HULFTイベントレポート:第16回
「HULFT Technology Days 2023」
今年も開催しました!(その3)

2023年の11月の3日間にわたり、今年も開催します「HULFT DAYS 2023」から開催一日目のオフライン会場の様子をレポートいたします。

特別講演 サステナビリティ経営
「データ」が照らすカーボンニュートラルへの道 ~持続可能な未来のためにすべきこと~

夫馬 賢治 氏
株式会社ニューラル CEO 信州大学グリーン社会協創機構 特任教授

葉山 誠
株式会社セゾンテクノロジー 代表取締役 社長執行役員CEO

瀬木 友和 氏
Japan Innovation Review 編集長

次は地球温暖化対策とデータ活用の話です。環境問題と聞くと気持ちとか心がけの問題と思われがちで、ITやデータが関係ある話題なのかな?と思われる方も多いかと思います。しかし実は、「データ連携は地球温暖化対策の分野で、取り組みを進めるための必須要素」なのです。驚いた方、ぜひ読み進めてください。

ご登壇いただきました夫馬(ふま)氏は、企業として持続可能社会に向けてサステナビリティ実現のために取り組んでこられた方で、すでに創業10年目をむかえられています。

もう一人の登壇者は弊社の代表取締役、葉山です。どうして登壇しているのかと思われたかもしれませんが、実はもともとイギリスのサセックス大の修士号を持つは環境問題の専門家なのです。昨年に弊社社長に就任するまでは、脱炭素を企業の戦略として提案するような取り組みを行っていました。

最初に夫馬氏から、カーボンニュートラルの取り組みが必要であることを示す各種データをご紹介いただきました。直観的に、最近異常に暑いことが多いと思えることや世界各国で大規模な山火事が発生するなど異常を感じることがある一方で、環境問題自体が陰謀であり根拠がないとする意見もあります。

実際に世界の気温が上昇しつつある統計データがあること、しかも気温上昇は均一に起こらず北極付近と南極付近に集中して起こってしまうなど、氷が解けてしまうので従来考えられていたよりも少ない温度上昇で地球の気候に大きな影響が及ぶであろうことが解ってきています。日本付近でも豪雨が増えて災害発生の可能性が高まる一方で、全体の降水量は減って農業に深刻な影響が出る、憂慮すべき予想がされているようです。

災害が増えると、災害による社会の損失が増えます。また、災害に関連した損害保険で保険支払いが増えて再保険会社が破綻してしまう可能性もあります(再保険:保険会社に対して保険を提供する世界のリスクの最終引き受け手)。損害保険業界が維持できなくなり、金融システムに問題が生じる可能性もあります。つまり、気候変動はもはや経済の問題でもあるのです。

これまでは経済成長するためには温室効果ガスの排出増はやむを得ないもので、温暖化を止めるためには経済成長を止めるしかない(だから「仕方ない」)と考えられてきたようなところがあります。しかし今は、経済成長をしつつ温室効果ガスの排出を減らすような、新しい経済への移行こそがなすべきことだと言われるようになってきています。

それはつまり経済成長と排出増を「デカップリング」した経済です。経済成長した割に排出量が増えないような相対的なデカップリングだけでなく、経済成長がプラスでありつつ排出量も減るような「絶対デカップリング」経済の実現が望まれます。

非現実的な理想論にも思えますが、2010年くらいから現実に絶対デカップリングの実現が進みつつあるようです。先進国で大量の排出を行っている企業での意識改革が進んだこと、その後はアメリカで取り組みが停滞してしまったものの、今は東南アジアで取り組みが進むことでデカップリングが進みつつあるとのことです。

そのような新しい経済への転換が進むと、環境問題に関連した取り組みは収益を生み、カーボンニュートラルは企業の成長につながるような状況にも変わってきます。あるいは、そのような新しい経済では、投資家がその企業に投資すべきかどうか判断する材料として、環境対策がどうなっているのかを知る必要も出てくることになります。

そうなると、環境対策についての情報、例えば自社の事業がどれだけ温暖化ガスを排出しているのか、全事業から関連するデータを収集して集計し、公表する必要があります。企業の数多くの活動を評価することのみならず、自社の子会社の活動、自社が購入した原料などの生産に伴う排出など取引先企業を経由して関係する排出量も計算せねばなりません。

すなわち、このような問題に取り組みためには大掛かりで手間のかかる「データの取り組み」が必要になってくるのです。必要になるのはまさにデータ連携で「つなぐ」取り組みになってきます。

弊社でもサステナビリティ方針を定めて、環境問題だけにとどまらず社会や人材に対しても健全な経営を目指す取り組みを進めています。しかしながら、サステナビリティ経営を実現するために設定する必要があった指標は100を超えており、大量のKPIデータを集めて集計する必要が生じています。

世間では多くの場合、Excelでの手集計でこのような指標を処理しており、集計の手間が大変になりうまく運用できていないことが良くあります。そのために、サステナビリティ経営のコンサルティングにおいても指標を減らすことができないかという相談も受けるそうですが、ESGを意識した投資家からみるとデータを減らすことは活動実態が見えなくなることであり望ましくありません。

弊社では整備されつつあった全社データ基盤を活用し、データ連携で社内から集められたDWHのデータからサステナビリティ経営の指標を算出する仕組みを整備しつつあります。またさらに、BIツールなどスキルの必要な手段を用いずとも状況を把握できることが望ましいので、生成AIを用いたデータ問い合わせができるようにすることも検討しています。

このようなデータ連携で環境対策に取り組む企業を支援する活動はすでに進めており、環境問題に関連した取り組みをしている複数のIT企業との協業も進めています。

たとえばグローバル企業では、世界中のグループ企業で統一されたITシステムが導入されているわけがないのでどうしてもバラバラなシステムのバラバラなデータを連携して何とかする必要が出ています。さらには、取引先の排出量まで計算するのであれば、他社システムのデータと連携する必要が生じますが、他社システムは当然自社とはシステムやデータ形式も同じではありません。

このように温暖化対策には企業や業界を超えてデータを連携する必要が必要になっており、それを効率的に実現できる仕組みとしてHULFT SquareやDataSpiderなどのデータ連携技術が活躍できる状況があります。

パネルディスカッション
嘘かマコトか徹底討論!経営のキーマンに直撃「そのデータと人材、経営に活かせている? 」

黒田 勝也 氏
東京ガスiネット株式会社 役員室 常務執行役員

成田 敏博 氏
日清食品ホールディングス株式会社 執行役員CIO グループ情報責任者

樋口 正也 氏
株式会社ベイシアグループ ソリューションズ 代表取締役社長

石田 誠司
株式会社セゾンテクノロジー 取締役 常務執行役員

モデレータ 酒井 真弓 氏
ノンフィクションライター

一日目の締めくくりとして、各社で経営の立場からデータ活用やIT活用推進に取り組んでおられる方々によるパネルディスカッションを行いました。また、そのような取り組みで大きな障害になることが多い、IT人材確保についての大変現実的な悩みについても議論していただきました。

様々な興味深い議論がありましたが、そのなかから印象的なものをいくつか整理抜粋して紹介します。各社ともにIT人材採用で苦労していることがとても多いこと、需要予測での苦労が多いことなどが語られていました。

漠然とした「データ活用の話」にしない:

  • データ活用の取り組みを進めようとすると、ブロックチェーンなどのバズワードが出てきてしまうことや、漠然としたデータ活用の話になってしまうことがある。そうならないようにしている。「データ活用」「データを溜める」「データを集める」「データを捨てる」に取り組みを区分して、これらに当てはめて考えている。

部門間のデータの問題:

  • データを持っている部門がデータを出してくれないことがある。データをきちんと整形をしなければいけない、
    データが最新ではなく古いなどと言ってデータをなかなか出してくれないことがある。
  • データ基盤がなくて不便ではあるが、部門ごとにバラバラに基盤導入の動きがあるので、そうならないように共通基盤を入れようとしている。

生成AI関係の話:何に使っているか

  • 生成AIでコーディング作業をアシストするCopilotの導入が進められ、今ではこれがないと開発作業ができないくらいになっている。
  • 製品パッケージの画像生成に取り組んでいる。
  • 自社製品の感想の分析はもちろん、本来ならそこまで分析しきれない他社製品の感想の分析にも利用している。
  • 小売業でECのマスター生成など利用されている話がある。
  • 生成AIは非構造化データを扱えるようになったものとして注目している。
  • 検索用途ではだめで、Generativeにコンテンツを生成する使い方で使わせたいと考えている。

データ活用でできたこと:

  • 生産計画で長期計画の一部が自動化できるようになった。
  • 各部門でバラバラに調達していてデータもバラバラでこれまで全体が見えなかった。原材料調達のシミュレーションも実現可能になった。

データ利用とPDCAサイクルの一致:

  • マネジメントサイクルの不一致があると考えている。PDCAのAをやっていない、Aにつながっていないことがある。またPDCAが一年で一回まわるサイクルなのにデータをリアルタイムにしても効果がない。
  • 経営者はデータを見たがることがあるが、むやみにデータを見えるようにしても仕方がなくて、その情報が経営に活かせているか相談する必要がある。
  • 難しいのはデータにより変わらなくても、定番の商品やビジネスは今までのままでも売れてしまうこと。

需要予測が外れること:

  • 新製品での需要予測が難しい。新製品は予想よりも売れなくてもつらいし売れても品切れが発生してしまうので、大変難しい。
  • 生鮮品は在庫できない。衣料品なら売れなくても最悪は来年売ったらいいが、今年売れなかったバナナを来年売るわけにはいかない。
  • カレーメシはキャンプする人はみんな好きで、アルファ米に革命を起こした商品。しかし、そのようなすごい商品であっても、あそこまで売れるとは思われていなかった。
  • 衣料品がバイク乗りに評判になりものすごく売れたことがあった。しかし、売れていると解っても数日で数万着どうにかするみたいなことはできない。

需要予測が難しい:

  • 予測が難しいならABテストなどで試すしかないが、例えば魚で知りたいことになると魚を育てるところから取り組みが必要になることがあって、効果的に実施できないことがある。
  • 一年目売れなくても、三年目に売れるかもしれない。
  • サプライチェーンの流通在庫をデータ連携で共有することはできる。今まさに店頭で売れているデータを上流までフィードバックできるなら、そこから近い未来の需要予測はできる。

DXで人材:とにかく採用できなくて困っている

  • 変革組織立ち上げの失敗を防ぐ
    • -情熱を持ったメンバー数人に任せてもらってスタートできた
    • -成功は1000に3つでいい
    • -本当は良くないがPoC数をKPIにして、とにかく活動が行われるようにした
  • トランスフォーメーションをしてもらうコーチングの契約で、パートナーさんの下につけてトレーニングした。
  • 採用は入ってくるが、その分やめてしまうので増えない。皆さん深刻な悩み。
  • 人材確保は経営の本当の本質
    • -Googleは採用が一番大事だとしている
    • -経営の直下に人的資源
    • -社長が最初に面接するくらいの取り組み
    • -自分自身で応募レジュメを読むようなこともしている
  • エンジニアリングを理解して採用する
    • -スキルセットを採用ニーズごとにきちんと定義した
    • -エンジニアからすると組み込み系なのにPythonのスキルの有無で採用が判断されるような、自分と専門性が違うものと雑に混ぜられるのは失礼で不安をあたえる
    • -この組織はきちんと専門性が解っていると思ってもらう
  • 土日を休めるようにした
    • -小売業では土日に休めないのが普通だった。小売業には普通でもエンジニアには普通ではないので、エンジニアはやめてしまう
    • -IT以外の人たちに、ITはズルい、にならないように説明した
  • スキルアップできる環境
    • -AWSやGoogleの資格に報奨金を出す。勉強の本のお金を出すなど
  • キャリア採用が応募してこないので
    • -キャリア採用を続けているが自社に入ってくれないので、データサイエンス学部の新卒に入ってもらおうとしている
    • -データ活用をしたい人を採用できる
    • -大学で習った通りに、部門のメンバーにPythonを教える係をやってもらった、それをさらに全社展開してもらおうとしている
  • 『人財』
    • -『人財』とか人材に違う漢字をあてているみたいな組織は、全然人を大事にしていなかったりしませんか
    • -魂を入れて大事にしないといけない
    • -リモートワーク実施しています、は「働き方」をデータにできる。しかし「働き甲斐」はデータになっていない

来年もどうぞよろしくお願い致します

今回から名前も変わりました「HULFT Technology Days 2023」の一日目の様子をレポートさせていただきました。

とうとう新サービスのHULFT Squareもリリースされ、既存の製品も私たちの組織も、これからテックシフトに取り組みを変えていくところです。今回はその取り組みの最初を紹介させていただいた形になるかなと思っております。
来年、さらにその次の年に向けて、テクノロジー企業としての活躍を加速させていきます。来年はきっともっと新しい話題をお届けできるかと思います。今後ともどうぞよろしくお願いします。

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