ファイル転送サービスを使ううえで考えるべき
情報漏えい防止策とは!
今、多くの業種で海外企業や異業種からの参入などにより、企業間競争が激化しています。そこで重要になってくるのが情報伝達のスピードです。支社間での安全かつスピーディーな情報共有は、企業にとって緊急の課題となっています。以前はファイル転送といえばメール添付が主流でしたが、送れるデータ容量に制限があることから、現在ではオンラインストレージや無料ファイル転送サービスを使う企業が増えています。しかし無料サービスでは情報漏えいに不安が残ります。安全でスピーディーなファイル転送を行うにはどういった対策が必要となるのかをまとめました。
1. ビジネスシーンにおけるファイル転送サービス利用の実態
2014年3月にある企業が行った企業におけるデータ転送についてのアンケート(※)の結果によると、業務データの転送方法で一番多いのは「電子メールへの添付」で50.3%。次いで「オンラインストレージで共有」が23.6%。そして「無料ファイル転送サービス」が8.7%となっています。
少し前の調査ですが、それでも日常的なファイル転送にはメール添付が多く使われているようです。しかし同じ調査で「データ転送の課題・問題点」として「サイズ制限で送受信できない」が61.1%。「ファイル分割は業務効率を低下」が32.8%となっていることから、大容量のファイル転送を行うことに、手間をかけたり、やりにくさを感じていたりします。最近ではメールに代わるツールとしてオンラインストレージや無料ファイル転送サービスを使う企業が多いのではないでしょうか?
2. 企業主導によって無料ファイル転送サービスを使うときのリスク
オンラインストレージや無料ファイル転送サービスのどちらも、基本的には無料ということで、コストをかけずに大容量のファイルを転送できるというメリットから、多くの企業が採用しているサービスです。しかしこれらのサービスには情報漏えいなどのリスクがあり、機密情報のやり取りにおいて、企業主導で利用するには決して手放しでおすすめできる方法ではありません。
オンラインストレージや無料ファイル転送サービスの利用には以下のようなリスクが考えられます。
- (1)
セキュリティレベルを自社でコントロールできない
第三者のサーバにファイルを預けるといった形でファイルのやり取りを行います。その際に利用するサーバは当然、ほかの利用者との共有サーバのため、自社でファイルのセキュリティレベルをコントロールすることはできず、サービス提供会社に委ねる以外にありません。 - (2)
ファイル転送の利用履歴を自社で管理することができない
オンラインストレージ、無料ファイル転送サービスではそのすべての利用履歴を会社で管理することが非常に困難です。つまり万が一、情報が漏えいしてしまえば、誰がいつどのように利用した際に漏えいしたのかといったことを把握することができないということになります。
3. ファイル転送サービスにおける情報漏えい対策について
JNSA(特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会)が、2016年6月に発表した「2015年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によると、2015年の想定損害賠償総額は2,541億3,663万円(一件あたり平均想定損害賠償額は3億3,705万円)。
もちろんこのすべてがファイル転送による情報漏えいということではありません。しかしセキュリティ上の脅威になりうる事案での損害は、それだけ大きいものであるということはお分かりいただけると思います。そういった意味で、ファイル転送を行う際は情報漏えい対策を怠ることは絶対に避けなければなりません。
ファイル転送サービスにおける情報漏えい対策として、比較的にすぐ対応できることとしては、それぞれのサービスが提供する有料版を利用すること。サービス提供会社によって違いもありますが、無料版に比べセキュリティレベルに大きな差があります。また送信可能容量や送信先、送信履歴の増加、保存期間の延長といった機能もアップします。
ただし無料サービスから有料サービスへ移行したとしても、共有サーバを使うことには変わらないうえ、それを自社で管理できるようになるわけではありません。企業としてもっと根本的な情報漏えい対策を検討する必要があります。
4. ファイル転送サービスをもっと安全に利用するには
これまでご説明したファイル転送サービスのデメリットを解消し、安全に利用するためには以下のポイントに注意しなくてはなりません。
- 共有サーバではなく占有サーバを使うこと
- 送受信履歴を自社で完全に管理できること
- 転送データの盗聴、漏洩、欠落、改ざんを防止機能が装備されていること
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