株式会社近鉄百貨店 様

DataSpider Cloud × 閉域網でセキュアにデータ連携し、
One to Oneマーケティングに向けた顧客情報基盤を構築

株式会社近鉄百貨店（以下、近鉄百貨店）は、関西エリアにおいて13店舗の百貨店・商業施設を運営しており、消費行動や生活様式の変化に寄り添い、新たな価値を創造・提供すべく、ビジネスモデルの変革に取り組む。たとえば、旗艦店となるあべのハルカス近鉄本店は従来の強みを活かしながら、食と雑貨をスクランブルした新しいフロア構築に挑戦しているほか、地域中核店・郊外店では、生活機能・商業機能・コミュニティを融合した複合商業サービス施設への転換を目指す。

こういった取り組みのひとつが、顧客一人ひとりのニーズにあわせたマーケティングをおこなう、One to Oneマーケティングだ。その基盤として、Salesforce Marketing Cloudを導入し、既存システムとのデータ連携のためDataSpider Cloudを採用。顧客情報を扱うにあたって、閉域網をベースとしたセキュアなデータ連携基盤を実現した。

お客様の課題

DWHのデータをクラウド上の新顧客情報基盤にセキュアに連携したい

導入効果

新たなビジネスモデルを模索するなか、One to Oneマーケティングに挑戦

13店舗の百貨店・商業施設を運営する近鉄百貨店。新型コロナウイルスの流行により変化が加速している消費者の行動・生活様式に対応すべく、新たなビジネスモデルを模索していた。その取り組みのひとつが、お客様一人ひとりにあわせてニーズにあった情報を届けるOne to Oneマーケティングだ。ここでは、お客様の行動や思考を想定し、満足度向上につながる施策が求められる。また、様々なチャネルでお客様にアプローチすることになるが、異なるチャネルで個別にアプローチした結果、かえって満足度を損なってしまうことがないよう施策の一元管理が必要になる。これらは従来のシステムでは対応しきれないため、マーケティングプラットフォーム「Salesforce Marketing Cloud」を導入し、顧客情報基盤を新たに構築することとなった。

「そのなかで課題となったのが、オンプレミスで稼働する既存データウェアハウス（DWH）からのデータ連携です。顧客に紐づいた売上・購入履歴や、弊社が提供するアプリの利用データなどを連携する必要があり、その方法を検討することとなりました（入谷氏）」

IP-VPN対応、HULFT連携が決め手になりDataSpider Cloudを選定

データ連携を検討するにあたって、要件となったのが閉域網への対応である。「顧客の情報をやり取りすることになるため、インターネットベースでの連携は避けたいと考えました（入谷氏）」複数のETLツールを検討するなかで、候補として挙がったのが「DataSpider Cloud」だった。インターネットのみに対応したツールが多いなかで、DataSpider CloudはIP-VPNに対応。ノーコーディングで変換処理を実装できる使いやすさ、また外部からのトリガー起動など様々な制御が可能な点も魅力であり、早い段階でDataSpider Cloudに絞られた。「オンプレミスでのシステム間連携にHULFTを利用しており、HULFT連携が決め手となりました。HULFTの高い安定性からベンダーへの信頼感も大きく、間違いないだろうと考えました（入谷氏）」

NTTグループの支援により、閉域網でのデータ連携を実現

導入に際しては、NTTグループによる全面的な支援に助けられた。「DataSpider CloudがIP-VPNに対応していることは分かったものの、具体的にどう実装すればよいのかまでは分かりませんでした。調べた結果、Salesforceの基盤にIP-VPN網で接続できるのは、NTTコミュニケーションズが提供する『Flexible Inter Connect』（以下、FIC）のみだと分かったのです（入谷氏）」FICは、様々なクラウドサービスをIP-VPNでセキュアに接続する次世代インターコネクトサービスであり、FICを介して、拠点やデータセンターからSalesforceやAWSなどに接続できるサービスだ。以前よりネットワークでNTTの回線を利用していたことから、相談。検討の結果、NTTコミュニケーションズのIP-VPN網をベースにFICを利用、AWS上にDataSpider Cloudを構築して、データ連携を実現することとなった。「DataSpider CloudもNTTグループである、NTTテクノクロスから提供いただけるとのことで、グループ内でしっかりと連携・調整し、構築を進めていただけました（入谷氏）」

短期間での導入を実現、お客様ごとにあわせた情報発信が可能に

検討開始からわずか3.5ヶ月とかなりスピーディな導入を実現し、2021年10月のリリースに無事に間に合わせることができた。「DataSpider Cloudにおけるデータ連携の実装はSalesforce Marketing Cloud構築ベンダーが担当しましたが、疑問点・不明点などもNTTテクノクロスからすぐにきっちりと回答いただけました。ギリギリのスケジュールでしたが、回線の調整も含めてスピーディに対応いただき、本当に感謝しています（入谷氏）」

こうして必要な基盤が整ったことで、お客様ごとにDM送付やアプリでのプッシュ通知から閲覧、購入（クーポン利用）まで至るシナリオを設計し、アプローチの最適化とともに、満足度を高める施策立案が可能に。また、「どのようなプロモーションを実施したか」「どのような反応があったか」など顧客情報とプロモーション履歴を一元管理することで、コミュニケーションそのものをお客様に楽しんでいただけるなど、様々な効果に期待している。

様々なクラウドとつなぐ、データ連携基盤として活用したい

IP-VPN網でデータ連携できる基盤が整ったことで、今後のデータ連携にも活用できるのではと期待される。FICはAzureなど様々なサービスに接続可能であり、DataSider Cloudと組み合わせることで、閉域網でのデータ連携がかなり容易になる。「現在も複数のSaaSやAzure、Oracle Cloudなどのクラウドを利用していますが、データ連携は常に課題になります。どう受け渡しするかを検討し、その都度中継サーバを設置するなど適した方法を考えていますが、クラウドサービスごとに違った方法をとる状況はベストとは言えません。今回、FICとDataSpider Cloudをベースに閉域で様々なクラウドとデータ連携できる環境が整いました。試行錯誤中ではありますが、この仕組みをデータ連携基盤として活用できると考えています（入谷氏）」

また、クラウド化によりシステムが“社外”へと広がっていくと同時に、社員が“社外”で仕事をする機会も増えている。「最近はゼロトラスト・セキュリティが話題になっていますが、弊社でもEDRを導入するなど、少しずつ取り組みを進めています。様々な働き方、新しい技術に柔軟に対応できるよう、システム、インフラの両方を整備していく予定です（入谷氏）」

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