蓄積処理の動作設定
蓄積では、データの蓄積方法と蓄積されたデータの削除方法を転送定義ごとに指定します。蓄積方法と削除方法を組み合わせることで運用に適した蓄積処理を行うことが可能です。これらの設定方法・設定内容に関してはHULFT-HUB Managerのオンラインヘルプを参照してください。
転送データを蓄積する方法を「蓄積条件」で指定します。「蓄積条件」は、以下のいずれかで指定します。
-
HULFT-HUB Serverの蓄積環境設定
-
転送定義の蓄積設定
「蓄積条件」の設定値による動作の違いを、以下で説明します。
転送不能時に蓄積する
集信側クライアントへの転送が不可能な場合のみ蓄積を行います。接続が成功した場合には蓄積処理を行いません。HULFT-HUB Serverのディスク容量が少ない場合に有効です。集信側クライアントへの転送が不可能な場合を以下に示します。
-
集信側クライアントが未起動
-
集信多重度オーバー
-
集信側クライアントが保留中
-
集信側クライアントへの接続エラー
-
HULFT-HUB Serverに追い越し禁止データが存在

図2.10 転送不能時に蓄積する
転送と蓄積を同時に行う
転送と蓄積を同時に行います。集信クライアント接続後に異常が発生するなど、将来的なリカバリに備えて蓄積をする場合に有効です。

図2.11 転送と蓄積を同時に行う
蓄積後に送出する
蓄積完了後にHULFT-HUB Serverがデータを送出します。蓄積が完了した時点で、配信側クライアントとHULFT-HUB Serverのセッションが切れるため、1対Nの転送に有効です。

図2.12 蓄積後に送出する
蓄積のみ行う
蓄積のみ行います。蓄積されたデータは、集信側クライアントからの送信要求、HULFT-HUB Serverからの送出要求、またはジョブフローの蓄積ファイル送出により送出されます。集信側クライアントが任意のタイミングでデータを要求する場合などに有効です。
また、蓄積待ち起動のジョブフローを設定する場合に設定します。ジョブフローの詳細については「ジョブフロー機能」を参照してください。

図2.13 蓄積のみ行う
蓄積しない
蓄積処理は行いません。配信側クライアントと集信側クライアントが同期しながら処理を行う場合や、企業間連携用のDMZ上のプロキシーゲートウェイとしてセキュアな環境を構築する場合に有効です。

図2.14 蓄積しない
(2) 継続方法の種類
「蓄積条件」が“転送と蓄積を同時に行う”の場合、転送または蓄積に異常が発生したときに他方を継続するかどうかを「継続条件」で設定できます。
「継続条件」は、以下のいずれかで指定します。
-
HULFT-HUB Serverの蓄積環境設定
-
転送定義の蓄積設定
「継続条件」の設定値による動作の違いを、以下で説明します。
異常発生時に転送と蓄積を継続する
転送異常が発生しても蓄積は継続します。蓄積異常が発生しても転送は継続します。

図2.15 異常発生時に転送と蓄積を継続する
転送異常発生時に蓄積を継続する
転送異常が発生しても蓄積は継続します。
蓄積異常が発生したら転送を停止します。ステータスは転送異常となります。

図2.16 転送異常発生時に蓄積を継続する
蓄積異常発生時に転送を継続する
転送異常が発生したら蓄積を中止します。ステータスは蓄積異常となります。
蓄積異常が発生しても転送は継続します。

図2.17 蓄積異常発生時に転送を継続する
異常発生時に転送と蓄積を中断する
転送異常が発生したら蓄積を中止します。ステータスは蓄積異常となります。
蓄積異常が発生したら転送を中止します。ステータスは転送異常となります。

図2.18 異常発生時に転送と蓄積を中断する
(3) 削除方法の種類(「蓄積ファイル削除基準」による削除)
蓄積データを削除するタイミングは、「蓄積ファイル削除基準」で指定します。「蓄積ファイル削除基準」は以下のいずれかで指定できます。
-
HULFT-HUB Serverの蓄積環境設定
-
転送定義の蓄積設定
「蓄積ファイル削除基準」の設定値による動作の違いを、以下で説明します。
転送または送出完了時に直ちに削除する
集信クライアントにデータが届いた(転送が正常終了)時点で蓄積されたデータを削除します。転送で異常が起こった場合には、蓄積されたデータを削除しません。

図2.19 転送または送出完了時に直ちに削除する
蓄積完了から一定期間後に削除する
蓄積完了後、一定期間が経過した時点で蓄積されたデータを削除します。

図2.20 蓄積完了から一定期間後に削除する
送出完了から一定期間後に削除する
送出完了後、一定期間が経過した時点で蓄積されたデータを削除します。

図2.21 送出完了から一定期間後に削除する
削除しない
自動的な削除は行いません。削除する場合は、手動による削除を行います。

図2.22 削除しない
「蓄積完了から一定期間後に削除する」と「送出完了から一定期間後に削除する」の場合に蓄積データを残しておく期間については、「蓄積データの保管期限」を参照してください。
(4) 削除方法の種類(その他)
「蓄積ファイル削除基準」による削除以外に、以下の削除方法があります。
保管世代管理数を超えた場合に削除
「保管世代管理」を“保管世代数で制限する”に設定すると、同一ファイルIDの蓄積データの数が保管世代管理数を超えたときに、未送出データを含めた同一ファイルIDの蓄積データの中から蓄積日時が最古のデータを削除します。保管世代管理は転送定義の「転送情報」で指定します。
保管世代管理を「未送出世代数で制限する」に設定すると、保管世代管理数を超えたときに蓄積エラーになります。

図2.23 保管世代管理数を超えた場合に削除
(5) 配信側クライアントへ通知する転送結果の種類
以下の条件をすべて満たしたとき、配信側クライアントへ通知する転送結果を「蓄積完了時、配信への転送結果通知」で指定できます。
-
HULFT-HUB Serverでの蓄積は完了
-
集信側クライアントまたは集信側サーバへの転送は異常終了
「蓄積完了時、配信への転送結果通知」は以下のいずれかで指定します。
-
HULFT-HUB Serverの蓄積環境設定
-
転送定義の蓄積設定
設定方法は、HULFT-HUB Managerのオンラインヘルプを参照してください。
HULFT-HUB Serverでの蓄積は完了、集信側への転送は異常という状態が発生するのは、「蓄積条件」が以下のいずれかの場合です。
-
転送不能時に蓄積する
-
転送と蓄積を同時に行う
-
蓄積後に送出する
「蓄積完了時、配信への転送結果通知」の設定値による動作の違いを説明します。
常に転送完了を返す
「蓄積完了時、配信への転送結果通知」を“常に転送完了を返す”に設定した場合、集信側クライアントへの転送結果にかかわらず、配信側クライアントには「転送完了」を通知します。
転送エラーの検出や再配信などをHULFT-HUBで管理したい場合に使用します。
以下に、「蓄積方法」が“転送不能時に蓄積する”の場合の“常に転送完了を返す”の動作を示します。

図2.25 “常に転送完了を返す”の動作
集信への転送結果に依存する
「蓄積完了時、配信への転送結果通知」を“集信への転送結果に依存する”に設定した場合、集信側クライアントへの転送結果が異常なら「転送異常」を通知します。転送エラーの検出や再配信などを配信側クライアントで管理したい場合に使用します。
以下に、「蓄積方法」が“転送不能時に蓄積する”の場合の“集信への転送結果に依存する”の動作を示します。

図2.26 “集信への転送結果に依存する”の動作
配信側クライアントの配信履歴には「xxx-0652」というコードが記録されます(xxxは配信側機種で集信側エラーを表す完了コード)。
(6) 「蓄積条件」、「継続条件」、「蓄積完了時、配信への転送結果通知」の組み合わせ
「蓄積条件」、「継続条件」、および「蓄積完了時、配信への転送結果通知」の設定値の組み合わせと、HULFT-HUB Serverへの蓄積結果、集信側への転送結果によって、配信側に通知される転送結果がどのように変わるかを、以下の表で示します。
蓄積条件 |
継続条件 |
サーバへの蓄積結果 |
集信側への転送結果 |
配信側に通知される転送結果(*6) |
|
---|---|---|---|---|---|
常に転送完了を返す |
集信への転送結果に依存する |
||||
転送不能時に蓄積する |
― |
― |
完了 |
転送完了(0000) |
|
― |
異常(*4) |
転送異常(0650) |
|||
完了 |
異常(*5) |
転送完了(0000) |
転送異常(0652) |
||
異常 |
異常(*5) |
転送異常(0650) |
|||
転送と蓄積を同時に行う |
異常発生時に転送と蓄積を継続する |
完了 |
完了 |
転送完了(0000) |
|
完了 |
異常 |
転送完了(0000) |
転送異常(0652) |
||
異常 |
完了 |
転送完了(0000) |
|||
異常 |
異常 |
転送異常(0650) |
|||
転送異常発生時に蓄積を継続する (*1) |
完了 |
完了 |
転送完了(0000) |
||
完了 |
異常 |
転送完了(0000) |
転送異常(0652) |
||
異常 |
異常 |
転送異常(0650) |
|||
蓄積異常発生時に転送を継続する (*2) |
完了 |
完了 |
転送完了(0000) |
||
異常 |
完了 |
転送完了(0000) |
|||
異常 |
異常 |
転送異常(0650) |
|||
異常発生時に転送と蓄積を中断する (*3) |
完了 |
完了 |
転送完了(0000) |
||
異常 |
異常 |
転送異常(0650) |
|||
蓄積後に送出する |
― |
完了 |
完了 |
転送完了(0000) |
|
完了 |
異常 |
転送完了(0000) |
転送異常(0652) |
||
異常 |
― |
転送異常(0650) |
|||
蓄積しない |
― |
― |
完了 |
転送完了(0000) |
|
― |
異常(*4) |
転送異常(0650) |
|||
― |
異常(*5) |
転送異常(0650) |
|||
蓄積のみ行う |
― |
完了 |
― |
転送完了(0000) |
|
異常 |
― |
転送異常(0650) |
*1 | : |
“転送異常発生時に蓄積を継続する”の場合、蓄積異常が発生すると転送も中断されるため、蓄積異常かつ転送完了の組み合わせは発生しません。 |
*2 | : |
“蓄積異常発生時に転送を継続する”の場合、転送異常が発生すると蓄積も中断されるため、蓄積完了かつ転送異常の組み合わせは発生しません。 |
*3 | : |
“異常発生時に転送と蓄積を中断する”の場合、蓄積完了かつ転送異常、および蓄積異常かつ転送完了の組み合わせは発生しません。 |
*4 | : |
集信側クライアントで集信多重度エラーが発生し、HULFT-HUB Serverからの接続のリトライでリトライオーバとなった場合です。 |
*5 | : |
集信側クライアントに接続できなかった場合です。 |
*6 | : |
()内は配信側クライアントの配信履歴に記録される詳細コードです。 |