1999年に「Internet of Things」という言葉が生まれて18年。今現在、IT業界においてIoTという言葉は、聞かない日はないというほどの盛り上がりを見せています。「果たしてIoTとは何なのか」、IoTの本質を少し紐解いてみたいと思います。
IoTアーキテクチャ入門 コラム一覧
IoTアーキテクチャ、4つの例(上)
IoTシステム開発の構築方法を悩まれている技術者の方々へ、ヒントを提示すべく始まった本連載も三回目。
概論はわかったから、そろそろ具体的な話をしてくれという声が聞こえてきそうなので、今回は具体的なアーキテクチャの例をご紹介したいと思います。
IoTアーキテクチャについて
前回、IoTのシステムはデータセントリックであり、データの収集/連携が重要なポイントだとご説明しましたが、このようなポイントはIoTシステムの大きな特徴であり、いうまでもなく、その特徴はシステム・アーキテクチャにも反映されています。
つまり、IoTシステムは、どのようにデータを集めるのかというデータ収集/連携の方法によって、システム・アーキテクチャが決まるということです。
実際には、データ収集をした後のクラウド側のアーキテクチャも、もちろん処理によって異なってくるのですが、今までのシステム・アーキテクチャと大きな差はありませんので、今回はデータ収集/連携にフォーカスして説明していきます。
私どもが関わった、今までのIoTのシステム・アーキテクチャを見ると、大きく以下の4つに分類できます。
- 1.Device to Cloud
- 2.Using Gateway
- 3.Using Mobile
- 4.Using Server
今回は、このうちの2つをご紹介します。
Device to Cloud
このアーキテクチャパターンは、一番簡単で想像しやすいパターンではないでしょうか。
シンプルに、センサーやデバイスから直接クラウドにデータをあげるパターンです。
このパターンの特徴をまとめると以下になります。
[メリット]
- ・比較的すぐに始められる
- ・デバイスが増えてもアーキテクチャの変更が少ない
- ・クラウド側で柔軟なデータハンドリングが可能
[デメリット]
- ・デバイスが段階的に増えるときの管理コストが極めて高い
- ・デバイスごとにデータが異なるときにクラウド側で対応が必要
- ・再送処理をデバイス側で対応が必要
- ・そもそも電池消費量が高く、現実的ではない
Using Gateway
Device to Cloudのパターンでは、ある程度デバイス側の処理性能を求められるため、利用できるシーンに限りがあります。
センサーチップなどプリミティブなデバイスを利用したい場合には、転送前にIoTゲートウェイを挟み、
一旦データを集約してから転送をする方法をとります。そのパターンがこの Using Gateway パターンです。
このパターンの特徴をまとめると以下になります。
[メリット]
- ・近距離通信が利用できデバイスの負荷を抑えられる
- ・デバイス増加時にデバイスのセットアップを最小限にできる
- ・データ転送をコントロールしやすい(再送、フィルタなど)
- ・デバイスをグループで管理できる
[デメリット]
- ・単純にコストが増える
- ・デバイスを管理したい場合には別の仕組みが必要
- ・ゲートウェイが故障するとそのグループのデバイスがすべて使えなくなる
まとめ
今回は、2つのアーキテクチャをご紹介しましたが、IoTの特徴が出ていますね。
IoTシステムは以下のような特徴があると思います。
- ・データ収集の対象数(デバイス数)が非常に多い
- ・デバイス側の処理性能は期待できない
- ・デバイスは壊れる可能性がある(代替可能性を考慮する必要がある)
そのため、IoTシステムは、スケーラブルでかつクラウド集中型のアーキテクチャを作る必要があります。
次回は、残り2つのアーキテクチャをご紹介したいと思います。