食材や店舗備品などを中心とした外食産業向けトータルサービスを全国1200店舗あまりの取引先飲食店に提供する株式会社コスト・イズでは、2009年から実施している販売管理システムのリプレースに際し、会計システムとの連携のためDataSpiderを導入しました。その結果、自社内で連携部分の開発が可能になり、開発費の大幅な圧縮に成功しただけでなく、社内で使う帳票の出力にもDataSpiderを活用、必要な帳票を手軽に作れるようになりました。
株式会社コスト・イズ
本社 | 東京都港区六本木1-8-7 |
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Webサイト | http://www.costis.co.jp/ |
取材日 2010年7月
記載の担当部署は、取材時の組織名です。
記事の内容は、旧アプレッソによる取材時のものとなっております。
株式会社レックス・ホールディングスの100%子会社である株式会社コスト・イズは、食材をはじめ店舗備品の調達・卸売りをはじめとする外食産業向け総合サービスを提供しています。主な顧客は、グループ企業の株式会社レインズインターナショナルが展開する「牛角」「しゃぶしゃぶ温野菜」「土間土間」「とりでん」「かまどか」など、FC加盟店・直営店合わせて全国約1200店。他の取引先を含めると、顧客数は千数百店舗にのぼります。
レックス・ホールディングスおよび、グループ企業のレインズインターナショナルとコスト・イズは、情報システム部門を半ば共有する形としています。このレポートでは、コスト・イズが抱えていたシステム課題にDataSpiderをどのように活用し課題を解決したのかインタビューを中心にご紹介します。
2004年、コスト・イズはレインズインターナショナルの物流部門が独立する形で設立されました。業務システムは2002年から使われている設立以前のものを引き継いで利用していたため、機能の陳腐化や、近年コンプライアンスなどの重要性が増し、これらの要件に対応するのが難しい、事業規模の急速な拡大にともないシステムが業務要件についていけない、などの課題がありました。これらを解決するために、コスト・イズではシステムの全体最適化を目指して、2009年に販売管理システムをリプレースする計画がスタートしました。
このプロジェクトで課題となったのが、会計システムとデータを連携させる部分の開発コストです。レックス・ホールディングスおよびグループ企業の情報システム部門では、ITシステムの企画立案に専念しプログラムのコーディングを社内で行いません。
そのため、開発工数が増加すれば開発委託費用を押し上げることになります。「システム要件を煮詰めていくうちにユーザー側からさまざまな要望が加わった結果、開発工数が増大してしまい、新たな販売管理システムと既存の会計システムとを繋ぐ開発に、外注による手組み開発では予算を大きく上回る試算がでました。
しかし、コーディング不要で、詳細設計を行うのと同じような感覚で開発できるツールがあれば、自社開発によって開発委託を減らし費用を抑えることが可能になります。」とレックス・ホールディングス 情報システム部 部長 大場良二氏はいいます。そこで注目したのが、DataSpiderでした。
DataSpiderの導入を決定するまでに、無料セミナーに参加したり、評価版を導入して機能の評価を行い、アプレッソの技術担当者に直接アドバイスを受けながら、いくつかのデータ連携機能を作成するなどして、自社で開発できる目処が立った段階で本格導入を決定しました。「評価版で作成したデータ連携スクリプトを実際に動かしたところ、処理スピードの速さに驚きました。これまでのツールではチューニングが必要でしたが、DataSpiderはそれを行う必要もなく、高速にデータの連携をしてくれます。」(大場氏)導入後、一部の社員をトレーニングに参加させて機能を習熟しました。
以前は帳票出力に専用ツールを使っていましたが、DataSpiderのExcelアダプタを活用すれば、自社で自由にデータを加工した結果をExcelファイルへと簡単に出力できるので、帳票作成の自由度も格段に向上すると判断し、システム間連携のみならず、社内の帳票類の出力にもDataSpiderを応用することにしました。「機能や要件が適切で、かつ予算内でシステムを完成させられそうなツールは他にありませんでした。」と大場氏は言います。
こうして、会計システムとの連携部分の開発も順調に進められ、新たな販売管理システムは2010年6月から並行稼働、7月から正式稼働を無事に迎えました。新たな帳票システムも運用を開始しています。
DataSpiderの開発を担当している、コスト・イズ IT統括部 係長の小熊稔幸氏はこれまで経験してきた普通のプログラミング言語より開発効率が高いと評価しています。「実際、1日で帳票3~4本分のスクリプト※を作ったことがあります。帳票ツールとしてみても、今までのものより高機能で、エンドユーザーにも好評ですね。」(小熊氏)
※スクリプト:DataSpider上でデータ連携の一連の処理の流れを記述したもの。プログラミングのソースコードにあたります。
効率的な開発で、システム開発費用は大幅に抑えられました。データ連携部分に関していえば、初期の想定では約800万円だったのが、ほぼ半額になったそうです。「帳票も、外部に委託すれば1つ数十万円ですが、今や自社内で手軽に作れます。また、エンドユーザーの要望に気軽に対応できるようになって社内のITサービスも向上しました。逆に内製化したことで見えにくい内部コストも生じており、単純には比較できませんが、全体としては1000万円くらいの節約に相当するのではないでしょうか。」(大場氏)
そして今後は、グループの他の企業にDataSpiderを横展開することも検討されています。各社のシステムの入れ替えのタイミングなどに合わせて、DataSpiderを導入していく意向です。「DataSpiderのおかげで、社内の技術力を特段上げることもなく自社開発できるようになったので、自社開発は今後さらに増えていくことでしょう。」(大場氏)