こんまり®︎メソッドで始めるデータ整理
Lesson1
「データ整理を始めるとき、
何から手をつけていくべきか」 講師:砂子貴紀さん

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▼プロフィール
KonMari Media Japan(株) 代表取締役社長 / KonMari Method Business School Founder
こんまり®︎メソッドを自社・他社関わらず、企業経営や事業マネジメント、コミュニケーションに日本で最も活かしてきた現役経営者 兼 プロコーチ。こんまり®︎メソッドの発案者である近藤麻理恵とは 12年以上前から親交があり、「チームこんまり」の経営に参画するまで メソッドの良き理解者であり実践者でもあった。外資系金融機関最年少支社長というキャリアを周りの反対を押し切って手放し、三児の父であるにも関わらず、全てをリセットした経験あり。ジョブレス中、家族で世界一周へ。こんまり®︎メソッドのビジネス応用に関する企業研修・オンライン研修・講演・著名人との対談などの実績多数。(早稲田大学・リクルート社・Facebook社 etc.)

KonMari Media Japan
KonMari Method Business School

「データ整理を始めるとき、何から手をつけていくべきか」

ビジネスマンにとって、データの整理は必要不可欠。しかし、デスクトップにいくつものファイルが散乱していたり、何年も前のデータがクラウドに溜まったままになってしまっている方も多いはず。データ活用を行う前の準備として、まずはデータを整理した環境をつくることが大切です。
今回は、KonMari Media Japan株式会社のCEOであり、こんまり®︎メソッドをビジネスで応用する方法を多くの企業に紹介してきた砂子貴紀さんに、データ整理とそのメリットについて話をお伺いしました。

1. こんまり®︎メソッドが
ビジネスにおけるデータ整理に有効なワケ

そもそもこんまり®︎メソッドとは、片づけコンサルタントである近藤麻理恵が生み出した片づけ法のことで、「ときめくモノを選ぶ」という視点で片づけを進めるという特徴を持っています。このメソッドにおける大切な点は、「片づける」というのはあくまで入り口に過ぎないということ。片づけた結果として、自分が本当に大切にしたいモノに気づけたり、自分の理想を見つけられる。こんまり®︎メソッドという片づけ法のプロセスが、価値観の再発見につながっているということです。
今や国境を超えて世界で認知されるようになったこのメソッドが、近藤麻理恵とスコット・ソネンシェインによる共著『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』の中で、ビジネス領域においても役立つということが証明されたことにより、ビジネスパーソンや経営者の方々から注目を集めています。というのも、情報過多な社会で生きる現代人は膨大なデータに常に触れており、日々の情報の整理が必要不可欠だからです。2020年に総務省から発表されたデータによれば、1秒間に行き来する日本国内の情報量は新聞紙面で800万部に相当するそうです※。もはや情報に触れずに1日を終えることは不可能な今、流れ込んでくる情報が「自分にとって価値があるか」「組織にとって価値があるか」を瞬時に判断しなくてはいけません。また、新規事業やサービスなど何かを生み出すビジネスパーソンにとって、整理整頓されている状態はとても大切です。こんなことを言っている私自身、化学メーカー、金融機関を経て独立するまで、PCが整理されていることはありませんでした。独立を機に仕事を取捨選択するタイミングでこんまり®︎メソッドと出会い、そして

「理想を描き、出し、選び、戻す」

という価値観に共感し、効果を実感したことで今に至っています。その後、様々な企業様に研修をさせていただきましたが、世界的に著名なIT企業でもクラウドのデータを整理できていない場合があることを目の当たりにし、データ整理をビジネスの場に浸透させていくことの大切さを痛感しました。また、2019年に弊社内においてもこんまり®︎メソッドを活用して徹底的にデータを片づけたのですが、リモート勤務でも効率が上がり、売上が倍になる現象が起きました。もちろん、コロナ禍になる以前からです。

一見、企業の利益向上にデータ整理は関係ないように思えますが、実は密接に結びついています。だからこそ、会社を成長させようとしている経営者の方や、活躍の幅を広げたいと思っているビジネスパーソンの方には、データの整理を強くおすすめします。

※参考:日本経済新聞「国内の通信量 1秒間に新聞800万部」2020年12月27日

2. データ整理の第一歩は、「理想を描くこと」

こんまり®︎メソッドの一番初めのプロセスであり、最も大切なポイントは「理想を描くこと」です。これはデータ整理においても同様です。チームの理想を個人に押し付けてしまっていたり、その逆のケースもよくありますが、データの整理における「理想を描く」とは、

そもそも個人/会社にとって、自分たちが扱うデータとはなんだろう

という定義を考えることが大切です。ビジネスの現場は複数のチームで動いていると思いますが、そのチーム内で、使っているデータはドキュメントなのか、エクセルなのか、システムなのか、クラウドなのか、そういったところをまず明確にします。そして、

①個人で、そのデータの理想の状態を描く
②チームで、そのデータの理想の状態を描く

という順番に理想を描いてみます。チームで共有する際には、個々人の理想を押し付けようとするのではなく、「あなたはそういう理想を持っているんだ」というように、まず語り合うことがとても大切です。「共通クラウドの直下のファイルは10個くらいが理想だよね」という人もいれば、「4個くらいがベストだと思う」という人もいます。その理由を聞いていくうちに、チームの理想が固まってくるのです。理想の状態を話して何になるんだと思われる方もいるかもしれませんが、多くの企業では過去に定めた理想を引き継いだ状態でチームがスタートしていて、「理想なんて考えたこともありません」というケースが多いのが現状です。自分たちが本当に大切にしたいことや、目指すところをしっかりと今のメンバーで共有するためにも、まずは理想を考えて共有する。そんな役割を持っているのが、「理想を描く」というプロセスです。

3. 次のステップは、
「全て出し切る」

理想を描いた後は、「出す」、もっといえば「出し切る」というのが次のプロセスです。この「出し切る」というプロセスが苦手な方が多いと感じます。「このデータはさすがに出さなくていいだろう」とか「数がありすぎるからこの辺はまた今度にしよう」とか、何かしら理由をつけてある程度しか出さない。しかし、それではデータ整理を行う意味がありません。先にも述べましたが、良くも悪くも今の時代、データは本棚と違って無限に近い状態で保管できてしまいます。最新更新日が2007年のファイルがクラウドに残っているというような経験がある方も多いのではないでしょうか。誰も開いていないファイルは、開いていない期間が長ければ長いほど、捨てることができずに埋もれてしまっていることがあります。「実は貴重なんじゃないか」とか「いつか使うかもしれない」といった理由が多いでしょう。しかし、無くなったら無くなったで誰も気にも留めないわけです。こうした不必要なデータをそのままにしてしまっている状況がなぜ好ましくないのかといえば、そのデータに思考が引っ張られてしまうから。やり残したタスクがあると翌日の仕事に影響するように、不要なデータが残っている状態はパフォーマンスの低下につながるのです。データを必要か不必要か決められない理由は、過去への執着・未来への不安のどちらかです。このいずれかが、整理できていないデータを手放せないようにして、その人の思考に影響を与えてしまう。データは活用するためのものであって、決して思考を占領するためのものではありません。

ですので、未来に活かすデータ活用を始めるためにも、整理できていないデータを全て出し切りましょう。この「出し切る」ということをきちんと行うことが、最後の「戻す」というプロセスにも活きてきます。こんまり®︎メソッドの特長として、「リバウンドが起きない」という点があるのですが、その理由は、この「出し切る」「戻す」によって、あらゆるモノの定位置が決まるからなんです。あらゆるモノの定位置が決まっていれば、モノを探したり無くしたりすることは起きません。「スマホを無くした」とか「鍵がない」というのは、定位置が決まっていないから起きることです。逆に、自宅で「車を無くした」という人を見かけたことがあるでしょうか。駐車場という定位置があるから、自宅で車を無くすことがないのです。一方で、デパートの駐車場では定位置が決まっていないため、どこに停めたか探してしまうことがあります。戻すときに、あらゆるモノの定位置を決めてリバウンドを防ぐためにも、まずはきちんと「出し切る」ことを徹底しましょう。

ここまでが、今回のレッスンになります。ありがとうございました。


今回のレッスンでは、データ整理を始めようとする方々に、データ整理とこんまり®︎メソッドの関係、そして実際にデータ整理を始める際の前半のプロセスについて、砂子さんにお話をお伺いしました。
次回は、後半のプロセスと、データ整理によって実際にビジネスにどんなメリットがあるか、具体例と合わせて解説していただきます。