AWS PrivateLink for Amazon S3を使用してプライベート接続での転送を行いたい
AWS PrivateLink for Amazon S3を使用した、プライベート接続を行う設定例を説明します。
ここでは、クラウドストレージDBの集信ストレージ管理情報のデフォルト情報にエンドポイントのURLを登録することを前提に、個別設定の有無での運用パターンの設定について紹介します。
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集信ストレージ管理情報のデフォルト情報のみ設定してPrivateLinkを使用する設定
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集信ストレージ管理情報の個別設定を行うことで、一部の転送でAWSの標準のS3エンドポイントを使用する設定
本機能は、以下のオプション製品に対応しています。
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HULFT10 Cloud Storage Option(Amazon S3) for Windows
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HULFT10 Cloud Storage Option(Amazon S3) for Linux
集信ストレージ管理情報のデフォルト情報のみ設定してPrivateLinkを使用する設定
集信ストレージ管理情報の登録を行う前に、Amazon AWSにてPrivateLinkに接続するためのエンドポイントの取得が必要です。
AWSの公式サイトを参照して、転送先のバケットと同じリージョンのAmazon VPCに「インターフェイス VPC エンドポイント(AWS PrivateLink)」を作成してください。
「インターフェイス VPC エンドポイント(AWS PrivateLink)」を作成後、作成した「インターフェイス VPC エンドポイント(AWS PrivateLink)」のDNS名を取得してください。
このDNS名が集信ストレージ管理情報に登録するエンドポイントのURLの一部となります。
ここでは例として、DNS名を「*.vpce-1a2b3c4d-5e6f.s3.us-east-1.vpce.amazonaws.com」として説明します。
プライベート接続を使用する場合、エンドポイントを作成したAmazon VPCと、HULFTが導入されているサーバーのネットワークが接続されている必要があります。
集信ストレージ管理情報の個別設定を行わなかった場合、集信ストレージ管理情報のデフォルト情報を使用します。
ここでは、集信ストレージ管理情報のデフォルト情報を使用してPrivateLinkを使用する設定を紹介します。
集信ストレージ管理情報のデフォルト情報の項目名 |
設定値 |
登録有無 |
---|---|---|
ストレージタイムアウト |
未設定 |
― |
1転送あたりの最大並列数 |
未設定 |
― |
パートサイズ |
未設定 |
― |
使用リージョン(*1) |
us-east-1 |
◎ |
エンドポイントのURL(*1) |
https://bucket.vpce-1a2b3c4d-5e6f.s3.us-east-1.vpce.amazonaws.com |
◎ |
アップロードファイルに適用するACL(*1) |
未設定 |
― |
ストレージ認証情報ID |
未設定 |
― |
◎ |
: |
設定値を登録する項目 |
― |
: |
設定値を登録しない項目 |
*1 |
: |
Amazon S3の場合のみ設定できます。 |
使用リージョンには、「インターフェイス VPC エンドポイント(AWS PrivateLink)」を作成した際に指定した「インターフェイス VPC」と同じリージョンを指定してください。
エンドポイントのURLは、以下のように指定してください。
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先頭に接続プロトコルとして「https://」または「http://」を指定
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DNS名の「*」部分に、サービス側で定義されている固定文字列の「bucket」を指定
ここでは例として、接続プロトコルを「https://」として登録します。
集信ストレージ管理情報のデフォルト情報の登録コマンドで、使用リージョンおよびエンドポイントのURLの設定値を登録します。
utls3infoadd -t rcv --default --default-region us-east-1 --endpoint-url https://bucket.vpce-1a2b3c4d-5e6f.s3.us-east-1.vpce.amazonaws.com
Amazon S3でのストレージ管理情報のデフォルト情報の登録コマンドの詳細は、「ストレージ管理情報のデフォルト情報の登録コマンド」を参照してください。
デフォルト情報では、登録コマンドで指定した情報がすべて上書きされます。
オプションで指定しなかった項目は、未設定(Use the default value.)が設定されます。
未設定(Use the default value.)の場合、下位互換設定の値が使用されます。
ただし、ストレージ認証情報IDをオプションで指定しなかった場合のみ、下位互換設定ではなくストレージ認証情報のデフォルト情報に登録されている値が使用されます。
以下のリストが表示されます。
$ utls3infoadd -t rcv --default --default-region us-east-1 --endpoint-url https://bucket.vpce-1a2b3c4d-5e6f.s3.us-east-1.vpce.amazonaws.com The default information for Receive Storage Management Information will be changed. Timeout: Use the default value. Parallels: Use the default value. Part Size: Use the default value. Default Region: us-east-1 Endpoint: https://bucket.vpce-1a2b3c4d-5e6f.s3.us-east-1.vpce.amazonaws.com ACL: Use the default value. Auth ID: Use the default value.
使用リージョンおよびエンドポイントのURLの設定値に指定した値が登録されたことを確認します。
ストレージ管理情報のデフォルト情報の登録コマンドで「-f」または「--force」を指定しなかった場合、以下の確認メッセージが表示されます。
Are you sure to register? [y/n]:
確認メッセージの表示後に、“y”または”Y”を入力し、ストレージ管理情報のデフォルト情報の登録コマンドを実行します。
これで、AWS PrivateLink for Amazon S3を使用する、ストレージ管理情報のデフォルト情報の登録が完了しました。
以下のいずれかがの環境変数が登録されている環境で、プライベート接続(エンドポイント接続)を行う際にプロキシを使用したくない場合は、環境変数「NO_PROXY(no_proxy)」に「インターフェイス VPC エンドポイント(AWS PrivateLink)」のDNS名を登録する必要があります。
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HTTPS_PROXY
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https_proxy
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HTTP_PROXY
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http_proxy
集信ストレージ管理情報の個別設定を行うことで、一部の転送でAWSの標準のS3エンドポイントを使用する設定
集信ストレージ管理情報のデフォルト情報のみ設定してPrivateLinkを使用する環境において、集信ストレージ管理情報の個別設定を行うことでPrivateLinkを使用せず、一部の転送でAWSの標準のS3エンドポイントを使用する設定の手順を説明します。
集信ストレージ管理情報の項目名 |
設定値 |
登録有無 |
---|---|---|
集信ストレージ管理情報ID |
bucket01 |
◎ |
バケット名 |
未設定 |
― |
ストレージタイムアウト |
未設定 |
― |
1転送あたりの最大並列数 |
未設定 |
― |
パートサイズ |
未設定 |
― |
使用リージョン(*1) |
us-east-1 |
◎ |
エンドポイントのURL(*1) |
none |
◎ |
アップロードファイルに適用するACL(*1) |
未設定 |
― |
ストレージ認証情報ID |
未設定 |
― |
◎ |
: |
設定値を登録する項目 |
― |
: |
設定値を登録しない項目 |
*1 |
: |
Amazon S3の場合のみ設定できます。 |
エンドポイントのURLに“none”を設定した場合、AWSの標準のS3エンドポイントが使用されます。
このため、転送でPrivateLinkを使用せずにAWSの標準のS3エンドポイントを使用したい場合は、エンドポイントのURLに“none”を設定してください。
集信ストレージ管理情報の登録コマンドで、使用リージョンおよびエンドポイントのURLの設定値を登録します。
utls3infoadd -t rcv --id bucket01 --default-region us-east-1 --endpoint-url none
Amazon S3でのストレージ管理情報のデフォルト情報の登録コマンドの詳細は、「ストレージ管理情報の登録コマンド」を参照してください。
オプションで指定しなかった項目は、未設定(Use the default value.)が設定されます。
未設定(Use the default value.)の場合、下位互換設定の値が使用されます。
Amazon S3で集信ストレージ管理情報のデフォルト情報の値を確認する場合は、「クラウドストレージDBの情報リストの表示コマンド」を参照してください。
以下のリストが表示されます。
$ utls3infoadd -t rcv --id bucket01 --default-region us-east-1 --endpoint-url none The Receive Storage Management Information "bucket01" will be registered. Bucket: Use the default value. Timeout: Use the default value. Parallels: Use the default value. Part Size: Use the default value. Default Region: us-east-1 Endpoint: none ACL: Use the default value. Auth ID: Use the default value.
使用リージョンの設定値に指定した値が、エンドポイントのURLに“none”が登録されたことを確認します。
ストレージ管理情報の登録コマンドで「-f」または「--force」を指定しなかった場合、以下の確認メッセージが表示されます。
Are you sure to register? [y/n]:
確認メッセージの表示後に、“y”または”Y”を入力し、ストレージ管理情報の登録コマンドを実行します。
これで、集信ストレージ管理情報の個別設定を行うことでPrivateLinkを使用せず、一部の転送でAWSの標準のS3エンドポイントを使用する登録が完了しました。