データ転送方法(電文転送タイプ)の選択

HULFT Ver.7以降では、データ転送方法に転送速度優先モードと異常検知優先モードを選択できます。転送速度優先モードでは、相手ホストからの受信結果の通知を待たずにデータを転送します。

転送速度優先モードを使用すると、高速なネットワーク環境、大容量のファイル転送における転送速度の向上ができます。HULFT Ver.6以前の転送方法である異常検知優先モードは、相手ホストからの受信結果の通知を待って次のデータを転送するため、転送速度は転送速度優先モードに比べ遅くなりますが、異常発生時の検知を迅速に行います。

= 備考 =

ネットワーク環境によっては、異常検知優先モードよりも転送速度優先モードの方が、転送速度が遅くなる場合があります。

転送速度優先モードと異常検知優先モード

転送速度優先モードと異常検知優先モードの違いを以下の図に示します。

図2.22 転送速度優先モードと異常検知優先モードの違い

データ転送方法を設定するには、配信側ホストと集信側ホストのどちらもHULFT Ver.7以降、HULFT-HUBを利用する場合は経由するホストのHUB-ServerがVer.2.2以降である必要があります。下位バージョンのHULFTを使用した場合は、異常検知優先モードで転送されます。

また、転送速度優先モードを使用する場合は、配信側ホストと集信側ホストのどちらも転送速度優先モードで動作する設定となっている必要があります。どちらかが“N(異常検知優先モード)”を指定していた場合は、異常検知優先モードで転送されます。

電文転送タイプの設定

データ転送方法は、システム動作環境設定の電文転送タイプ(PROCTRANSTYPE)で設定します。電文転送タイプには以下の4つがあります。

N(異常検知優先モード)

配信および集信ともに、異常検知優先モードで動作します。

S(配信速度優先モード)

配信は転送速度優先モードで動作します。集信は異常検知優先モードで動作します。

R(集信速度優先モード)

集信は転送速度優先モードで動作します。配信は異常検知優先モードで動作します。

A(集配信速度優先モード)

配信および集信ともに、転送速度優先モードで動作します。

配信側ホストと集信側ホストの電文転送タイプの組み合わせによって、どちらのデータ転送方法で動作するかが決まります。以下の表を参照してください。

表2.7 「電文転送タイプ」の組み合わせ

配信側ホスト

集信側ホスト

N

S

R

A

N(異常検知優先モード)

×

×

×

×

S(配信速度優先モード)

×

×

R(集信速度優先モード)

×

×

×

×

A(集配信速度優先モード)

×

×

:

転送速度優先モードで動作

×

:

異常検知優先モードで動作

 

電文転送タイプは、ユーザーの配信状況および集信状況に合わせて設定します。ユーザーの環境に応じた電文転送タイプの設定例を以下の図に示します。

図2.23 「電文転送タイプ」の設定例

異常検知のタイミング

データ転送方法によって異常検知のタイミングが異なります。異常検知優先モードと転送速度優先モードとの異常検知のタイミングの違いについて説明します。

配信側ホストで異常が発生したときの例

図2.24 転送速度優先モードと異常検知優先モードの異常検知のタイミング(配信側ホスト)

集信側ホストで異常が発生したときの例

図2.25 転送速度優先モードと異常検知優先モードの異常検知のタイミング(集信側ホスト)

転送速度優先モードは、異常検知優先モードと比べ、配信処理および集信処理でのリソースの使用率が変化し、転送異常検知のタイミング、キャンセル受け付けのタイミングが遅くなる場合があります。

留意点

転送速度優先モードを選択しているにもかかわらず、転送速度が改善されない場合は以下の要因が考えられます。以下の内容を参考に、問題点を解消してください。

相手ホストの「電文転送タイプ」の設定

相手ホストの電文転送タイプが“N(異常検知優先モード)”に設定されている場合、転送速度優先モードで動作するように電文転送タイプを指定してください。転送速度優先モードで動作する電文転送タイプの組み合わせは、「表2.7 「電文転送タイプ」の組み合わせ」を参照してください。

相手ホストのHULFT製品のバージョン

相手ホストが転送速度優先モードに対応していないバージョンの製品を使用している場合、配信側ホスト、集信側ホストをともに転送速度優先モードに対応したバージョンにバージョンアップしてください。

ネットワーク帯域の不足

転送速度優先モードは、異常検知優先モードに比べてネットワークトラフィックを多く使用します。ネットワーク帯域が不足している場合、転送速度優先モードの効果は少なくなります。

配信側ホストと集信側ホストの「ソケット送信バッファーサイズ(SNDSOCKSIZE)」および「ソケット受信バッファーサイズ(RCVSOCKSIZE)」の設定

HULFTのシステム動作環境設定で、ソケット送信バッファーサイズおよびソケット受信バッファーサイズを変更してください。通常、ソケット送信バッファーサイズおよびソケット受信バッファーサイズが大きいほど速度を向上できますが、ネットワーク環境により最適値は異なります。

配信側ホストの転送単位

HULFTの配信管理情報の転送ブロック長(BLOCKLEN)および転送ブロック数(BLOCKNUM)を、ネットワークの最適値となるように変更してください。通常、転送単位(転送ブロック長×転送ブロック数)が大きいほど速度を向上できますが、ネットワーク環境により最適値は異なります。