データ活用コラム

Amazon Auroraを活用した最適なデータ連携戦略

本記事ではAmazon Auroraを活用したデータ連携の最適な戦略について、その特徴から、AWSサービスや外部サービスとの連携方法、セキュリティや運用管理のポイントまで詳細に解説します。
近年、クラウド環境でデータを一元管理し、リアルタイムで分析を行う需要は急速に高まっています。その中でも Amazon Aurora は、高い可用性とスケーラビリティを兼ね備え、幅広いユースケースに対応できる点が注目されています。
ここでは、初心者の方でも理解しやすいように具体的な連携手順や注意点を取り上げ、運用におけるコツやセキュリティ対策なども含めて深掘りします。データ活用の可能性を広げたい方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

データ連携

yoko tsushima - 読み終わるまで 11分

Amazon Auroraとは? データ連携での特徴とメリット

Amazon Auroraを理解するためには、その基本的な特徴やメリットを把握することが重要です。本セクションでは、Amazon Auroraが他のデータベースと異なるポイントを整理します。

Amazon AuroraはAWSが提供するクラウド型リレーショナルデータベースサービスで、MySQLやPostgreSQLとの高い互換性が特徴です。標準的なツールやスクリプトを流用できるため、既存のシステムから移行する際のハードルが低く、多くの企業で導入が進んでいます。さらに、ストレージの自動スケーリングやバックアップ機能を標準で備えているため、データ増加にも柔軟に対応できる点が評価されています。

またAmazon Auroraでは、従来のMySQLやPostgreSQLと比較して高いパフォーマンスを実現する仕組みが組み込まれています。AWS独自の高度なストレージエンジンとネットワーク設計により、読み取りも書き込みも大規模トラフィックに耐えられるよう設計されています。これにより、活発なデータ連携ニーズに即応できる環境が得られるのが大きな利点です。

さらに、マネージドサービスとして提供されるため、データベースのパッチ適用やフェイルオーバー構成など、従来のオンプレミス環境で手間のかかる運用作業を最小限に抑えられます。安定した運用基盤を確保しながら、AWSが提供する多彩なサービスと組み合わせることでさまざまなデータ連携シナリオを実現できる点が、企業のデジタルトランスフォーメーションを後押ししています。

Amazon Aurora MySQLとAmazon Aurora PostgreSQLの違い

Amazon AuroraはMySQL互換とPostgreSQL互換の2種類が選択可能であり、いずれもソース互換が高い環境を提供します。Amazon Aurora MySQLはMySQL用のツール・スクリプトをそのまま利用しやすく、Amazon Aurora PostgreSQLは豊富な拡張機能やデータ分析に強みを持つエコシステムを活かすことができます。

具体的なアーキテクチャや対応する機能に細かな差異はありますが、大きな違いの一つとして書き込み性能の仕様やサポートされる拡張モジュールの有無が挙げられます。企業システムでは、DWH用や業務トランザクションの連携といった利用目的によってどちらの互換性を選択するかを検討すると良いでしょう。

ツール対応の観点でも、MySQL向けのユーティリティが充実している一方、PostgreSQLでは高機能な拡張がサポートされているなどメリットはそれぞれに存在します。自社の開発・運用体制と既存の資産を見極め、最適なエディションを選択することが重要です。

AWSサービスとの連携で得られる拡張性と効率化

Amazon AuroraはAWSのサービスとの連携によって、柔軟な拡張性と効率的な運用が可能になります。本セクションでは主要な連携方法をご紹介します。

AWSの他サービスとの統合はAmazon Auroraの大きな強みの一つです。たとえば、Auto Scaling機能によって読み込み用のレプリカ数を自動的に増減できるため、急激なトラフィック変化にも対応しやすい環境を構築できます。

さらに、Amazon AuroraはAWS Lambdaなどのサーバーレス基盤とも容易に連携できるため、データベーストリガーとサーバーレスアプリケーションの組み合わせによる柔軟なイベント駆動アーキテクチャが実現可能です。

また、AWSが提供するPerformance Insightsを使えば、データベースの負荷分析やボトルネックの可視化が簡単に行えます。これにより、実際の運用状況を把握した上で、増大するデータ連携要件にもスムーズに適応できます。

Amazon Redshiftとのリアルタイム連携(Zero ETL)

Amazon AuroraとAmazon Redshiftを組み合わせることで、分析環境へのリアルタイムに近いデータ連携を実現する仕組みが注目されています。特に、Zero ETLと呼ばれる概念では、複雑なバッチ処理や中間領域での変換作業を大幅に省略し、継続的に新鮮なデータを取り込むことが可能になります。

従来であれば、ETLツールを使いロードや変換を定期的に走らせる必要がありました。しかしZero ETLでは、サービス同士が密に連携しているため、更新のタイムラグを最小限に抑えながらBI分析や機械学習のためのデータ基盤を維持できます。

一方で、完全にコード不要というわけではなく、特定のユースケースに合わせて権限設定やスキーマの調整など必要な構成はあります。しかし手動でのバッチ処理よりも遥かにメンテナンスコストが低減されるのが大きなメリットです。

Amazon S3 Export機能を使ったデータ連携

Amazon AuroraにはAmazon S3へデータをエクスポートできる機能が用意されており、大きなテーブルを効率的に検証・アーカイブしたい場合に有用です。クラスターから直接データをAmazon S3に書き出すことで、中間サーバーを経由しないため、運用の手間やコストを抑えられます。

一度Amazon S3に格納されたデータは、AWS GlueやAmazon Athenaなどのサービスを利用して解析したり、ETLパイプラインの入力データとして取り込むことも可能です。データレイクの基盤をAWS上に整備している企業にとっては、シンプルな統合パターンとして非常に有効です。

エクスポート頻度やデータサイズによってはコスト面の配慮も必要ですが、Amazon Auroraが提供する自動バックアップやポイントインタイムリカバリと組み合わせると、より最適なデータ連携の仕組みを構築しやすくなります。

外部クラウドサービスやオンプレミスシステムとの連携方法

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Amazon AuroraはAWS以外の外部サービスとの連携においても、柔軟な選択肢があります。オンプレミスとのハイブリッド運用や多種多様なクラウド連携の要点をまとめます。

AWS環境外にある多種多様なクラウドプラットフォームやオンプレミスシステムと連携する場合、接続方式やセキュリティ設定などに注意が必要です。例えば、VPNやDirect Connectを使ってAmazon Auroraクラスターと安全に通信する構成を検討することで、企業内ネットワークとシームレスにデータのやり取りが可能になります。

監査やコンプライアンスの観点でも、どのようなデータをどの経路で連携するのかを明確にすることが重要です。AWSのセキュリティグループやネットワークACLの設定と組み合わせることで、安全かつ効率的に外部サービスとのデータ連携基盤を構築できます。

実際には、エンタープライズシステムの要件ごとに最適なプロトコルや認証方式が異なるため、事前に十分なリサーチと検証を行うことが長期的なトラブル回避のポイントとなります。

Datastreamで実現するBigQueryへのニアリアルタイム連携

AWS外のデータ分析基盤としてGoogle BigQueryを利用するケースも増えています。Datastreamなどのツールを使うことで、Amazon Auroraの更新データをBigQueryへニアリアルタイムに連携し、タイムリーな分析やダッシュボード表示が可能です。

クローズドな環境間のデータ転送にはセキュアな通信チャネルが前提となるため、VPNやTLS接続の確立、そしてデータ検証フローの設計などをしっかりと行う必要があります。連携前にはAmazon AuroraのスキーマとBigQueryのテーブル定義を照らし合わせ、列データ型やパーティション戦略を整合させておくことが重要です。

Datastream連携では、キャプチャと適用の際に増分データだけを送る設定も可能なため、バッチ処理よりも効率的にデータを同期できます。とはいえ、BigQueryでの分析タイミングやコスト面とのバランスも考慮し、最適な連携頻度やジョブ設計を行いましょう。

HULFT Squareを活用した多彩なデータ連携

GUIベースの開発環境を提供するHULFT Squareを利用すれば、コード記述を最小限に抑えつつ、Amazon Auroraを含むさまざまなデータソースを手軽に連携できます。これにより、オンプレミスの基幹システムやサードパーティクラウドサービスとの統合をスピーディに実現できます。

HULFT Squareでは変換ロジックやスケジュール設定を直感的に行え、特定のフォーマットに合わせたマッピングを視覚的に構築できるのが強みです。開発メンバーだけでなく、運用チームも状況を把握しやすいメリットがあります。

例えば、定期的にAmazon Auroraから外部システムへ受注データを送ったり、逆に外部サービスの顧客情報をAmazon Auroraへ取り込むシナリオなどで、実運用級の性能と柔軟性が得られます。連携規模が拡大していく中でも、メンテナンスしやすい設計を保てる点は大きなメリットといえます。

iPaaS型データ連携基盤 HULFT Square(ハルフトスクエア)

HULFT Squareは、「データ活用するためのデータ準備」や「業務システムをつなぐデータ連携」を支援する日本発のiPaaS(クラウド型データ連携プラットフォーム)です。各種クラウドサービス、オンプレミスなど、多種多様なシステム間のスムーズなデータ連携を実現します。

EmbulkなどのETLツールによるデータ移行

データ移行には、EmbulkをはじめとするETLツールが大きな役割を果たします。本セクションでは、Amazon Auroraとの連携時に気をつけるポイントを解説します。

ETLツールの利用は、データを効率的に抽出・変換・ロードする上で重要な手段の一つです。Embulkはプラグインを豊富に用意しており、Amazon Auroraとの接続や別のデータソースへの書き込みもスムーズに行えます。

データ量が多いケースでは、マルチスレッドや分割処理によって高速化できるため、定期的なバッチ処理にも適しています。また、ジョブ設定をコードとして管理できるので、運用の自動化と再現性の確保がしやすいのもETLツールの魅力です。

一方で、ETLツールを使えば必ず効率化できるというわけではなく、とくに大規模システムでは細かなチューニングやメモリ管理、ネットワーク帯域の確保など実装面の注意も必要です。Amazon Aurora側のパフォーマンス要件に応じて、ジョブスケジュールや更新方式を最適化していくことが運用の鍵となります。

DELETE/INSERT・REPLACE・MERGEの使い分けポイント

データを更新する際に用いられる代表的な手法として、DELETE/INSERT・REPLACE・MERGEが挙げられます。Amazon Aurora MySQLではREPLACE文を活用した一括更新が可能ですが、古いデータを削除して新たにInsertする動作であるため、データ損失や整合性への影響を把握しておく必要があります。

一方、Amazon Aurora PostgreSQLの環境ではMERGE機能が活用できないバージョンもあるため、テーブルのバージョン互換や機能サポートを事前にチェックしておくと良いでしょう。バルクアップデートの際には、大量の書き込みが発生するため、トランザクション設計やロックの取り方に注意した運用が求められます。

DELETE/INSERTは実装がシンプルな分、競合や重複データの管理などに手間がかかる場合があります。運用では、更新対象のレコード数やリアルタイム性の要件を加味して最適なSQL文を選択하는ことがポイントです。

Amazon Auroraへの接続・ドライバー選択のベストプラクティス

接続ドライバーやクライアントツールの選定は、Amazon Aurora運用の品質に大きく影響します。最適な選択を行うためのポイントを整理します。

Amazon AuroraはMySQL・PostgreSQLそれぞれのプロトコル互換性を活かして、標準的なドライバーでも接続が可能です。しかし、AWSが公式に提供しているJDBCやPython向けの専用ドライバーを使うことで、フェイルオーバーの際に瞬断を抑制する機能など、より高い可用性を得られる利点があります。

運用者視点では、接続周りのマネージメントが簡素化されることがメリットです。複数のアプリケーションから同時に接続が行われるケースでも、クラスターエンドポイントを利用した接続先の統合管理はトラブルを減らす上で重要な設計要素です。

将来的に他の言語や環境からの接続を検討している場合も、Amazon Auroraが提供する標準機能と公式ドライバーとの組み合わせをベースにすると、柔軟な拡張が行いやすく保守性も高まります。

AWS JDBC・Pythonドライバーなど主要ドライバーの特徴

AWSが提供するJDBCドライバーは、Amazon Aurora特有のフェイルオーバー構成に最適化され、スイッチオーバー時のダウンタイムを最小限に抑える工夫が凝らされています。PythonドライバーやODBC、Node.jsラッパーなども公式サポートが行われているため、多言語環境でAmazon Auroraを扱う際に安心して利用できます。

これらの公式ドライバーは、SSL接続やIAM認証といったセキュリティ機能への対応がスムーズに行われている点も大きな特徴です。特に本番環境では暗号化通信や認証の設定が必須となるため、公式ドライバーを利用するメリットは大きいといえます。

ただし、すべての機能を使いこなすにはドライバーのバージョンやAmazon Auroraのエディションとの互換対応状況を確認する必要があります。ドライバーのリリースノートに目を通し、最新機能の適用や既存システムとの組み合わせを検証することが推奨されます。

MySQL/PostgreSQLユーティリティによる運用上の注意点

Amazon Aurora MySQLの場合はmysqlコマンド、Amazon Aurora PostgreSQLの場合はpsqlなどの標準ユーティリティを利用して操作することができます。しかし、クラスターエンドポイントを意識して接続しないと、意図しないレプリカへの書き込みを試みてエラーが発生するなどの混乱が生じる可能性があります。

運用シナリオによっては、スナップショットの取得やリストア、Performance InsightsなどAmazon Aurora固有の機能を活用する機会が増えるため、AWS CLIやコンソールを交えた運用設計を組み立てるのが望ましいです。

さらに、SSL接続の利用やサーバー証明書の更新など、セキュリティ周りの設定も定期的に見直すことが推奨されます。mysqlやpsqlだけでなく、周辺ツールとの間でSSL/TLS設定を整合させ、暗号化通信を強化しておくことが大切です。

接続障害やレプリケーション遅延への対処法

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システムが安定稼働するためには、接続障害やレプリケーションの問題に適切に対応することが重要です。本セクションでは実践的な対処例を示します。

AWS上でのマネージドサービスとはいえ、ネットワーク設定やレプリカ構成の問題から接続障害が発生するケースがあります。トラブル発生時には、まずセキュリティグループやACLの設定、クラスターエンドポイントの動作状況、ログの内容などを逐一確認することが重要です。

また、読み取りレプリカでレプリケーションが遅延すると、最新データを取りこぼすリスクやデータ不整合を引き起こす可能性があります。高可用性を保つためにも、レプリカの負荷状態やストレージのI/Oを監視し、必要に応じてスケールアウトや構成変更を検討しましょう。

普段からPerformance InsightsやCloudWatchのログを参照し、異常の兆候を早期に把握する習慣をつけると、障害が顕在化する前に対策を打ちやすくなります。これらの運用設計はビジネス継続に直結するため、日頃の運用ルールづくりが欠かせません。

トラブルシューティングで押さえておきたいポイント

障害が発生したら、まず接続先のエンドポイントを含めたネットワーク関連の設定に問題がないかを確認します。AWSコンソールのVPC設定やセキュリティグループのインバウンドルール、もしくはIAM関連の不備が原因となるケースが多いです。

次にAmazon Auroraログでのエラーメッセージやイベントログをチェックする方法も有効です。書き込み負荷が高くなりすぎている、クエリが遅延している、あるいはストレージ不足が起きているといった傾向が分かれば対策をとりやすくなります。

万が一クラスター全体での障害が疑われる場合は、AWS側のステータスを見ることも必要です。メンテナンス情報やサービスダウンの可能性を調べ、迅速に復旧プランを策定しましょう。

データ不整合を防ぐ運用設計

特にレプリケーションを多用している環境では、遅延や障害発生時のデータ整合性が問題になります。非同期レプリケーションの場合、書き込んだデータがレプリカに反映されるまでの時間差が生じるため、読み取り時に古いデータを参照してしまう恐れがあります。

こうしたリスクを回避するには、クリティカルな処理を行う際はプライマリノードへの参照を優先したり、間違ってレプリカに書き込みしないよう接続先を厳密に制御する設計が必要です。Amazon Auroraのフェイルオーバー時にも最新のデータを担保できるよう、必要に応じてスナップショットによるポイントインタイムリカバリの設計を検討するのも有効です。

また、整合性維持に関してはアプリケーションレイヤーで重複チェックや再処理ロジックを入れておくなど、複数層で対策を取ることが望まれます。万が一のフェイルオーバーでもユーザーに影響が出にくい仕組みを構築し、ビジネス継続性を高めておきましょう。

セキュリティ対策と運用管理

これからのクラウド運用では、セキュリティと運用管理の体制整備が欠かせません。Amazon Auroraを利用する上での安全性確保のポイントを確認しましょう。

Amazon AuroraをはじめとするAWSのデータベースサービスでは、暗号化の有無や認証の方法によってセキュリティレベルが大きく左右されます。特に、顧客情報や機密データを扱うシステムでは、KMSを活用した暗号化やIAM認証の導入が必須とされるケースが多いです。

運用管理の観点では、クラスター単位でのフェイルオーバー設計やスケーラビリティへの考慮が欠かせません。Amazon Aurora Auto Scalingを活用することで、読み込み専用のレプリカを需要に応じて増減させる仕組みを作り、パフォーマンスを維持しながらコストを抑えることができます。

また、万が一の障害に備えて継続的なバックアップの取得と検証が必要です。スナップショット管理とポイントインタイムリカバリを組み合わせれば、データ破損や誤操作による損失も最小限に留められます。バックアップのジョブ管理にはAWS CLIやスケジューラを活用するなど、運用チームが確実に運用を回せる体制を築きましょう。

暗号化・キー管理と認証機能の設定

Amazon Auroraの暗号化機能を有効にすることで、ストレージ上やスナップショットとして保存されるデータを保護できます。AWS KMS(Key Management Service)を使えば、キーの生成やローテーションが一元的に行えるため、運用負担を減らすことができるでしょう。

また、IAM認証機能を使用することで、DBユーザーIDとパスワードの管理を大幅に簡略化できます。IAMポリシーを適切に設定しておくと、アカウント管理の一元化が可能となり、認証とアクセス制御に関するセキュリティリスクが軽減されます。

暗号化やキー管理は、コンプライアンス要件にも深く関わる部分です。金融業界や公的機関など、厳格なセキュリティ基準を求められる場合にも、Amazon AuroraとAWS KMSの組み合わせは有効な選択肢となるでしょう。

フェイルオーバーとスケーラビリティ設計

Amazon Auroraではプライマリノードに障害が発生した際、自動的にリーダーノードを昇格させるフェイルオーバー機能を備えています。これによりダウンタイムを短縮し、システム継続性を高められる点が大きな特徴です。

一方で、フェイルオーバー時にはアプリケーション側の接続先変更が必要になる場合もあるため、AWSドライバーの機能やクラスターエンドポイントの利用を検討しましょう。こうした仕組みにより、手動による対応なしで透過的にフェイルオーバーが行われるように設計できます。

読み込みが多いシステムでは、Amazon Auroraレプリカを複数配備して負荷を分散する考え方が有効です。Auto Scaling機能と組み合わせることで、需要のピーク時に自動的にレプリカを増やし、アイドル時間帯に数を減らすなどコストとパフォーマンスの両面を最適化できます。

監視・バックアップと障害復旧のベストプラクティス

運用上は、CloudWatchを活用してAmazon AuroraインスタンスのCPU・メモリ・ストレージI/Oなどのメトリクスを監視し、閾値アラームを設定しておくことが推奨されます。これにより、問題が発生しそうなタイミングを事前に察知し、素早く対応できるようになります。

バックアップについては、Amazon Auroraの自動バックアップ機能によって指定した保持期間内は常に最新のスナップショットが取得されます。万一の際にはポイントインタイムリカバリを使って障害発生直前のデータ状態に戻せるため、運用リスクを大幅に軽減できます。

これらの機能を最大限に活かすには、定期的なテストが欠かせません。復旧手順をドキュメント化し、緊急時にスムーズなオペレーションができるように演習を繰り返すことで、クラウド環境特有のリカバリプロセスを体得しておきましょう。

まとめ

Amazon Auroraを中心としたデータ連携の設計や運用上のポイントを総括し、効果的かつ安全な連携基盤を構築するためのヒントを振り返ります。

Amazon AuroraはMySQL/PostgreSQL互換性、高可用性、スケーラビリティなどを高いレベルで備えており、AWSサービスとの連携や外部サービスとの統合でも幅広い選択肢を提供します。その結果として、企業規模を問わず様々なユースケースで利用が進んでいます。

Amazon Auroraの導入にあたっては、データ連携の要件を整理し、どのサービスとの統合が必要になるか、どのドライバーやETLツールを使うかなどを計画的に決めることが大切です。接続方法や運用設計を最適化することで、レプリケーション遅延やセキュリティ面のリスクを抑えつつ、柔軟なデータ活用に踏み出せるでしょう。

最後に、運用段階では障害対応やフェイルオーバー、監視・バックアップ運用など、多面的なケアが必要です。AWSのマネージド機能を最大限活かしながら設計することで、クラウドネイティブならではのメリットを最大化し、より高品質なデータ連携基盤を目指すことができます。

執筆者プロフィール

對馬 陽子

  • ・所 属:マーケティング部
  • アプレッソ(現:セゾンテクノロジー)入社後、テクニカルセールスとして技術営業や研修、技術イベントなどを担当。Uターンのため退職したのち、2023年4月に遠隔地勤務制度で再入社。プロダクト企画部での経験を経て、現在はマーケティング部でデジタルコンテンツ作成を担当している。
  • (所属は掲載時のものです)

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