オブジェクトストレージにアップロードするときのHULFTの機能制限

集信ファイルをオブジェクトストレージにアップロードする場合、配信側ホストから集信側ホストまでの転送にはHULFTの転送方式が、集信側ホストからオブジェクトストレージまでの転送にはHTTPSプロトコルが使用されます。

そのため、HULFTのファイル転送に関する設定は、原則として配信側ホストと集信側ホストの転送にのみ適用され、オブジェクトストレージへのアップロードには適用されません。

このため、オブジェクトストレージにアップロードする場合、HULFTのファイル転送に関する機能の一部について制限が発生します。ここでは、HULFTの機能制限について説明します。HULFT クラウドストレージオプションの機能制限については「オブジェクトストレージの機能制限」を参照してください。

チェックポイント再配信

チェックポイント再配信はできません。

再配信要求コマンドまたは再送要求コマンドでチェックポイントから再送信するように指定しても、配信ファイルは先頭から再配信されます。

簡易転送

簡易転送でファイルをオブジェクトストレージにアップロードできません。

簡易転送配信要求コマンドで、集信ファイルの保存先に“://”を含むパスを指定した場合はエラーになります。

複数集信

複数集信はできません。

オブジェクトストレージにアップロードする場合は、集信管理情報の登録モードに“新規作成”または“置き換え”を、異常時の処置に“復元”を指定する必要があります。

一方、集信管理情報の集信形態に“複数集信”を指定する場合は、登録モードに“追加”を、異常時の処置に“保存”を指定する必要があります。

そのため、オブジェクトストレージへのアップロードで複数集信を指定すると、集信時にエラーになります。

世代管理

世代管理はできません。

オブジェクトストレージにアップロードする場合は、集信管理情報の異常時の処置に“復元”を指定する必要があります。

一方、集信管理情報の世代管理に“する”を指定する場合は、異常時の処置に“削除”を指定する必要があります。

そのため、オブジェクトストレージへのアップロードで世代管理を行う指定をすると、集信時にエラーになります。

メール連携(HULFT8 for Windowsのみ)

集信側ホストでメール連携する場合、メールに集信ファイルを添付できません。

集信ファイルを添付するように指定した場合、集信ファイルをオープンできずにエラーになります。

CSV形式受信

オブジェクトストレージにアップロードするとき、配信管理情報の連携DBIDに“CSV”が指定されているとエラーになります。

パーミッション(HULFT8 for Linuxのみ)

集信ファイルのオーナー名、グループ名、パーミッションは無効となります。

集信管理情報のオーナー名グループ名、およびパーミッションに指定した値は使用されません。

オブジェクトの排他制御

オブジェクトストレージ上のオブジェクトはディスク上のファイルとは排他制御の扱いが異なるため、システム動作環境設定の以下の項目の設定は使用されません。

表8.1 使用されない項目

機種

項目

Windows

集信ファイルロックリトライ回数(rretrycnt)
集信ファイルロックリトライ間隔(rretrytime)
集信ファイルロック待機(rcvfilelockwait)

Linux

集信オープンモード(rcvfilewait)

注意
  • 転送中に集信ファイルに指定したオブジェクトに対して、オブジェクトストレージ上で何らかの操作を実施した場合、集信ファイルが正しく作成されない場合があります。

  • 1つの集信ファイル(オブジェクト)に対して複数の転送を同時に実施した際、集信ファイルが正しく作成されない場合があります。

コネクションリトライ

オブジェクトストレージへの接続に失敗したときのリトライの設定は、それぞれのクラウドベンダーが提供しているSDKの仕様に従うため、システム動作環境設定の以下の項目の設定は使用されません。

表8.2 使用されない項目

機種

項目

Windows

コネクションリトライ回数(retrycnt)
コネクションリトライ間隔(retrytime)

Linux

ソケット接続リトライ回数(retrycnt)
ソケット接続リトライ待ち時間(retrytime)

集信後ジョブの環境変数

集信後ジョブの環境変数「$FILENM」はクラウドストレージにアップロードするためのパスに変換されるため、その値を使用して集信ファイルをディスク上のファイルのように扱うことはできません。

アップロードしたオブジェクトを集信後ジョブで操作するには、ジョブ起動情報に登録されている起動ジョブの見直しが必要な場合があります。

集信時の動的指定(HULFT クラウドストレージオプションVer.8.4.1のみ)

集信時の動的指定を使用した場合、集信ファイルが正しく作成されない場合があります。

ファイル名に“$SNDFILE”、パス名に“$SNDPATH”は使用しないでください。

なお、メッセージ送信の”$MSG0”~”$MSG5”および”$MSGL0”~”$MSGL1”は使用できます。

オブジェクトストレージ上のファイルの入出力

オブジェクトストレージ上のファイルの入出力について、HULFTのユーティリティは使用できません。

使用できないユーティリティの例)

  • オブジェクトストレージ上のファイルに対する、複数ファイルの結合(utljoin)

  • オブジェクトストレージ上のファイルに対する、結合ファイルの分解(utlbreak)

  • オブジェクトストレージ上のファイルに対する、ファイルレコードの編集(utllf)

  • オブジェクトストレージ上のファイルに対する、Unicode変換(utlchgunicode)

キャンセルが実行されるタイミング

アップロード中にキャンセルを実行すると、キャンセルが完了するまでに時間がかかる場合があります。