大阪を中心として全国各地に学習塾事業を展開する株式会社成学社では、DataSpider Servista を活用して基幹系DBとExcelを連携させ、Excelの画面上でデータ入力や整理を容易に行えるようにしています。この連携部分の開発は社内の情報システム部門が主に担当し、新たな機能を迅速に提供することができました。また、機能改善の一部が内製できるようになったことで、情報システム部門の存在価値も高まったといいます。
株式会社成学社
本社 | 大阪府大阪市北区中崎西3-1-2 |
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URL | http://www.kaisei-group.co.jp/ |
取材日 2012年4月
記載の担当部署は、取材時の組織名です。
記事の内容は、旧アプレッソによる取材時のものとなっております。
1982年7月に豊中市で個人経営の学習塾として創業(株式会社としての設立は1987年)、2012年7月には創業30周年を迎える株式会社成学社。消長の激しい学習塾業界の中で、安定した経営を心掛け着実に事業を拡大、同社グループの教室は大阪を中心として近畿圏に広く展開し、近年では東京にも進出してきています。
成学社では、基幹系システムの使い勝手を高めるべく現場からの要望を集約、小まめに改良を加え続けていますが、システム改修作業をベンダーに依頼する際の費用や期間などが課題となっていました。そこで新たにDataSpider Servistaを導入、基幹系DBからExcelへの連携を行うことで、一部の機能を社内で開発できるようにしています。予算を抑えつつ新たな機能を追加できるようになり、開発された機能は現場の負担軽減やコスト削減、顧客満足度向上に役立ち、情報システム部門の評価も高まったとのことです。
成学社は現在、同社にとって3世代目となる「KONPAS」を基幹系システムとして使っています。このシステムは2009年末に本格稼働を開始し、現場からの改善要望を取り入れて段階的に改良が加えられているものです。その改善要望を集約し、改修内容を決定する会議は、各部署の代表者やベンダーが参加して年に数回行われています。
「ただ、一つの改善要望を実現するのに数百万円の費用が必要となることも多く、必ずしも期待通りの改修が行われるとは限らないという点も、以前から問題となっていました。」と語るのは、同社システム室長の古山昌邦氏。その会議の中で、ある機能が議題となりました。月例テスト結果の処理です。生徒や保護者からすれば、テスト結果はいち早く知りたいものです。しかし一方で、月例テストは頻繁に行われる上に1回のデータ件数も1万件あまりと多く、入力作業の負担を軽減したいと考えていたのです。ところがKONPASは、この成績入力を生徒一人ひとりの単票形式でないと行えない仕様となっていました。
「一人分の情報を呼び出しては入力、更新の作業をしなければならないのです。しかも呼び出しや更新の処理に待たされるため、一覧形式で一括呼び出し、更新をしたいと考えていました。」(古山氏)
このような課題の解決策として挙がったのが、DataSpider Servistaです。システム室では以前から一部機能の内製化を検討しており、2011年2月には株式会社NSDから提案を受けていたといいます。
「DataSpider Servistaのデモを見せてもらって、『これがあったら自分たちで解決できることは多いだろう』と期待していました。あとは導入予算が課題でしたが、その期の予算に余裕がなく、提案を受けた時点では見送っていました。」(古山氏)
DataSpider Servista導入に向けて動き出したのは、同年8月のKONPAS改修会議のことでした。この会議にはNSDも同席し、DataSpider ServistaによってKONPASとExcelを連携させることで効率的に月例テスト成績の入力ができるという見通しが立てられ、採用が決まりました。そしてNSDが環境の構築を担当し、2011年12月に導入されています。
DataSpider Servitstaでの開発は、主にシステム室の高秀天氏が担当しました。高氏はアプレッソのトレーニングを受け、「ほぼイメージ通りに使える」と感じたそうです。
「実際、開発はやりやすいですね。サポートを利用することなく使うことができています。月例テスト結果処理の機能は正味1週間で完成しました。また、兄弟割引が適用されているかのチェックを可能にする塾生兄弟姉妹一覧抽出機能を1日分の作業で開発したほか、退塾者集計機能なども作り上げています。」(高氏)
月例テスト結果処理は、KONPASからExcelワークシートを書き出し、そこに各教室で成績を一括入力、データをKONPASに書き戻すという手順です。各教室はKONPASを使うことなくExcel上で一括入力することができ、入力作業の負担は従来の半分から4分の1程度に減ったといわれています。
「これまで、あまりに手間がかかるので入力専門のスタッフを置いていたほどでしたが、手間が減った分、各教室は生徒や保護者の対応に注力できるようになります。また、テスト結果公表も早められ、顧客満足度にも繋がっています。」(古山氏)開発コストも、これまで通りベンダーにKONPAS改修を発注する場合に比べて大幅に低減できました。今回の開発分で、DataSpider Servistaの導入費用と見合う程度だといいます。
「あとは、DataSpider Servistaで作れば作るだけ、コスト削減効果が期待できるといえるでしょう。また、入力をExcelで行うようになったことでKONPASの負荷が軽減され、基幹系の延命も期待できます。」(古山氏)そして、これまでベンダーと現場とを中継するのが主な役割だったシステム室に、DataSpider Servistaを使った開発という新たな役割が加わったことも見逃せません。「現場からは、『システム室に頼めばできるかもしれない』という期待が感じられます。改修アイデアも、より多く集まってくるようになってきました。」(古山氏)