにすれば、その方が素早く的確に疑問を解決できることがあります。また、製品自体に高度なユーザアシスト機能を搭載するなどにより、顧客自身で各種設定やトラブル解決ができるようにすることもできます。
このような取り組みは、ユーザにとって利便性が向上するだけでなく、エンドユーザが自分で解決してくれるわけですから工数とコストの削減にもつながります。完全なセルフサービス化が出来れば、ユーザサポートの効率性も飛躍的に高まります。例えば100万人へのサービス提供をわずか10人で担うような、非常に効率の高いビジネスの実現も可能になってきます。
セルフサービス化の実践には
では、そのようなITのセルフサービス化にはどうやって取り組めばよいでしょうか。
セルフサービスBI
まず、データ分析を自分たち自身でやろうと思う必要があります。データ分析は当然に誰かに頼むもので私のすることではない、という(暗黙の)考え方を改め、自分たち自身で分析をする意義を理解する必要があります。
だからといって、全員がPythonでデータ分析のコードを書くような状況は現実的ではないので、誰でも使える程度のデータ分析の手段を用意する必要があります。セルフサービス利用向けに作られている、使いやすさが重視されたBIツールを用意するとか、Excelでの基本的なデータ分析作業にみんなで取り組む必要があるでしょう。
合わせて注意したいのが、「必要なデータが無いと分析ができない」ことです。BIツールを全社導入しても今一つ成果が上がらないことがありますが、データが整備されていない、あるいはデータはあるけれども現場のニーズに役に立たない形になっていることが原因で成果がでないことがあります。
さらには「どういうデータが、どういう形で整備されている必要があるか」についても、分析作業と同様に、その分析が必要になってから、あるいは当事者本人にしか解らないことがあります。つまり、データ分析作業のセルフサービス化だけではなく、分析に使うデータの準備においても「セルフサービス化」の配慮が必要になります。
セルフサービス化したITの利活用
クラウドサービスを活用して自分たち自身でのIT利活用に取り組む場合、運用不要で誰でも使いやすいマネージドサービスのクラウドサービスが実現手段として利用されていることが多いはずです。自分たち自身でゼロから本格的な内製開発をすると難しいことが多いためです。例えば、自社でデータベースサーバを運用するのではなく、kintoneを現場自ら利用するなどです。
ただし、そのようなクラウド活用に取り組む場合、自分たちの用途や目的のために作りこまれたわけではないクラウドサービスの機能を自分たちで使いこなす必要があり、そのための調整や作りこみが必要になることがあります。また、一つのクラウドサービスだけで自分たちのニーズ全てが満たされることは少ないので、複数のクラウドサービスを組み合わせて活用することも必要になってきます。
加えて、これらの取り組みについての「自分たち自身でできる」状態でなければ、現場が自らITを利活用する体制の実現からは遠ざかってしまいます。
「つなぐ」技術でセルフサービス化を実践する
ITの内製化や、全社的なデータ活用に実際に取り組んでみたものの、上記で上げたような、「その周辺部までセルフサービス化ができていないとうまく進まない」問題が起こることがあります。
BIならばデータの準備まで、ITの内製化ならクラウドサービスをうまく組み合わせて活用できる手段が必要だというわけですが、そのようなニーズで活躍するのが、ノーコードで利用できる「つなぐ」技術です。
分析に使うデータの準備に
「つなぐ」技術なら、多種多様なシステムやデータに対して、GUI上の操作だけで連携でき、データの読み込みや書き込みの処理、あるいはデータの加工処理なども実現することができます。
データソースからデータを取ってくる処理、データをデータベースやデータレイク、DWHなどに溜める処理や溜めたデータを加工することやメンテナンスする処理、さらには分析結果をビジネスのアクションにつなげる自動処理なども、多種多様なシステムやデータとの連携処理により実現できます。
クラウドサービスを使いこなすために
「つなぐ」技術なら、おそらくそのクラウドサービスにGUI上での操作だけで連携できるでしょう。足りない機能は、外部から処理を呼び出すことで自動処理を実現して作りこむこと、外部からデータの投入や加工を実現することなどで補うことができます。
複数のクラウドを組み合わせた活用でも、それらクラウドサービスに「つなぐ」技術で連携し、必要に応じてクラウドの機能を連動させることや、クラウド間でデータを連携することで、異なるクラウドを横断した自分たちのためのシステムを開発することができます。
例えば、Salesforceに新たなデータが投入されたことをSlackで通知するとか、kintone上のデータとSalesforceのデータを自動連携して両方のシステムの良いところを組み合わせて利用する、などです。
「つなぐ」技術
自分たちでITを使いこなすぞ、と思ったものの、色々細かいことで面倒なことや難しいことが生じてくることはありがちなことだと思います。しかし、やらないといけないことはよく考えてみると、様々なシステムやデータを「つなぐ」ことなど、IT活用を支える裏方の処理も含めたセルフサービス化であることが多いと思います。
「EAI」や「ETL」と呼ばれるソフトウェア製品、あるいは「iPaaS」と呼ばれるクラウドサービスを活用すれば、GUI上で接続先のアイコンを配置して各種設定をするだけで、クラウドからオンプレミスまで、多種多様なデータやシステムを連携させて活用できます。もちろん、ノーコードでセルフサービスITとしてしっかり使え、なおかつプロユースとしての十分活用できるものです。
ITのセルフサービス化を成功させる手段、「つなぐ」技術をぜひ試してみてください。
関係するキーワード(さらに理解するために)
- EAI
- -システム間をデータ連携して「つなぐ」考え方で、様々なデータやシステムを自在につなぐ手段です。IT利活用をうまく進める考え方として、クラウド時代になるずっと前から、活躍してきた考え方です。
- ETL
- -昨今盛んに取り組まれているデータ活用の取り組みでは、データの分析作業そのものではなく、オンプレミスからクラウドまで、あちこちに散在するデータを集めてくる作業や前処理が実作業の大半を占めます。そのような処理を効率的に実現する手段です。
- iPaaS
- -様々なクラウドを外部のシステムやデータと、GUI上での操作だけで「つなぐ」クラウドサービスのこと。
- SaaS
- -一般的に「クラウド」と言ったときにイメージされる、ソフトウェアの利用をサービスとして提供する取り組みのこと。
「iPaaS」や「つなぐ」技術に興味がありますか?
オンプレミスにあるITシステムからクラウドサービスまで、様々なデータやシステムを自在に連携し、IT利活用をうまく成功させる製品を実際に試してみてください。
「つなぐ」ツールの決定版、データ連携ソフトウェア「DataSpider」および、データ連携プラットフォーム「HULFT Square」
当社で開発販売しているデータ連携ツール「DataSpider」は長年の実績がある「つなぐ」ツールです。データ連携プラットフォーム「HULFT Square」はDataSpiderの技術を用いて開発された「つなぐ」クラウドサービスです。
通常のプログラミングのようにコードを書くこと無くGUIだけ(ノーコード)で開発できるので、自社のビジネスをよく理解している業務の現場が自ら活用に取り組めることも特徴です。
DataSpider / HULFT Squareの「つなぐ」技術を試してみてください:
簡易な連携ツールならば世の中に多くありますが、GUIだけで利用でき、プログラマではなくても十分に使える使いやすさをもちつつ、「高い開発生産性」「業務の基盤(プロフェッショナルユース)を担えるだけの本格的な性能」を備えています。
IT利活用の成功を妨げている「バラバラになったシステムやデータをつなぐ」問題をスムーズに解決することができます。無料体験版や、無償で実際使ってみることができるオンラインセミナーも開催しておりますので、ぜひ一度お試しいただけますと幸いです。
「HULFT Square」で貴社のビジネスが変えられるか「PoC」をしてみませんか:
貴社のビジネスで「つなぐ」がどう活用できるのか、データ連携を用いた課題解決の実現可能性や得られる効果検証を行ってみませんか?
- SaaSとのデータ連携を自動化したいが、その実現可能性を確認したい
- データ利活用に向けて進めたいがシステム連携に課題がある
- DXの実現に向けてデータ連携基盤の検討をしたい
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