ドキュメントにこだわりつづけたノウハウでダイレクトマーケティング事業に取り組む
「ゼロックスする」と言えば、複写機でコピーすることでした。複写機、複合機、プリンタ分野では誰一人として知らない者はいない富士ゼロックス株式会社(以下、富士ゼロックス)は、1991年に「ザ・ドキュメント・カンパニー」宣言を行い、「ドキュメント」そのものの品質と「ドキュメント」を作るプロセスの両方で最高のサービスを提供するという姿勢を明確にしました。
「これまで、富士ゼロックスは基本的にメーカーとして活動してきましたが、今後の更なる成長を目指し、サービス事業の分野にも力を入ていく戦略を採りました。中でも、マーケティング支援サービスは、重要な戦略的サービスとして位置づけられます」と語るのは、富士ゼロックス プロダクションサービス事業本部 事業企画管理部 事業企画グループの田沼透氏。
田沼氏が担当している新たなサービス事業は、「direct2one」という名のダイレクトマーケティング支援サービスです。direct2oneは、企業がDM(ダイレクトメール)や電子メール、Webなどを通じ、お客様1人ひとりに合わせたコンテンツで案内を送り届けることを可能にします。
これまでのDMは、ダイレクトマーケティングの主要なツールであるにもかかわらず、同じ文章で名前だけを差し替えた画一的なデザインが多く、このため個々のお客様にフィットした訴求内容を作り出すのは困難でした。そのうえ、ターゲティングせずに大量にばらまく配布方法が主流であったことから、「開封率とレスポンス率の低さ」という欠点をなかなか克服できず、投下費用とマーケティング効果とのバランスが見合わず、結果として、CPR(Cost Per Response)は高くついていました。
direct2oneは、このようなダイレクトマーケティングの実状に対して、富士ゼロックスが牽引してきたバリアブルプリンティング(可変印刷)技術を最大活用し、メッセージの内容や画像、さらにはデザインにいたるまで、顧客ごとにカスタマイズされたDMを実現するほか、電子メール、パーソナルWebサイトなど、様々なメディアを活用した真のOne to Oneマーケティングサービスを実施しています。
direct2oneのクライアント企業は、広告メディアを活用したB2Cビジネス展開が不可欠な不動産や旅行、クレジットカードなどの企業が中心です。
direct2oneでは、こうしたクライアント企業に、顧客や市場の現状分析、キャンペーン戦略や製作物コンセプトの立案といった企画支援サービスを提供するとともに、その企画に基づいて個々のお客様ごとにカストマイズした “メッセージ” “画像” “キャンペーン” を、最適なメディアを通して顧客1人ひとりに配布・配信する、実施支援サービスまでをワンストップで提供します。
また、One to Oneマーケティングへの投資効果を高めるためには、キャンペーン実施後のレスポンス分析と次回の企画への反映を繰り返すことが重要です。
「direct2oneで提案するキャンペーンは、一件一件がオーダーメイドのようなものです。システムは企画内容によって臨機応変な対応が欠かせません。また、納期やコストも少なく抑えることが大事です」と田沼氏は柔軟なシステムの重要性について語っています。
「カストマイズしたサービス提供のために、ある程度はテンプレート化しますが、定型化してしまってはデザインと言えません。ですから、デザイナーの考えを反映して毎回のようにシステムの修正が必要になってくるのです」と徳永龍紀氏(プロダクションサービス事業本部 ECS 部東京センターSPG)は言います。つまり、一般的なシステムとは異なり、修正しつつ使うというのが、このシステムに課せられた課題となっているのです。