XML形式を扱える入力フォームと帳票システム間で「DataSpider」が効率的にデータを連携
NI帝人商事では、出張旅費や備品購入費の精算などに全社員が日常的に使う財務会計システムの再構築に際して、当初はユーザー(社員)が使い慣れたマイクロソフト社の「エクセル」の利用を検討していました。すでに「オフィス2003」がスタンダードな環境になっており、それを活用して短期間で開発したいという思惑があったからです。
しかし、「エクセル」は表計算ソフトのイメージが根強いため、全社共通の財務会計システムに利用するという点で感覚的疑義が浮上し、別の方法を模索することになりました。そこで、既存システムの「SQL Server」とウイングアーク テクノロジーズ社の帳票システム「Universal Connect/X 」+「Super Visual Formade(SVF)」を活用すること。新たに「オフィス2003」で提供されている「インフォパス(InfoPath)」を入力フォームに利用する案を採用し、システムのユーザーインターフェイスが決定しました。
しかしながら、短期間で開発を行う要件を満たすためには、XMLデータを効率良く利用し、異なるツールを簡単に“つなげ”、アプリケーションの作りこみを最小限にする必要性が生じてきました。そこで、検討の俎上に上がったのがアプレッソ社のデータ連携ソリューション「DataSpider Enterprise Server」(以下「DataSpider」)のパッケージソフトウェアであります。
「DataSpider」では、多くのアダプタを有しUniversal Connect/Xアダプタおよび「インフォパス」に対応するXMLアダプタが用意されており、これらのアダプタを活用すれば異なるITツールを接続させるためのインターフェイス開発は不要となります。データを簡単に連携させることで、上記要件を満たすことが可能であると判断して「DataSpider」の採用を正式に決定をしました。
「DataSpider」に関しては、営業会計システム部分で、全銀手順(銀行との間で振り込みや決済のデータを交換するときに、銀行協会が定めている手順)のフォーマットをフラットファイルに変換する処理などを行うために採用されており、ツールとしての良さを体験していたことが、迅速な意思決定につながりました。
よい製品(ツール)ならベンチャー企業でも積極採用という姿勢
営業会計システムのデータ連携部分で悩んでいた当時について、経営企画本部・システム部・主事の山本晋也氏は「XML形式で処理すればよいのではないかと考え、インターネット上で調べると、アプレッソ社のDataSpiderが目に留まりました。さっそく試用版を使ってみたら、これならデータ連携の開発ができると思いました。来社してもらって相談しましたが、製品への自信や熱意も伝わってきて、当時名の知られていないベンチャー企業ということは特に気になりませんでした。むしろ、ベンダー中立なので余計なことを考えなくて済むことは望むところです」と振り返ります。
そして、特に「DataSpider」のマッピングツールであるMapperの使い勝手を高く評価しています。
「プログラミングでは、頭の中で考えたようにプログラムを作り、コンパイルやデバッグをして、処理結果を見て、また頭の中で再構成をするという流れの繰り返しです。しかし、MapperではGUIによるドラッグ&ドロップで操作できて、データ変換処理をやってみて結果がすぐに分かり、間違いも簡単に修正できる点がすばらしい」(山本氏)
マッピングツールにはXSLT GeneratorとMerge Mapping Editorもあり、データ連携フローを設計してスクリプトとして管理する開発ツールScript Designerなどがあります。
Mapper画面
- Mapper(データ項目の関係付けとデータ変換処理を定義)の特徴
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- 120個以上のロジックアイコンで変換処理を短期間に設定
- 日本固有のロジックをサポート(全角←→半角、和暦←→西暦、数値←→漢数字、等)
- リアルタイムプレビュー機能で変更の即時チェック
- XML→XMLで整列、変換、絞り込みをサポート
既存システム環境を有効利用することでリスクの最小化を図り、短期間でシステム構築を実現
今回の財務会計システム再構築は、既存のツールを上手に活用することと、入力インターフェイスを切り出すことでユーザーの使い勝手を考慮し、データを上手に連携させることで、全社規模のシステム開発にもかかわらず約3カ月という短期間で終了することができました。財務会計という数字を扱うシステムであるため、検証期間には3カ月ほどかけましたが、特に問題は発生せず、無事にサービスインしています。
経営企画本部・システム部・主事の西山伸男氏は「インフォパスの画面を利用してユーザーにデータを入力させますが、アナログの(物理的な)承認過程があるので帳票として出力する必要があります。このため、帳票システムのUniversal Connect/Xに対応するXML形式にデータを変換しなければなりません。DataSpiderには対応するアダプタがあり、帳票のためのプログラムを作る必要がなく、非常に短期間で開発することができました」と話しており、また、「入力の形式が決まっていて、出力の形式も決まっていれば、あとはDataSpiderでデータをマッピング(関係付けと変換)するだけですから、効率的に開発できる」とも話されているように、アナログの業務処理を含めて、業務要件の全てをアプリケーションとして開発するとプロジェクトも大規模化し、長期化していきますが、アナログの業務処理の柔軟な対応も含めて、データを上手く連携させることで短期間でのシステム構築を実現させました。
未来型商社の実現へ向けての「DataSpider」の適用範囲の拡大へ向けて
NI帝人商事では、大小さまざまな取引先とのデータのやりとりが日々発生します。統一したフォームでのデータ処理も行われていますが、個別に対応する場面も多々あり、今回の効果を踏まえて、そのデータ連携に「DataSpider」を活用するケースが検討されています。
「相手が望む取引条件にできるだけ対応し、融通を利かせるのが商社の役割だと私は考えています。メーカー側は製品を出荷したらすぐ支払ってほしい。販売店側は商品が売れてから支払いたい。その決済のタイムラグを吸収するのが商社ではないかと思います」(山本氏)というように、さまざまな条件に対応し、データのやりとりに際して形式(フォーム)の違いを吸収することも商社には求められているわけです。
このような柔軟かつ迅速な対応が求められる商社などの業態において、例外対応や個別対応を吸収させながらデータ連携させ業務生産性の向上を図り、更に、新しい業務モデルの構築を短期間で実現し、かつ、細かな変更への柔軟なメンテナンスができる「DataSpider」は強力なITツールであり、“価値を創造する「コンバータ」機能”のコンセプト実現へ強力なビジネスツールになることと期待しております。