HUB経由の転送で使用する詳細ホスト情報

(1) HULFT-HUB Serverを経由するためのPROXY情報

HULFT-HUB Serverを経由する転送定義を作成すると、クライアント上の詳細ホスト情報にPROXY情報が設定されます。

クライアント「A」と「B」がHULFT-HUB Server「S」を経由して転送を行う場合に、クライアント「A」に登録されるクライアント「B」の詳細ホスト情報について、PROXY情報の設定内容を以下に示します。

前提条件

「S」に登録されている「A」の収容クライアント情報
ホスト名

: A

集信ポートNo

: aaaaa

「S」に登録されている「B」の収容クライアント情報
ホスト名

: B

集信ポートNo

: bbbbb

「S」のシステム動作環境設定
ホスト名

: S

ポートNo

: sssss

図2.94 HULFT-HUB Serverを経由するためのPROXY情報

(2) HUB経由の転送で使用するホスト名

HULFTがファイル転送を行うとき、相手ホストに自ホスト名を通知します。HULFTの詳細ホスト情報は、通知されるホスト名に合わせて作成します。また、通知されたホスト名がHULFTの履歴に出力されます。

HULFT-HUB Serverを経由した転送では、HULFT-HUB Serverがクライアントに転送の相手ホスト名を通知します。通知するホスト名は以下の設定によって変わります。

  • 収容クライアント情報の「通知ホスト名」

  • HULFT-HUB Serverのシステム動作環境設定の「HUB経由転送における通知ホスト名」

= 備考 =

通知するホスト名とネットワーク上で認識されるホスト名が違ってしまいますが、PROXY情報に設定されたHULFT-HUB Serverが中継するため問題ありません。

「通知ホスト名」にホスト名を設定した場合、「HUB経由転送における通知ホスト名」の設定は無視されます。

通知ホスト名

収容クライアント情報の「通知ホスト名」を設定した場合、そのクライアントには常に設定したホスト名が通知されます。そのため、そのクライアントからはHUBを経由する転送の相手ホストがすべて設定したホスト名に見えます。

HULFT-HUB Managerで転送定義を作成するときに作成される詳細ホスト情報には、以下のような内容が設定されます。そのため、相手クライアントの情報が不明でも転送を実行できます。

表2.14 詳細ホスト情報に設定される内容

項目

設定内容

ホスト名

収容クライアント情報の「通知ホスト名」

ホスト種

管理元サーバのホスト種

漢字コード種

管理元サーバの漢字コード種

JIS年度

管理元サーバのJIS年度

集信ポートNo.

管理元サーバのシステム動作環境設定の「ポートNo.」

PROXY情報

「(1) HULFT-HUB Serverを経由するためのPROXY情報」に従う

上記以外

初期値

図2.95 「通知ホスト名」を設定した場合の動作例

注意
  • 「通知ホスト名」を設定したホストでは実際の相手ホストの漢字コード種がわかりません。コード変換は「通知ホスト名」を設定していないホストで実行してください。

  • HULFT-HUB Managerで転送定義を作成するとき、配信側クライアントの「通知ホスト名」が設定されている場合は、経路設定を自動配置で実行することができません。手動配置で実行してください。

  • 複数集信の転送定義で集信側クライアントの「通知ホスト名」が設定されていた場合、送信要求を発行すると配信側クライアントを特定できずにエラーとなります。

「通知ホスト名」を省略した場合と設定した場合の運用の違いは以下のとおりです。

表2.15 「通知ホスト名」による運用の違い

「通知ホスト名」を省略した場合

「通知ホスト名」を設定した場合

既存の直接転送から経路一括変更で移行が可能

既存の直接転送は転送定義の作り直しが必要

転送相手のクライアントに自ホストの設定情報の公開が必要

転送相手のクライアントに自ホストの設定情報の公開が不要

各クライアントはHULFT-HUBの存在を意識しない運用が可能

各クライアントは相手クライアントの設定情報を意識しない運用が可能

直接転送とHUB転送の共存は、ポート番号を付加する形式なら可能

直接転送とHUB転送の共存は、既存のホスト名と重複しない「通知ホスト名」を設定すれば可能

HUB経由転送における通知ホスト名

収容クライアント情報の「通知ホスト名」の設定を省略した場合、そのクライアントに通知されるホスト名は、ホスト名の後ろにポート番号を付加する形式、またはポート番号を付加しない形式となります。

それぞれの形式のホスト名の説明と例を表2.16 に示します。例は、図2.94 の環境でクライアント「A」に通知されるクライアント「B」のホスト名を想定しています。

表2.16 ホスト名の形式

ホスト名の形式

説明

ポート番号を付加する形式

ホスト名とポートNo.を組み合わせた「ホスト名_ポートNo.」の形式

B_bbbbb

ポート番号を付加しない形式

ホスト名そのままの形式

B

付加されるポート番号は、ホストの種類によって以下のようになります。

表2.17 付加されるポート番号

ホストの種類

説明

クライアント

HULFTのシステム動作環境設定の「集信ポートNo.」

サーバ

HULFT-HUB Serverのシステム動作環境設定の「ポートNo.」

注意
  • 直接転送とHUB転送の混在

    ポート番号を付加する形式では、直接転送とHUB転送の混在が可能です。ポート番号を付加しない形式では混在できません。

  • 同一ホスト内における、HULFTおよびHULFT-HUB Serverの同一ホスト名での共存

    ポート番号を付加する形式では、同一ホスト内に複数のHULFTまたはHULFT-HUB Serverが共存可能です。ポート番号を付加しない形式では、どのポート番号のHULFTまたはHULFT-HUB Server宛てにデータを転送するか判別できないため、同一ホスト内に複数のHULFTまたはHULFT-HUB Serverを共存させることができません。

ホスト名の形式は、HULFT-HUB Serverのシステム動作環境設定の「HUB経由転送における通知ホスト名(HostNameNotice)」で設定します。この項目はHULFT-HUB Managerからは設定できませんので、システム動作環境設定ファイルを直接編集してください。

= 備考 =

HULFT-HUB Serverのシステム動作環境設定の詳細は、「HULFT-HUB Server マニュアル」を参照してください。

「HUB経由転送における通知ホスト名(HostNameNotice)」の設定値と動作の関係は以下のようになっています。

表2.18 「HUB経由転送における通知ホスト名」の設定値と動作の関係

設定値 (*1)

動作

管理対象クライアント

管理対象外(中継あり)クライアント

ポート番号付きの形式(0)

HUBを経由する場合、ホスト名にポート番号を付加する形式を使用する

管理対象のみ
ポート番号付きの形式(1)

“ポート番号付きの形式”と同じ動作

“ポート番号無しの形式”と同じ動作

ポート番号無しの形式(2)

HUBを経由する場合、ホスト名にポート番号を付加しない形式を使用する

*1 :

()内はシステム動作環境設定ファイルに記載する値です。

自動配置と手動配置

HULFT-HUB Managerで転送定義を作成するとき、配信側クライアントの収容クライアント情報で「通知ホスト名」の設定が省略されていた場合は、経路設定を自動配置で実行するか手動配置で実行するかによって配信側クライアントに通知されるホスト名と作成される詳細ホスト情報が異なります。

表2.19 自動配置と手動配置の違い

項目

自動配置

手動配置

通知されるホスト名

集信クライアントのホスト名

管理元サーバのホスト名

詳細ホスト情報

 

ホスト名

集信クライアントのホスト名

管理元サーバのホスト名

ホスト種

集信クライアントのホスト種

管理元サーバのホスト種

漢字コード種

集信クライアントの漢字コード種

管理元サーバの漢字コード種

JIS年度

集信クライアントのJIS年度

管理元サーバのJIS年度

集信ポートNo.

集信クライアントのシステム動作環境設定の「集信ポートNo.」

管理元サーバのシステム動作環境設定の「ポートNo.」

要求受付ポートNo.

集信クライアントのシステム動作環境設定の「要求受付ポートNo.」

31000

PROXY情報

「(1) HULFT-HUB Serverを経由するためのPROXY情報」に従う

上記以外

初期値

集信側クライアントに通知されるホスト名は経路設定方法の影響を受けません。

また、ホスト名の形式は「HUB経由転送における通知ホスト名」の設定に従います。

(3) 通知されるホスト名の例

収容クライアントの「通知ホスト名」とシステム動作環境設定の「HUB経由転送における通知ホスト名」の設定に組み合わせによって、クライアントに通知されるホスト名がどのようになるかを、図2.96 の環境を例に説明します。

それぞれの場合に作成される詳細ホスト情報は、表2.20 および表2.21 を参照してください。

図2.96 前提となる環境

表2.20 クライアント「A」からクライアント「B」に転送する場合に通知されるホスト名

通知ホスト名

HUB経由転送における通知ホスト名

Aに通知されるホスト名

Bに通知されるホスト名

A

B

自動配置の場合

手動配置の場合

(省略)

(省略)

ポート番号付きの形式

B_bbbbb

S_sssss

A_aaaaa

管理対象のみポート番号付きの形式

B_bbbbb

S_sssss

A_aaaaa

ポート番号無しの形式

B

S

A

(省略)

Y

ポート番号付きの形式

B_bbbbb

S_sssss

Y

管理対象のみポート番号付きの形式

B_bbbbb

S_sssss

ポート番号無しの形式

B

S

X

(省略)

ポート番号付きの形式

―(*1)

X

A_aaaaa

管理対象のみポート番号付きの形式

A_aaaaa

ポート番号無しの形式

A

X

Y

ポート番号付きの形式

―(*1)

X

Y

管理対象のみポート番号付きの形式

ポート番号無しの形式

*1 :

Aの「通知ホスト名」を設定した場合、自動配置では経路設定を実行できません。

表2.21 クライアント「A」からクライアント「C」に転送する場合に通知されるホスト名

通知ホスト名

HUB経由転送における通知ホスト名

Aに通知されるホスト名

Cに通知されるホスト名

A

C

自動配置の場合

手動配置の場合

(省略)

(省略)

ポート番号付きの形式

C_ccccc

S_sssss

A_aaaaa

管理対象のみポート番号付きの形式

C_ccccc

S_sssss

A

ポート番号無しの形式

C

S

A

(省略)

Z

ポート番号付きの形式

C_ccccc

S_sssss

Z

管理対象のみポート番号付きの形式

C_ccccc

S_sssss

ポート番号無しの形式

C

S

X

(省略)

ポート番号付きの形式

―(*1)

X

A_aaaaa

管理対象のみポート番号付きの形式

A

ポート番号無しの形式

A

X

Z

ポート番号付きの形式

―(*1)

X

Z

管理対象のみポート番号付きの形式

ポート番号無しの形式

*1 :

Aの「通知ホスト名」を設定した場合、自動配置では経路設定を実行できません。

(4) 通知されるホスト名の影響を受ける管理情報

HULFT-HUB Serverを経由した転送で通知されるホスト名が変更されると、以下の管理情報が影響を受けます。

転送グループ情報

転送グループIDは影響を受けませんが、登録されるホスト名が影響を受けます。

既存の直接転送の転送定義をHUB転送に切り替えた場合、転送グループIDを変えずに、登録されているホスト名を変更します。そのため、配信管理情報と集信管理情報は通知されるホスト名の影響を受けません。

表2.22 クライアント「A」の転送グループ情報に登録される「B」のホスト名

「A」の通知ホスト名

HUB経由転送における通知ホスト名

登録されるホスト名

(省略)

ポート番号付きの形式

B_bbbbb

管理対象のみポート番号付きの形式

B_bbbbb

ポート番号無しの形式

B

X

ポート番号付きの形式

X

管理対象のみポート番号付きの形式

ポート番号無しの形式

XML変換情報

XML変換情報のファイル名にホスト名が使用されるため、通知されるホスト名の影響を受けます。

表2.23 クライアント「A」に作成されるXML変換情報のファイル名

「A」の通知ホスト名

HUB経由転送における通知ホスト名

作成されるファイル名(*1)

(省略)

ポート番号付きの形式

B_bbbbb.ff.FFFF.inf

管理対象のみポート番号付きの形式

B_bbbbb.ff.FFFF.inf

ポート番号無しの形式

B.ff.FFFF.inf

X

ポート番号付きの形式

X.ff.FFFF.inf

管理対象のみポート番号付きの形式

ポート番号無しの形式

*1 :

クライアント「B」からフォーマットID「FFFF」で集信してXML変換を行う場合の例

経路一括変更の動作

HULFT-HUB Managerで経路一括変更を実行する場合、選択したクライアントの収容クライアント情報で「通知ホスト名」が設定されていると、変更後の管理情報の整合性が合わなくなる場合があります。「通知ホスト名」を設定した場合は経路一括変更を実行しないでください。

選択したクライアントの収容クライアント情報で「通知ホスト名」が省略されていた場合、経路一括変更で変更または追加する詳細ホスト情報、転送グループ情報、XML変換情報が、上記のような影響を受けます。