ダウンロードシステムの概要

(1) システム概要

A社は日中の販売業務で使用する販売端末のプログラムや商品データを本社データサーバから各支社の販売端末へダウンロードするシステムを構築し、夜間運用することとしました。

(2) システム要件

1. HULFTの使用

各支社の販売端末にはすでにHULFTが導入されているため、本社データサーバとのやり取りにはHULFTを使用したい。

2. 中継機能の実装

本社データサーバと各支社の販売端末は別のネットワークに存在するため、中継用のサーバを設置したい。

3. 同報配信機能の実装

本社のデータサーバから、各ネットワークの中継サーバを経由し各支社の販売端末までダウンロードする機能が必要である。

4. データの蓄積

販売端末は、メンテナンスなどにより不定期に停止することがあり、ダウンロードに失敗することがある。本社データサーバの配布データが更新されていても、販売端末の復帰後に更新前のデータをダウンロードできるようにしたい。

5. 高信頼性

本社のダウンロードシステムがダウンした場合、販売端末で新しいプログラムやデータが使用できなくなり、翌日の業務が全面停止する可能性があるため、高い信頼性が求められる。

6. 適用評価と本番移行

本番前に1か月の試用期間を設け、問題がなければHULFT-HUB Serverを採用し、本番運用に入る。

(3) システム構成

システム要件を以下のように解決し、図6.1に示すシステム構成としました。

1. HULFTの使用

本社データセンタにHULFTを導入したデータサーバを設置する。

2. 中継機能の実装

中継サーバにHULFT-HUB Serverを適用し、HUB間通信機能、中継機能を利用する。

3. 同報配信機能の実装

中継サーバにHULFT-HUB Serverを適用し、同報機能を利用する。

4. データの蓄積

中継サーバにHULFT-HUB Serverを適用し、蓄積機能を利用する。

5. 高信頼性

システムをクラスタ化し、障害発生時のシステムダウン時間を最小限にする。

クラスタは、2ノードのUNIXサーバで構成し、関西支社の処理では共有ディスクの区画Kを使用し、中部支社の処理では共有ディスクの区画Cを使用する。また、ノードを有効に利用するために、片方向スタンバイ構成ではなく、両方のノードを双方向スタンバイ(Active-Active)構成で運用する。

6. 適用評価と本番移行

試用期間中は評価版を使用し、評価後に製品版を購入して本番運用に移行する。

図6.1 ダウンロードシステムの構成

= 備考 =

本例では、本社データセンタの中継サーバのみをクラスタ構成としますが、さらに高い信頼性が要求される場合は、クライアントであるデータサーバに「HULFT クラスタ対応機能」を導入し、クラスタ構成とする必要があります。