データ活用やDXがどんどん解る用語集   
Self-translateプロンプティング

「英語で考えてから日本語で答えてください」

Self-translateプロンプティング /「英語で考えてから日本語で答えてください」

データ活用やDX成功に必要な考え方を、各種するキーワードの解説で理解できる用語解説集です。
今回は、ChatGPTなど大規模言語モデルを用いた対話型AIの活用テクニックである「Self-translateプロンプティング」を紹介します。

Self-translateプロンプティングとは

Self-translateプロンプティングとは、ChatGPTなどの対話型のAIを活用する際に、入力(プロンプト)や出力に使う言語と、ChatGPTが思考の過程で用いる言語をそれぞれ指定することで、より望ましい出力が得られるようにするプロンプト作成のテクニックです。
広く知られる活用例としては「英語で考えてから日本語で答えてください」というフレーズを足す使い方があります。この場合、利用者は日本語だけでいつもどおりに利用したまま、出力の改善を得られることがあります。

どのようなテクニックか(利用例)

このテクニックは元々、ChatGPTがリリースされた直後、今よりも性能が良くなかった時期によく使われていたものです。その後は性能が上がってきたので、これを使わないと困るようなことは減ったと思いますが、今では以前とは別の使い方で活用されることもあると思います。

英語で使うことを勧められる(が面倒)

ChatGPTが流行り始めた初期には、「英語で使ってみなさい」と言われることがよくありました。試しに使ってみたけれど十分な答えが得られなかった、なので、「ChatGPTは思ったほどではなかった」と言ったら、英語で使っていないからだと言われることが良くありました。

データ活用におけるEAIツールの重要性について教えてください。


 

EAIツールは、企業内の異なるアプリケーションシステムのデータ統合を可能にする重要なテクノロジーであり、異なるデータを統合して正確な意思決定を支援するための重要なツールである。

たとえば上記が十分ではなかったとします。

Please tell me about the importance of EAI tools in data utilization.


 

EAI tools are important in data utilization because they enable data integration between different enterprise application systems, promote information sharing, maintain data integrity, and support efficient decision-making.

この例(および執筆現在)ではそんなに差は無いようですね。しかし当時は「英語で使うと大学生くらいの賢さ」で、「日本語で使うと高校生くらい」だとか言われたりしました。

英語で使うべき、と言われるとどうも反論しづらい感じもあります(特に英語を使える人に)。しかしながら、英語でタイプするのは日本語より頭が疲れますし、機械翻訳を使うにしても(上記はそうしました)翻訳する手間がかかります。ChatGPTは気軽に使えるのが特徴なのに、面倒が増えるのはうれしくないことです。

日本語のままで使えるテクニックが登場

そこで役に立ったのが、「日本語のままで英語相当で利用できる方法」です。ほとんど通常の日本語での利用と同じように使いますが、「英語で考えて日本語で答えてください」のフレーズを足してプロンプトを作ります。

データ活用におけるEAIツールの重要性について教えてください。
英語で考えて日本語で答えてください。


 

EAI(Enterprise Application Integration)ツールは、異なるアプリケーション間のデータ連携を実現するための重要なツールです。特に、異なるデータソースからのデータを収集するために使用され、それを一元化して、一貫性のあるビューを提供することができます。

データ活用においては、EAIツールは以下のような点で重要です。

  • データの一元管理:EAIツールを使用することで、複数のデータソースからのデータを一元管理することができます。これにより、分散されたデータにアクセスする必要がなくなり、生産性が向上します。
  • データの品質向上:EAIツールは、データの品質を向上させることができます。データの一元管理により、データ品質の問題を解決することができます。これにより、正確なデータを使用することができ、意思決定の質が向上します。
  • リアルタイムでのデータ処理:EAIツールは、リアルタイムでのデータ処理を可能にすることができます。これにより、分析やレポート生成などのデータ処理が迅速に行われ、時間を節約することができます。
  • データの安全性:EAIツールは、データの安全性を確保することができます。EAIツールを使用することで、アクセス制御やデータの暗号化などのセキュリティ管理が可能になります。

以上のように、EAIツールはデータ活用において非常に重要であり、効率的なビジネス運営のために欠かせないツールの一つです。

自分で英語を使うのに比べるとただフレーズを足すだけですから、日本語で快適に使える利便性は維持したままで、英語で使ったような能力を引き出せるテクニックになります。

答えに差が出る場合も、あまり差がない場合もあります。上記の出力例は、何回か試してみて割としっかりした回答をしたものを貼り付けたものです。

Self-translateプロンプティングは何をしているのか?

ChatGPTはどうして英語の方が良い回答をするのでしょうか。ChatGPTは技術的には大規模言語モデルというもので実現されていて、実際のところ内部的にどのようにして動作しているのかはきちんとわかっていません。

⇒ 大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)|用語集 

ただし、大規模言語モデルの学習に用いている莫大な量のテキストデータにおいて、英語で書かれたデータの量が一番多く英語での学習量が多いので、能力が最も高くなっていると考えられています。少なくとも日本語のテキストデータが英語よりも多く学習量が十分あることは、海外で作られた大規模言語モデルにおいては考えにくいことです。結果に差が出る場合は、英語のデータでの学習量が多いことが原因だと考えるべきでしょう。

考える言語と受け答えする言語を指定する

またよく考えてみると、大規模言語モデルがこのような動作をすることそのものがかなり不思議です。「英語で考えて日本語で答えてください」というフレーズを添えるだけで、どういうわけか受け答えは日本語のまま、英語で動作したときのような応答をしてほしいと理解してそのような動作をしていると考えられます。

このような挙動をするようにトレーニングされているわけでもありません。ただ大量のテキストデータを与えただけで、このような能力が備わるような個別の学習は行っていないからです。

またこれを「魔法のフレーズ」を追加するだけで性能が改善することがあるテクニックとして使うだけではなく、ユーザとのやり取りで利用する言語と、思考に利用する言語を指定できる、大規模言語モデルの動作を制御するテクニックであると考えると、より広い用途に活用することも出来るかもしれません。

例えば、英語で利用していても日本語で聞いた方が回答の質がよさそうな質問だってありそうですよね。例えばアニメや漫画などについて、あるいは日本文化そのものについて話題にするなら、学習に使っているテキストデータの量はおそらく日本語が多いはずです。そうなら、「日本語で考えて英語で答えてください」とフレーズを足すことで性能が良くなるかもしれません。

このテクニックが利用できるのは英語や日本語だけではないはずです。フランスの哲学者について聞きたいならフランス語で考えて日本語で答えてください、とフレーズを追加できるのではないかなど、望んだ回答を生成させる手段として様々に活用できる可能性があります。

機械学習の動作を、利用者のあなたが制御している

従来の機械学習は、事前に訓練データを用意して学習し、利用する時には学習済みモデルを基本的にそのまま利用するだけでした。いずれにしても、用意された学習済みモデルをそのまま使う以上のことは高いスキルのあるエンジニアだけが関与できる領域でした。

しかし大規模言語モデルでは、利用者がただ自然言語でフレーズを添えるだけで、思考に用いる言語を変更できる能力を持っていることになります。フレーズを足せば性能が改善するテクニックとしてのみならず、AI の動作に干渉できる手段として認識すれば、「従来自分ではできなかったような高度なことを、あなたにもできるようになった革命的なこと」とみなすことができます。

どのような場面で利用すれば出力が改善するのかは状況によると思いますが、あなたがこのテクニックを理解しているなら、ChatGPTの動作変更が質的に違うレベルで可能になっていると考えることは出来ると思います。

生成AI/ChatGPTに関係するキーワード(さらに理解するために)

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