OKIグループでITサポートサービスを手掛ける株式会社沖電気カスタマアドテックでは、業務全般を支えるITインフラを根幹から刷新、スマートフォンを全面的に採用してカスタマーエンジニアの活動を大幅に効率化しました。
10年間使い続けられるよう統合された基幹DBと、環境の変化に対応できる業務アプリケーション、そして発展著しい端末環境、それぞれのライフサイクルの差を吸収するため、自社開発のユビキタスプラットフォームとともに、DataSpiderが活用されています。
株式会社沖電気カスタマアドテック
本社 | 東京都江東区木場2-7-23 |
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代表者 | 入谷 百拡 |
設立 | 1992年8月 |
Web | http://www.oca.co.jp |
取材日 2011年2月
記載の担当部署は、取材時の組織名です。
記事の内容は、旧アプレッソによる取材時のものとなっております。
株式会社沖電気カスタマアドテック(略称OCA)はOKIグループの一員で、主に情報通信関連のサポートサービス事業を手掛けています。全国に約250拠点のサービス網を展開、総勢約1200名のカスタマーエンジニア(以下、CE)が、グループの製品・ソリューションを含むマルチベンダー環境のサポートを提供しています。
OCAでは 2010年10月、「@スマートCEシステム」と名付けられた全く新しい業務基盤の運用を開始しました。このシステムはCEの活動を支援するだけでなく、バックオフィスも含め社内の業務のほぼ全てを網羅しており、基幹データベースと業務アプリケーション、そして端末環境のそれぞれのライフサイクルの差を吸収する設計が大きな特徴です。それを可能にしたのが、OCAの開発したモバイルプラットフォームと、EAIハブとして使われているDataSpider Servistaです。
@スマートCEシステムの開発プロジェクトがスタートしたのは2008年4月のことでした。1999年から使われていた旧システムを置き換え、今後10年間使える基盤を目指したといいます。その最大の命題は「経営基盤の強化」。具体的には、「従来は3つに分かれていた基幹系データベースを統合して一元管理すること」、「将来的な環境の変化に追随できる設計であること」が求められていました。変化への追随を可能にするには、10年間に渡って対応できる基盤として作られる基幹系データベース、企業を取り巻く環境変化に応じて改良を加えたり新たに追加されることが考えられる業務アプリケーション、そして早ければ2~3年で入れ替わってしまうPCやスマートフォンなどの端末環境、それぞれのライフサイクルの差を吸収することが不可欠です。
「端末環境と業務アプリケーションとの間は、自社で開発した『ユビキタスプラットフォーム』により、端末やキャリアの違いを吸収するようにしました。」と語るのは、OCA ITシステム本部 担当部長の松浦健豪氏。一方、基幹データベースと業務アプリケーションの間にも、変化を吸収するためのハブとなる存在が必要となります。「今回はシステム全体を完全に作り直すことから、ハブとして使うツールもゼロベースで検討し、最終的には2製品が残りました。」(松浦氏)
候補となった2製品から最終的に選ばれたのが、DataSpider Servistaです。「2つの製品には一長一短ありますが、DataSpider Servistaを選んだ決め手はアーキテクチャがシンプルであることです。もう一方の製品は多機能な反面、構成が複雑で、運用は大変だろうと考えたのです。また、DataSpiderは過去にも社内で使っており、その実績も評価のポイントとなりました。」(松浦氏)DataSpider Servistaが担う役割は、基幹データベースが持つ多種多様なデータと、数々の業務アプリケーションとを結ぶハブです。これによって業務アプリケーションの柔軟な入れ替えを可能とし、いわゆるEAI(Enterprise Application Integration)を実現した形になっています。
EAIの実現には、名寄せなどの"作法"を決めたり、ツールを作り上げるなどの苦労が伴ったといいますが、DataSpider Servistaの使いこなしに関しては、特に問題はなかったようです。「代理店の株式会社アテネコンピュータシステムから講師を招いて、開発スタッフに1~2週間の教育をしてもらったほかは、アプレッソの「DataSpider実践入門」を参考にしただけです。それだけでできてしまいましたね。」と、松浦氏はDataSpider Servistaの使い勝手を評価しています。
@スマートCEシステムのトランザクションは、1日に5万~8万にものぼるそうです。その中でEAIハブという重要な役割を担っているDataSpider Servistaは、64bit版が使われています。このトランザクション数の多さは、「真のオンライン化」にあると松浦氏は言います。「我々が手掛けているサポートサービス業務では、いかにCEの無駄な時間を省くかが重要な課題です。そのために、すぐ起動するスマートフォンを採用し、端末を持った時点で社内ネットワークにオンラインとなるようにしたのです。」(松浦氏)
@スマートCEシステムでは、CEを現場にアサインする際には端末の位置情報を活用、現場へ向かうCEの端末には作業指示や必要な技術情報・履歴情報などを転送、そして現地では作業状況を簡単なタッチ操作で登録・通知できるようになっています。CEにとっては保守作業以外の業務負担が大幅に軽減され、アサインに要する時間や故障復旧に要する時間も短縮できたのです。そしてOCAでは今後、このシステムのさらなる使いこなしを図っています。「近い将来、BPMに取り組む計画です。それが実現すると、当初に描いていた絵が、ほぼ完成するのです。ユーザーの手で業務プロセスを組み上げる際、DataSpider Servistaが文字通り情報のハブとして役立つはずです。また、DataSpider BPMの活用も検討しており、可能なら一部で試行してみたいと考えています。」(松浦氏)