データ転送方法(電文転送タイプ)の選択

HULFT Ver.7以降では、データ転送方法に転送速度優先モードと異常検知優先モードを選択できます。転送速度優先モードでは、相手ホストからの受信結果の通知を待たずにデータを転送します。

転送速度優先モードを使用すると、高速なネットワーク環境、大容量のデータ転送における転送速度の向上が図れます。HULFT Ver.6以前の転送方法である異常検知優先モードは、相手ホストからのデータ転送確認を待って次のデータを転送するため、転送速度は転送速度優先モードに比べ遅くなりますが、異常発生時の検知を迅速に行います。

転送速度優先モードと異常検知優先モード

転送速度優先モードと異常検知優先モードの違いを次の図に示します。

図2.25 転送速度優先モードと異常検知優先モードの違い

 

データ転送方法を設定するには、配信側ホストと集信側ホストのどちらもHULFT Ver.7以降、HULFT-HUBを利用する場合は経由するホストのHUB-ServerがVer.2.2以降である必要があります。下位バージョンのHULFTを使用した場合は、異常検知優先モードで転送されます。

また、転送速度優先モードを使用する場合は、配信側ホストと集信側ホストのどちらも転送速度優先モードを設定する必要があります。どちらかが異常検知優先モードを選択していた場合は、異常検知優先モードで転送されます。

電文転送タイプの設定

データ転送方法は、システム動作環境設定の電文転送タイプ(PROCTRANSTYPE)を選択して設定します。電文転送タイプには次の4つがあります。

N(異常検知優先モード)

集配信時ともに、異常検知優先モードで動作します。

S(配信速度優先モード)

配信は転送速度優先モードで動作します。集信は異常検知優先モードで動作します。

R(集信速度優先モード)

集信は転送速度優先モードで動作します。配信は異常検知優先モードで動作します。

A(集配信速度優先モード)

集配信時ともに、転送速度優先モードで動作します。

配信側と集信側の電文転送タイプの組み合わせによって、どちらのデータ転送方式で動作するかが決まります。以下の表を参照してください。

表2.4 配信側と集信側の「電文転送タイプ」の組み合わせ

配信側

集信側

N

S

R

A

N

×

×

×

×

S

×

×

R

×

×

×

×

A

×

×

:

転送速度優先モードで動作

×

:

異常検知優先モードで動作

 

電文転送タイプは、ユーザーの集配信状況に合わせて設定します。ユーザーの環境に応じた電文転送タイプの設定例を次の図に示します。

図2.26 電文転送タイプの設定例

異常検知のタイミング

データ転送方法によって異常検知のタイミングが異なります。異常検知優先モードと転送速度優先モードでの異常検知のタイミングの違いについて説明します。

配信側異常発生時の例

図2.27 転送速度優先モードと異常検知優先モードの異常検知のタイミング

集信側異常発生時の例

図2.28 転送速度優先モードと異常検知優先モードの異常検知のタイミング

転送速度優先モードは、異常検知優先モードと比べ、集配信時のリソースの使用率が変化し、転送異常検知のタイミング、キャンセル受付のタイミングが遅くなる場合があります。

留意点

転送速度優先モードを選択しているにもかかわらず、転送速度が改善されない場合は次の要因が考えられます。以下の内容を参考に、問題点を解消してください。

通信相手が「異常検知優先モード」に設定されている

配信側ホスト、集信側ホストの両方で電文転送タイプに転送速度優先モードを指定してください。

通信相手が転送速度優先モードに対応していないバージョンの製品を使用している

配信側ホスト、集信側ホストを共に転送速度優先モードに対応したバージョンにバージョンアップしてください。

ネットワーク帯域が不足している

転送速度優先モードは、異常検知優先モードに比べてネットワークトラフィックを多く使用します。ネットワーク帯域が不足している場合、転送速度優先モードの効果は少なくなります。

配信側ホストと集信側ホストのソケットのバッファーサイズが小さい

配信側ホストと集信側ホストのシステム動作環境設定で、以下の項目の設定を変更してください。

  • ソケット送信バッファサイズ(SNDSOCKSIZE)

  • ソケット受信バッファサイズ(RCVSOCKSIZE)

通常、ソケットのバッファーサイズが大きいほど速度を向上できますが、ネットワーク環境により最適値は異なります。

配信側の転送ブロックサイズがネットワーク最適値と異なる

HULFTの配信管理情報の転送ブロック長を変更してください。通常、転送ブロック長が大きいほど速度を向上できますが、ネットワーク環境により最適値は異なります。