ファイル転送サービスとは?知っておきたい基礎と選択のポイント
企業としてファイル転送を行うには、安全性、高速性、さらに一度に大量のファイル転送ができるかどうかなど、注意すべき点はひとつではありません。これらすべてを兼ね備えたファイル転送サービスを選択することは、業務の効率化、情報漏えいリスクの軽減といった意味でも非常に重要です。そこで今回は、ファイル転送サービスの基礎知識や種類をご紹介するとともに、企業としてどのようなサービスを選べば良いか解説します。
1. 代表的なファイル転送サービス
本社支店間、取引先などとファイルのやり取りを行う際、以前はメールやFTP、USB、CDRなどのメディアがよく使われていました。
しかしメールは一度に送れる容量に制限があります。FTPは専門的な知識が必要、そしてUSB、CDRなどのメディアは紛失、盗難といったリスクがあるうえ、相手に届くまでに時間がかかるなどの理由で、最近ではあまり使われなくなっています。
現在、企業が利用するファイル転送の主流となっているのは、オンラインストレージやファイル転送サービスです。それぞれの特徴をご紹介しましょう。
(1)オンラインストレージ
ネット上に用意されたディスクスペースに、ファイルをアップロードし保存することができるサービスです。クラウドストレージとも呼ばれ、GoogleドライブやDropboxなどが有名です。基本的に無料で利用できますが、保存できる容量を増やしたり、機能を追加したりすると有料となります。
オンラインストレージを使いファイル転送を行う方法は、サービスによって多少の違いはありますが、基本的には送る側がオンラインストレージ上に共有フォルダを作成、ファイルを保存し、そのフォルダのURLを取得します。受け取る側はそのURLにアクセスすればファイルを受け取れます。
(2)ファイル転送サービス
ネット上にファイルをアップし、そのURLを伝えてやり取りを行う点ではオンラインストレージと同じです。しかしファイル転送サービスは、同じディスクスペースをずっと借りる形ではなく、1回ごとに別の場所にファイルをアップする形でやり取りを行います。こちらも基本は無料ですが、一度に大容量のファイル転送をする場合などは有料となります。
どちらのサービスもメールやFTP、USBなどのメディアでは難しい、大容量ファイルの高速転送が可能なため、企業でも頻繁に利用されています。しかしこれらのサービスにはメリットだけではなく、デメリットも存在します。
2. ファイル転送サービスの問題点
大容量のファイルを高速で転送できることから便利に利用される、原則無料のオンラインストレージやファイル転送サービス。これらのサービスのデメリットは大きく2つあります。それは情報漏えいのリスク、そしてファイル転送の管理が難しい点です。
どちらのサービスも有料サービスになるとある程度のセキュリティは担保されます。しかし多くの利用者がひとつのサーバを共有して利用することには変わりません。またファイルを保存した場所のURLを伝えるにはメールを使うことになり、誤送信といったヒューマンエラーも考えられます。そのため、どうしても情報漏えいのリスクが残ります。
またファイルを送信したという記録を残すことができないことも、企業が業務で利用する場合、コンプライアンス上、大きな問題です。重要なファイルの管理を自社で行えないことも、これらのサービスを利用するうえでのデメリットです。
3. 企業向けファイル転送サービスがおすすめな理由
セキュリティや管理の問題はあるものの、多くの企業ではいまだに多くの不安を抱えながらも、ファイル転送サービスやオンラインストレージを使っているのが現実ではないでしょうか?しかしセキュリティリスクに敏感な企業では、オンラインストレージやファイル転送サービスの利用を禁止する動きが増えています。こうした企業が利用するのが、企業向けのファイル転送サービスです。
企業向けファイル転送サービスは、通信の暗号化、送信権限の制限、受信相手のアドレス制限といったセキュリティはもちろん、高速転送、転送内容の履歴管理、転送エラー時の再配信など高機能なサービスを提供します。しかも誰でも直感的に操作できるインターフェイスを有するものを選べば、FTPのように専門の知識がなければ利用できないといったこともありません。さらに、それぞれの企業の利用頻度や目的、送信するファイルの量などによって、必要な機能をカスタマイズできる自由度もあります。
前項でご紹介したファイル転送サービスでも、企業などに向けた有料サービスを展開しているケースもあります。しかし、上記で述べたような機能をパーフェクトに有しているわけではありません。従来のファイル転送の課題や不安を解決する機能がそろっていることが、企業向けファイル転送サービスをおすすめする理由です。
まとめ
ファイルを転送するにはさまざまなサービスがあります。個人であればどのようなサービスであっても、個人の責任の範疇で対処できます。しかし企業となればそうはいきません。安全性、高速性など多くの課題を解決する必要があります。情報漏えいのリスクを軽減し、業務効率化を図るうえでも、企業向けのファイル転送サービスの導入を検討されてみてはいかがでしょう。
これまでの課題、不安を解消し、安全、高速に大量ファイルの転送を実現します!
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