日本最大の化粧品・美容の総合サイト「@cosme」(アットコスメ)で知られる株式会社アイスタイルでは、会計システムへ他システムからのデータを取り込むETLツールとしてDataSpider Servistaを採用、従来のExcelマクロによる作業より大幅に効率化させました。今後は、会計に連なる各種システムとのデータ連携を拡大させるほか、顧客データの分析などにも活用の幅を広げていくことを検討しています。
株式会社アイスタイル
本社 | 東京都港区南青山1-26-1 |
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Webサイト | http://www.istyle.co.jp/ |
取材日 2013年3月
記載の担当部署は、取材時の組織名です。
記事の内容は、旧アプレッソによる取材時のものとなっております。
株式会社アイスタイルは、月間約700万(2013年2月現在)のユニークユーザーによる1000万件以上のクチコミ情報や化粧品ブランドからの最新情報などを満載した化粧品・美容の総合サイト「@cosme」(アットコスメ)を企画・運営しています。同社はこの@cosmeを中心とし、ECサイトやリアル店舗の運営を通じて広告サービスなど、幅広いマーケティングサービスの提供を行うと共に、美容に特化した会員データを活かし各事業の連携を図ることで、アジア最大のビューティープラットフォーム構築を目指しています。アイスタイルでは、同社が運営するポータルサイトでの広告を管理しているパッケージ「ad-meister」から会計パッケージ「勘定奉行」へのデータ取り込みを効率的に行えるようにするため、ETLツールとしてDataSpider Servistaを導入、2013年1月から運用開始しました。
アイスタイルにとって、@cosmeをはじめとするサイトに掲載する広告は重要な商品の一つであり、広告管理システムは販売管理システムでもあります。このシステムから会計システムへのデータ取り込み作業は月次で実施されていますが、これまではエクスポートされたデータをExcelに取り込みマクロでデータ形式を変換してインポートする、いわば半自動で処理していました。ところが、このマクロではad-meisterからのデータを完全に処理できず、一部のデータを人手で処理しなければならなかったため、担当する経理部門では毎月かなりの手間がかかっていたのです。特に近年では事業の成長に伴って処理すべきデータ量も増大、手作業での処理は限界に近付いていたと言います。
「社内システムには、このような効率的でない部分がいくつかあります。また効率だけでなく、属人化の問題もありました。システムの改修などでデータ形式が変わればマクロも修正する必要がありますが、マクロの内容を把握している人がいなくなったらブラックボックス化してしまうのです。それらを修正するために、ETLツールを導入し、いろいろなシステムを繋いでいこうと考えたのです。」と、同社テクノロジー本部 コーポレートIT室 情報システムグループ マネージャーの久保賢一氏は言います。
新たな会計年度を迎えた2012年7月、ETLツールの予算が下りて具体的な検討がスタートしました。
「まずはスモールスタート。小規模で立ち上げられ処理量に応じて柔軟に拡張できること、アダプタも必要な分だけ選んで導入できること。またサーバ上で使う、動作が確実なものであること。そして、将来を考えて『クラウドに強いこと』もポイントとなりました。」(久保氏)
こうした条件から、セゾン情報システムズより提案を受けたDataSpider Servistaが選ばれました。実際に業務イメージを反映させたデモを見せてもらうことで、社内システム間の連携を効率化できると確信できたそうです。また、スモールスタートに適したパッケージ『セレクトライセンス』が用意され、上位版への移行も容易に行えるのも大きな魅力でした。DataSpider Servistaの導入やトレーニングは10月までに終え、年末にかけて連携部分の開発やテストを実施、2013年1月から実際に利用されています。以前は4人日ほどの作業だったのが、クリックして約5分待つだけで完了し、ユーザーの負担は大幅に軽減されました。情報システムグループの吉川祥代氏は、開発を担当した感想を次のように語っています。
「当初、コーディングしない開発手法には半信半疑で、トレーニングを受けてもメリットがよく分からないままでした。しかし実際に作ってみると、処理の内容がシンプルに示されるのでミスが生じにくく、かつ修正もやりやすいのだと実感しました。これなら他人が開発した部分に手を加えるのも容易で、属人化しにくいですね。」
情報システムグループでは今後、会計と連携する各システムにDataSpider Servistaを利用していく方針です。次は人事システムを対象とした開発に入ろうとしており、またアダプタを追加してSalesforceとの連携も行うことを検討しています。
「こうしたデータ連携を人手を介さずサーバ上で処理できるようにする利点は、単なる効率化だけではありません。人間の判断や作業が不要になることでミスの発生リスクをなくすことができ、内部統制の観点からも有益なのです。」と久保氏は言います。
一方、社内システムを管理する情報システムグループの隣には、@cosmeをはじめとするサイトからの情報の活用を担当するBIグループが席を連ねており、彼らもDataSpider Servistaに注目しているとのことです。利用者情報や書き込まれたクチコミ情報、商品情報、販売情報などの膨大な蓄積はさまざまな可能性を秘めたもの、アイスタイルの財産と言っても過言ではないでしょう。
「もちろんこれまでも利用者情報の分析・活用には取り組んできましたが、まだまだです。DataSpider Servistaなら、サイト側の情報と社内にある情報を結びつけるなど、今まであまりできていなかったような情報活用が可能になると期待しています。」(吉川氏)