転送テスト

転送テスト機能は、配信前ジョブ、配信後ジョブ、または集信後ジョブの実行や履歴の出力など、実行すると業務に影響する機能を抑制して、ファイル転送の動作を確認する機能です。業務と連携しないので、実際の運用環境で動作の確認ができます。

転送テスト機能を利用することで、以下の確認ができます。

  • 転送可否

  • 転送エラーとなった場合、完了コードから導かれるエラーの原因(配信履歴および集信履歴の出力を抑制しない場合)

  • 集信ファイルのコード変換結果やデータサイズ(集信ファイルの作成を抑制しない場合)

  • およその転送所要時間や転送レート(配信履歴および集信履歴の出力を抑制しない場合)

  • 圧縮率(配信履歴の出力を抑制しない場合)

注意

転送テスト機能は、HULFT8以降を導入している場合に使用できる機能です。配信側ホストおよび集信側ホストの両方でファイル転送の動作を確認する場合、どちらもHULFT8以降を導入している必要があります。

図2.46 転送テスト機能

転送テストで抑制できる機能

転送テスト機能では、以下の機能を抑制できます。

  • 配信前ジョブの実行

  • 配信後ジョブの実行

  • 集信後ジョブの実行

  • 集信ファイルの作成

  • 配信履歴および集信履歴の出力

また、配信前ジョブ、配信後ジョブ、または集信後ジョブの実行の抑制だけでなく、JCLにTYPRUN=SCANを付加して、構文をチェックすることもできます。抑制する機能は、システム動作環境設定で指定します。詳細は、「システム動作環境の設定について」を参照してください。

注意
  • 配信側ホストが連動モードで、集信側ホストに連動してテスト動作でファイル転送を行う場合、システム動作環境設定で抑制するように指定しても、配信前ジョブの実行は抑制されません。

  • 配信側ホストが連動モードで、集信側ホストに連動してテスト動作でファイル転送を行う場合、システム動作環境設定で抑制するように指定しても、次の機能は抑制されないことがあります。

    • 配信後ジョブの実行

    • 集信後ジョブの実行

    • 配信履歴および集信履歴の出力

  • システム動作環境設定で集信ファイルの出力を抑制していると、集信ファイルの存在を前提とする配信後ジョブまたは集信後ジョブなどは、転送テストで確認できません。

    テスト動作では正常に転送できても、通常動作では正常に転送できないことがあります。

    なお、集信ファイルを作成するときと同様に、ファイル名は配信後ジョブまたは集信後ジョブや履歴に設定されます。

    ただし、集信ファイルを世代管理する設定でも、履歴には世代管理番号の付かないファイル名が出力されます。

ファイル転送の動作

HULFT8のファイル転送では、以下のどちらかで動作します。

  • 通常動作

    業務に影響する、配信前ジョブの実行、配信後ジョブの実行、集信後ジョブの実行、または履歴の出力などの機能が設定どおりに実行されて、ファイルが転送されます。

  • テスト動作

    業務に影響する、配信前ジョブの実行、配信後ジョブの実行、集信後ジョブの実行、または履歴の出力などの機能が抑制されて、ファイルが転送されます。

 

ファイル転送を通常動作で行うか、テスト動作で行うかは、システム動作環境設定の転送動作モード(TTMODE)で指定できます。

転送動作モードでは、以下のどちらかを指定します。

  • “テストモード”

    テスト動作を行うモードです。

  • “連動モード”

    配信側ホストまたは集信側ホストのどちらかが“テストモード”の場合、テスト動作を行うモードです。

通常動作でファイル転送を行う場合は、配信側ホストと集信側ホストの両方で“連動モード”を指定します。

 

ファイル転送の動作は、配信側ホストと集信側ホストで指定された転送動作モードの組み合わせによって、ホストごとに動作が異なる場合があります。

転送動作モードの組み合わせと各ホストの動作について、以下の表に示します。

表2.22 転送動作モードの組み合わせと各ホストの動作

 

配信側ホスト

HULFT8

HULFT8未満

「HULFT7通信モード」
が“N(無効)”

「HULFT7通信モード」
が“Y(有効)”

連動モード

テストモード

連動モード

テストモード

集信側
ホスト

HULFT8

連動
モード

配信側ホスト :

通常動作

集信側ホスト :

通常動作

配信側ホスト :

テスト動作

集信側ホスト :

テスト動作

配信側ホスト :

通常動作

集信側ホスト :

通常動作

配信側ホスト :

テスト動作
(*2)

集信側ホスト :

(*3)

配信側ホスト :

通常動作

集信側ホスト :

通常動作

テスト
モード

配信側ホスト :

テスト動作
(*4)

集信側ホスト :

テスト動作

配信側ホスト :

テスト動作

集信側ホスト :

テスト動作

配信側ホスト :

通常動作
(エラー)
(*4)

集信側ホスト :

(*1)

配信側ホスト :

テスト動作
(*2)

集信側ホスト :

(*3)

配信側ホスト :

通常動作
(エラー)

集信側ホスト :

(*1)

HULFT8
未満

配信側ホスト :

通常動作

集信側ホスト :

通常動作

配信側ホスト :

テスト動作
(*2)

集信側ホスト :

(*3)

配信側ホスト :

通常動作

集信側ホスト :

通常動作

配信側ホスト :

テスト動作
(*2)

集信側ホスト :

(*3)

配信側ホスト :

通常動作

集信側ホスト :

通常動作

:

対象機能なし

*1

:

集信側ホストでエラー(完了コード=517)となります。

*2

:

配信側ホストの転送結果はシステム動作環境設定の「集信結果制御(TTRCVOMIT)」の設定に従います。

*3

:

集信側ホストへのファイル転送は行われません。

*4

:

配信前ジョブの実行は抑制できません。配信前ジョブは、集信側ホストに接続してテスト動作に切り替わる前に実行されてしまいます。

注意
  • テスト動作で転送エラーが発生した場合、転送できなかった配信ファイルの情報が配信制御ファイルに書き込まれます。そのときは、不要な配信待ちレコードまたは再配信待ちレコードを削除してください。

  • テスト動作中に出力されたエラーメッセージと通常動作中に出力されたエラーメッセージは区別できないため、注意してください。