導入事例 | 兵庫県神戸市 様
オンライン申請を自動審査する仕組みを下支え
データ連携の内製化を可能にする DataSpider Servista

- 業種・業態
- 公共・自治体
- 導入製品
- DataSpider Servista
- キーワード
- データ連携基盤 / 業務自動化・効率化 / システム標準化
スマートシティの実現に取り組む神戸市では、行政手続きのスマート化に向けた環境整備の一環として、スマート申請システム「e-KOBE」と自治体が保有する住民情報を突合させて自動審査可能な仕組みを整備。このオンライン上の申請窓口と庁舎内およびプライベートクラウド上にあるさまざまなシステムとの橋渡しを行うデータ連携の基盤として、ノーコード開発が可能で豊富な実績を誇るDataSpider Servista(EAI/ETL ツール)を活用している。
お客様の課題
住民からの各種申請情報と庁内にあるデータを突合させて自動審査できる汎用的な仕組みを整備したい
導入効果
自動審査の基盤として
ランニングコストや
委託費の圧縮
を実現
汎用的なデータ連携の
基盤として
拡張しやすい
環境整備
に成功
安定した基盤として、
新たな開発が
発生したときの
負担軽減
にも寄与
コストがかさむ申請情報の自動審査、汎用的な仕組みづくりへの移行を目指す
兵庫県の中心となる政令指定都市として約150万人の人口を有する神戸市では現在、「スマートシティ」「デジタルを活用した業務改革」「EBPM(エビデンスに基づく政策立案)」という 3 つの柱を軸に、神戸スマートシティとして位置づけられたDX推進の取り組みを進めている。その一環として、スマート自治体の環境整備を目指し、行政手続きのスマート化に取り組んでおり、その基盤となっているのが、電子申請プラットフォーム「e-KOBE」だ。

企画調整局 デジタル戦略部 デジタル化専門官
坂根 雅之 氏
各種行政手続きをインターネットで受け付ける仕組みであり、個人・事業者向けに合わせて500種類以上の電子申請が可能なインフラとして活用されている。
ただし、オンライン申請だけでなく、窓口や郵送などさまざまな手段で申請を受け付けていることから、バックヤード業務が煩雑になっており、業務負担の軽減に向けた環境整備が大きな課題となっていた。「以前からオンライン申請データと、庁内に保管された住民情報などを突合して自動審査する仕組みがPoC 的に構築されていました。ただし、イニシャル及びランニングコストが大きいため、汎用的に活用できるコストを抑えた仕組みづくりが求められていたのです」と企画調整局 デジタル戦略部 行政オンライン化担当 榧本 周平氏は当時を振り返る。
システム標準化の観点でも注目したDataSpider Servista
申請された情報の自動審査も含めて汎用的に活用できるデータ連携の仕組みについては、自治体における情報セキュリティの標準的な考え方である三層分離におけるαモデル環境でも活用できるよう、LGWAN 接続系ネットワークにて基盤展開できる環境づくりが前提となっていた。具体的には、Amazon S3 などクラウドストレージとの連携が可能 な仕組みであることを要件に入札を実施。「詳細な権限設定などガバナンスに関する要件を明記したうえで、LGWAN 接続系ネットワークで自動審査できる環境を求めたのです」。

企画調整局 デジタル戦略部 行政オンライン化担当
榧本 周平 氏
また一方で、デジタル庁が進める地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化の動きも視野に入れていた。「システム標準化の動きにも対応できるよう、データ連携の基盤として環境変化への柔軟な対応が可能なものが望ましかった。また、他自治体の実績も含めて、我々にとって適したものを探したのです」と榧本氏。なかでもDataSpider Servista については「他自治体のケースとともに、民間企業でも内製化できる実績が多数ある点も踏まえて実績面で評価しました。機能面でもできることが多く、汎用的な仕組みとして活用できるのではと考えたのです」。
汎用的な仕組みづくりでランニングコストの圧縮に成功、
安定した基盤として高く評価
現在は、e-KOBE を経由して市民税などの納税証明書発行申請やがん検診無料受診券申請などの自動審査を行う際、内部にあるデータとの突合作業にDataSpider Servista が活用されている。所得・課税証明書に関する電子申請は年間5,000 件ほどとなっており、その際に必要な自動審査に関するデータ連携をDataSpider Servista が支えているわけだ。
納税証明書発行申請に関しては、e-KOBE 上の申請データをWebAPI を使って取得し、Amazon S3 に保管された住民基本台帳や課税データなど審査に必要な最小限の情報との突合を実施、対象となる該当データがあれば全庁的なファイルサーバーに対して、加工した形で申請データを保存する運用となっている。これらのデータ連携にDataSpider Servista が生かされており、「市民税企画課では、ファイルサーバーを確認することで申請状況とその該当者を一覧で確認できるようになっています」と榧本氏は説明する。
がん検診無料受診券申請に関しては、突合する対象がExcel ファイルとなっており、自動審査した結果をファイルサーバー上で確認し、必要な方に無料受診券を郵送などで送る運用だ。「納税証明などは公印の処理が、無料受診券であれば郵送 する必要がありますが、申請から自動審査まではDataSpider Servista によって自動化することができています」と榧本氏は説明する。

この自動審査の仕組みによって、申請者の検索が不要になり証明書発行までの作業時間が短縮でき、審査済みのリストが一覧で確認できるようになるなど、業務効率化につながっている。「既存の自動審査の仕組みでは、ベンダーに運用保守を 依頼していたため、膨らんでいたランニングコストが、 DataSpider Servista で内製化することでゼロになるなど、経費削減には確実につながっています」と榧本氏は評価する。がん検診無料受診券の発行は委託業務となっていたため、委託費削減の一助になっているという。「今回は既存業務を新たな環境に移行したことになりますが、DataSpider Servista のおかげで新たな開発コストの軽減につながることが最も大きな効果と言えるでしょう」と榧本氏。
DataSpider Servista に関してはRPA など他の自動化の仕組みに比べて安定感があると同部デジタル化専門官 坂根 雅之氏は評価する。「標準で備えているアダプタやAPI などを活用したDataSpider Servista によるデータ連携は安定感があることは間違いありません。常に安定して稼働している状況で、他製品に比べてユーザーインターフェースも優れているなど利便性も高い。」。もちろん、全ての仕組みでAPI が使えるわけではないため、RPA と併用し、I / F に応じて使い分けられることが理想的だと坂根氏は語る。
データ連携基盤としての用途の広がりに期待
今後については、現在LGWAN 接続系ネットワークに配置しているDataSpider Servista を個人番号利用事務系ネットワークに配置して、基幹システムとの直接的なデータ連携を実施していくといった構想も視野に入れている。また、納税証明書発行申請以外にもe-KOBE を利用した各種申請手続きが行われていることから、今回整備した自動審査のフローを適用していくケースも考えられるという。「DataSpider Servista の構築ノウハウを汎用的な自動審査の仕組みとして、さらに拡張していきたいです」と今後について語っていただいた。
兵庫県神戸市
自治体名 :神戸市 デジタル戦略部
所在地 :兵庫県神戸市中央区加納町6-5-1
業務内容 :基幹業務システムの標準化、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)、行政手続きのスマート化、ICTを活用した業務改革など