HULFT
導入事例 | 株式会社Workthy 様

モダンなアーキテクチャで約870万のNISA口座情報を安全に連携
フルマネージドサービスのように活用できる「HULFT10 for Container Services」

業種・業態
情報・通信
導入製品
HULFT
キーワード
クラウド連携 / 開発工数削減 / モダナイゼーション / 運用負荷軽減 / AWS連携

プロセス最適化支援を中心に、各種サービスを展開している株式会社Workthyでは、各金融機関から国税庁に提供が必要なNISA口座に係る買付(簿価)残高情報を送受信する認定クラウドサービスとして「NISAクラウドサービス」を運営している。この「NISAクラウドサービス」とファイル連携するためのインターフェースとして、コンテナオーケストレーションサービスに対応した「HULFT10 for Container Services」を採用した。

お客様の課題

金融機関向けに提供する「NISAクラウドサービス」とのセキュアなファイル連携を円滑に行うためのインターフェースを実装したい。

導入効果

金融機関が求める
安全かつ安定的な
ファイル連携

をスムーズに実現

AWS CloudFormationの
テンプレートを
利用することにより
わずか20分で
ファイル連携可能

な環境を構築

サーバーレスで
HULFTを実行
できることに加え
安定的な稼働により、
フルマネージドサービス
のように活用

新NISA口座情報の国税庁への情報提出、受け渡しに必要な認定サービスを運用

専門性の高いエンジニアリングを強みとして2006年に設立、プロセス最適化支援を中心に業務全体の最適化やオペレーション能力の向上を支援している株式会社Workthy。業務や生活を便利にするシステムやアプリケーション、インターフェースを利用者視点から快適に活用できるサービスを提供しており、金融機関向けに提供する「民間送達e-Tax連携サービス」をはじめとした民間企業向けのサービスから、行政機関専用や個人向けなど、多岐にわたるサービスを通じて新たな付加価値を顧客に提供している。

株式会社Workthy
開発部 プロジェクト開発リーダー
中村 圭輔 氏

そんな同社では、金融機関が国税庁に対してNISA口座に係る買付(簿価)残高を提供するため、国税庁の認定サービスとなる「NISAクラウドサービス」を提供している。新NISAでは、生涯投資枠となる非課税保有限度額が決まっており、2026年1月から各金融機関は国税庁に対して買付(簿価)残高などの情報提供が必要となったが、その情報を提出するための認定サービスの1つとなっているのが、同社が提供する「NISAクラウドサービス」だ。「このNISAクラウドサービスの開発にあたって、金融機関とセキュアにデータを連携するために、OpenVPNやAWS PrivateLink経由などSFTPを用いた複数の接続形態を用意し、各種金融機関のニーズに対応できる環境を事前に整備していたのです」と開発部 プロジェクト開発リーダー 中村 圭輔氏は当時を振り返る。

モダナイズされたHULFTで、金融機関からのニーズに応える環境を短期間に整備

事前に金融機関に対して接続に向けた複数の手法を用意したうえで、サービス利用者となる各金融機関に対して「NISAクラウドサービス」の説明を実施したという。そこで、多くの金融機関から要望があったのが、もともと想定しなかったHULFTを使ったファイル連携だった。「SFTPによる複数の接続方法があれば事足りると正直思っていましたが、金融機関からは豊富な実績を持つHULFTを使って接続したいという声ばかりでした」と驚いた中村氏。これまでHULFTの存在は以前から知っていたものの、レガシーな仕組みと認知していたため検討候補に含めていなかったという。

HULFTに対して過去のイメージしか持っていなかった中村氏は、「若いころに周りから聞いていたイメージのまま、とにかく手間がかかるレガシーな仕組みとしてしか見ておらず、しかもオンプレミスでしか動かせないと決めつけていました。SaaSを中心にサービス提供している我々には、先行投資して実装する仕組みとは言えなかったのです」と語る。

しかし、実際に調べてみるとAmazon Web Services (AWS) 上で構築でき、かつコンテナオーケストレーションサービスで稼働させることが可能な、モダナイズされたHULFTの存在を知ることに。「AWSのコンテナオーケストレーションサービスで利用できる「HULFT10 for Container Services」に出会い、今の時代にマッチした環境があることを知りました。また、単なるファイル連携の仕組みでHULFT内にファイルを蓄積する仕組みだと考えていたところ、調べてみるとオブジェクトストレージである「Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)」 にファイルが直接配信できることが分かったのです。「NISAクラウドサービス」でもデータ保管先として「Amazon S3」を使うため、同じような使い方ができる。自分が持っていたHULFTイメージとはかけ離れていたのです」と中村氏。HULFTを新たに学ぶことは避けたかった中村氏だが、ふたを開けてみると自分が思い込んでいたものとは大きく異なっており、興味を持ったという。

そこで、AWS Marketplaceから「HULFT10 for Container Services」のトライアル版を入手し、AWS CloudFormationのテンプレートを実行してみたところ、わずか20分ほどで環境が構築できてしまったという。「HULFTの独自用語を読み解いて動かしていくのはプラスアルファの学びが必要ですが、環境自体はあっという間に構築できる。しかも、長年の実績もあってか、恐ろしいレベルで安定稼動してくれるため、構築後の運用負担がなく、ファイルのセキュアな連携をパッケージ製品側で担保してくれる。シンプルな仕組みで属人化しない点も高く評価したのです」と中村氏。

結果として、金融機関からの強い要望を実現するべく、「NISAクラウドサービス」が提供するファイル連携手段の1つとして、HULFTが追加されることになったのだ。

約870万の新NISA口座情報の安全なやり取りをHULFTが下支え

2026年1月から金融機関による国税庁に対する買付(簿価)残高などの情報提供が始まるが、現在は金融機関において同社が提供する「NISAクラウドサービス」との連動テストが順次行われており、年1回のデータ提出と毎月の口座残高変更情報など、年間通じて「HULFT10 for Container Services」を経由してファイル連携が行われる予定だ。2025年3月末時点で2,600万を超える新NISA口座を管理する約800の金融機関のうち、半数弱でWorkthyが提供する「NISAクラウドサービス」が採用される予定となっており、新NISA口座全体の3分の1ほどがHULFTを使ったファイル連携になるという。およそ870万の新NISA口座情報の安全なやり取りを、「HULFT10 for Container Services」が支えることになるわけだ。

実際の運用では、金融機関が保有する新NISA口座の残高情報のファイルをHULFTにて「NISAクラウドサービス」に送って「Amazon S3」に格納。届いたファイルを他の認定クラウドサービスが収集した残高情報と合算したうえで、税務署にデータ提出が行われる。また、合算した口座情報を金融機関に送信する処理も実施されるなど、金融機関とのファイル連携の手法としてHULFTが使われることになる。「基本的にはHULFTが処理してくれるため、データの受け渡しに関して責任分界点が明確なのは分かりやすい。システムを運用する我々としても判断しやすい」と同部 米村 登志也氏は評価する。

株式会社Workthy
開発部
米村 登志也 氏

「HULFT10 for Container Services」の利用においては、起動タイプとしてFargateを選択しているため、サーバーレスで実行でき、リソース拡張も柔軟だ。「安全にファイル連携ができる「HULFT10 for Container Services」は、初期設定こそ必要であるものの、特に何か手を加えることなくファイル連携が自動化できます。Fargateを選択したことによりサーバーレスで運用できることに加え、HULFTが非常に安定的に稼働し、属人化しにくいシンプルな仕組みであるため、まるでフルマネージドなサービスのようなイメージで使っています」と中村氏は高く評価する。JavaScriptライブラリであるReactで画面が構成されているためほぼ全ての業務がWeb UI上で完結できることや、コンテナ環境とオンプレミス間のセキュアなデータ連携を複雑なネットワーク設計なしで実現できることなど、運用の負担がないことは大きなポイントだという。

SFTPでやり取りする場合、「AWS Transfer Family」で構築したSFTPサーバーと同社が採用しているインフラコード管理の「Terraform」で構築した環境と接続させる必要があるが、もしうまく接続できない場合はコードの書き直しも出てきてしまう。「HULFT10 for Container Services」であれば、コードを書く手間もなく、たった20分のうちに環境が用意できます。SFTPに比べてサービス実装までのスピードは圧倒的に速い」と中村氏。

また、金融機関から信頼が得られているHULFTを使うことで、本来調整が必要なシステム的なやりとりもスムーズだ。「金融機関の方が気にするのは、やはりセキュリティの話題が最初に来ることが常で、SFTPを利用する場合はその手順や認証方法など色々な議論が必要です。HULFTを使う時点で、セキュリティグループの設定は必要なものの、IPアドレスの交換の話題だけで済んでしまいます。技術的な説明も含めて不要なのは正直とても大きく、疎通テストの工程も短縮できます。金融機関に限らず、HULFTを使っている企業からの信頼感は本当にすごいと感じます」と中村氏。

今回のプロジェクトで中村氏が実感したのは、 “温故知新”としてのレガシーなHULFTが、 コンテナ環境で使えるモダンなHULFTに進化を遂げることで“日進月歩”も兼ね備えたソリューションだということだ。「日進月歩という言葉が私自身はとても好きなのですが、古いものを学ぶことで新しい知識を得るという温故知新という考え方も大切です。まさにHULFTは双方を兼ね備えた、とてもいいサービスだと知ることができました」と力説する。

新たなビジネスへの展開含め、モダナイズされたHULFT活用の幅を広げたい

「NISAクラウドサービス」の活用はこれから進んでいくことになるが、もともと同社では行政分野や金融分野に対する各種サービスを提供していることから、今後も豊富な実績を持つHULFTを活用する場面が出てくる可能性は十分にあるという。「今回のプロジェクトでHULFTそのものを経験し、実際に手を動かしてきたノウハウも蓄積されています。今後のビジネスにおいても、活用シーンの広がりはあるはずです」と中村氏は意欲的だ。今回のプロジェクトで得たHULFTの知見を若手エンジニアである米村氏および同部 浦川 大輝氏に吸収してもらったうえで、自分なりのチャレンジとして学びにつなげてもらいたいという。

株式会社Workthy
開発部
浦川 大輝 氏

浦川氏は「今回のNISAクラウドサービスで金融機関との関係性ができたのは会社として大きく、やりとりも確実に増えてくるはず。HULFTをより深く知る機会を得ながら、エンジニアとしての技術の幅を広げていきたい」と語る。米村氏も「我々の要望を迅速に取り入れていただけるなど、我々が描く理想的な形に持っていきやすいソリューションだと実感しています。ぜひ活用できる場面があれば取り入れていきたい」と今後について語っていただいた。

・OpenVPNはOpenVPN, Inc.の登録商標です。

・Amazon Web Services およびその他のAWS 商標は,米国およびその他の諸国におけるAmazon.com,Inc.またはその関連会社の商標です。

・Terraformは、HashiCorp, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標です。

株式会社Workthy

本社所在地 :福岡県福岡市中央区赤坂1-16-5

立 :2006年7月4日

資本金 :29,050千円

事業内容 :自治体向け業務改善支援サービスやCATV事業者向け業務改善支援サービスをはじめ、ITコンサルティングやシステム開発、教育サービス、アウトソーシングなどを手掛ける

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