本番稼動までの作業フロー

「ダウンロードシステムの概要」「(2) システム要件」5.に従い、本番前の1か月は評価版を使用し、その後の本番運用では製品版を用いて運用します。

また、本番移行の要件として、以下の2つが挙げられました。

1. 無停止状態での移行

評価版から製品版への移行は、システムを停止せずに行う必要がある。

2. 履歴およびトレースファイルの設定変更

HULFT-HUB Serverで取得する履歴およびトレースログは、本番稼動後1週間は試用期間中の設定値を使用し、安定稼動確認後、設定変更を行うこととする。

 

次の図に本番稼動までの作業フローを示します。

図6.2 本番稼動までの作業フロー

 

以下に各作業の詳細を説明します。

(1) HULFT-HUB Serverの導入環境決定

双方向スタンバイ構成で動作させる場合のHULFT-HUB Serverの導入環境について決定します。

この場合、1つのノードで2つのHULFT-HUB Serverを起動できる複数起動環境にします。

関西支社のダウンロード環境を環境K、中部支社のダウンロード環境を環境Cとすると、環境K,環境CのそれぞれにHULFT-HUB Serverをインストールします。

本例は、双方向スタンバイ構成であるため、次に示す表のシステムリソースについては、環境ごとに個別のものが必要となります(片方向スタンバイの場合は共用となります)。

表6.1 双方向スタンバイのクラスタ構成で個別環境が必要なシステムリソース

リソース

メモ

仮想IPアドレス

 

仮想ホスト名

HULFT-HUB Serverの自ホスト名(システム動作環境設定の「自ホスト名(MyHostName)」にも指定が必要です)

共有ディスク

別の論理パーティションが指定可能なもの

 

また、複数起動環境でHULFT-HUB Serverを動作させるため、以下に示す表の項目についても、環境ごとにそれぞれ用意が必要です。

表6.2 複数起動環境下の運用で個別設定が必要な環境変数

環境変数名

日本語名

HULHUBEXE

実行ディレクトリ

HULHUBETC

環境設定ディレクトリ

表6.3 複数起動環境で個別設定が必要なシステム動作環境設定

項目名

タグ名

識別情報定義

サービス名

ServiceName

表示名

DispName

通信関連定義

ポートNo.

HubPortNo

ディレクトリ

管理情報格納ディレクトリ

CurrentDBDir

システム状況格納ディレクトリ

MMapDir

管理情報バックアップ格納ディレクトリ

BackupDBDir

転送履歴CSV保存ディレクトリ

TrnlogCSVHoldDir

蓄積データ抽出ワークディレクトリ

AccumulateWorkDir

蓄積データ格納ディレクトリ

AccumulateRootDir

障害運用定義

トレースファイル名

TraceFile

= 備考 =

設定方法の詳細は「HULFT-HUB Server マニュアル」の環境変数およびシステム動作環境設定の説明を参照してください。

次の表に導入時の環境設定例を示します。

表6.4 導入時の環境設定例

環境設定項目

環境K

環境C

システムリソース

仮想IPアドレス

172.16.10.10

172.16.10.20

仮想ホスト名

hubserverK

hubserverC

共有ディスク

/mnt/shdK

/mnt/shdC

環境変数

実行ディレクトリ

/usr/local/hulfthubK/bin

/usr/local/hulfthubC/bin

etcディレクトリ

/mnt/shdK/hulfthub/etc

/mnt/shdC/hulfthub/etc

システム動作環境設定

識別情報定義

サービス名

serviceK

serviceC

表示名

関西ダウンロードサーバ

中部ダウンロードサーバ

通信関連定義

ポートNo.

40010

40020

ディレクトリ

管理情報格納

ディレクトリ

/mnt/shdK/hulfthub/db

/mnt/shdC/hulfthub/db

システム状況格納

ディレクトリ

/mnt/shdK/hulfthub/mmap

/mnt/shdC/hulfthub/mmap

管理情報バックアップ格納ディレクトリ

/mnt/shdK/hulfthub/bkdb

/mnt/shdC/hulfthub/bkdb

転送履歴CSV保存

ディレクトリ

/mnt/shdK/hulfthub/csv

/mnt/shdC/hulfthub/csv

蓄積データ抽出

ワークディレクトリ

/mnt/shdK/hulfthub/jobwk

/mnt/shdC/hulfthub/jobwk

蓄積データ格納

ディレクトリ

/mnt/shdK/hulfthub/mbox

/mnt/shdC/hulfthub/mbox

障害運用定義

トレースファイル名

/mnt/shdK/hulfthub/etc/trace.log

/mnt/shdC/hulfthub/etc/trace.log

(2) HULFT-HUB Serverのインストール

表6.4 の設定値をもとに、本社データセンタの中継サーバにHULFT-HUB Serverの評価版をインストールします。この場合、1つのノードに運用系ノード、待機系ノードと2回インストールを行います。

HULFT-HUB Serverのインストールについては、「HULFT-HUB Server 導入マニュアル」を参照してください。

(3) クラスタソフトウェアへの登録

表6.1 の決定事項をもとに、クラスタソフトウェアにHULFT-HUB Serverの関西支社用の環境Kと中部支社用の環境Cをそれぞれ別々のフェイルオーバするグループに登録します。

(4) テスト運用の開始

「運用計画の作成」に基づいてテスト運用を行います。

通常運用と障害運用に従って日々の業務を行い、システム全体の動作を確認します。このとき、転送ピーク時における処理多重度やリトライ値および、タイムアウト値を評価し、適正な値に調整します。評価が必要な項目を次の表に示します。

表6.5 テスト運用の評価項目

項目名

タグ名

通信関連定義

ソケット接続リトライ回数

SocketRetryMax

ソケット接続リトライ待ち時間

SocketRetryInterval

ソケット通信応答待ち時間

SocketTimer

多重度定義

転送処理の多重度

TransRlyMax

要求受付処理の多重度

ReqRlyMax

Manager中継多重度

MgrRlyMax

Manager同時要求数

MgrProcMax

= 備考 =
  • 項目の詳細と設定方法については「HULFT-HUB Server マニュアル」のシステム動作環境設定の説明を参照してください。

  • 適正値の調整のためには、クライアント側のHULFTの処理多重度やリトライ値および、タイムアウト値の調整も必要です。

(5) 製品版への移行

1か月間のテスト運用が正常に行われ評価が完了したら、本社データセンタの中継サーバに導入されているHULFT-HUB Serverを評価版から製品版へ移行します。

移行作業は「本番稼動までの作業フロー」で示した移行要件 1.に従い、運用系システムを停止せずに、以下の順で行います。

図6.3 製品版への移行手順

1) 関西支社用の運用系ノードを切り替え、hubserverKを関西支社用および中部支社用の待機系ノードにする。

2) hubserverKに導入されている評価版のHULFT-HUB Serverを関西支社用、中部支社用ともに製品版へ移行する(プロダクトキー更新を行う)。

3) 関西支社用および中部支社用の運用系ノードを切り替え、hubserverCを待機系にする。

4) hubserverCに導入されている評価版のHULFT-HUB Serverを関西支社用、中部支社用ともに製品版へ移行する(プロダクトキー更新を行う)。

5) 中部支社用の運用系ノードを切り替え、元の運用形態へ戻す。

(6) 本番運用の開始

本番運用後、1週間を経過してもダウンロードシステムが正常に動作していれば、「本番稼動までの作業フロー」で示した移行要件 2.に従い、履歴およびトレースログの取得制限を設定します。

1. 履歴の自動削除に関する設定変更

以下のようにシステム動作環境設定を変更します。

  • 転送履歴しきい値「TrnlogThreshold=400(件)」

  • 転送履歴保有件数「TrnlogHoldCount=300(件)」

2. トレースファイルの拡張防止に関する設定変更

以下のようにシステム動作環境設定を変更します。

  • トレースファイル最大サイズ「TraceMaxSize=10(MB)」

  • トレース取得モード「TraceMode=2(エラーレベル以上を取得)」