簡易転送
ここでは、簡易転送について説明します。
-
簡易転送は、配信側ホストと集信側ホストがどちらもHULFT Ver.8.4以降の場合に使用できます。
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簡易転送は、高強度暗号強制モードが有効な場合、使用できません。
(1) 簡易転送とは
簡易転送とは、事前に管理情報を登録せずに、配信ファイル名と集信側ホスト名だけを指定してファイルを配信できる機能です。

図2.28 簡易転送の概要
集信側ホストのポート番号を詳細ホスト情報から取得しないので、集信側ホストが初期値と異なるポート番号を設定している場合は、ポート番号も指定する必要があります。
簡易転送の実行方法は「オペレーション マニュアル」を参照してください。
簡易転送を実行するには、集信側ホストで事前に以下の作業が必要です。
-
配信側ホストが詳細ホスト情報に登録済みの場合は詳細ホスト情報で、未登録の場合はシステム動作環境設定で、簡易転送の受付許可を指定
-
簡易転送の受け付けを許可するボリューム名をファイルで指定し、そのファイル名をシステム動作環境設定で指定
-
簡易転送の受け付けを許可する第一修飾子をファイルで指定し、そのファイル名をシステム動作環境設定で指定
詳細は、以降の説明を参照してください。
(2) 利用可能な機能
簡易転送は、管理情報を必要としないため、簡易に転送を行えますが、機能に制限があります。
機能の利用可否について、注意が必要なものを以下の表に示します。
機能 |
簡易転送での利用可否 |
---|---|
再配信 |
× |
自動再配信 |
○ |
同期転送および非同期転送 |
○ |
同報配信 |
× |
圧縮転送 |
○(*1) |
世代管理 |
× |
コード変換 |
○(*2) |
メッセージ送信 |
× |
ジョブ起動 |
× |
データ検証機能 |
○(*3) |
転送グループチェック |
× |
操作ログの出力 |
○ |
暗号化 |
○(*4) |
○ |
: |
利用可能 |
× |
: |
利用不可 |
*1 |
: |
縦横圧縮を設定した場合と同様の動作をします。 |
*2 |
: |
詳細については「(8) コード変換」を参照してください。 |
*3 |
: |
簡易転送の場合、データ検証は必ず行われます。 |
*4 |
: |
簡易転送の場合、暗号キーは自動的に生成されます。 |
(3) 簡易転送の実行方法
簡易転送は、配信側ホストから以下の方法で実行します。
-
簡易転送配信要求コマンド
-
簡易転送配信要求API
-
各実行方法の詳細は、「オペレーション マニュアル」を参照してください。
-
簡易転送を実行するためのコマンドプロシージャーの変更方法については「導入 マニュアル」を参照してください。
(4) 配信時の動作
簡易転送で配信する際、HULFTは管理情報を参照しないため、常に同じ設定で動作します。
簡易転送配信要求を実行する際のパラメータで指定できるもの以外は、配信管理情報および詳細ホスト情報に以下のような値が設定された場合と同等の動作となります。
配信管理情報と詳細ホスト情報の詳細は、「オペレーション マニュアル」を参照してください。
項目名 |
設定値 |
---|---|
ファイルID |
_INSTANT_TRANSFER_ |
汎用機DSN |
パラメータで指定 |
ボリューム通番 |
(省略)(*1) |
転送方法 |
直接 |
ワークボリューム通番 |
(省略) |
容量 |
(省略) |
一次要求量 |
(省略) |
増分量 |
(省略) |
装置台数 |
(省略) |
転送タイプ |
パラメータで指定(*2) |
M/フォーマットID |
(省略) |
圧縮方式 |
縦横圧縮 |
コード変換 |
(*3) |
EBCDICセット |
(*3) |
配信ファイルの扱い |
保存 |
転送グループID |
(省略) |
配信前ジョブID |
(省略) |
正常時ジョブID |
(省略) |
異常時ジョブID |
(省略) |
連携DBID |
(省略) |
転送間隔 |
0 |
転送優先度 |
パラメータで指定 |
転送ブロック長 |
0 |
転送ブロック数 |
0 |
シフトコードの扱い |
(*4) |
後続文字カット |
カットしない |
UNIT |
(省略) |
順序番号 |
(省略) |
RDW付配信 |
しない |
暗号キー |
自動生成 |
*1 |
: |
カタログされているファイルのみが対象です。 |
*2 |
: |
テキスト転送とバイナリ転送のみ指定可能です。 |
*3 |
: |
「(8) コード変換」を参照してください。 |
*4 |
: |
自ホストの転送コードセットがIBM漢字の場合は“カットする”、UTF-8の場合は“付加する”です。 |
項目名 |
設定値 |
---|---|
ホスト種 |
集信側ホストのホスト種 |
転送コードセット |
(*1) |
日本語規格 |
83JIS |
集信ポートNO. |
パラメータで指定 |
要求受付ポートNO. |
(*2) |
接続形態 |
LAN |
ホスト別配信多重度 |
(省略) |
HULFT7通信モード |
無効 |
PROXYサーバ名 |
(省略) |
PROXYポートNO. |
(省略) |
送信要求・再送要求受付許可 |
(*2) |
集信後ジョブ結果参照要求受付許可 |
(*2) |
ジョブ実行結果通知受付許可 |
(*2) |
リモートジョブ実行受付許可 |
(*2) |
簡易転送受付許可 |
(*2) |
ユーザの通知 |
通知しない |
*1 |
: |
「(8) コード変換」を参照してください。 |
*2 |
: |
配信とは関係のない項目です。 |
(5) 集信時の動作
簡易転送で集信する際、HULFTは管理情報を参照しないため、常に同じ設定で動作します。
簡易転送配信要求コマンドのパラメータで指定できるもの以外は、集信管理情報および詳細ホスト情報に以下のような値が設定された場合と同等の動作となります。
集信管理情報と詳細ホスト情報の詳細は、「オペレーション マニュアル」を参照してください。
項目名 |
設定値 |
---|---|
ファイルID |
_INSTANT_TRANSFER_ |
汎用機DSN |
(*1) |
ボリューム通番 |
(*1) |
カタログ処理 |
カタログする |
マルチボリューム区分 |
自動 |
MF間集信属性 |
(*1) |
レコード形式 |
(*1) |
容量 |
(*1) |
一次要求量 |
(*1) |
増分量 |
(*1) |
未使用域 |
(*1) |
レコード長 |
(*1) |
ブロック長 |
(*1) |
登録モード |
置き換え |
異常時の処置 |
保存 |
集信形態 |
単一集信 |
EBCDICセット |
(*2) |
正常時ジョブID |
(省略) |
異常時ジョブID |
(省略) |
集信完了通知 |
受信完了 |
転送グループID |
(省略) |
データ検証 |
する |
ストレージクラス |
(省略) |
管理クラス |
(省略) |
データクラス |
(省略) |
UNIT |
(*1) |
印刷文字 |
(*1) |
ワークボリューム通番 |
(省略) |
順序番号 |
(省略) |
RDW付集信 |
しない |
暗号キー |
自動生成 |
*1 |
: |
「(6) 集信ファイル」を参照してください。 |
*2 |
: |
「(8) コード変換」を参照してください。 |
項目名 |
設定値 |
---|---|
ホスト種 |
配信側ホストのホスト種 |
転送コードセット |
(*1) |
日本語規格 |
83JIS |
集信ポートNO. |
(使用しない) |
要求受付ポートNO. |
(使用しない) |
接続形態 |
(*2) |
ホスト別配信多重度 |
(*2) |
HULFT7通信モード |
(*2) |
PROXYサーバ名 |
(*2) |
PROXYポートNO. |
(*2) |
送信要求・再送要求受付許可 |
(*2) |
集信後ジョブ結果参照要求受付許可 |
(*2) |
ジョブ実行結果通知受付許可 |
(*2) |
リモートジョブ実行受付許可 |
(*2) |
簡易転送受付許可 |
(*3) |
ユーザの通知 |
(*2) |
*1 |
: |
「(8) コード変換」を参照してください。 |
*2 |
: |
集信には関係のない項目です。 |
*3 |
: |
詳細ホスト情報が登録されている場合は、当該項目の設定値に従います。 詳細ホスト情報が登録されていない場合は、システム動作環境設定の未登録ホストからの簡易転送受付許可の設定値に従います。 |
簡易転送では、集信ファイルに関する情報を集信側ホストのシステム動作環境設定または配信側ホストで簡易転送配信要求を実行する際のパラメータで指定できます。
簡易転送配信要求を実行する際のパラメータについては、「オペレーション マニュアル」を参照してください。
集信ファイル名
配信側ホストで集信ファイル名を指定した場合、集信管理情報の汎用機DSN(DSNAME)に指定した集信ファイル名を設定したときと同等の動作となります。
配信側ホストで集信ファイル名を省略した場合、集信管理情報の汎用機DSN(DSNAME)に“&SNDFILE”と設定したときと同等の動作となります。
集信ファイル名の第一修飾子が「簡易転送集信ファイル名許可リストファイル」で指定した名前のいずれかと一致した場合のみ集信できます。
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルについては「(7) 集信可能なファイル名とボリューム名の指定」を参照してください。
集信ファイルの保存先
既存ファイルに集信する場合
配信側ホストで集信ファイルの保存先を指定した場合、集信管理情報のボリューム通番(VOLUME)に指定した保存先を設定したときと同等の動作となります。
配信側ホストで集信ファイルの保存先を省略した場合、集信管理情報のボリューム通番(VOLUME)を省略したときと同等の動作となります。
新規ファイルを作成して集信する場合
集信管理情報の各項目に下表の項目の設定値が設定されたときと同等の動作となります。
集信管理情報の項目 |
システム動作環境設定の項目 |
---|---|
ボリューム通番 |
デフォルトボリューム名(*1) |
MF間集信属性 |
システム動作環境設定の |
容量 |
システム動作環境設定の |
一次要求量 |
|
増分量 |
|
未使用域 |
|
レコード形式 |
システム動作環境設定の |
印刷文字 |
|
レコード長 |
|
ブロック長 |
|
UNIT |
システム動作環境設定の |
*1 |
: |
デフォルトボリューム名は、簡易転送集信ボリューム許可リストファイルで指定されます。 簡易転送集信ボリューム許可リストファイルについては、「(7) 集信可能なファイル名とボリューム名の指定」を参照してください。 |
システム動作環境設定の各項目の詳細は「各項目の説明」を参照してください。
集信ファイルを新規作成すると、配信ファイルの内容によらず常に同じファイル属性になってしまいます。あらかじめ配信ファイルに合わせて集信ファイルを作成しておくことをお勧めします。
集信ボリューム名が「簡易転送集信ボリューム許可リストファイル」で指定したボリューム名のいずれかと一致した場合のみ集信できます。
簡易転送集信ボリューム許可リストファイルについては「(7) 集信可能なファイル名とボリューム名の指定」を参照してください。
簡易転送では、配信側ホストで集信ファイルの保存先と集信ファイル名を指定できるため、以下のような可能性があります。
-
集信側ホストの重要なファイルが上書きされてしまう
-
集信ファイルの保存先または集信ファイル名が業務の運用ルールから外れてしまう
そのような事態を避けるため、簡易転送を行う場合は、あらかじめ集信側ホストで集信可能なファイル名とボリューム名のリストを指定しておきます。
配信側ホストで指定した集信ファイル名と集信ファイルの保存場所が、それぞれのリストに含まれるファイル名とボリューム名のいずれかと一致した場合のみ集信の受け付けを許可します。
簡易転送で集信可能なファイル名のリストは簡易転送集信ファイル名許可リストファイルと呼ばれるファイルで指定します。簡易転送集信ファイル名許可リストファイルのファイル名はシステム動作環境設定の簡易転送集信ファイル名許可リストファイル(INSTTRANSDSNLST)で指定します。
また、簡易転送で集信可能なボリューム名のリストは簡易転送集信ボリューム許可リストファイルと呼ばれるファイルで指定します。簡易転送集信ボリューム許可リストファイルのファイル名はシステム動作環境設定の簡易転送集信ボリューム許可リストファイル(INSTTRANSVOLLST)で指定します。
配信側ホストで集信ファイルの保存先を省略した場合に使用されるデフォルトボリュームも、簡易転送集信ボリューム許可リストファイルで指定します。
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルと簡易転送集信ボリューム許可リストファイルのいずれかの指定を省略した場合は、簡易転送の受け付けを拒否します。
システム動作環境設定については、「システム動作環境の設定について」を参照してください。
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルの設定
ファイル名
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルのファイル名は任意です。システム動作環境設定の簡易転送集信ファイル名許可リストファイル(INSTTRANSDSNLST)で指定します。
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルはカタログされている必要があります。
ファイル形式
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルは、順編成ファイルまたは区分編成ファイルです。以下のレコード形式で作成してください。
レコード形式 |
固定長データセット |
レコード長 |
80バイト |
記述フォーマット
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルには、集信を許可するファイルの第一修飾子を1レコードに1つずつ指定します。
第一修飾子1 第一修飾子2 :
「*」を使用すると、第一修飾子を前方一致で指定できます。
配信側ホストで指定された集信ファイル名(集信ファイル名を省略した場合は配信ファイル名)の第一修飾子が簡易転送集信ファイル名許可リストファイルで指定した第一修飾子のいずれかと一致した場合に簡易転送の受け付けを許可します。どの第一修飾子とも一致しなかった場合は簡易転送の受付を拒否します。
また、“ALLOW-ALL”を指定すると、どんな集信ファイル名が指定されても簡易転送の受け付けを許可します。
記述例
SISCO SAISON HUL*
上記のように指定した場合、以下のように動作します。
-
配信側ホストで集信ファイル名として“SISCO.DAT.SND01”や“HUL001.DAT(SND)”が指定された場合は簡易転送の受け付けを許可します。
-
配信側ホストで集信ファイル名として“SISCO123.DAT.SND04”や“ABC.DEF”が指定された場合は簡易転送の受け付けを拒否します。
簡易転送集信ボリューム許可リストファイルの設定
ファイル名
簡易転送集信ボリューム許可リストファイルのファイル名は任意です。システム動作環境設定の簡易転送集信ボリューム許可リストファイル(INSTTRANSVOLLST)で指定します。
簡易転送集信ボリューム許可リストファイルはカタログされている必要があります。
ファイル形式
簡易転送集信ボリューム許可リストファイルは、順編成ファイルまたは区分編成ファイルです。以下のレコード形式で作成してください。
レコード形式 |
固定長データセット |
レコード長 |
80バイト |
記述フォーマット
簡易転送集信ボリューム許可リストファイルには、集信を許可するボリューム名を1レコードに1つずつ指定します。
DEFAULT:デフォルトボリューム名 ボリューム名1 ボリューム名2 :
- デフォルトボリューム名
-
「DEFAULT:」に続けてデフォルトボリューム名を指定します。
配信側ホストで集信ファイルの保存先が省略された場合、集信ファイルをデフォルトボリュームに格納します。
また、「DEFAULT:STORAGE」と指定すると、システム動作環境設定の集信ファイルの探索対象の設定値によって、以下のような動作となります。
表2.16 「DEFAULT:STORAGE」を指定した場合の動作
集信ファイルの探索対象
動作
ボリューム
ストレージ属性のボリュームに作成
カタログ
ACSルーチンに従って作成
- ボリューム名
-
集信を許可するボリューム名を1レコードに1つずつ指定します。
「*」を使用すると、ボリューム名を前方一致で指定できます。
配信側ホストで指定された集信ファイルの保存先が簡易転送集信ボリューム許可リストファイルで指定したボリューム名のいずれかと一致した場合に簡易転送の受け付けを許可します。どのボリューム名とも一致しなかった場合は簡易転送の受付を拒否します。
デフォルトボリューム名に指定したボリューム名を改めて指定する必要はありません。
また、“ALLOW-ALL”を指定すると、どんなボリューム名が指定されても簡易転送の受け付けを許可します。
記述例
DEFAULT:STORAGE HUL001 WRK*
上記のように指定した場合、以下のように動作します。
-
配信側ホストで集信ファイルの保存先として“HUL001”や“WRK123”が指定された場合は簡易転送の受け付けを許可します。
-
配信側ホストで集信ファイルの保存先として“SISCO”や“HULFT”が指定された場合は簡易転送の受け付けを拒否します。
配信側ホストで集信ファイルの保存先を省略した場合は集信ファイルをストレージ属性のボリュームに格納します。
簡易転送では、コード変換に関する情報をシステム動作環境設定の以下の項目で指定します。
転送コードセット(CS4TRNSFR)
管理情報を使用する転送と同様に、自ホストのコードセットを指定します。
簡易転送EBCDICセット(INSTTRANSEBCDIC)
簡易転送で使用する自ホストのEBCDICセットを指定します。
自ホストの転送コードセットがUTF-8の場合、この値は使用しません。
簡易転送コード変換(INSTTRANSCODCNV)
簡易転送で配信側変換を行うか集信側変換を行うかを指定します。
相手ホストのコードセットの情報は、転送時に相手ホストから通知された値を使用します。
コード変換の動作や注意点については「コード変換 マニュアル」を参照してください。
システム動作環境設定の各項目については、「各項目の説明」を参照してください。
(9) 簡易転送の受付設定機能
簡易転送では、集信側ホストのホスト名とポート番号がわかればファイルを配信できます。
集信側ホストでは、意図しない配信側ホストからの簡易転送を拒否することができます。
初期値では、配信側ホストが詳細ホスト情報に登録済みかどうかにかかわらず、すべての簡易転送を拒否する設定になっています。
配信側ホストが詳細ホスト情報に登録済みの場合
詳細ホスト情報の簡易転送受付許可(ALLOWINSTTRANS)を設定すると、ホストごとに簡易転送を受け付けるかどうかを指定できます。
詳細ホスト情報については、「オペレーション マニュアル」を参照してください。
配信側ホストが詳細ホスト情報に登録済みでも、参照する項目は簡易転送受付許可のみです。
他の項目は参照しません。
配信側ホストが詳細ホスト情報に未登録の場合
システム動作環境設定の未登録ホストからの簡易転送受付許可(ALLOWINSTTRANS)を設定すると、未登録ホストからの簡易転送を受け付けるかどうかを一括して指定できます。
未登録ホストからの簡易転送受付許可については、「各項目の説明」を参照してください。

図2.29 簡易転送の受付許可
(10) 簡易転送の留意事項
簡易転送に関連した注意点を以下にまとめます。
-
簡易転送配信要求で実行した転送には、HULFTが自動的に“_INSTANT_TRANSFER_”というファイルIDを付与します。
ユーザがこのファイルIDを指定して以下の処理を実行することはできません。
-
配信要求の発行
-
再配信要求の発行
-
送信要求の発行
-
再送要求の発行
-
配信管理情報の登録
-
集信管理情報の登録
一方、“_INSTANT_TRANSFER_”というファイルIDが付与された転送状況や転送履歴については、従来のファイルIDと同様に以下の処理を実行できます。
-
配信状況の照会と削除
-
集信状況の照会と削除
-
配信キャンセル
-
集信キャンセル
-
未配信状態キューの変更
-
-
簡易転送配信要求コマンドをJCLから起動する場合、配信ファイル名をDDステートメントで動的指定することはできません。
-
MTからの配信およびMTへの集信は利用できません。
-
簡易転送配信要求コマンドのエラー、および簡易転送の転送状況や転送履歴に出力される完了コードと詳細コードについては、「エラーコード・メッセージ」を参照してください。
-
管理情報を使用する転送と簡易転送では、セキュリティに関して以下のような違いがあります。
表2.17 配信側ホストでのセキュリティ
管理情報を使用する転送
簡易転送
ファイルID
集信側ホストと一致した場合に配信可能
配信管理情報を登録せずに配信可能
ホスト名
詳細ホスト情報に登録済みのホストに配信可能
任意のホストに配信可能
ホスト別の多重度
詳細ホスト情報で設定した値まで同時配信可能
制限できない
システム全体の
多重度システム動作環境設定で設定した値まで同時配信可能
システム動作環境設定で設定した値まで同時配信可能
表2.18 集信側ホストでのセキュリティ
管理情報を使用する転送
簡易転送
ファイルID
配信側ホストと一致した場合に集信可能
集信管理情報を登録せずに集信可能
ホスト名
詳細ホスト情報に登録済みのホストから集信可能
詳細ホスト情報で許可したホストまたは任意の未登録ホストから集信可能(*1)
集信ファイルの保存場所
集信管理情報で指定したボリュームに集信可能
簡易転送集信ボリューム許可リストファイルで指定したボリュームに集信可能
集信ファイル名
集信管理情報で指定したファイル名に集信可能
簡易転送集信ファイル名許可リストファイルで指定したファイル名に集信可能
システム全体の
多重度システム動作環境設定で設定した値まで同時集信可能
システム動作環境設定で設定した値まで同時集信可能
*1
:
初期値では許可しない設定になっています。
簡易転送を使用する際は、上記の点に注意して、詳細ホスト情報、簡易転送集信ボリューム許可リストファイル、簡易転送集信ファイル名許可リストファイルを適切に設定してください。
-
配信側ホストがUNIX/Linux、Windows、IBMiのいずれかで、集信側ホストがMainframeの場合、圧縮方式は“圧縮なし”になります。