「手作業」と「2重処理」を排除し、「販売・物流」と「会計」のデータを統合
業務の効率化を目指す
株式会社グリーンハウス(以下、グリーンハウス)はコンピュータ周辺機器のベンダーとして、開発から製造、販売まで手がけています。PCの周辺機器業界全体を見ると市場景気は下降傾向にありますが、グリーンハウスは独自の技術力やオリジナリティ溢れる商品により常に高い価格競争力を維持し続けてきました。
そんなグリーンハウスの業務を支える基幹システムは、全国から集められた製品の受注書等の処理をはじめ、本社の営業部、商品企画部、経理課、商品管理課と各支店を網羅的に結び、部門や拠点を越えた密な連携を実現しています。
グリーンハウスが扱うPC周辺機器は、コンシューマ向けプロダクトとエンタープライズ向けプロダクトがあり、近年では物流量が大きく拡大しています。
今後、海外販売を視野に入れたさらなる受注拡大を考えたとき、今のシステムでは対応が厳しくなると、株式会社グリーンハウス 管理課 情報システム担当の高橋重氏は危惧していました。
「従来のシステムでは、注文データ、検収データを営業アシスタントが販売、購買などの“物流系システム”と帳票等の“経理系システム”にデータ入力を2重に行っていて、財務系システムとの連携がなく、業務全体の効率を落としていました。耐用年数が迫っていたこともあり、このタイミングで基幹システムを一新し、業務効率の改善を図ることが必要と考えました」
WEB-EDIとSAP連携にDataSpiderが最善と判断
こうした状況を踏まえ、基幹システムの一新と、今後増大する受注処理にも対応できる業務システムの構築を提案したのが、株式会社NTTデータサイエンス(以下、NTTデータサイエンス)でした。その提案内容は、それぞれ独立しているアプリケーションを統合化し、2重エントリやプログラムの重複を排除するというものです。今回、この開発をNTTデータサイエンスが担当し、運用をグリーンハウスが行います。開発を開始したのが2007年2月、サービスインは2007年10月を予定しており、8ヶ月という短期間での開発を目指しました。
まずNTTデータサイエンスはグリーンハウスの全部署でヒアリングを行いました。重複している情報は、今回の基幹システムのアプリケーションに採用した「SAP ERP6.0(以下、SAP)」にすべて取り込み、統合します。
このSAP への受注データ連携に用いられたのが「DataSpider Servista(以下、DataSpider)」です。
DataSpiderは、取引先から寄せられるWEB-EDIによる注文データをSAPに取り込む際のデータ変換のほか、SAPと各マスタデータベース、帳票ツール、送り状の発行ツールなどとのデータ連携にも活用されています。実際に開発を行ったNTTデータ サイエンス コンサルテーション事業部マネージャーの千葉大輔氏はDataSpiderの選定理由をこう語ります。
「ヒアリングの段階で直感的に使えると判断しました。DataSpiderはシステム構築だけでなく、レガシーシステムからのデータ移行にも活躍しています。使っていくうちに様々な処理ができることが分かり、活用のポイントが増えていきました。システムの拡張性を考える場合、DataSpiderは制限なく活用できると確信しましたね」(千葉氏)
システム開発にかけた8ヶ月のうち、DataSpiderに関わる期間は2ヶ月。実際の作業日数は31日ほどでした。しかも作業時間は1人が1日2時間程度です。開発を省力化できた理由は、DataSpiderがハブ型であるため、中間のDataSpiderのロジックを改善するだけで作業が済むという利点があるところです。その効果は接続されている双方のシステムに手を入れる場合と比較すると、一目瞭然です。さらにDataSpiderの魅力はその驚異的な費用対効果にあります。
「同様のデータ変換機能を備えたプロダクトやソリューションと価格を比較すると、DataSpiderの価格とはひとつ桁が違っていました。DataSpiderは“がっちりと設計して動かす”というものではなく、“まずやりたいところからはじめて、作りながら拡張していける”というプロダクトです。少ない投資で目に見える効果が出ますから、まさに費用対効果に優れたETLツールと言えますね」(千葉氏)
当初の予定通り2007年10月にサービスインした新システムの運用を引き継いだ株式会社グリーンハウス 管理課 情報システム担当の保科敬之氏は、運用面でのDataSpiderの良さを実感しています。
「『DataSpider 実践入門』という本を読み、2日ほど触っていたら大体の使い方を理解できました。DataSpiderではロジックをコードではなくアイコンで表現するため、誰が見ても分かりやすい。メンテナンスや引き継ぎというライフサイクルを考える場合、アイコンによる方法は優れています。実際にNTTデータサイエンスさんからそのまま引き継いで活用できていますからね」
EDIとの連携も実現し、手入力作業が1/4~1/6へ削減
新システムでは、受注入力の一部でWeb-EDIによる自動化を行い、現在、1日1000件ほどある受注の内、約半分がEDIによって自動化され、業務は大幅に効率化されました。
「今回のシステムで、これまで営業アシスタントが手作業で行っていた入力作業の半分が省力化されました。SAPへ自動入力されたEDIデータを確認するだけで済むため、これまで1分かかっていた作業時間が10~15秒になった計算です。これで出荷の処理を前倒しにできるので、トラブルの際にも十分に対応が可能です」(高橋氏)
入力作業が半減したことを受け、空いた時間を他の業務へ当てています。また保科氏は「システムの運用管理を私1人で担当できているという点も、省力化、トラブル時の窓口の一本化という意味で効率的ですね」と語ります。
今回のSAPを中核としたシステムは、将来的な販売拡大にも十分対応できるものとなりました。DataSpiderによって異なるアプリケーション連携を実現した今回のシステムは今後グリーンハウスの事業拡大において、さらに費用対効果を上げることでしょう。